化学楽器、pHテルミン?
Google.Newsで見つけた DTM MAGAZINEのニュース。化学×楽器=泡音リズム&pHテルミン
ソニックヘッドのプロデューサーで北陸先端科学技術大学院大学 科学技術戦略センター研究員の宮下芳明博士は、化学に基づいて設計された「化学楽器」を開発した。従来の楽器は物理学に基づいて設計されたものがほとんどだった。今回発表になったのは、化学振動現象を応用し、泡の音で一定のリズムを刻む「泡音リズム [awa-odo-rhythm]」と、溶液中の水素イオン指数(pH)を音高に変換して演奏する「pHテルミン」の2種。この記事で紹介されている化学楽器にこの楽器の説明に加えて、実際に行われた演奏会の映像と音が掲載されている。ここの説明によるとpHテルミンとは
テルミンとは、手とアンテナの物理的な距離を音高に変換する楽器であるといえますが、これと同様に、「溶液の水素イオン指数(pH)を音高に変換する楽器」としてpHテルミンを開発しました。とあり、どうやら様々なpHを示す水溶液中にpH電極を放り込み、測定したpHの値(実際にはpH複合電極の示す電位)に応じた音程が出るようにした電子楽器というところのようだ。実演を見る限り、色々なpHの水溶液を入れた試験管を用意しておき、演奏者がそれらの試験管にpH電極を出し入れすることで演奏するようだ。
この演奏を聞く限りでは、楽器としての完成度はまだまだという感じだし、こいつの場合、結局音はシンセサイザーで出していて、その信号の入力に溶液のpH(というか、pH電極の出力電位)を利用しているということで、化学楽器といっていいのかどうか微妙な感じもしないではない。でも、音の出る化学反応ってのは、ここにも出てくる発泡現象ぐらいしかなさそうだしなあ。
そもそも、テルミンとは、ロシアのテルミンさんが発明した楽器のことであり、今回の楽器を pHテルミンと呼ぶこと自体がどうなの? という気もする。。 とは言え、化学反応を音に変えてみようという発想自体は面白いと思う。
でもこの楽器の場合、音階に相当するpHの溶液をあらかじめ用意しておいて、これにpH電極を出し入れするという方式なので、演奏と共に溶液が徐々に混ざることで音程が狂ってきそうだし、やっぱり何かもう一工夫必要だろう。 例えば、小さな流通型の反応容器に定量ポンプで酸とアルカリをそれぞれ供給できるようにしておき、キーボードからの入力に対してそれぞれのポンプを制御して反応用器のpHを変化させるなんてのはどうだろう? 攪拌の強度やポンプの流量なんかを細かく調整すれば、結構いろいろなチューニングもできそうだし、特色のある楽器になるかもしれない。。
ところで、ニセ科学批判でご活躍の菊池先生の専門は物理学だが、テルミンの演奏でも有名のようだ。将来それなりの化学楽器ができたなら、化学楽器の演奏を趣味とする化学の先生が菊池先生のテルミンとセッションをしたりする、ニセ科学批判ツアーなんかがあったら面白いかも。。
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