ニューヨーク市がトランス脂肪酸を禁止?
Reuters News(9/26)で見つけた記事。New York proposes trans fat ban in restaurants
New York City's Health Department on Tuesday proposed a near ban on the use of artificial trans fat at restaurants, likening its health danger to that of lead paint.ということで、ニューヨーク市はレストランなどでトランス脂肪酸の使用を禁止する条例を制定しようとしているらしい。トランス脂肪酸そのものは天然に様々な食品にも含まれていたはずだし、今まで結構長年にわたって摂取してきたものだと思うのだけど、禁止しちゃいますか。。 日本での報道を探してみたら、livedoor ニュースがNY市、外食店でのトランス脂肪酸含有食品提供の禁止を検討というニュースを報じている。The proposal would limit the use of the artery-clogging fat, which is often used in fast foods, to 0.5 grams per serving. The proposal comes after a year-long city campaign to educate restaurants on the effects of such fats and encourage them to stop their use.
トランス脂肪酸は血管を詰まらせる悪玉コレステロールを増やす物質で、ショートニング、マーガリンと揚げ油などに含まれるため、これらを使用したドーナツ、パイ、フライドポテトなどにも含まれる。使用食材の一からの再検討を強いられる外食産業からは、「ラベルなど一定の基準を定めるならともかく、完全に禁止するのは容認できない」と、反発も出ているが、当局側は「トランス脂肪酸を含む食材は容易に他の食材で代替が可能だ。トランス脂肪酸は危険かつ不必要な成分で、なくなっても誰も困らない」としている。ウェンディーズ、フリトレー、クラフトなど一部の外食・食品会社は、自社製品からトランス脂肪酸の排除を進めている。ということだが、そんなにトランス脂肪酸って悪者だったのだろうか? トランス脂肪酸で検索してみると、有害性を強調したサイトがかなり多くあることに驚かされる。一方、マーガリン工業会では「トランス脂肪酸について」という見解を掲載しており、少なくとも日本人の食生活においては全く問題がないと書かれている。
市民のための環境学ガイドのトランス脂肪酸はどのくらい問題かは、ちょっと難解だが充実した内容で、この問題の背景などの理解を助けてくれる。結局、適度な量をバランス良く食べるというスタンスでいれば、トランス脂肪酸だけを特に心配する必要もないといったところだろうか。
もっとも、標準的なニューヨーカーの場合には、トランス脂肪酸の取りすぎが問題になるような食生活なのかもしれないけど、それにしても外食産業での使用を禁止するという対策もどうかと思う。そんなことよりも、食生活の質と量を改善することを考えるべきだろう。この条例が可決されることで、もういくら食べても大丈夫、という誤った認識が広がって逆効果になることだって考えられなくもない。
なお、USA TODAYの記事によると、トランス脂肪酸の使用を禁止する条項に加えて、ファストフードチェーン店などのメニューにカロリー表示を義務付けるという条項も提案されているようだ。こういうのって日本でもファミリーレストランなどで見かけるけど、どの程度の効果があるものなのだろう?
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コメント
デラニー条項よ再び、、、って所ですかね。(^^;)
>どの程度の効果があるものなのだろう?
ないよりは良いんじゃない?
気になり始めの初心者には有効かと。
投稿: Sekizuka | 2006/09/28 09:24
なるほど、デラニー条項との類似性は思いつきませんでした。
念のために「デラニー条項」で検索してみたら、意外にも読み応えのあるサイトばかりが続々と引っ掛かってくるので、結構勉強になりました。
カロリー表示については、自分が摂取すべきカロリーや他の栄養素のことを把握できている人にとっては確かに意味があると思うのですが、そうでない人にはどうなのだろう? 人はカロリーのみで生きるにあらずって気もするのですが。。
投稿: tf2 | 2006/09/28 16:33
この記事でKFCが大きく取り上げられているのを、新聞やNEWSで見ました。
今回、授業の課題でこの記事について取り上げようと考えています。
アメリカ人はいつもダイエット、肥満、運動についての問題を取り上げますが、ついに食品業界まで完全に変えようとするとは、さすがアメリカです。
自分の健康は自分で維持するのは当たり前ですが、アメリカでは体に悪い物を売る人も訴訟の対象になる国ですからね、誰かが間違ったことをしたら揚げ足を取ってお金を取ろうとする人が、たくさんいるって事ですかね。
今回のことはアメリカという国を表現するによい記事だと思います。
「もういくら食べても大丈夫、という誤った認識が広がって逆効果になることだって考えられなくもない。」と言った表現は同感です。現に低脂肪食品を食べているからと言って、いくら食べても大丈夫と思い、逆に体重が増えているケースがアメリカでは多いと聞きます。
投稿: taipos | 2006/10/31 06:32
コメントありがとうございます。ご指摘の通り、何故かケンタッキーフライドチキンの対応が記事になってます(http://news.google.co.jp/news?hl=ja&ned=&q=%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E8%84%82%E8%82%AA%E9%85%B8">Google News)。本当に健康にいいのなら、日本のKFCでも対応しないと変な感じがしますが、今回の対応はあくまでもアメリカの特殊な事情ということでしょうか。
投稿: tf2 | 2006/10/31 20:06