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2007/06/21

リチウムイオンキャパシタとは?

FujiSankei Business iの記事(6/21)から。風力発電機向け蓄電装置、エネルギー密度4倍に 日本ミクロコーティング

 液体研磨剤大手の日本ミクロコーティング(東京都昭島市)は、ゼファー(東京都渋谷区)と共同で、風力発電機に利用される高効率のキャパシタ・モジュールを開発した。ゼファーが製造する小型風力発電機への採用が決まっており、日本ミクロコーティングでは今後、新たな販路の開拓や生産体制を強化し、量産化を目指す。

 キャパシタは、蓄電装置の一種。充放電時のエネルギー損失が少なく、寿命も半永久的と長いことから、電気モーターとエンジンを組み合わせたハイブリッド自動車や燃料電池車といったエコカーの核部品として注目。とりわけ、エネルギー効率の高いリチウムイオン2次電池を使ったリチウムイオンキャパシタと呼ばれる新技術の登場で急速に普及が進んでいる。

 今回開発したキャパシタ・モジュールは、リチウムイオンキャパシタ方式を採用。セルを複数層に積み重ねることで高電圧を実現。従来の電気2重層キャパシタ技術に比べ、約4倍のエネルギー密度を達成した。さらに、従来に比べて大幅な小型化を実現したのと同時に、電気2重層キャパシタでは欠かせなかった鉛蓄電池も不要となるという。

うーむ。この記事だと、リチウムイオンキャパシタが既に自動車用として実用化され、普及しているかのように読めるのだが、本当だろうか? そもそも、「リチウムイオン2次電池を使ったリチウムイオンキャパシタ」という記述は何だかよくわからないけど、結局これは電池なのか、それともキャパシタ(コンデンサ)なのか?

日本ミクロコーティングのニュースリリースによると、リチウムイオンキャパシタ(LIC)は、リチウムイオン二次電池と電気二重層キャパシタの両方の長所を兼ね備えた非対称型キャパシタで、プレドープという独自の技術により負極にリチウムイオンを吸蔵させることで、従来の電気二重層キャパシタと比較して約4倍の高エネルギー密度を実現したものとあり、どうやら電池ではなくキャパシタのようだが、やっぱりよくわからない。

少し調べてみると、どうやらこの技術は富士重工業(スバル)が自動車用に開発したもので、昨年、日本ミクロコーティングに技術ライセンスしたものらしい。。 ん? そう言えば、このブログでも富士重工業の急速充電可能な電気自動車の技術を紹介したことがあったな、と思って探してみたら、電気軽自動車の実用化は近いかで、しっかりとリチウムイオンキャパシタのことに触れていた。。 なお、電気二重層キャパシタについては最新の電気二重層キャパシタというエントリもあり、これも参考になる。

さて、富士重工業が発表した当時にはまだ技術の詳細が不明のままだったのだが、改めて調べてみると、富士重工業の技術者による技術開発レポートが読める。これを見ると、リチウムイオンキャパシタの基本コンセプトは、電解質にはリチウムイオンを用い、正極は電気二重層を蓄電機構とし、負極はリチウムイオンのプレドーピングにより容量を最大化する、というもののようだ。なお、昨年のニュースを見ると、その後もこの技術は実用化に向けて着々と進歩しているような印象がある。

なお、リチウムイオン二次電池と電気二重層キャパシタの長所を組み合わせようというアイデアは、今後有望な方向ということで、他にも色々な研究が行われており、例えば産総研の新規ナノポーラス材料を電極に応用、リチウム2次電池のパワー密度2桁向上を実証は、富士重工業のものとは逆に、スーパーキャパシタ機能を有するリチウム2次電池というコンセプトのようだ。

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