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2007/03/30

255回目の献血

今日は午前中に、中西準子さんの裁判の判決を傍聴しに横浜地方裁判所まで行き、そのついでに献血をしてきた。判決の方は環境ホルモン濫訴事件:中西応援団にあるように、原告の請求棄却という順当なもの。(反訴も棄却、費用は折半というのは、ちょっと意外に思えたが、弘中弁護士の解説によると、これも妥当なもので、想定の範囲内ということらしい。)

献血の方は前回3/9以来、21日ぶり。横浜駅西口ルームにて血小板成分献血。前回からのインターバルが少し短いけど、この前の健康診断の結果は極めて良好だったし、まあ問題ないだろうという判断(赤十字のルールでは14日後には献血可能)。そういえば、3/9に献血して3/19に健康診断を受けたことで、期せずして献血10日後の血液検査結果を見ることができたわけだが、特に目立つ変化は見られなかった。(赤十字のQ&Aには、成分献血の場合には約1週間で元に戻るという説明がある。)

受け付けの際にいつも狭い欄に記入するのが面倒だった海外旅行については、受付の担当者がこちらに質問する形で記入してくれた。さすがにあの狭い欄には書き込めないので、最初から欄外に記入しているじゃないの。。 本来は用紙のフォーマットを変えるべきだろうが、プリンタで印刷する関係上、プログラムの変更も同時に必要になるという点がハードルとなっているような気がする。。

今回は、血液検査前から血小板成分献血に決めていたようで、ここでの採血は1本分だけだった。よく見ていなかったが、どうやら今まで見たことがない方法(真空試験管と針がチューブで直結しているような採血セット?)での採血だった。血小板成分献血にするか血漿成分献血にするかは、その日の分析結果を待たずに、過去の分析結果から判断しているらしい。

今回も、右腕で検査、左腕から献血。特にトラブルも無く、順調に終了。おみやげは、お米、歯みがきセット、折りたたみ傘からの三択。今回は、歯みがきセット(ゼファーマの薬用デンタルファミリーセット)にした。

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2007/03/29

「生命のセントラルドグマ」

久々にブルーバックス。書店店頭では、緑色の帯に大きく「ノーベル賞W受賞」と書かれている。確かに昨年2006年のノーベル生理学・医学賞は「RNA干渉の発見」、ノーベル化学賞は「真核生物における転写の研究」に与えられており、共にRNAやセントラルドグマに関連する研究である。また、このブログでは2005年に理研のRNA新大陸の発見という話題を取り上げている。

しかし、さすがに分子生物学の最先端領域での研究成果ということで、なかなか内容の理解まで至らないのが実情だった。この本は裏表紙にも、『「遺伝子からタンパク質が作られる」という中心教義の深奥にせまる!』、「多彩なしくみでなりたつセントラルドグマの世界を、RNAを中心にわかりやすく解説する。」とあり、パラパラっと中を見たら、図は多いものの、かなり難しそうに見えたのだけど、進歩の速いこの分野の先端領域を垣間見るのを楽しみに読んでみた。

ブルーバックス B-1544
 生命のセントラルドグマ RNAがおりなす分子生物学の中心教義
 武村 政春 著 bk1amazon

読み始めは、いきなりRNAポリメラーゼの構造の話などが出てきて、先行きが不安になったのだが、読み進めるにつれてどんどん面白くなり、後半はワクワク感を味わいながら、楽しく読み終えることができた。このレベルの内容をこのように伝えられる著者の力量は相当なものではなかろうか? 

確かに内容は高度で難解だから、一度読んだだけでは到底全貌を理解したとは言えないし、所詮ブルーバックスレベルだから、最先端の片鱗を垣間見たという程度だとは思う。それでも、従来の「DNAからRNAに遺伝情報を転写して、これを元にタンパク質が作られる」という程度の大まかな理解とは一味違う、セントラルドグマの精緻で複雑な世界の存在やその仕組みの一部を知ることができただけでも大満足である。

DNAは遺伝暗号というある意味で静的な書物のようなものであり、解読作業が重要となる。それに対し、RNAはその遺伝暗号から必要なタンパク質の合成を行うまでの様々な仕事をこなすダイナミックなものであるため、その一つ一つの働きのメカニズムの解明が重要であり、その応用範囲は果てしなく広がっているようだ。どちらが重要ということではないが、RNAについては、まだまだ未知の部分が多いのと、実に複雑な仕組みをたくさん持っていることが研究者を惹き付けるのだろう、という気がする。

例えば、DNAからm-RNAに遺伝情報を転写するという作業に関しても、どうやって遺伝情報を見つけ、しかもその中から不要な(?)イントロン部分を取り除き、エクソン部分だけを取り出すスプライシング作業を行うのか? あるいは、リボゾームにて、m-RNAとt-RNAからどうやってタンパク質が作られていくのか? こんなことは今まであまり考えてみたことがなかったが、本書では、この辺のメカニズムがかなり丁寧に、しかも非常にわかりやすく説明されている。

この辺のメカニズムは、大雑把に捉えていると、何となくそんなものか、という印象を持ってしまうけど、こうして細かな仕組みを一つずつ追いかけていくと、あらためて生命は何て複雑で精密にできているのだろう! という驚きが湧き出てくる。

最終的には、ノーベル賞を受賞したRNA干渉や、理研のRNA新大陸の話の周辺、例えば二本鎖RNAだとか、RNAキャッシュなどにも話は及ぶ。ただ、時期的にちょっとタイミングが合わなかった点があったのか、あるいはさすがに最先端すぎてわかりやすく説明するのが難しかったのか、(多分こちらの理解が及ばなかったというのが正しいのだろうけど)、説明も他の部分と比べるとわかりにくかった。いずれにしても進歩の速い分野なので、著者には是非とも数年後にでも続編を期待したい。

うーむ。。 とても面白かったし勉強にもなったのだけど、日常生活ではなかなかこのレベルの知識は使うこともないし、多分少し経つと忘れちゃいそうだ。一度読んだだけでは、十分に理解しきれていない点もあることだし、少し時間を置いてから、もう一度じっくりと読み返してみたい本だ。

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2007/03/28

ITO代替:酸化チタン系透明導電膜

化学工業日報(The Chemical Daily)のニュース(3/28)から。KAST-旭硝子、スパッタ法で酸化チタン透明導電膜

 神奈川科学技術アカデミー(KAST)は、旭硝子と共同で、大面積薄膜が可能となるスパッタ法を用いて、ガラス上に二酸化チタンをベースとする透明導電膜を作製することに成功した。透明導電体には、主原料インジウムが使われるが、価格が高騰している。これに代わり安価な二酸化チタンを用いた新しい透明導電体材料となり得るもので、高い実用性が見込まれる。研究グループでは、増え続けている液晶パネルや発光デバイスなどへの需要に対応した応用開発ができる。
透明導電体というとやはりITO(スズ添加酸化インジウム)が有名だが、最近はインジウムの資源枯渇が問題となっていることも時々話題に上る。ということで、ITO代替材料の開発がいろいろと行われている。さて、今回の酸化チタン透明導電体だが、たまたまだろうけど、これを開発したKASTの理事長が酸化チタンの光触媒で有名な藤島さんであるのが興味深い。

KASTのプレスリリースを見てみると、この件に関して知りたいと思ったことの多くが載っていて、非常によくできているリリースだ。技術的には、

大面積薄膜を作製することが可能なスパッタ法をもちいて、ガラス上に二酸化チタン系透明導電膜を作製する手法を開発しました。ガラス上にアモルファスのNbドープ二酸化チタンを成膜し、その後、還元雰囲気で400℃以上でアニールすることにより、低抵抗化することができます。Nbドープ量を6%として成膜した薄膜は8×10-4 Ωcmの抵抗値を示し、応用が視野に入ってきました。
ということで、アモルファス型の酸化チタン膜をスパッタ法で作製したこと、ニオブを添加していること、抵抗率はほぼ実用範囲に入っているということがわかる。また、このページからリンクされている添付資料を見ると、実際の透明導電膜の写真も掲載されており、予想以上に透明度が高く完成度が高そうな印象である。

インジウムの資源問題については、2011年にも枯渇が予想されるとのことだが、ウィキペディアによると、かつて世界最大の鉱山だった札幌の豊羽鉱山が1年前に閉山したとのこと。全く知らなかった。

学会誌「セラミックス」の2007年1月号が透明導電性酸化物薄膜の特集なので、見てみると、最近目にする「元素戦略」との絡み、インジウムの国別の埋蔵量や生産量、インジウムのリサイクル、各種ITO代替材料などの話が載っている。

この特集の中でも、Nb添加酸化チタン系の話が掲載されているが、もともと二酸化チタンとしてはアナターゼ型のものが抵抗率が低く好ましく、今回作製した薄膜も、スパッタ後はアモルファスだが、その後のアニールでアナターゼ型にしているようだ。

透明導電膜は、こちらに原理などが書かれているように、ワイドギャップ半導体と呼ばれる材料が使用され、これはバンドギャップによる吸収を紫外域に持ち、かつ金属光沢を持たない程度に電子密度が低いことにより、可視光の高い透過率を実現している。実用化されているITOの抵抗率が1.5~2.0×10-4Ωcmとのこと。今回の酸化チタンはその4~6倍程度の抵抗率なので、あと一歩というところだろうか?

その他のITO代替材料としては、酸化亜鉛系のAZO(アルミニウム添加酸化亜鉛)やGZO(ガリウム添加酸化亜鉛)や、酸化スズ系のFTO(フッ素添加酸化スズ)などが有望な素材のようだ。

なお、最近大量に使われ始めている青色LEDで使用されている窒化ガリウムや、緑色LEDで使用されているGaAlP/GaAs系などでも、少量のインジウムを添加しているようなので、インジウムの資源枯渇の話はLEDにも重要な話のようだ。

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2007/03/27

砂糖電池:砂糖を燃料とした燃料電池

ITmedia Newsの記事(3/27)から。米大学、砂糖電池を開発

携帯電話やiPodのエネルギー源をコーラで補給する日が来るかも知れない。

 米セントルイス大学のシェリー・ミンティア教授らが、砂糖をエネルギー源とする燃料電池を開発した。炭酸飲料から樹液まで、糖分が含まれた液体であれば何でも利用でき、1度の補給でリチウムイオン電池の3倍から4倍持続するという。研究成果は3月25日、米国化学会(ACS)第233回全米会議で発表された。

 ミンティア教授はプロトタイプとして切手サイズの電池を用い、電卓を動かす実験に成功した。今後の実験で性能向上が認められれば、3年から5年で実用化できるとミンティア教授は言う。

 これまでの実験で、同教授は電池のエネルギー源としてブドウ糖、気の抜けた炭酸飲料、粉末飲料を水に溶いたもの、樹液を使用、成功している。最も補給能力が高かったのは普通の砂糖を水に溶いたものだった。

砂糖を原料とする燃料電池で、この記事では砂糖電池と呼んでいる。そういえば、以前ビタミンC(アスコルビン酸)を原料とした燃料電池について書いたが、その時にグルコース(ブドウ糖)を燃料とする燃料電池のことにも触れた。今回の研究は、糖分が含まれていれば何でも良いということなので、どうやらこれと同じカテゴリーの電池のようだ。

この記事にあるように、この燃料電池は糖を二酸化炭素まで酸化することで得られるエネルギーを電気として取り出すわけだが、糖を効率よく酸化するための構造として、金属触媒を使用した糖-空気燃料電池と、グルコース酸化酵素を使用したバイオ糖-空気燃料電池の2種類があるようだ。

調べてみると、松下電器は糖の酸化に太陽エネルギーの力を借りた砂糖電池の開発を行っていて、モノづくりスピリッツ発見マガジンで開発者への取材レポートが読める。

一方、今回のITmediaの記事の元となった、セントルイス大学のNewsはこちら。このNewsには

A few other researchers also have developed fuel cell batteries that run on sugar, but Minteer claims that her version is the longest-lasting and most powerful of its type to date. (中略)

Like other fuel cells, the sugar battery contains enzymes that convert fuel - in this case, sugar - into electricity, leaving behind water as a main byproduct. But unlike other fuel cells, all of the materials used to build the sugar battery are biodegradable.

とあり、今回の砂糖電池は従来のものよりも効率が良く、長寿命とのこと。酵素を含むバイオタイプの燃料電池のようだが、他の燃料電池と異なり、使われている全ての材料が生分解性である、とあるけどどうなのだろう? そんな必要があるのだろうか? 電極はどうなんだなんていう突っ込みは別としても、そもそも燃料が砂糖水で、電池全体が生分解性だとすると、何か本当に使用しているうちにバクテリアで分解されて、跡形もなくなってしまいそうな気がしてくる。。

確かに燃料電池は、携帯電話やノートパソコン用などの電源として期待できると思うし、燃料としてはメタノール水溶液などよりも、さらに砂糖水系の方が好ましいのは確かだろう。使用中に、砂糖水を補給するとか、砂糖水入りのカートリッジを取り替えるといった方法が可能になると、相当に便利だろうから大いに期待したいところが、果たして本当に実用化は近いのだろうか?

もっとも、この研究のスポンサーは米国防総省とのことで、軍事用ポータブル機器への応用が目的の1つとなっているようだ。要するに、電源のない戦地でも、樹液などの燃料が比較的容易に入手できるというところが魅力らしい。

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2007/03/23

DNA入り塗料による自動車の特定

日本経済新聞の3/23朝刊、テクノロジー面で興味ある記事を発見。WEB版には掲載されていないようだ。

塗料にDNA 車を特定、 ひき逃げ犯逃さず

 名古屋市立大学の樋口恒彦教授は日産自動車、バイオ関連ベンチャーのオペロンバイオテクノロジー(東京・板橋)と共同でDNA(デオキシリボ核酸)を自動車の塗料に混ぜて、ひき逃げ犯の探索に役立てる基礎技術を開発した。塗料に混ぜるDNAは自動車ごとに個別に合成、目印にする。五年後の実用化を目指す。

 ひき逃げは被害者が死亡した場合には検挙率九割を超えるが、軽症などを含めると三割に満たないのが現状。捜査は一般に遺留の塗膜片の組成から色や車種を絞り込むが情報が限られている。新技術で自動車をすぐに特定できるようになれば、飛躍的に検挙率が高まることが期待される。

 DNAは塩基と呼ばれる物質で構成されており、百塩基程度の長さなら自在に人工的に作ることが可能。組み合わせは二十塩基で六百億通り以上あり、自動車一つ一つに個別のDNAを割り当てることができる。

 人工的にDNAを合成するコストは五十塩基で約一千円。量産効果でさらにコスト削減を見込める。

 樋口教授らは、自動車の塗料に人工合成したDNAを付着させた酸化チタンの粒子を混ぜ、塗布した。DNAを復元しやすいように処理工程を工夫したところ、塩基配列を読むことができた。

 今後は耐久性を確認する。自動車は夏には表面温度がセ氏百度近くにもなる。セ氏百度の環境に五週間放置する実験をしたところ、DNAの量は百分の一になっていた。また光によって分解される可能性もある。保護材などでDNAの長期化を目指す。

というもの。どうやら、自動車1台1台の塗料に、固有の塩基配列を持った人工DNAを含有させることで、事故現場などの塗膜片から自動車をピンポイントで特定しようということらしい。確かに、車検証のデータとか、自動車販売会社側のデータベースに、塗料のDNAと使用者との関係を記録しておけば、そういうことも可能だろう。果たして実用的かどうかは疑問もあるが、試みとしては面白いと思う。

探してみると、昨年の薬学会の講演要旨のキャッシュが残っていたが、名古屋市立大学の樋口研究室では、日産自動車には関連情報は見つからなかった。

ちなみに、この講演要旨には15塩基で約10億通り(4の15乗は約10億)とあるが、新聞記事は20塩基で600億通り以上とある。 4の20乗は約1兆になるのだが、一体どういう計算なんだろう? もっとも、通常のDNA鑑定では、ここの説明のように、決して塩基配列を完全解読するわけではなく、塩基配列の特徴的な繰り返しパターンを識別に利用しているわけで、読取精度を考えて特徴的なパターンを導入するとなると、20塩基でも数百億通りになるのかもしれない。。

ちなみに、今や、数十塩基対程度のDNAのオーダーメイドによる人工合成は比較的容易にできるようで、この記事に出てくるオペロンバイオテクノロジーも、DNAの人工合成などを受託する会社のようだ。

DNAの耐久性向上が今後の課題のようだけど、DNAというと生体成分ということで、簡単に分解したりしそうな気もするけど、最近は仮想された骨からDNA鑑定したとか、化石からDNAを取り出して解析したりなんてこともするくらいだから、結構タフな化合物と言えそうだ。それでも、現実の自動車環境は熱やら風雨やらで、 100℃で5週間なんて耐久性テストより、相当にハードなのではなかろうか?

まあ理論的には、この方法によって全ての自動車の塗料に固有の識別記号を付与できるのだろうけど、実用的にはどうなのだろう? 自動車生産の現場を見たことがないけど、恐らく、ボディ、ドア、ボンネット、フェンダー、バンパーなどの構成パーツは、組み付ける前にそれぞれ別々に塗装されているような気がする。 となると、それぞれの部品をきちんと対応させて管理する必要があるわけだが、それに加えて 1台分ずつ塗料に混ぜるDNAを切り替えなくてはならず、その際に塗装装置をいちいち洗浄する手間も必要だし、このためのコストや時間は相当なものになりそうだ。。

しかも、このシステムが有効に機能するためには、世の中の多数を占める車がこの塗料で塗装されている必要があるだろうから、やっぱり非現実的だと思うなあ。。 でも、日産自動車が絡んでいるということは、塗装管理やそのコストについては何かうまい解決方法があるのかもしれない。 

実は、以前自分の車を派手に当て逃げされた経験があるのだけど、相手の車の塗膜片や部品片が派手に散らばっていたにも関わらず、人身事故じゃないせいか、警察は通り一遍の対応しかしてくれなかった。もしもこの手の技術で簡単に車が特定できるなら、警察も捜査してくれそうだし、歓迎ではあるのだけど。。

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2007/03/19

健康診断を受けてきた

きょうは朝から健康診断を受けてきた。会社をやめて以来、今年こそは受診しようと思いながら、ずるずると先延ばしにしていたのだが、何とか受診することができた。

会社員時代は、毎年健康診断の受診が義務化され、40歳以降は胃のX線撮影、大腸がん検査や眼底検査などを含むフルセットで受けていた他、特定化学物質を扱っている職場にいた関係でそれとは別の健康診断もあり、しかも節目の年齢に到達すると人間ドックを受診するという制度もあった。(参考:従業員の健康診断

今は個人事業主という立場だが、健康診断は義務ではないので、自由意志で受けることになる。基本的には、自治体が行っている健康診査を受けることになる。横浜市の場合、基本健康診査は1,200円だが、診査項目は、身長・体重測定、尿検査、問診、血圧測定、血液検査、および心電図だけ。

市が定期的に開催している健診会場では、胸部X線撮影、胃のX線撮影、大腸がん検査などは受けられないので、これらの検査は別に申し込んで受診する必要がある。それは面倒なので、多少金額は高くなるのだが、今回はこれらの健診を全部やってくれる医療機関を探し、まとめて受診することにした。結局、事前に予約しておいて、朝から受けて約1.5時間で終了。結果は、数日後に郵送されてくる予定。

結局、基本健康診査に、胃がん、肺がん、大腸がん、前立腺がんの検査を追加して、全部で 9,240円と結構大きな出費となった。これだけの出費となると、毎年受けるのはちょっと躊躇したくなるが、年々歳を取るわけだから、本当は若い時よりもきちんと検査することが望ましいに決まっている。そう考えると、若い時期に会社員として毎年2回も健康診断を受けておいて、歳を取ってからは、たまにしか受診しないというのは、何とも皮肉な話である。

これだけお金がかかるなら、来年からは横浜市国民健康保険 一日人間ドックを13,000円で受けた方がコストパフォーマンスは良さそうだ。それにしても、こういう検査を受ける場合、過去の検査結果は各自が自分で管理することになるわけで、その点でも会社などでの定期健診とは大きな違いがあることになる。

ちなみに、世の中の受診率がどの程度かというと、こちらの資料によると、地域の受診率は案の定 30%程度とかなり低い。一方、こちらの資料によると主婦の受診率は意外と高いようだ。

さらに、健康診断に関しては、個人事業主の場合には健康診断費用が経費として認められないという問題もある。年間 1,000円程度ならばともかくも、各種がん検査を含めて専従者ともども受けた場合には結構な金額になるわけだし。。 会社だったら費用として認められるのに、個人ではそれが費用として認められないというのはどうなんだろう?

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2007/03/16

「なぜ人は宝くじを買うのだろう」

化学同人から「知のナビゲータ」というキャッチフレーズで新たに刊行された DOJIN SENSHO の第1弾。 化学同人の本には今までいろいろとお世話になってきたし、それなりに信用できると思われたので、実物を見ずに bk1で購入。

DOJIN SENSHO
 なぜ人は宝くじを買うのだろう 確率にひそむロマン
 岸野 正剛 著 bk1amazon

本書は実に1700円(税抜き)もする高価な本である。しかも、化学同人という理系専門の出版社が、満を持して(?)出版開始したシリーズの第1弾、3番バッターである。ところが、何とも期待はずれ、久々に「金返せ~!」と言いたい内容。

本書では、宝くじ、競馬、賭博、甲子園出場、株などを確率という切り口で考えてみるという中々楽しそうなテーマである。他にも、確率の誕生にまつわるパスカルとサイコロ賭博師メレとのエピソードや、神は存在するかをパスカルが確率的に考察した話など、興味深い話題を扱っているのだが、いかんせんその内容に深みがないし、中途半端なのだ。

そもそも、タイトルにもある宝くじの話では、宝くじの期待値を計算して終わり(!)で、なぜ人は宝くじを買うのかという問いの答えらしきものはどこにも書かれていない。。 競馬の話でも単純な仮定の下での単勝・複勝・連勝複式などが当たる確率を計算しただけだし。。 この辺の話題に関しては、その深みという点で「ツキの法則」で行われている考察の足元にも及ばない。

甲子園優勝の確率計算では、優勝校の勝率は0.7~0.8だろうと根拠も無く仮定した上で、甲子園で6連勝する確率はその6乗ということで2割程度と推定しているのだが、何とも深みのない議論というか、中高生向けの演習問題か? そもそも、毎年全国で必ず1校は甲子園で優勝する学校が出ているわけだから、そういう視点(ある学校が優勝する確率は単純に見て数千分の一)と、個々の学校の勝ち負けの視点(勝率約5割と仮定して優勝まで11~12連勝する確率も数千分の一)を比較して考察したりすれば、少しは面白い話になりそうなのに。

なお、数十人のグループの中で、同じ誕生日の人が存在する確率の話は、ちょっと意外な話として過去にもどこかで聞いたことがあった。23人のグループだと、同じ誕生日を持つ人が少なくとも1組存在する確率が約50%となるということは知っておいて損はないだろう。(誕生日のパラドクスと言う有名な話らしい。)

さて、この書評を書こうと思って、化学同人のサイトを見てみると、何ともショッキング(笑)なお詫びが掲載されている。。

1月20日発売のDOJIN選書「なぜ人は宝くじを買うのだろう」の内容に著者の勘違いによるミスが発覚いたしました.ご購入いただきましたお客様におかれましては,多大なご迷惑をおかけいたしましたことを深くお詫び申し上げます.改訂版の出来上がりが3月10日頃の予定でございます.すでにご購入いただきましたお客様につきましては,お取り替えをさせていただきます
どうやら「金返せ~」と言おうと思ったら、逆に「本返して~」と言われてしまった状態のようだ。。 うーむ、どこが間違いなのかぐらいどこかに書いておいてもらわないと、困るんだけど。。 わざわざ送り返して正しい本を送ってもらっても、また全部読み直すほどの本とも思えない。とはいえ、間違った内容をそのまま覚えておくのも嫌だし、今さら間違い探しをするのも面倒だし。。 正誤表を送ってもらうだけで十分なんだけど、それでは収まらないくらいの大幅変更のようだし、書店で実物を見て違いを探してみるか。。 何と言っても、間違いに気付かなかったことが一番ショックだ。。。

それにしても、DOJIN SENSHO は大丈夫だろうか? そもそも、確率の専門家でも数学者でもない人に、「確率にひそむロマン」なんてテーマの本の執筆を依頼した時点で、どこか間違えているような気がするのだが。。

もっとも、同じ DOJIN SENSHO だけど、「だまされる視覚 錯視の楽しみ方」(bk1amazon)の方は、さすがに北岡明佳の錯視のページの先生だけあって、錯視を見て楽しむだけでなく、作り方だとか、学問的な面などに触れられるという点で、たぶん買う価値はあったけのだけど。(ただし、白黒印刷であるということと、絵が全般的に小さいということが影響しているようで、錯視の迫力はウエブページには遠く及ばなかったのが残念だ。)

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2007/03/15

ボンバルディア機事故におけるフェールセーフとは?

サイエンスポータルのレビュー記事(3/15)から。【 なぜフェールセーフが働かなかったか 】

朝日新聞15日朝刊の社説は、「緊急装置が働かないとは」という見出しで「今回、なぜフェールセーフが働かなかったのか」と疑問を呈している。

フェールセーフとは何か。同社説は「航空機のように、事故が起きれば人命に直結する機械には必ず『フェールセーフ』という仕組みが導入されている。装置の故障を最初から想定し、『次の手』を用意しておく設計思想である』という。

Web百科事典ウイキペディアを引いてみると、次のように説明されている。

「なんらかの装置、システムにおいて、誤操作、誤動作による障害が発生した場合、常に安全側に制御すること。またはそうなるような設計手法で信頼性設計のひとつ。これは装置やシステムは必ず故障する、あるいはユーザは必ず誤操作をするということを前提にしたものである」

とある。この朝日新聞の社説のフェールセーフに関する説明は、一般的な安全工学での説明とはちょっとずれているような気がするけど、どこから引っ張ってきたんだろう? asahi.comの3/15の社説の全文はこちら

本来のフェールセーフは、故障が原因で危険になることがないようにする設計思想であり、例えば、ストーブが転倒すると自動的に停止するとか、燃焼装置の燃料配管に取り付ける電磁弁は、停電のときには自動的に閉となるもの(ノーマルクローズ)を使用するとか、安全かどうかを検知するためのセンサーが故障したら自動的に装置が停止するように設計するというようなものだ。従って、今回のトラブルの場合、フェールセーフ設計というのは、油圧系が故障したら車輪が自動的に外に出るような設計ということになるだろうか。

朝日の社説に書かれている、故障に対して次の手を用意しておく設計思想は、「フォルトトレランス」(フォルトトレラント)と呼ばれる冗長化技術であり、飛行機で操縦用の油圧配管や電気系統を複数用意するような対策が該当する。一方、ウィキペディアのフェイルセーフに書かれている、ユーザーの誤操作に対する安全対策は、「フールプルーフ」と呼ばれるもので、重要なスイッチは間違って押してしまわないようにカバーを付けて、これを開けてからでなくては押せないようにする、というような例がある。

この辺の安全性管理についての考え方や用語の意味については、Webラーニングプラザの、総合技術監理分野→日常活動の安全と製品の安全コース→システムの高信頼化のあたりに詳しく解説されている。このサイトは、サイエンスポータルと同じJST(科学技術振興機構)が運営しているのだから、用語の使用方法などは統一感が欲しいところだ。。

言葉の定義はともかくも、朝日新聞の社説やサイエンスポータルの記事の根底には、あらゆるトラブルに対して完璧な対策が用意されていなくてはならない、というような考え方が透けて見えるのだが、うがちすぎだろうか? サイエンスポータルでは、朝日新聞の社説を受ける形で、

では、今回のようなケースの場合、「フェールセーフを働かす」には、どのような手だてがあるものだろうか。
と問いかけ、今回問題のあった前輪格納部を2系統用意するとか、最悪の場合扉を爆薬で開くようにするなどの対策を考えて、いずれも現実的ではないと述べたのち、
「なぜフェールセーフが働かなかったのか」という問いに、どんな答えがあるのか。あるいは「なぜフェールセーフが働かなかったのか」といった問いとは別の所に、問題の本質があるのだろうか。
と結んでいる。いざという時のバックアップ装置も故障したという今回のような場合にも、さらに次の手を用意しようというのは、故障の可能性のある部品全てに三重・四重にもバックアップを用意する必要が出てくるわけで、著しく非現実的なのは間違いないだろう。そこで、定量的な解析の出番となる。

複雑なシステムの信頼性確保のためには、通常フォルトツリー解析(FTA)という手法が用いられる。これは、頂上事象(飛行機の場合、着陸失敗とか墜落とか)が起こる確率を、システムを構成する装置や人が起こす可能性のある個々のエラー(故障とか誤操作)の確率と、その因果関係から計算し、これが許容範囲に収まるように、システムを冗長化したり、誤操作防止対策をとったりする。

今回の場合であれば、前輪が油圧操作で下ろせなくなる事態や、手動操作で下ろせなくなる事態が、当初想定した故障確率と比べて著しく起き易くなっていたのではないか? という疑いがあるわけで、その場合、さらにフォルトトレランスによる冗長化を行うのと、そもそもの故障確率を小さくする対策のどちらが現実的かということを検討することになる。恐らくは、さらなる冗長化よりは、故障確率を小さくするための設計変更等が妥当な対策ということになるだろう。

もっとも、実際には手動操作でも車輪が下りない事態になっても、被害を最小限にするための緊急着陸訓練を積んでいたために、無事に着陸できたわけだ。実は、この緊急着陸というのもシステム全体の信頼性向上のための重要な対策の1つであり、今回、そのシステムがうまく機能したことをきちんと評価することは忘れてはならないと思うのだが。。

つまり、「フェールセーフを働かすにはどんな手だてがあるか?」という問いに対する答えとしては、「緊急事態を想定した訓練を行い、それを着実に実行する」というのもありではないか?

なお、朝日の社説の最後にはお約束のように、「一歩間違えば大惨事になりかねない事故だった」と書かれているが、このての思考停止的な煽り文句はどうにかして欲しいところだ。飛行機の場合、故障していようがいまいが、一歩間違えれば大惨事になるのは避けられないわけで、その(大きな)一歩を踏み出さないために、システム全体の安全性を確保する取組みが沢山なされているわけだ。一歩間違わないための仕組みがうまく働いたからこそ、無事に帰還できたのだと受け取って、機長やきちんと訓練を行っていた航空会社を少しぐらい褒めても良さそうなものだと思うのだが、今回の社説では全くお褒めの言葉はなかったようだ。。

ところで、今回の場合は後輪は出ていたので、胴体着陸とは呼ばず、緊急着陸と呼ぶのが正しいらしい。

一方で、胴体着陸は、映画や小説などのフィクションではよく出てくるけど、実際にはどの程度起きているかというと、民間航空データベースで、胴体着陸を検索すると、1530件中わずか5件、しかも正規の飛行場に胴体着陸するケースはわずか2件しかヒットしなかった。2件とも、操縦ミスで車輪を出さずに、それを知らずに胴体着陸したにも関わらず死者はゼロだ。他の3件は、他のトラブルで飛行場以外の場所に緊急着陸しようとして、胴体着陸を試みたもので、失敗して大惨事になっている。。

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2007/03/14

運動によって脳細胞が増え、記憶力も向上?

ABC News(3/12)から。Study shows why exercise boosts brainpower

Exercise boosts brainpower by building new brain cells in a brain region linked with memory and memory loss, U.S. researchers reported on Monday.

Tests on mice showed they grew new brain cells in a brain region called the dentate gyrus, a part of the hippocampus that is known to be affected in the age-related memory decline that begins around age 30 for most humans.

The researchers used magnetic resonance imaging scans to help document the process in mice - and then used MRIs to look at the brains of people before and after exercise.

They found the same patterns, which suggests that people also grow new brain cells when they exercise.

運動により脳細胞が増加するという研究のお話。従来からマウスについては、記憶力と関係する、海馬(hippocampus)の歯状回(dentate gyrus)という部位で、運動によって新たな脳細胞が成長することが知られていたようだ。今回は、運動前後の脳の様子を MRI で観察し、ヒトの場合にも運動後に新たな脳細胞の成長が確認されたということらしい。
They recruited 11 healthy adults and made them undergo a three-month aerobic exercise regimen.

They did MRIs of their brains before and after. They also measured the fitness of each volunteer by measuring oxygen volume before and after the training program.

Exercise generated blood flow to the dentate gyrus of the people, and the more fit a person got, the more blood flow the MRI detected, the researchers found.

11人の健康な成人を被験者として、有酸素運動を3か月続けてもらい、その前後のMRI測定を行った結果、フィットネス効果が大きい人ほど、歯状回への血流が増える傾向があることがわかったというもの。マウスでも全く同様の血流の増加が観測されており、どうやら人間でも運動によって海馬の脳細胞が増えるのは確かだろうということのようだ。

同じニュースを扱っているWebMDによると、このエクササイズは、

The workout routine: Warm up for five minutes at a low intensity on a stationary bike or treadmill, stretch for five minutes, do 40 minutes of aerobic training (on a stationary bike, treadmill, stair machine, or elliptical trainer), and cool down and stretch for 10 minutes.
というもので、エアロバイクを中心とした1日1時間、週4回のルーチンを3か月続けたようだから、結構ハードと言えそうだ。さらに、エクササイズの前後で記憶力テストを実施した結果、その成績も確かに向上したようだ。

この研究を行ったコロンビア大学のリリースはこちら

脳の研究は非常にホットな分野だし、海馬の歯状回はその中心となる部位であり、多くの研究が進められているようだ。歯状回での細胞の増加に関する話もたくさん見つかるかと思いきや、意外とそのものズバリの解説記事は見つからなかったが、東大の生命科学専攻の学生さんの優秀レポートが参考になる。

運動で記憶力が向上するのなら、スポーツ選手を始めとして定期的に運動をしている人と、運動習慣のない人を比べたら、差が見られても良さそうに思うが、個人差の方が大きいのだろうか? もっとも、あまりハードな運動を続けると、海馬にも酸化ストレスによる障害が発生するという研究もあるようで、何事もやり過ぎはよろしくないようだが。。

今回の研究では、MRI 測定により、海馬の歯状回での細胞の増加を間接的に推定することができるようになったという、研究手法そのものにも意義がありそうだ。となると、エクササイズ以外でも色々と言われている、記憶力の低下防止や記憶力向上に良いとされているものが、実際にどの程度効果があるものなのか調べることも可能かもしれない。

今はやりの、単純計算などをひたすら繰り返す(?)「脳トレ」も、確かに普段あまり脳を使わない人にとっては、脳を使うという意味で効果はあるのだろうけど、単なる慣れによる成績向上も一緒になって過大評価されているのではないか? という気もしないでもない。。 今回の身体全体を使ったエクササイズと、いわゆる脳トレと、どちらがより効果的なのか? なんていう研究にも興味があるなあ。。

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2007/03/12

豪州に続き、EUも白熱電球を禁止の方向

アジア・欧州経済情報/NNAのニュース(3/12)から。首脳会議、白熱電球の禁止で合意

欧州連合(EU)は9日、ブリュッセルで開いていた首脳会議(サミット)で、エネルギー効率改善に向け、2010年までに従来型の白熱電球の使用を禁止する方針を固めた。地球温暖化対策のための行動計画に盛り込まれた。

フィラメントを使った白熱電球は蛍光灯などと比べて同じ光量での消費電力が大きいため、節電型電球への切り替えを促進する。本決まりになれば、街灯や公共施設、オフィスだけでなく、一般家庭でも節電型電球の使用が義務付けられる。

このほかサミットでは、1月に欧州委員会が公表した新たなエネルギー政策が承認された。二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出量を2020年までに1990年比で20%削減するほか、エネルギー消費全体に占める再生可能エネルギーの割合を2020年までに20%に引き上げる内容だ。

うーむ、1/31のエントリでカリフォルニア州が白熱電球を禁止?という話題を取り上げた時には、法案名称も奇抜だったし、まさかこんな規制が世界に広まるとは思いもしなかったのだが、わずか1か月半の間に、ニュージャージー州オーストラリア、そして今回のEUと、立て続けに白熱電球を禁止する方向に走り出したようだ。

今回のEUサミットでは、2020年までに温室効果ガスの排出量を1990年に対して20%削減するというのをポスト京都議定書の数値目標としたようだが、今後具体的な対策の部分ではいろいろと議論が出てきそうだ。一方で、この白熱電球禁止というのはある意味でとてもやりやすいし、わかりやすいという点がキーポイントとなっているような気がする。

白熱電球を地球温暖化対策のスケープゴートのように扱うことは、比較的反対意見が出にくいという点でも、温暖化キャンペーンを進めるのに役立ちそうだ。しかも、実際に省エネルギー効果は明確だし、長期的にはコスト的にもメリットがあるはずだから、まあ、電力会社以外は、電機メーカーも一般消費者も誰も困らないという点で、推進しやすいのは確かだろう。

ということで、環境対策で先進的というイメージがあるEUが踏み切ることで、世界全体がそろって白熱電球禁止の方向に向かうということになりそうな気配も出てきた。。 まあ、それはそれでいいのだけど、「それ自体は特に有害でも危険でもないけれど、他と比べてエネルギー効率が悪いからという理由だけで、その販売が禁止される製品」というのには、他にどんなものがあるのだろう? という素朴な疑問も。。 

一方で、法律による白熱電球の禁止が容認されるのであれば、他にも禁止されてもいい製品というのもありそうな気もするし、例えば燃費の悪い車だとか、効率の悪い家電製品などは禁止しなくていいのか? なんて意見も出てきそうだ。。 

とはいえ、日本も遠からず同じ方向に向かうのだろうな。。

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2007/03/09

254回目の献血

前回12/27以来、実に72日ぶりに相模大野献血ルームにて血小板成分献血をしてきた。

久々(?)の献血ルームということで、少しは変わっているかと思いきや、例の初流血除去対策は、依然として血小板成分献血だけに先行導入のままだし、受け付けの際の海外経験記入欄の不具合は全然改善されていないし、ということでシステム面での進歩は見られなかったのだが、ナースさんの初流血除去の操作は断然スムーズに進むようになっていた。

今回も、右腕で検査、左腕から献血。ただし、いつもの腕の外側の血管からではなく、内側の血管からの献血となったが、特にトラブルも無く、順調に終了。

20070309

おみやげは、お米、歯みがきセット、キティちゃんの小銭入れ、折りたたみ傘の中から、今回初登場の折り畳み傘を選択。VALENTINO CHRISTY ブランドの3段折りたたみ傘。現在使用しているものは、骨が曲がったり、関節部分が壊れたりしてるのを針金で修理して何とか使える状態だったので、丁度良かった。

また、春の献血キャンペーン期間中ということで、新垣結衣さん+献血ちゃんのしおりに加え、キティちゃんの携帯ストラップもプレゼントしてもらった。このストラップ、革の部分には KANAGAWA RED CROSS の文字が刻まれている。

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2007/03/07

ココログ38か月

ココログを始めて3年と2か月が経過。2月は28日までしかないので実質日数が少ないのにも関わらず、 1か月当たりのカウンターの伸びは 21000程度とかなり多めだった。

 1か月目:900     2か月目:4500    3か月目:11700    4か月目:19000
 5か月目:32300   6か月目:43500   7か月目:54500    8か月目:72000
 9か月目:87700   10か月目:105400  11か月目:125400  12か月目:140600
13か月目:163000  14か月目:179300  15か月目:194700  16か月目:205300
17か月目:216800  18か月目:231700  19か月目:251100  20か月目:276400
21か月目:301200  22か月目:326400  23か月目:351400  24か月目:372400
25か月目:398100  26か月目:419300  27か月目:436100  28か月目:452700
29か月目:474500  30か月目:492100  31か月目:510100  32か月目:529800
33か月目:548600  34か月目:565300  35か月目:583300  36か月目:598200
37か月目:619200  38か月目:640000

この1か月のアクセス解析結果は以下の通り。

(1)リンク元
 1位 bookmark 全体の20%(前回1位)
 2位 http://www.google.co.jp 全体の18%(前回2位)
 3位 http://www.st.ryukoku.ac.jp/~kjm/security/memo/ 全体の6%(初登場)
 4位 http://search.yahoo.co.jp 全体の6%(前回3位)
 5位 http://www.google.com 全体の5%(前回4位)
 6位 http://tftf-sawaki.cocolog-nifty.com 全体の2%(前回5位)

ということで、突然3位に入ったのは、セキュリティホール memoというサイト。2/19に 「最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか」を紹介していただき、その後しばらく非常に多くの方に訪問していただいた。このサイトのことは知らなかったが、訪問者の数からみると、その方面ではかなり著名なサイトのようだ。 遅ればせながら、ご紹介ありがとうございます。

(2)検索キーワード
 1位 ETBE(前回1位)
 2位 注射針(前回4位)
 3位 酸素水(前回2位)
 4位 テラヘルツ波(前回83位)
 5位 アートメイク(前回38位)
 6位 桜(前回圏外)
 7位 ベンタ(前回3位)
 8位 失敗学(前回7位)
 9位 改造(前回11位)
10位 フタル酸ビス(初登場)
11位 ハイジェン液(前回5位)
12位 アメリカ(前回22位)
13位 乳酸(前回6位)
14位 コスモプラント(前回9位)
15位 献血(前回17位)

ベンタやハイジェン液が減って、桜が上に来たということで、キーワードからも春の訪れを感じさせられる。(桜については、桜開花予想式の精度というエントリがある)

そういえば、最近献血に行ってなかったな。。

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2007/03/06

「石油 最後の1バレル」

東京駅近くの大手書店で大々的に並べて売っていた。興味のあるタイトルだったので購入して読んでみたが、英治出版という、失礼ながらあまり聞いたことのない出版社の本であった。地元の書店ではあまり目立つところには置いていないので、局所的に相当頑張って売り出してたのだろうか。原題は " A THOUSAND BARRELS A SECOND - The Coming Oil Break Point and the Challenges Facing an Energy Dependent World -" ということで、どうみても原題の方が内容を忠実に表している。(現在、石油の生産量は毎秒1000バレルに近づいているらしい) とはいうものの、本文については特に翻訳がおかしいとか、読みにくいということはなかった。

 石油 最後の1バレル
 ピーター・ターツァキン 著 bk1amazon

本書については、既に安井先生が市民のための環境学ガイドで書評を書いているので、専門的な内容についてはそちらが参考になるだろう。

大部分が中世以降のエネルギーの変遷の歴史をたどったもので、我々が鯨油、石炭、石油、そして各種エネルギー源による電気といったエネルギー源にどのように乗り換えてきたのか、そして現状はどうなっているのか、といったことの記述に費やされている。意外と知らなかった石油メジャー(7シスターズ)の歴史などにも詳しく触れられており、現在のエネルギー事情を知るという点でもとても有意義な本だと思う。

どこかで読んだことがあったけど、改めてなるほどと思ったのは、油田の生産量というのは年とともにどんどん低下していくという事実。石油生産量の1年間の低下率の平均値は約5%にもなるので、現在の全世界の石油生産量は毎年イラクの生産量の2.5倍に相当する量ずつ減っていくとの指摘がある。つまり、毎年新規にイラクの2.5倍に相当する油田を見つけて生産を開始しなくては、現状の生産量を維持することもできないということになる。

また、本書で強調されているのは、たとえ世界の需要をまかなえるような新たなエネルギー源が将来現れるとしても、既存のエネルギーとの切り替えには、新エネルギー源の大規模実用化やインフラ整備など、相当長い年月が必要なはずであるということ。まあ、当然といえば当然なのだが、過度の楽観視はかえって有害であり、石油のブレークポイントが来たあとは、さまざまな技術開発を進めながら、同時にライフスタイルの変更も必要となると主張している。

本書の最後に、著者が描く2017年の世界というのが出てくる。2007年頃に石油のブレークポイントを迎えた後の10年間に何が起こり、どういう社会になるかという予想を述べたもので、なかなか興味深い。燃料価格の高騰で大型のSUVを手放したけど、小型のディーゼルカーやハイブリッドカーを運転し、天然ガスやバイオガス、風力や太陽電池などを組み合わせたエネルギー源とライフスタイルの変更で何とかやりくりしているうちに、どうやら核融合技術が間に合いそうだ、というとてもバラ色の未来である。

でも、この予想には数値的な裏づけは何もなく、単なる空想レベルと言わざるを得ない。ただし、ここに描かれている世界が現実のものになるためには、いつごろまでにどんな技術が実用化され、どんな社会制度やライフスタイルの確立が必要なのか、なんてことを考える叩き台としては意味のあるものかもしれない。

過去、貴重なエネルギー源だった鯨が絶滅しそうになった時期に、たまたま石炭利用が可能になったし、石炭利用の弊害が問題になってきたときに、タイミング良く石油が実用化されたのかもしれないが、石油が足りなくなったときに、そんなに都合よく次のエネルギーが利用可能となるとは限らない。少なくとも今後数十年で核融合が実用化されるかというと、ちょっと無理だろう。では、ここ数十年で技術的にどんな進歩が期待できるのだろう? いろんなアイデアはあるけれど、それらがどう実現してどんな社会が到来するかは余りに不透明だ。

エネルギー分野は動くお金が余りに莫大で、魑魅魍魎の跋扈する世界のようだけど、技術屋も単に夢を語るだけでなく、近未来の技術の実現性などについて具体的な道筋をいくつか示し、それを基にした社会システム設計への参画なんてことを積極的にしていかないと、将来の読みを間違えた政策によって、とんでもないハードランディングを迎えることになるかもしれない。

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2007/03/05

東アジアの地下に広大な海?を発見

Yahoo! Science経由で見つけた NewsLiveScience.com のニュース(2/28)から。Huge 'Ocean' Discovered Inside Earth

Scientists scanning the deep interior of Earth have found evidence of a vast water reservoir beneath eastern Asia that is at least the volume of the Arctic Ocean.

The discovery marks the first time such a large body of water has found in the planet’s deep mantle.

東アジアの地下の下部マントルの中に北極海の体積に相当する規模の膨大な量の水が貯えられていることがわかったとのこと。
The pair analyzed more than 600,000 seismograms - records of waves generated by earthquakes traveling through the Earth - collected from instruments scattered around the planet.

They noticed a region beneath Asia where seismic waves appeared to dampen, or “attenuate,” and also slow down slightly. “Water slows the speed of waves a little,” Wysession explained. “Lots of damping and a little slowing match the predictions for water very well.”

これは、過去に観測された60万個以上の地震波を解析することで明らかとなったもので、アジア地方の地下で地震波の減衰や減速が観測され、これは水が存在するという仮説を裏付けるものと考えられるらしい。
“That is exactly what we show here,” Wysession said. “Water inside the rock goes down with the sinking slab and it’s quite cold, but it heats up the deeper it goes, and the rock eventually becomes unstable and loses its water.”

The water then rises up into the overlying region, which becomes saturated with water. “It would still look like solid rock to you,” Wysession told LiveScience. “You would have to put it in the lab to find the water in it.”

Although they appear solid, the composition of some ocean floor rocks is up to 15 percent water. “The water molecules are actually stuck in the mineral structure of the rock,” Wysession explained. “As you heat this up, it eventually dehydrates. It’s like taking clay and firing it to get all the water out.”

The researchers estimate that up to 0.1 percent of the rock sinking down into the Earth’s mantle in that part of the world is water, which works out to about an Arctic Ocean’s worth of water.

地下に沈み込む岩石内の水分は、沈み込むと共に加熱され、やがて蒸発するものの、その一部は上層の岩石内に飽和状態で含まれることになるようだ。その量は局所的には15%にもなるようだ。アジア地区でマントル内に沈んでいく岩石中の水分は平均して0.1%程度と推定され、それが北極海と同等量の水分になるということらしい。

実際に、どの部分に水分が多く観測されたのかが、この絵でわかる。この図で赤い部分が異常に柔らかい領域で多量の水分を含むらしい。その中心はちょうど中国の北京の辺りとなるようだ。ちょっとわかりにくいが、日本の地下はむしろ平均よりも硬い(水分が少ない)領域となっているようだ。

地球内部の水分については、愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センターの地球内部に水は存在するのか?に解説が載っている。これは、高圧実験により、マントル(上部マントルと下部マントルの境界のマントル遷移層)内に存在するカンラン石が数%の水分を含有しうることを明らかにしたもので、地殻が沈み込むときに海水が同伴してマントルまで運ばれることにより、マントルは結構な水分を含むのではないか、と推定している。

一方、こちらの研究成果では、さらに下部マントルにも相当量の水分が存在しえることを実験で明らかにしており、その水分は地球初期の水と推定しているようだ。

いずれにしても、地下に大量の水が存在しそうなことは従来から予想されていたが、今回の発表は、その大量の水分が地球のどこに存在するかを具体的に明らかにしたという点がポイントとなるようだ。マントル対流の際の地殻の沈み込みに同伴して海水が持ち込まれるのなら、海溝付近で水分量が多くなっても良さそうなものだが、あまりプレート境界の位置と水分の分布が一致していないように見える。 一方、この水が地球初期のものだとしても、中国内陸部の地下で水分が多いのを説明するのは難しそうだ。。

マントル内の水については、海水のマントルへの逆流塩分地獄、そしてマントルの水5などに詳しい。

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2007/03/02

パルスデトネーションエンジンとは?

知的財産・特許に関するニュース / IP NEXTで見つけた記事(3/2)から。東邦ガスと広島大、異常燃焼現象利用したエンジン連続運転に成功(日刊工業新聞)

 東邦ガスは広島大学大学院工学研究科の滝史郎教授らと共同で、異常燃焼が引き起こす衝撃波(デトネーション)現象を利用したガス発電システムの開発に向け、基幹部品となる多気筒型パルスデトネーションエンジンの連続運転に国内で初めて成功した。今後、同社は業務用分散型発電システムなどとしての実用化を目指し、本格的な開発に乗り出す。

 デトネーションとは毎秒2キロメートル程度の速度の衝撃波を伴う燃焼現象。同現象を応用した発電システムでは、通常のガスエンジンによる発電システムに比べて理論上10―20%高い発電端効率が期待できる。しかし、デトネーションは強力な衝撃波とともに高温・高圧な燃焼排ガスが瞬間的に発生するため、制御が難しく実用化されていない。

ということだが、この発電システムは知らなかった。調べてみると、多くの研究機関が研究しているホットな分野のようで、この資料にもあるように、発電だけでなく、ロケットの推進力としても期待されている技術のようだ。

このニュースで紹介されている、広島大学の反応気体力学研究室ホームページを見ると、パルスデトネーションエンジンについての解説が見つかった。パルスデトネーションエンジン(PDE)は、通常のデフラグレーションではなく、デトネーションを利用するので、理論熱効率が高いとのことだ(先の資料では、燃焼過程が定積的となるので熱効率が高いと書かれている)。

これを利用したパルスデトネーションタービンエンジンの動作を見ると、単に燃料を爆発的に燃焼させ、燃焼エネルギーをタービンで回収するという方式で、ある意味で非常にシンプルだ。見たところ、タービン以外に駆動部分もないようだし、その点でも効率が良いのかもしれない。

一方、ロケット推進用としては、筑波大学 笠原研究室は、実際に小型ロケットを作成して飛ばす試験もしているようで、なかなか楽しそうだ。

冒頭のニュースによると、今回は4つの燃焼器を有する多気筒型エンジンで水素燃料を使用して周波数120ヘルツで連続運転できたとのこと。燃料が水素というのは大規模発電用にはどうだろうと思うけど、炭化水素燃料だときれいな燃焼が難しいのだろうか? もっとも、同じ研究室の解説記事では、プロパンを燃料として使用している。将来は、都市ガスやバイオガスを燃料としたいとのことだが、排ガスや騒音などの環境影響や、安全性などはどうなのだろう? 実用化までにはまだ色々とハードルがありそうだが、期待できる新技術かも知れない。

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2007/03/01

2007年2月の天気予報傾向

東京地方の過去の天気予報 のデータ更新を終了。3年目となり、このページの表示が見にくくなったため、昨年までのデータは折りたたんで表示するようにしてみた。アジアンビートカンケリキッズで公開されている JavaScript を使用させてもらったが、どうだろう? 見やすくなったと思うのだが。。 アジアンビートカンケリキッズさん、ありがとう。

ところで、昨日まで動いていた天気予報取得マクロが何故か今日になってうまく動かなくなったので調べてみたら、天気予報の取得先である気象庁の東京都の週間天気予報のページの表示内容が少し変わったようだ。昨日までは、東京地方と伊豆諸島の予報が同じページに掲載されていたのだが、今日からは東京地方、伊豆諸島北部、伊豆諸島南部のそれぞれに分け、別々のページに掲載されるようになったらしい。もっとも、現時点では伊豆諸島北部および南部の週間天気予報はうまく表示されていない(東京地方の週間天気予報が表示されている)ように見える。

さて、今年の冬はものすごい暖冬だったということで、気象庁も2月の天候冬(12~2月)の天候平成19(2007)年冬の日本の平均気温についてといった記事を見ても、正に記録的な暖冬だったことが読み取れる。何しろ、東京地方の今年の冬はまだ雪が降らないどころか、氷点下も記録していない。。 

ちなみに、気象庁が昨年9月に出した2006年12月~2007年2月の予報はチーム森田の“天気を斬る!”に残っているが、暖冬確率50%という予報だったようだ。気象庁の気象業務の評価には、明日予報と週間天気予報の精度検証については、検証方法も含めて掲載されているのだが、長期予報については気象庁業務評価レポートの中で、季節予報の精度を平成13年度の62%を平成18年度までに70%に改善するとあるだけで、評価方法については見当たらなかった。どうやって評価しているんだろう?

とはいえ、週間予報レベルでは、今年の暖冬も比較的良好に予想できていたようで、最高気温や最低気温の予想と実績との差などの数値は通常の範囲に収まっている。

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