シルバナノタイトと「いぬ水」「ねこ水」
日刊工業新聞社のビジネスラインで見つけた記事。メディテク、銀イオンで健康守るペット用サプリ飲料発売
【さいたま】メディテク(さいたま市南区、鈴木康之社長、048・844・8406)は、銀イオンの抗菌・抗ウイルス効果でペットと飼い主の健康を守るペット用サプリメントドリンク「いぬ水」と「ねこ水」を開発し、発売した。価格は500ミリリットルのペットボトル入りで1500円。5億円の売り上げを目指す。というもので、ペット用の飲料水らしい。値段としてはかなり高価と言えるだろう。それにしても、銀イオンを含む水なんか飲ませちゃって大丈夫なのだろうか?銀イオンとアパタイトを超微粒子化して水溶液中に分散させた、独自開発の「シルバナノタイト」という成分を含む。銀イオンの殺菌性で、近年のペットブームで問題になっているパスツレラ菌などに効果がある。シルバナノタイトはもともと鳥インフルエンザを予防するために開発したもの。今後は特許出願や薬事申請の準備も進める方針。
開発元の株式会社メディテクのサイトには「シルバナノタイト」のページも用意されているが準備中とのことで、何も情報がない。でも、この会社は非常勤取締役に医学博士と農学博士が名を連ねているようで、それなりに安全面などにはきちんと配慮しているのだろうか?
シルバナノタイトで検索してみると、体内改善水「いぬ水」「ねこ水」というサイトがあり、今回のニュースで紹介されている銀イオン+アパタイト含有水の説明が読める。まあ、公的機関の試験結果なども紹介されており、いかにもきちんとしていそうだが、ここに載っているのは、全て殺菌効果や抗菌効果に関するものであり、この水の中では菌類が繁殖できず、死んでしまうということは確かなようだ。しかし残念ながら、そんな強力な殺菌効果を持つ水を、犬や猫に日常的に飲ませて大丈夫なのかという、安全性についてのデータや記載は一切ないようだ。ちなみに、「シルバナノタイト」とは「シルバー」と「ナノ」と「アパタイト」を元にした造語のようだ。
銀のナノ粒子の有害性については、以前このブログでもXTC氏のコメントで言及されていたが、asahi.comの殺菌作用のナノ銀を規制へ 米環境保護局というニュースが何故かまだリンク切れにならずに読めるようだ。「ナノ銀を活用した製品を販売する企業は今後、その製品の安全性に関する科学的な証明をEPAに提出することが義務付けられる」というもので、EPAの規制だから、もちろん食料品としての安全性ではなく、環境への影響を懸念してものだろう。
銀の有害性などについては、ウィキペディアの記述が充実している。銀粒子の場合には、さほど有害性や蓄積性はないようだが、参考文献としてあげられている国際簡潔評価文書 銀および銀化合物によると、
銀は家禽に対しては、飲料水中総銀100 mg/L という低濃度、または飼料中総銀200 mg/kg で害を及ぼす(硝酸銀で試験)。感受性が高い実験用哺乳動物は、総銀濃度(硝酸銀)が250μg/L と低い飲料水で(脳組織変化)、6 mg/kg の飼料で(腎臓と肝臓に高度の蓄積)、あるいは13.9 mg/kg 体重で(致死性)有害作用を受けた。と書かれており、銀の形態によっては結構な毒性を示すようだ。となると、このペット用の飲料水についても、少なくとも強力な殺菌力を売り物にしているわけだし、うたい文句では「銀イオン」を分散させているとのことだから、なんだか危なそうだ。。 どれだけの濃度で銀を含むのかも不明だけど、やっぱりペットに飲ませた時の安全性についての確かなデータも無しに飲ませるのは危ないと思うぞ。。 たとえ直接の有害性はないとしても、人間にとって不快だったり有害な菌だけが選択的に死ぬわけでもないだろうし、ペットの体内に住むいわゆる善玉菌まで死んでしまったらそれはそれで困るのじゃなかろうか?
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