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2007/03/02

パルスデトネーションエンジンとは?

知的財産・特許に関するニュース / IP NEXTで見つけた記事(3/2)から。東邦ガスと広島大、異常燃焼現象利用したエンジン連続運転に成功(日刊工業新聞)

 東邦ガスは広島大学大学院工学研究科の滝史郎教授らと共同で、異常燃焼が引き起こす衝撃波(デトネーション)現象を利用したガス発電システムの開発に向け、基幹部品となる多気筒型パルスデトネーションエンジンの連続運転に国内で初めて成功した。今後、同社は業務用分散型発電システムなどとしての実用化を目指し、本格的な開発に乗り出す。

 デトネーションとは毎秒2キロメートル程度の速度の衝撃波を伴う燃焼現象。同現象を応用した発電システムでは、通常のガスエンジンによる発電システムに比べて理論上10―20%高い発電端効率が期待できる。しかし、デトネーションは強力な衝撃波とともに高温・高圧な燃焼排ガスが瞬間的に発生するため、制御が難しく実用化されていない。

ということだが、この発電システムは知らなかった。調べてみると、多くの研究機関が研究しているホットな分野のようで、この資料にもあるように、発電だけでなく、ロケットの推進力としても期待されている技術のようだ。

このニュースで紹介されている、広島大学の反応気体力学研究室ホームページを見ると、パルスデトネーションエンジンについての解説が見つかった。パルスデトネーションエンジン(PDE)は、通常のデフラグレーションではなく、デトネーションを利用するので、理論熱効率が高いとのことだ(先の資料では、燃焼過程が定積的となるので熱効率が高いと書かれている)。

これを利用したパルスデトネーションタービンエンジンの動作を見ると、単に燃料を爆発的に燃焼させ、燃焼エネルギーをタービンで回収するという方式で、ある意味で非常にシンプルだ。見たところ、タービン以外に駆動部分もないようだし、その点でも効率が良いのかもしれない。

一方、ロケット推進用としては、筑波大学 笠原研究室は、実際に小型ロケットを作成して飛ばす試験もしているようで、なかなか楽しそうだ。

冒頭のニュースによると、今回は4つの燃焼器を有する多気筒型エンジンで水素燃料を使用して周波数120ヘルツで連続運転できたとのこと。燃料が水素というのは大規模発電用にはどうだろうと思うけど、炭化水素燃料だときれいな燃焼が難しいのだろうか? もっとも、同じ研究室の解説記事では、プロパンを燃料として使用している。将来は、都市ガスやバイオガスを燃料としたいとのことだが、排ガスや騒音などの環境影響や、安全性などはどうなのだろう? 実用化までにはまだ色々とハードルがありそうだが、期待できる新技術かも知れない。

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