今度は明治製菓が白金入りガム
日本経済新聞 5/8の朝刊の消費面、消費最前線の記事から。
プラチナ配合のガムということで、2年半ほど前にナノコロイド白金入りガムというエントリーを書いたのだが、今度は大手の明治製菓が、白金入りのガムを出すようだ。これってどういう効果を狙ったものなのだろう? プラチナは医薬品にも使われるからといって、無闇に配合していいものなのか? 逆に医薬品に使われるものだからこそ、食品に添加する場合にはきちんとした管理が必要だろうと思うのだが。。明治製菓(0120・041082)のガム「キシリッシュガムプラチナミント」
医薬品などにも使われるプラチナ(白金)を配合したガム。白ワインの原料になるぶどう「シャルドネ」の風味をベースに、ミント味を効かせた。歯の主成分であるハイドロキシアパタイト、口臭抑制効果のあるローズマリーも含む。
金色の包装で高級感を出した。キシリッシュシリーズ発売10周年を記念した商品。《120円。15日》
明治製菓のプレスリリースにも、白金の効果や、白金の添加量などの情報は何も記載されていない。通常のキシリッシュガムの小売価格が105円らしいので、やや高めに設定されているようだが、その価格差が白金のせいかどうかはわからない。 1粒が10円で、目標販売額が290億円ということは、29億粒の販売を考えているわけだ。過去に取り上げたナノコロイド白金入りガムの白金含有量が 1粒当たり 0.8マイクログラムとのことなので、例えばこれと同じ量の白金を含むと仮定すると、29億粒で 2.3kgの白金を消費するということになる。
それにしても、アプト株式会社のようなベンチャー企業が白金をうたい文句にガムを売っても、失礼ながら知名度の点でも販売力の点でも大したことはないだろうが、明治製菓のような大手の一流企業が同じことをすると、その影響力は桁違いとなるだろう。。
明治製菓の今回のガムの場合、白金のミラクルな効果などは一切打ち出さず、単に高級なイメージだけを利用しているようだから、むしろ金粉入りのお酒などに類似した商品なのかもしれない。しかし、IASO GUMの華々しい?効果や、最近TVの宣伝などで良く見るDHC プラチナシルバーシリーズなどの健康イメージに便乗したのではないか?と勘繰りたくもなる。
この手のプラチナブームは、どうやら活性酸素をやっつけてくれる抗酸化作用が目玉のようだけど、抗酸化作用を持つといわれている成分ならビタミンCを始めとして色々あるわけだから、敢えて白金じゃなくても良いと思うし、白金を貴重な工業原料であるレアメタルとして捉えると、たとえ少量といえども、あだやおろそかに食品や化粧品として使い捨てるべきではないと思うのだが。。
たまたま同じ5/8の日本経済新聞の商品面(27面)には、「激化するレアメタル争奪」という記事が載っており、この中に
レアメタルと総称される金属類は、その名の通り生産量が少なく、生産国も偏在している一方、情報技術産業などの需要が拡大している。「産業のビタミン」がかつてのキャッチフレーズだったが、いまや重要度がさらに増し「産業の必須アミノ酸」。投資対象としても目を向けられるようになった。などと書かれており、日本のレアメタル消費動向が表になっている。これによると、白金の場合、2005年の日本の消費量は41トンで世界に占める割合が19.6%となっている。自動車や家電用などの燃料電池には、電極触媒として白金は欠かせない原料であり、今の技術だと到底足りないなんて議論(参考:元素戦略)もされている。
白金の資源としての現状については、日本金地金流通協会のPLATINUM 最新データや、金・プラチナ Q&Aが参考になる。世界の埋蔵量が約16,000トンに対し、現在年間生産量が約 200トンであり、今後の増加を見込むと今後数十年で使い切るという予想のようだ。
価格も、以前はグラム 2,000円程度と覚えていたのに、今や何と 5,000円/g 程度と非常に高騰している。
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コメント
うろ覚えですが、確かアメリカかどこかで、銀ナノコロイドの消臭剤は、危険性があるかもしれないという記事を読んだ事がある気がします。白金はある意味銀よりも更に強力な物質というイメージがあるのですが…
ガムなんかにぽんぽん入れて本当に大丈夫なんでしょうか。
投稿: XTC | 2007/05/10 07:52
ナノ粒子の危険性については、現段階ではまだ確実なことはわかっていないのだと思います。金属が溶解して作用することを想定すると、銀の方が白金よりも圧倒的に怖いイメージありますけど。。 銀は抗菌剤で使われるくらいですしね。
このガムに含まれる白金がどんな形態で、どれだけの量を含むのかが全く不明なので、有害性も全く不明としか言いようがないわけですが、楽観的に考えれば毒にも薬にもならないということでいいように思います。ガムだったら、飲み込むことはほとんどないわけで、白金が唾液に溶解しなければ、体内に取り込まれる可能性もかなり小さいでしょう。
なお、白金が医薬品に使われるというのは、実はhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%81%E3%83%B3">シスプラチンなどの化合物としてであり、金属としての白金は恐らくほとんど吸収されることはないだろうと思います。
詳細は、http://www.nihs.go.jp/DCBI/PUBLIST/ehchsg/ehctran/tran1/platinum.html">国立医薬品食品衛生研究所のデータを参照ください。やはり、白金塩類はそれなりに吸収され、毒性もあるようですが、金属白金はほとんど吸収や蓄積はなされないようです。
一方で、白金は食品添加物になっているのですが、http://plaza.rakuten.co.jp/kireininaruhoho/diary/200606270000/">ここやhttp://fhnobu.blog92.fc2.com/blog-entry-84.html">ここの情報によると、食品添加物の中でも製造用剤の中の加工助剤としての認可であり、食品加工段階で触媒として使用してもいいけど、基本的には食品中に残留してはいけないものという範疇として認められているようですね。もちろん、食品添加物となるからには安全性は確認されているのでしょうけど。
なお、白金ナノコロイドについては、http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail869.html">「健康食品」の安全性・有効性情報によると、結局のところ、十分なデータがなくよくわからない、ということのようですね。
投稿: tf2 | 2007/05/10 17:47