地球上で最も軽い固体・エアロジェル
久々に、FujiSankei Business i(1/30)で見つけた興味深い新商品。「AERO GEL(エアロジェル) 400/500/500 ツアー」
プロ使用モデルのテニスラケットで、ナノテク素材「エアロジェル」を採用。1立方センチメートル当たりの質量が3ミリグラムと非常に軽量ながら、自重の4000倍の重さを支える強度を持つ。大きさ、重さ別に3モデルを用意。カバー付き。価格は各3万4650円。2月22日発売。というもの。ゴルフクラブやテニスラケットなどのスポーツ用品には、フラーレンやカーボンナノファイバーなどの最先端のハイテク素材が使用されることが多いので、結構楽しいのだが、今回のものは「エアロジェル」。どうやら密度がわずか0.003g/cm3ということらしい。
ダンロップのサイトの aerogel(エアロジェル)というページによると、
エアロジェルは、最近のNASAミッションでも使用され、一躍脚光を浴びているナノテク素材です。ということで、このエアロジェルはギネスブックに最低密度の固体として登録されている、地球上で最も軽い固体とのこと。うーむ、エアロゲルというのは聞いたことがあるが、これをエアロジェルと呼ぶと商品名ということになるのかな。。 Wikipediaによると、ギネスブックで最良の断熱物質、最小密度の物質など15項目の記録を持つのは、シリカエアロゲルらしい。ちなみに、商標検索をしてみると、「エアロゲル」、「エアロジェル」共に興和株式会社が権利を持っているようだ。(ただし分類は薬剤等)
一見、青いホログラムのように見えるエアロジェルの物質的な特徴は、
●空気の3倍の質量しかなく、地球上で最も軽い固体。
●「最低密度の固体」などの記録を含む、15部門でギネスブックに登録。
●構造は3次元のナノメートル単位の分子からなる網状構造。
●1cm3あたり3mgの質量で、自重の4,000倍もの重さを支えることが可能。このエアロジェルの質量比に対する比類なき強度が、これまでにないハイパフォーマンスフレームの実現に大きく貢献しました。
エアロジェルで調べてみると、確かに、日本惑星協会のページやSTSJのページによると、NASAの探査機スターダストの彗星のチリを捕集するための材料や断熱材として使用された素材であり、ここの写真では実際にチリの捕集に成功した様子が見られる。
また、高エネ研のページには、チェレンコフ光検出器への応用の話が載っており、エアロジェルは、結構実用化されている素材ということがわかる。
ちなみに、NASAのAerogelについての資料は、このページなどが詳しい。ちなみに、ギネスブックに掲載されているエアロゲルの密度が0.0019g/cm3とのことだが、常温常圧での空気の密度が約0.0012g/cm3なので、空気に対する比重では1.5程度、何と炭酸ガス(CO2)並みの密度ということになる! 確かにすごいな。。 キャッチフレーズには「地球上で最も軽い固体」とあるが、地球外にはもっと軽い物質があるのだろうか??
逆に、最も密度の大きな物質は何だろう? 軽い方と異なり、重い方は超高圧にすればいろいろと出てきそうだが、元素単体としては、イリジウム(Ir)かオスミウム(Os)が 22.6g/cm3程度で最も重いようだ。(ちなみに白金は 21.5g/cm3) なお、人工元素であれば、この世で最も重い原子を求めてなんて話も出てくるが、ここで言う「重い」というのは密度ではなく質量数が大きいということだろう。
| 固定リンク
コメント