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2007/01/10

NASAも月ではメートル法を使用

PHYSORG.comという科学系のニュースサイトで見つけた記事。Metric Moon

NASA has decided to use metric units for all operations on the lunar surface when it returns to the Moon. The Vision for Space Exploration calls for returning astronauts to the Moon by 2020 and eventually setting up a manned lunar outpost.

The decision is a victory not only for the metric system itself, which by this decision increases its land area in the solar system by 27%, but also for the spirit of international cooperation in exploring the Moon. The decision arose from a series of meetings that brought together representatives from NASA and 13 other space agencies to discuss ways to cooperate and coordinate their lunar exploration programs. Standardizing on the metric system was an obvious step in the right direction.

NASAは2020年までに再び人類を月面に到達させる計画だが、この際に月面での全ての操作についてメートル法単位系を採用することを決定したとのこと。これで太陽系においてメートル単位系を使用している面積が27%増大したとのこと。記事の冒頭に掲載されている地図には月も一緒に載っていて、確かに見た目では、月の表面積は地球上のメートル単位系地域の総面積の27%程度にすぎないようだ。思ったより月って小さいもんだ。。
If you think in pounds and miles instead of kilograms and kilometers, you're in the minority. Only the United States, Liberia, and Burma still primarily use English units -- the rest of the world is metric. And now the Moon will be metric too.
現在いわゆるヤード・ポンド単位系を使用しているのは、アメリカ合衆国、リベリア、ミャンマー(ビルマとしているのは意図的?)だけらしい。ちなみに、温度単位については、状況はもっと複雑のようで華氏は、アメリカとジャマイカが公式に採用している他、カナダやイギリスでも一部で日常的に使用されているようだ。

個人的には以前アメリカのメーカーと共同プロジェクトに関わったことがあるのだが、単位系の違いは本当に面倒くさい。特に圧力や密度などのような組立単位となると換算表を用意しておかないと咄嗟にはついて行けない場面が多かった。でも、こういう複雑なものはいちいち確認する必要があるだけましで、長さや重さのような単純な単位の場合、なまじ両者が気を使って相手の単位系に合わせたりするので、逆に勘違いが起こりやすいかもしれない。

実際に単位系の間違いによるトラブルは過去に色々と起きていて、カナダで旅客機への燃料搭載量を間違えた事故は有名だ。一方、NASAは単位系の間違いにより、何と火星探査機を1機失うという失態を演じている。

Although NASA has ostensibly used the metric system since about 1990, English units linger on in much of the U.S. aerospace industry. In practice, this has meant that many missions continue to use English units, and some missions end up using both English and metric units. The confusion that can arise from using mixed units was highlighted by the loss of the Mars Climate Orbiter robotic probe in 1999, which occurred because a contractor provided thruster firing data in English units while NASA was using metric.
従来はメートル法とヤード・ポンド法が混在していたようで、マーズ・クライメート・オービターが1999年に炎上した事故の原因は、データのやり取りをする両者で使用している単位系が異なっていたこととされている。まあ、今回NASAがメートル法に統一するといっても、あくまでも月面探査のプロジェクトだけに限定されているようだし、NASAから発注を受けるアメリカの各社は依然としてヤード・ポンド法を基本としているわけだから、この手のトラブルが無くなるかどうかはわからない。

とりあえず、月面で各国が協力して活動する際には、様々な道具などの規格を統一することはできそうなので、これはこれで一歩前進なのかもしれない。ただ、中途半端に規格を変えることで、思わぬところでトラブルが出たりしないといいのだけど。。 本当はアメリカもさっさとSI単位系に統一するのが一番だと思うけど、あの国は自分がどれだけ孤立しても全然意に介さないようだしなぁ。。

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コメント

こんな馬鹿馬鹿しい決定がなされないと混乱が生じるなんて知らなかった!
びっくりしました。

投稿: Malagenyo | 2007/01/11 16:12

もしかすると、NASAにとっては決して「馬鹿馬鹿しい」ことではなく、画期的なことなのかもしれません。。。

投稿: tf2 | 2007/01/11 19:53

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