氷の消失で北極点まで船で到達可能に
livedoor ニュースの記事(9/21)から。北極海で氷が大量消失=8月撮影の衛星写真で判明
北極海で8月、ブリテン諸島(英国とアイルランドおよびその周辺の島々)に相当する面積の万年氷が消失し、欧州北方の島から北極点まで船で容易に行き着けるほどになっていたらしいことが衛星写真で分かり、欧州の科学者たちは驚きの声を上げている。欧州宇宙機関(ESA)が20日までに明らかにした。北極の氷が減少していることは今までも何度か報道されてきているし、当然のことながら北半球の夏に一番氷が減るわけで、この時期にこれがニュースになりやすいようだ。1年前にも温暖化の海への影響というエントリで北極の氷の減少について書いているのだが、今年は何と、北極点まで船で到達可能なルートができてしまったということで、なかなかインパクトが大きい。ESAが運用する2つの衛星から8月23日―25日に撮影された写真で判明した。それによると、一年中あるはずの万年氷が広範囲で消失、ノルウェーと北極点の中間にあるスピッツベルゲン諸島の北からロシア北極圏にかけて万年氷のない海が広がり、北極点にまでつながっていた。
地球温暖化の進展で北極海の万年氷が減り、かつ薄くなってきていることは過去25年間の観測で分かっていたが、今回の消失は前例のないほどだという。既に薄くなっていた氷が今夏の嵐によって砕かれ、散乱させられたのが原因かもしれないと科学者たちはみている。
ESA関係者は、氷の消失により「スピッツベルゲン島や北シベリアから北極点まで、船で問題なく行けたのではないかと考えられる」と述べている。
ESAのニュースには、ASARとAMSR-Eという2つの観測装置による昨年と今年の北極の氷の観測画像が掲載されている。モノクロ画像がアクティブなマイクロ波カメラであるASARによるもの、カラー画像がパッシブなマイクロ波カメラのAMSR-Eによるもの。AMSR-Eの写真では赤から青までの色の変化が氷の濃度(100%~0%)を表しているとのこと。
2005年の画像では北極点の周りに均一に氷が広がっているのに対し、今年の画像では北極点の周りの氷の分布が明らかに非対称で不規則となっていることがわかる。両者を比較すると実は赤い部分の面積自身はあまり大きな差はないようにも見える。。 今回のような不規則な氷の割れ方は初めて観測された現象とのことで、原因はまだ明確ではないものの、8月の大きな嵐(低気圧)によって割れたのではないかと考えられているらしい。
まあ、たとえ嵐の影響があったとは言え、ある程度氷の層が薄く弱くなってなければ、そう簡単に北極点までの氷が割れて船のルートができるとは思えないので、温暖化の影響を示す一例としてとらえるべきだろう。
ESAのニュースにはESAの科学者のコメントとして
"If this anomaly trend continues, the North-East Passage or ‘Northern Sea Route’ between Europe and Asia will be open over longer intervals of time, and it is conceivable we might see attempts at sailing around the world directly across the summer Arctic Ocean within the next 10-20 years."とあり、10~20年後には夏季の北極海横断航海が可能になるだろうとのこと。去年の「ホッキョクグマに絶滅の危機!」なんていうセンセーショナルな記事と比べると、今年は何だかのんびりムードだな。。
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