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2007/03/23

DNA入り塗料による自動車の特定

日本経済新聞の3/23朝刊、テクノロジー面で興味ある記事を発見。WEB版には掲載されていないようだ。

塗料にDNA 車を特定、 ひき逃げ犯逃さず

 名古屋市立大学の樋口恒彦教授は日産自動車、バイオ関連ベンチャーのオペロンバイオテクノロジー(東京・板橋)と共同でDNA(デオキシリボ核酸)を自動車の塗料に混ぜて、ひき逃げ犯の探索に役立てる基礎技術を開発した。塗料に混ぜるDNAは自動車ごとに個別に合成、目印にする。五年後の実用化を目指す。

 ひき逃げは被害者が死亡した場合には検挙率九割を超えるが、軽症などを含めると三割に満たないのが現状。捜査は一般に遺留の塗膜片の組成から色や車種を絞り込むが情報が限られている。新技術で自動車をすぐに特定できるようになれば、飛躍的に検挙率が高まることが期待される。

 DNAは塩基と呼ばれる物質で構成されており、百塩基程度の長さなら自在に人工的に作ることが可能。組み合わせは二十塩基で六百億通り以上あり、自動車一つ一つに個別のDNAを割り当てることができる。

 人工的にDNAを合成するコストは五十塩基で約一千円。量産効果でさらにコスト削減を見込める。

 樋口教授らは、自動車の塗料に人工合成したDNAを付着させた酸化チタンの粒子を混ぜ、塗布した。DNAを復元しやすいように処理工程を工夫したところ、塩基配列を読むことができた。

 今後は耐久性を確認する。自動車は夏には表面温度がセ氏百度近くにもなる。セ氏百度の環境に五週間放置する実験をしたところ、DNAの量は百分の一になっていた。また光によって分解される可能性もある。保護材などでDNAの長期化を目指す。

というもの。どうやら、自動車1台1台の塗料に、固有の塩基配列を持った人工DNAを含有させることで、事故現場などの塗膜片から自動車をピンポイントで特定しようということらしい。確かに、車検証のデータとか、自動車販売会社側のデータベースに、塗料のDNAと使用者との関係を記録しておけば、そういうことも可能だろう。果たして実用的かどうかは疑問もあるが、試みとしては面白いと思う。

探してみると、昨年の薬学会の講演要旨のキャッシュが残っていたが、名古屋市立大学の樋口研究室では、日産自動車には関連情報は見つからなかった。

ちなみに、この講演要旨には15塩基で約10億通り(4の15乗は約10億)とあるが、新聞記事は20塩基で600億通り以上とある。 4の20乗は約1兆になるのだが、一体どういう計算なんだろう? もっとも、通常のDNA鑑定では、ここの説明のように、決して塩基配列を完全解読するわけではなく、塩基配列の特徴的な繰り返しパターンを識別に利用しているわけで、読取精度を考えて特徴的なパターンを導入するとなると、20塩基でも数百億通りになるのかもしれない。。

ちなみに、今や、数十塩基対程度のDNAのオーダーメイドによる人工合成は比較的容易にできるようで、この記事に出てくるオペロンバイオテクノロジーも、DNAの人工合成などを受託する会社のようだ。

DNAの耐久性向上が今後の課題のようだけど、DNAというと生体成分ということで、簡単に分解したりしそうな気もするけど、最近は仮想された骨からDNA鑑定したとか、化石からDNAを取り出して解析したりなんてこともするくらいだから、結構タフな化合物と言えそうだ。それでも、現実の自動車環境は熱やら風雨やらで、 100℃で5週間なんて耐久性テストより、相当にハードなのではなかろうか?

まあ理論的には、この方法によって全ての自動車の塗料に固有の識別記号を付与できるのだろうけど、実用的にはどうなのだろう? 自動車生産の現場を見たことがないけど、恐らく、ボディ、ドア、ボンネット、フェンダー、バンパーなどの構成パーツは、組み付ける前にそれぞれ別々に塗装されているような気がする。 となると、それぞれの部品をきちんと対応させて管理する必要があるわけだが、それに加えて 1台分ずつ塗料に混ぜるDNAを切り替えなくてはならず、その際に塗装装置をいちいち洗浄する手間も必要だし、このためのコストや時間は相当なものになりそうだ。。

しかも、このシステムが有効に機能するためには、世の中の多数を占める車がこの塗料で塗装されている必要があるだろうから、やっぱり非現実的だと思うなあ。。 でも、日産自動車が絡んでいるということは、塗装管理やそのコストについては何かうまい解決方法があるのかもしれない。 

実は、以前自分の車を派手に当て逃げされた経験があるのだけど、相手の車の塗膜片や部品片が派手に散らばっていたにも関わらず、人身事故じゃないせいか、警察は通り一遍の対応しかしてくれなかった。もしもこの手の技術で簡単に車が特定できるなら、警察も捜査してくれそうだし、歓迎ではあるのだけど。。

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