アメリカでも科学教育に危機感
たまたま見つけたReuters Newsの記事(9/21)から。U.S. science education lags, study findsによると、アメリカの National Research Council が、アメリカの小学校および中学校の科学教育は問題を抱えているというレポートを出したとのこと。
Part of the problem is that state and national learning standards for students in elementary and middle schools require children to memorize often-disconnected scientific facts, the report said.指摘されている問題点は、アメリカでは多くの事項を互いに余り関連付けずに、単に記憶させるような教育となっているという点のようだ。比較の対象として日本を取り上げ、日本では学年が進むにつれて段階的に深い知識を与えながら、アイデアのコアセットを探求させていると書いてある(らしい)けど、日本なんかを見本にして大丈夫だろうか? なお、教師についても、質的に不十分で、それぞれの教科についてもっと勉強する必要があるとも指摘している。Other countries such as Japan have students explore a core set of ideas, with increasing depth as they get older, it said.
"Comparisons of science standards and curricula in the United States with that of countries that perform well on international science tests reveal overly broad and superficial coverage of science topics in U.S. classrooms," said the report by 15 education specialists from across the country.
The report also criticized teacher training, saying undergraduate courses required for teachers were not substantial enough and schools need to support their teachers in learning more about their subject.
日本もゆとり教育が間違いだったとか、特に理科系科目の成績低下が顕著だとか色々と指摘されているけど、何のことはない、アメリカも同じような悩みを持っているということだろうか。同じニュースを扱ったwashingtonpost.comの記事では、
The report, sponsored by the National Science Foundation, National Institute of Child Health and Human Development, and the Merck Institute for Science Education, reiterates concerns that have been expressed for years by business leaders and educators who fear the country is in danger of losing its scientific superiority because of a poorly trained workforce. It also cites the continuing achievement gap between white and Asian students and economically disadvantaged black and Latino students.このままでは、きちんとした訓練を受けた労働力が育たず、将来アメリカが科学面での優位性を失ってしまうだろうという危機感が出ているが、これもまた日本と同様の問題意識のように見える。もっとも、アメリカの場合には更に人種間の格差という問題もあって、より複雑な事情が見えてくるのだが。。
なお、国際数学・理科教育動向調査の2003年調査(TIMSS2003)を見ると、小学生および中学生のいずれにおいても、そして数学および理科のいずれにおいても、日本はアメリカよりは好成績である。(日本の上にいるのは、シンガポール、香港、台湾などのアジア諸国ばかり) ただし、数学や理科への意識面(楽しさ、必要さ、積極さなど)の調査結果では、日本は軒並み世界最低レベルで、アメリカをも大きく下回っており、こちらの方がより深刻な問題という気がする。
一方、PISA(OECD生徒の学習到達度調査)2003年調査は、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーについての15歳児を対象とした調査結果だ。この調査では日本の成績低下が話題になったのだが、アメリカは更にかなり下位に位置している。教育改革が色々と言われているようだけど、アメリカが科学教育を今後どう改善していくのかという点にも注目していくのもいいかもしれない。
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