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2006/10/31

超能力者は職業か?

ちょっといつもの科学系のネタとは違うんだけど、まずは Sankei Web の記事(10/31)。「エスパー清田」大麻で再逮捕 スプーン曲げの超能力者

 知人から大麻約13グラムを譲り受けたとして、警視庁組織犯罪対策5課は、大麻取締法違反容疑で自称超能力者のエスパー清田こと清田益章容疑者(44)=東京都港区台場=を再逮捕した。

 また、長野県内の山地で大麻を栽培したとして、同法違反容疑でイギリス国籍のラフティングインストラクター、マーク・ドライデン容疑者(41)=長野県山ノ内町夜間瀬=ら3人を再逮捕した。

 調べでは、ドライデン容疑者ら3人は6月から10月にかけ、山ノ内町の山地で大麻草を栽培した疑い。清田容疑者はドライデン容疑者から大麻約13グラムを無償で譲り受けた疑い。

 清田容疑者はスプーン曲げの超能力少年として有名になり、エスパー清田の名でテレビなどに出演していた。

この記事で気になったのは、「自称超能力者」という部分。この手の報道では、普通は容疑者の氏名の前に、会社員、公務員、大学教授、無職、などのように職業が付されるようだが、だとすると自称かどうかはともかくも「超能力者」というのは職業名称なのだろうか? 僕自身が数年前に会社員でなくなったこともあり、どうもこの手の表記が気になる。ちなみに、元建築士とか元大学教授などの表記付きの報道をよく目にするが、会社を退職して仕事をしていない人は、何故か元会社員ではなく無職と書かれるようだ。

他の報道を見てみると、YOMIURI ON-LINEの70年代「超能力少年」大麻譲り受けの疑いで逮捕では、

 1970年代後半に「超能力少年」としてテレビなどに出演していたイベント会社役員清田益章容疑者(44)(東京都港区台場)が、知人から大麻を譲り受けたとして、警視庁組織犯罪対策5課に大麻取締法違反の疑いで逮捕されていたことがわかった。
ということで、職業は「会社役員」として報道されている。また、MSN毎日インタラクティブでも大麻取締法違反:元スプーン曲げ少年、清田容疑者を逮捕では
 1970年代、「念力でスプーンを曲げられる超能力少年」としてテレビなどに登場した会社役員、清田益章(ますあき)容疑者(44)=東京都港区=が警視庁に大麻取締法違反(譲り受け)容疑で逮捕されていたことが分かった。

 調べでは、清田容疑者は今年9月25日、長野県山ノ内町の知人宅で、知人が栽培した大麻13グラムを譲り受けた疑い。「2年ほど前から大麻を吸っている」と供述している。

 清田容疑者は「スプーン曲げ」の少年としてテレビや雑誌に登場したが、同容疑者のホームページによると03年には「脱・超能力者宣言」をしたという。

ということで「会社役員」として報道されている。なるほど「元超能力者」と書くと、今は普通の人という印象が出てきてしまうから、「元スプーン曲げ少年」というのも面白い表現だ。。 それにしても、「脱・超能力宣言」ってのはなんだろう? 今、本人の公式ホームページがこんな状態なのでよくわからないが、超能力はあるのだが、それを使うことをやめたってことなのかな? それだと今でも超能力者のような気もするし、今は超能力は持っていないのなら元超能力者ということになるし。。 Wikipediaでも、自称「脱・超能力者」と書かれているのだが、冒頭の産経新聞の「自称超能力者」という記載は間違いなのだろうか?

調べてみると、産経新聞の報道は SANSPO.COMの元“超能力少年” エスパー清田を再逮捕 大麻を譲り受ける、デイリースポーツonlineの自称超能力者を大麻で逮捕、スポニチ Sponichi Annexのエスパー清田を大麻で逮捕、nikkansports.comのエスパー清田、大麻で逮捕の記事とほぼ同じ文章なので、同じニュースソースのようだが、タイトルがそれぞれ異なっていてなかなか興味深いものがある。

しかし、読者の興味を引き付けるためとは言え、本業が会社役員であるということを一切伝えずに、まるで本業が超能力者であるかのように報道するのもどうかと思う。。 例えば、NIKKEI NETの元オリックス、野村投手が逮捕・覚せい剤使用容疑には

 高知県警薬物銃器対策課は31日、覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで元プロ野球オリックス投手の高知県春野町、無職、野村貴仁容疑者(37)を逮捕した。
と書いてある。どうでも良いといえばそれまでだけど、やはりこのような表記が望ましいよね。

それにしても、冒頭の記事中に「再逮捕」とあるのはどうしてなのだろう?? まあこれも、どうでもいいか。。

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2006/10/23

「データの罠」

今朝の日本経済新聞のコラム春秋には、「数字はウソをつかないがウソつきは数字を使う。」という中々蘊蓄のあることわざ(?)を元にデータに振り回されることの危険性と共に、データを提示する側への苦言を呈している。ここで紹介する本は、まさにこのことを実例を交えて説明した本であり、さまざまな意思決定の基となるような各種統計に関し、主としてデータの取り方や取りまとめ方が不適切なケースを具体的に実例をあげて説明している。

帯には、『「視聴率」「内閣支持率」「経済波及効果」「都道府県ランキング」、知らないうちにあなたの意見も操作されている!!』と書かれている。著者は、自治省、香川県企画調整室長、三重県財政課長を経て、現在は新潟大学大学院実務法学研究科助教授ということで、統計学の専門家ではなく、集計された各種統計を使う側で多くのデータを取り扱ってこられた方のようである。

集英社新書 0360B
 データの罠 世論はこうしてつくられる
 田村 秀 著 bk1amazon

第1章では、新聞の世論調査で質問文や選択肢が恣意的な例、信頼性のある結論を得るために必要なサンプリング数はどの程度か、有効回答率が非常に重要なこと、真の無作為抽出は意外と難しいこと、調査方法によって結果は全く逆になることもあり、特にインターネット調査やテレゴングは当てにならないこと、回収率を高く見せるためのデータ捏造もされていること、などが具体的に議論されている。

中でも著者は有効回答率を重視しており、回答率を上げるためにインセンティブを使うことも考えるべきで、少なくとも有効回答率が50%以下の調査は信憑性が極めて低いと指摘する。もっとも、下手にインセンティブを付けると回答率は上がるだろうけど、果たしてその回答は信頼性があるものかどうかは疑わしい気もする。

第2章では、○○日本一などのデータの元となる家計調査の危うさ、テレビの視聴率の精度、選挙の出口調査競争、各種の都道府県/都市/国のランキングなどが具体的に議論されている。テレビの視聴率は、業界では小数点以下の細かな数字の大小までを競っているようだが、実際には30%のときにプラスマイナス3.7%の範囲に95%の信頼性で入る程度の精度しかないと指摘している。また、選挙の際の出口調査に関して、今後各社がますます精度を上げる努力を続けると、番組の冒頭で発表する予想の数字がほぼ最終結果を反映することになり、開票番組の視聴率が下がってしまうというジレンマに陥るのではないか、という指摘がなされており、面白い。

第3章では、日本人の英語力はそんなに低いのか、在日米軍の事件・事故は本当に少ないのか、税理士の収入はそんなに高額なのか、など具体的ないくつかの統計調査結果について正しい見方を示している。日本人の英語力については、TOEFLやTOEICのテスト結果の国際比較をすると日本は世界最下位レベルであるというデータに基づいた議論なのだが、実はこれらの試験を受ける母集団が各国で大きく異なっているというのがポイント。日本は学校や会社ぐるみで全員が半ば強制的に受けるケースが多いのに対し、他国では米国留学希望者だけが受けたりしているので、単純に比較できないというわけ。

第4章は恐らく著者の専門分野で、「官から民へ」を検証するということで、中央省庁のスリム化の実態、地方公務員給与の実態、道路や下水道などのインフラ整備、公認会計士や税理士制度の問題、郵政などの民営化問題などを取り扱っているが、ちょっと本書全体の中ではつながりが悪い印象。まあ、著者が自説を述べたかったということだろうか。

冒頭に紹介した日経新聞のコラムでは、データを提供する側、統計を扱う側がもっときちんとしなさい、と指摘しているのだが、本書は統計を見る側の心得として、いくつかのだまされないためのチェックポイントを提示してくれている。だます奴も悪いが受け取る方もだまされないように注意する必要があるということだ。その意味ではマスコミの役割も非常に重要だろうと思う。マスコミ自らが安易な調査を行っているケースや、官民による各種調査結果を正しく解釈できていないケースが多々あるわけで、是非もっともっと勉強して欲しいものだ。

なお、同様のテーマを扱った『「社会調査」のウソ』もおすすめである。

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2006/10/20

透明マントの正体は?

asahi.comの記事(10/19)から。透明マント実現できる? 「見えなくする」理論確認

 かぶれば姿が見えなくなる「透明マント」実現の第一歩?――米デューク大など英米の研究グループが、特殊な微細構造の金属素材で物体を囲うことにより、物体に当てた電磁波を反射させずに裏側へ迂回(うかい)させる実験に成功した。ものが見えるのは、電磁波の一種である光が当たって反射し、目がその反射光をとらえるからだ。この反射がなければ何もないように見えるはず、という発想を確かめる試みだった。19日発行の米科学誌サイエンスに論文を発表する。

 実験の基となった発想は、欧米の別の研究グループが今年5月、「理論的には物体を見えなくする素材は作れる」と同誌に発表した。物体から反射光が返らないと、目が物体の存在を認識できず、あたかも物体が透明になったようにみえる、との理屈だ。

 今回のグループは、物体に当てた電磁波をねじまげて反射させずに、裏側へ迂回させるような特殊な構造の素材を考案。その素材で囲んだ直径約10センチの銅製の円筒に電磁波を当て、反射を大幅に抑えるのに成功した。

 完全に見えなくするためには、反射する光のすべての波長を迂回させる必要があるため、今回の実験成果のままでは「透明マント」の実現は遠い。ただし、レーダーを無力化する技術に応用するため、米軍が研究しているとも言われている。

以前も、透明マントのニュースを見たことがあるが、それはTech総研にあるように、背景を撮影した画像を投影する方法だった。 しかし、今回のものは光が物体を迂回することで見えなくするというものらしい。それにしても、「電磁波をねじまげて反射させずに、裏側へ迂回させるような特殊な構造の素材」じゃ何にもわからないぞ。。 同じニュースを扱ったMSN毎日インタラクティブのニュースでも「銅を含む特殊な人工素材」としか紹介されていない。。 Science Magazineの今週のハイライトによると、
D. Shurigらは、メタ物質(ナノ構造を操作して電磁特性を微調整できる人工の合成物)を使って、電磁放射線が排除、回避され、あたかも存在していないような空間を作り出した。Shurigらは、マイクロ波周波数帯域で作動するよう設計された人工構造のメタ物質で構成された「透明マント」中に銅製の円筒を「隠す」という方法で遮蔽メカニズムを作り出した。透明マントは隠した物体から発せられる散乱を減少させると同時にその影を減少させることで、物体を自由空間のごとき状態にする。透明マントは不完全でまだ二次元レベルに過ぎないが、後方散乱(反射)および前方散乱(影)双方を減少させることができる。
ということで、どうやらメタ物質がキーのようだ。メタマテリアル(メタ物質)といえば、以前このブログでも物質界面での反射を消す新奇光学素子というエントリで紹介している。これは物質界面での反射を消すものだったが、今回のものは物質による電磁波の散乱や反射を抑制するものなので、確かに親戚という感じだ。

さて、Scientific America.comにInvisibility Cloak Sees Light of Dayに詳しい記事が掲載されている。(この場合には「透明」は"tranparent"ではなく"invisible"なのだな)

A metamaterial is a composite structure, built of metal rings and wires embedded in fiberglass, that makes light behave in weird ways. Metamaterials can be used, for example, to bend light sharply or to focus it to a higher resolution than is normally possible. More recently, researchers pointed out that the technology should make it possible to construct spheres or cylinders capable of cloaking an object almost perfectly from detection by a single wavelength of light. When light strikes a metamaterial it causes the electrons in the metal pieces to vibrate; these vibrations in turn affect the speed of the light. A metamaterial shell with the right gradient of metal elements should cause light of a particular wavelength to wrap around the shell's interior.
ガラス繊維に金属リングと金属線を埋め込んだような構造で、光がメタマテリアルに当たることにより金属部品中の電子が振動し、この振動が光に与える影響をうまく利用して、特殊な効果を生み出すように設計された材料ということらしい。この記事には実際の透明マントの実験結果が載っているけど、うーむむ、まだ先は長そうだ。。。

このニュースも欧米のニュースサイトではかなり詳しく、丁寧に説明されている。「特殊な素材」などという表現ではなく、メタマテリアルという人工素材によって電磁波を制御して物体を見えなくするということを、わかりやすく説明しようとしている。例えばBBC NEWSなどを朝日や毎日の報道と比べると、日本の科学報道の貧しさが非常に際立って見える。。

波長が長い方がメタマテリアルを作製するのが容易(メタマテリアルの構造は波長以下でなくてはならない)なので、まずはレーダーなどに対応した軍事用を中心にいろいろな応用が考えられているようだ。いずれは可視光にも対応したいというわけだが、単一波長だけではなく、可視光領域の波長全体に対しても透明化が可能なのだろうか?

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2006/10/18

日立の職務発明訴訟での発明者の貢献度

各社報道しているけど、代表してasahi.comの記事(10/17)から。元社員への発明対価1億6千万円支払い確定 日立訴訟

 CDやDVDなど光ディスクの読み取り技術を発明した日立製作所の元社員が、職務上の発明に対する正当な対価の支払いを求めた訴訟の上告審判決が17日、あった。海外で登録した特許についても日本の特許法に基づいて対価が支払われるべきかどうかという争点について、最高裁第三小法廷(那須弘平裁判長)は「日本の特許法が適用される」との初判断を示し、日立の上告を棄却した。約1億6000万円の支払いを命じた二審・東京高裁判決が確定した。

 社内発明家が受け取る金額としては、確定判決では過去最高額。和解で終わった訴訟も含めると、対価としては青色発光ダイオード訴訟の6億円に次いで2番目。

 訴えていたのは同社の元主管研究員、米沢成二さん(67)。対価の一部として2億8000万円の支払いを請求していた。

 日本の特許法は、会社が、発明をした従業員から特許権を譲り受けた場合、従業員に「相当の対価」を支払うよう義務づけている。第三小法廷は「特許権を譲り渡す時点では、どの国に特許を出願するのかなどが確定していないことが多い」と指摘。国内特許と同じ発明についての特許であることも踏まえ、「外国特許分にも、日本の特許法が類推適用される」と結論づけた。

 米沢さんの発明に対する貢献率については一、二審とも14%と認定し、最高裁でも維持された。

 二審判決によると、米沢さんの発明は、日本のほか、米英仏など6カ国で特許登録された。これに基づき、日立はフィリップスなど15のメーカーから支払われた特許実施料や、メーカーが特許を相互に利用しあうクロスライセンス契約などで計約11億8000万円の利益を得たと算定した。

 米沢さんは69年に入社。96年に退社するまでに300件以上の職務発明を完成。今回問題になったもののうち最も主要な特許は、77年に出願されて90年に登録された。判決後、「日夜、企業で働く技術者を勇気づける判決だ」と語った。

というものだが、同一の発明に基づく海外特許によって得られた利益も対価算出の対象とするというのは、法的にはともかくも、納得性という観点からはリーズナブルな判断だと思う。それよりも、気になったのは発明者の貢献度。実は今日の日経新聞朝刊3面には大きく「発明者貢献度20%と高く認定」と書いてある。朝日の記事と何故に数値が異なるの? 日経新聞には
 東京高裁は発明者の貢献度を「20%」と認定。日立のライセンス交渉での米沢氏の貢献を特に評価したためだ。青色発光ダイオード(LED)訴訟の和解で示された貢献度は5%だった。米沢氏は他社製品が同特許を侵害しているか否かを簡単に判定する装置を考案。日立は他社とのライセンス契約交渉を有利に進めることができたという。

 焦点の特許は社内で最高の戦略特許金賞も受賞。こうした点も考慮し、高裁判決は「他社とのライセンス交渉に自ら参加し日立に利益をもたらしたことは、発明者だからこそなし得る特別な貢献」と認定、20%という高い貢献度を認めた。

とある。この手の話を調べるにはパテントサロンが役に立つ。トピック 職務発明問題には、関連したニュースや判決などへのリンクが整理されている。ところが、残念なことに1審と2審に関係するリンクはほぼ全滅。(日本のニュースサイトは何とかならないのだろうか? 欧米のニュースサイトはかなり古いものでもそのままのURLで残っていてとても便利だ。) ニュースはともかく、判決文へのリンクも切れている。。(裁判所のサイトがリニューアルしたせいだろうか?)

かろうじて残っていたのが、同じパテントサロンの鮫島さんのコラム。これは1審判決の解説記事だが、発明者の貢献度が20%で、発明者のうち米沢さんの貢献度を70%、合わせて14%ということらしい。2審については、Tech-On!の記事が残っていて、やはり発明者全体の貢献度が20%で、米沢さん個人の貢献度を14%としているらしい。

青色LEDの中村さんの貢献度が5%であることと直接比較するのは容易ではないので、20%が妥当かどうかは何とも言えないのだが、問題はその根拠だ。残念ながら高裁判決文がネットには載っていないようなので、先の鮫島さんのコラムに掲載されている鮫島さんの整理メモと日経新聞の記述から読み取ることになるが、何となく違和感が残るのだ。

例えば、他社製品が特許を侵害しているか否かを簡単に判定する装置を考案したことが貢献度に算入されたようだけど、もしも同様の装置を発明者以外の技術者が考案していたら、その人はその貢献度見合いの報酬を得られるだろうか? ライセンス交渉に自らが積極的に参加したことも貢献度に算入されたみたいだが、発明者以外でライセンス交渉に参加した人たちはその貢献度見合いの報酬を得てはいないだろう。

つまり、職務発明における発明者の貢献度を算出する際に、発明以外の部分での貢献を算入するのはどうなのよ? ということだ。それらの仕事は、その発明とは別の通常の職務なのではないか? 発明者がある発明をした後、その発明が実を結び、それによって会社が利益を得るプロセスは、その発明を事業化して利益を生み出すためのたくさんの人たちの多くの仕事や、その発明に法的な効力を持たせるための知財関連の仕事など、多くの人たちの共同作業である。

それらの多く人の日々の仕事とは別に、特許法は元の発明の発明者に対してだけは特別に対価を与えることを認めていると理解していたのだが。。 本当に発明者以外ではなし得なかった仕事だったと言えるのだろうか? 発明者以外が行う同様の仕事と比べて余りにも不公平感が大きすぎないだろうか?

例えば日亜化学の場合だって、中村さん以外の人たちが青色LEDの実現のために色々と貢献しているはずだけど、彼らの多くは通常の給与以外に特別の報酬は得ていないだろうと思う。でも、中村さんの件では発明による利益は100億円以上だから、ほんの0.1%の貢献度でも1千万円以上になるのだが、それはルール上全く認められないのだ。同じ仕事をしたのが発明者か、それ以外の人かで、こんなに大きな報酬の違いが出てしまいかねない。

やっぱり発明の貢献度の算定は、発明そのものの貢献度に限定して計算するべきで、発明者の(発明以外の職務も含めた)貢献度とごっちゃにするべきではないと思う。

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2006/10/13

251回目の献血

来週月火と仕事で韓国に行くことになったため、その前に献血を済ませておこうということで、相模大野の献血ルームにて、9/15以来28日ぶりの献血をしてきた。10月から献血手帳が献血カードに切り替わったということで、受付でいきなり4桁の暗証番号の登録を求められた。

今回は血漿成分献血。最近は毎回左腕外側の血管を使っていたが、前回血管がだいぶ硬くなっているという指摘があったので、今回は看護師さんにお願いして、中央部の血管を使って欲しいとリクエストしてみた。看護師さんの腕が良かったのか、何のトラブルもなく無事に採血と返血を完了した。なお前回の献血時の説明では、感染予防の徹底のために10月からは検査用の血液を献血時の最初の血液から採取するという話だったが、実施は10月後半からの予定ということで、今回は従来どおりの検査方法だった。

おみやげは、定番の歯みがきセットとこしひかりに加え、献血Tシャツ。Tシャツは前々回の献血でもらったものと同じ白しか残っていなかったが、同じものをいただいてきた。紺色の方が先に品切れになるというのはちょっと意外な感じもするが、最初から数が違っていたのかもしれない。そういえば、先月の横浜駅西口ではTシャツはなかったけど、相模大野にはまだ残っているということで、それぞれの献血ルームが独立して在庫を持っているということだろうか?

さて、新しい献血カードだが、ここの説明にある通り、カードに印字されているのは、献血者コード、氏名(カタカナ)、献血回数、血液型、直近3回の献血内容、次回献血可能日、表彰実績だけ。ところが、献血ルームでもらったパンフレットには

磁気カードですので、カード内には名前、生年月日、住所、暗証番号などの個人情報が記録されていますが、解読できないように暗号化しておりますので、献血以外のシステムでは情報を見ることが不可能です。
と書いてある。カード内に生年月日や住所を書き込む理由は何なのだろう? どうせ、献血システムでしか読み取れないのなら、個人情報はセンター側で管理しておくだけで事足りると思うのだが。。

ところで、全然知らなかったが、この献血カードには「愛-Ca(アイカ)」という愛称が付いているらしい。今日の献血ルームにはそんな宣伝は全く掲載されていなかったけど。。 Sankei Webによると、「愛称は3つの候補から買い物客ら約250人の投票で決定」とのこと。まあこんな愛称はどうでもいいんだけど、何故に買い物客の投票で決めたんだろう? 献血ルームなどで献血をした人に選んでもらうとか、献血メールクラブの登録者にメールを送って選んでもらうとかしたらいいのに。。

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2006/10/12

酸素濃度アップで記憶力もアップ?

YOMIURI ONLINE 関西発の記事(10/12)から。高濃度酸素で記憶力アップ…松下電器

予備校生で実験、確認

 松下電器産業は11日、同社の酸素吸入器「酸素エアチャージャー」を使いながら学習すると記憶力が向上することが、大手予備校の代々木ゼミナール、名古屋工業大学との共同実験で確認できたと発表した。効果が持続するなら受験生らに朗報で、同ゼミも「活用方法を検討したい」という。

 エアチャージャーは、空気中の酸素濃度を通常の21%から30%に高める。同ゼミの生徒77人を、この機器を使いながら英単語を20分間学習するグループ(40人)と、使わないグループ(37人)とに分け、学習の前と後に英単語の記憶試験(100語)を行ったところ、正解数の増加が、使ったグループの方が平均で約15%も多かった。

 同社従業員12人(平均46歳)の実験でも記憶量が約17%増加し、酸素吸入時には、記憶をつかさどる脳の前頭葉の活動が活発になっていた。また、高濃度酸素を1時間ずつ21日間吸引させたラットの脳を調べたところ、記憶や学習に関連する遺伝子が26個増えたことも確認できたという。

というもの。同じニュースを扱った NIKKEI NETの記事のタイトルが、酸素で記憶力アップ?と疑問詞付きなのが面白い。どんなテストだったのか興味があるのだが詳細は不明だ。酸素濃度アップで本当に記憶力が向上するなら確かに魅力的だし、脳内の遺伝子に変化が出るということは、短期記憶ではなく、長期記憶に効くのだろうか? 東京新聞の記事によると
 また名古屋工大との共同研究で、高濃度酸素を1日1時間、計21日間吸引させたラットの脳の遺伝子を解析したところ、それまで休止していた、学習や記憶に関連する遺伝子26個の機能が働き始めていた、という。

 名古屋工大大学院の藤墳規明教授(物質工学)は「高濃度酸素を吸引すれば、脳内で学習や記憶に関与する海馬体の神経細胞が活性化すると考えられる」と話している。

とある。 ナショナルが販売している酸素エアチェージャーは酸素富化膜を使用して酸素濃度30%程度の空気を製造する装置。酸素富化空気をを口元に吹きださせるためにヘッドセットを装着して使用するらしい。(参考

こんな邪魔そうなものを装着しても記憶力が向上するなら本当に効果があるのかもしれないが、酸素富化していないヘッドセットを装着して実験しないとプラセボ効果の可能性もあるかも。。(プラセボで記憶力アップするかどうかも興味あるけど) 調べてみると、以前あの発掘!あるある大事典でも簡単な記憶力テストを実施して、高酸素濃度の効果を確認?しているようだ。

随分前、若さにまかせて富士山の深夜登山をしたことがある。9月の初めの雨の中、5合目から山頂まで4時間ぐらいの高速登山という無謀なものだったのだが、山頂近くで雨が吹雪に変わり、散々な目に遭ったことを覚えている。その際、山頂近くで懐中電灯の電池が切れ、予備の電池と交換する作業を行ったのだが、外した懐中電灯の蓋や脱いだ手袋をどこに置いたのかどうしても思い出せず、酸素不足で脳が働かなくなっていることを実感した経験がある。

ということで、酸素濃度が低下すると記憶力が低下しそうなことは予想が付くのだが、果たして酸素濃度を上昇させることでそんなに簡単に記憶力が向上するものなのか? 生物には周囲の環境への優れた適応能力があるから、高地に住んでいる人でも記憶力などには問題なさそうだけど、そういう人が平地に降りると(一時的に)記憶力が良くなるということはありそうだ。いわゆる高地トレーニングと同じイメージだけど、そのうち、予備校などが受験前に高地トレーニング合宿をする、なんてのも考えられるな。。 マラソン選手の高地トレーニングの場合には、短期間でその効果が失われるみたいだけど、記憶力の高地トレーニングの場合はどうなのだろう?

この分野はニーズがありそうだし、今後酸素濃度(分圧)と記憶の関係についての研究が進むことを期待しよう。

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2006/10/09

ココログ33か月

ココログを始めて2年と9か月が経過。1か月当たりのカウンターの伸びは先月とほぼ同等の 19000程度。

 1か月目:900     2か月目:4500    3か月目:11700    4か月目:19000
 5か月目:32300   6か月目:43500   7か月目:54500    8か月目:72000
 9か月目:87700   10か月目:105400  11か月目:125400  12か月目:140600
13か月目:163000  14か月目:179300  15か月目:194700  16か月目:205300
17か月目:216800  18か月目:231700  19か月目:251100  20か月目:276400
21か月目:301200  22か月目:326400  23か月目:351400  24か月目:372400
25か月目:398100  26か月目:419300  27か月目:436100  28か月目:452700
29か月目:474500  30か月目:492100  31か月目:510100  32か月目:529800
33か月目:548600

この1か月のアクセス解析結果は以下の通り。

(1)リンク元
 1位 http://www.google.co.jp 全体の40%(前回1位)
 2位 bookmark 全体の24%(前回2位)
 3位 http://www.google.com 全体の11%(前回4位)
 4位 http://search.yahoo.co.jp 全体の9%(前回3位)
 5位 http://search.goo.ne.jp 全体の3%(前回5位)

先月はYahoo!サーチやYahoo!ブログサーチが健闘していたのだが、今月はまた落ち込んだようだ。

(2)検索キーワード
 1位 酸素水(前回1位)
 2位 効果(前回7位)
 3位 ETBE(前回15位)
 4位 注射針(前回8位)
 5位 失敗学(前回16位)
 6位 エアロソアラ(前回6位)
 7位 スーパーバルブ(前回23位)
 8位 献血(前回18位)
 9位 植物性乳酸菌(前回14位)
10位 乳酸(前回17位)
11位 改造(前回10位)
12位 2006年(前回4位)
13位 コスモプラント(前回24位)
14位 水(前回27位)
15位 酸素(前回22位)

今月の検索キーワードランキングでは、「酸素水」が断トツのトップ。実は先月は夏休みのお約束で天気予報関連の検索が非常に多かったのだが、それでも酸素水がトップだったということで、ここ数か月は酸素水関連がコンスタントにトップに来ているようだ。

Googleで「酸素水」を検索してみると、このブログは確かに1ページ目に来ているけど、販売側のサイトの方が上位に来ている。ということで、うちのサイトに来る人たちは「酸素強化水?を新聞が斬ると」というタイトルに興味を持ったのだろうと思われる。これは、「酸素水」で酸素が補給できるというストーリーに多かれ少なかれ疑問を持って情報を探している方が結構いるということじゃないだろうか? なおその後、酸素水については「健康食品」の安全性・有効性情報に記事が掲載されている。

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2006/10/04

円周率暗誦記録10万桁

MSN毎日インタラクティブのニュース(10/4)から。円周率暗唱:原口さんが10万桁達成 世界記録を更新

 円周率暗唱の世界記録を持つ千葉県茂原市の心理カウンセラー、原口證(あきら)さん(60)が4日未明、暗唱10万桁(けた)を達成し、自らの世界記録を更新した。

 原口さんは3日午前9時、木更津市のホールで暗唱を開始した。円周率の数字配列を日本語に語呂合わせする独特の方法で暗唱を続け、自身が昨年7月に作った8万3431桁の記録を更新。開始から約16時間半後の4日午前1時28分に10万桁を達成し、チャレンジを終えた。昨年の記録に続き、今回の記録もギネスブックに申請する。ギネスブック上の記録は、95年に当時の慶応大生が作った4万2195桁。

 原口さんは宮城県生まれ。日立製作所などに30年以上エンジニアとして勤務し、97年に退社した。記録更新について「10万という数字は昨年の記録の延長線。私は決して天才ではなく、普通のおじさんです」と謙虚に話した。【寺田剛】

ちょっと調べてみると、原口さんの円周率の暗誦世界記録への挑戦は何度も話題になっているようで、Z会はてなダイアリー 記憶の達人(part2)Z会はてなダイアリー 記憶の達人(part3)などでその様子が紹介されている。

10万桁と言われてもどのくらいの分量なのかピンと来ないのだが、1桁1バイトとして10万バイトということは約100キロバイト。原口さんは語呂合わせで覚えるそうなので、1桁を1文字に割り当てたとして10万文字ということは、400字詰め原稿用紙で250枚。新書が大体600文字/ページなので、170ページ相当となり、薄めの新書1冊分。

本1冊分を完璧に暗記するというのもすごいことだが、単なる数字の羅列を覚えられるように語呂合わせする能力もすごそうだ。学習塾の達人によると、原口式数字変換表という暗号表のようなものを使って変換するらしい。ちなみに、実際の円周率10万桁の迫力を実感したい方は、円周率1~100000桁を見て欲しい。

今回の10万桁を暗誦するのに要した時間が休憩時間を含めて16時間28分。これを単純に平均すると、毎秒1.7桁となる。結構なスピードではなかろうか? ちなみに2004年9月の54000桁の時もほぼ毎秒1.7桁なので、今回の10万桁の暗誦はほぼコンスタントなスピードで続けられたものと考えられる。この暗記力や集中力というのが、多くの人間が共通して持つ潜在能力なのか、それともこの人が特別なのか、なかなか興味のあるところだが、本当にすごいものだ。

ちなみに、Wikipediaによると、英語の場合には語呂合わせではなく、単語の文字数で暗誦するらしいので、これでは10万桁を覚えようとすると、10万語を記憶する必要があり、かなり大変となりそうだし、覚えた文章を円周率の数字に変換する作業の負荷が大きくなりそうだ。

なお、昨年の83431桁もギネス申請しているらしいが、現時点では95年の42195桁がギネス記録ということで、特に記録に不備があったということではなく、登録まで時間が掛かっているということだろうか?

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2006/10/02

2006年9月の天気予報傾向

東京地方の過去の天気予報 の9月のデータ整理を昨日終了してサイトのアップデートも無事に完了した。実は、いつもデータ処理に使用しているエクセルのファイルがある日突然開かなくなって非常に焦った。よりによって前日の夜にハードディスクの定期バックアップを行っていたため、開かなくなったファイルがバックアップファイルに上書きされてしまっていた。

仕方ないので、7月にハードディスクの交換のために作成したディスクイメージファイルを探し出し、これから古いファイルを拾い出し、これを基に最新の状況まで復元する羽目になった。まあ、2~3か月分だけで、大部分は自動で処理されるので、さほど手間を掛けずに済んだのだが、今後は、定期的に行っているバックアップのやり方を少し工夫する必要がありそうだ。

さて、今年の9月は気温の変動が大きく、特に9/13には最高気温が20℃を下回る異常事態だったのだが、前日の予報では24℃と全く予想できなかった。また、前日予報から7日前予報の全てにおいて、最高気温、最低気温の両方とも、実績気温-予報気温の平均値がマイナスとなったのが特徴的。おそらく9月の気温が、全体として予想をかなり下回ったということを物語っているのだろう。 と思いきや、気象庁の9月の天候によると、東京地方の気温は平年並みだったとのこと。。

降水確率の的中率グラフも9か月分のデータが蓄積したことで、だいぶ格好がついてきた。ただし、3日前および4日前の予報において、降水確率が高いときの的中率が低いのが目立っている。今後、どのように立て直してくるのか、興味があるところだ。

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