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2007/03/27

砂糖電池:砂糖を燃料とした燃料電池

ITmedia Newsの記事(3/27)から。米大学、砂糖電池を開発

携帯電話やiPodのエネルギー源をコーラで補給する日が来るかも知れない。

 米セントルイス大学のシェリー・ミンティア教授らが、砂糖をエネルギー源とする燃料電池を開発した。炭酸飲料から樹液まで、糖分が含まれた液体であれば何でも利用でき、1度の補給でリチウムイオン電池の3倍から4倍持続するという。研究成果は3月25日、米国化学会(ACS)第233回全米会議で発表された。

 ミンティア教授はプロトタイプとして切手サイズの電池を用い、電卓を動かす実験に成功した。今後の実験で性能向上が認められれば、3年から5年で実用化できるとミンティア教授は言う。

 これまでの実験で、同教授は電池のエネルギー源としてブドウ糖、気の抜けた炭酸飲料、粉末飲料を水に溶いたもの、樹液を使用、成功している。最も補給能力が高かったのは普通の砂糖を水に溶いたものだった。

砂糖を原料とする燃料電池で、この記事では砂糖電池と呼んでいる。そういえば、以前ビタミンC(アスコルビン酸)を原料とした燃料電池について書いたが、その時にグルコース(ブドウ糖)を燃料とする燃料電池のことにも触れた。今回の研究は、糖分が含まれていれば何でも良いということなので、どうやらこれと同じカテゴリーの電池のようだ。

この記事にあるように、この燃料電池は糖を二酸化炭素まで酸化することで得られるエネルギーを電気として取り出すわけだが、糖を効率よく酸化するための構造として、金属触媒を使用した糖-空気燃料電池と、グルコース酸化酵素を使用したバイオ糖-空気燃料電池の2種類があるようだ。

調べてみると、松下電器は糖の酸化に太陽エネルギーの力を借りた砂糖電池の開発を行っていて、モノづくりスピリッツ発見マガジンで開発者への取材レポートが読める。

一方、今回のITmediaの記事の元となった、セントルイス大学のNewsはこちら。このNewsには

A few other researchers also have developed fuel cell batteries that run on sugar, but Minteer claims that her version is the longest-lasting and most powerful of its type to date. (中略)

Like other fuel cells, the sugar battery contains enzymes that convert fuel - in this case, sugar - into electricity, leaving behind water as a main byproduct. But unlike other fuel cells, all of the materials used to build the sugar battery are biodegradable.

とあり、今回の砂糖電池は従来のものよりも効率が良く、長寿命とのこと。酵素を含むバイオタイプの燃料電池のようだが、他の燃料電池と異なり、使われている全ての材料が生分解性である、とあるけどどうなのだろう? そんな必要があるのだろうか? 電極はどうなんだなんていう突っ込みは別としても、そもそも燃料が砂糖水で、電池全体が生分解性だとすると、何か本当に使用しているうちにバクテリアで分解されて、跡形もなくなってしまいそうな気がしてくる。。

確かに燃料電池は、携帯電話やノートパソコン用などの電源として期待できると思うし、燃料としてはメタノール水溶液などよりも、さらに砂糖水系の方が好ましいのは確かだろう。使用中に、砂糖水を補給するとか、砂糖水入りのカートリッジを取り替えるといった方法が可能になると、相当に便利だろうから大いに期待したいところが、果たして本当に実用化は近いのだろうか?

もっとも、この研究のスポンサーは米国防総省とのことで、軍事用ポータブル機器への応用が目的の1つとなっているようだ。要するに、電源のない戦地でも、樹液などの燃料が比較的容易に入手できるというところが魅力らしい。

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