ローマの大気にはコカインが含まれている
exiteの世界びっくりニュースの記事(6/3)から。ローマの大気中に含まれているもの……それはコカイン
[ローマ 31日 ロイター] イタリアの首都ローマの大気中にはカフェインやタバコの粒子だけでなく、コカインやマリファナの粒子も含まれている……。金曜日に科学者が発表した。屋外大気中から、カフェインやタバコの粒子に加えて、コカインやマリファナの粒子が検出されたということらしい。1立方メートル中0.1ナノグラムとはまた微量だが、本当に人間の健康を大きく害する可能性がある濃度なのだろうか? goo 自動車&バイクのニュースには、ドラッグの粒子が一番多く確認されたのはサピエンツァ大学付近。しかし同国の大気汚染研究所のアンジェロ・セシナート博士は、学生たちがドラッグを使用しているからと結論付けるのは時期尚早だと話している。
研究者らは「大気中にコカインの粒子が存在することを証明する世界最初の調査」として、ローマや南部のタラント、北アフリカのアルジェで空気サンプルの採取を行った。
カフェインやタバコの粒子は3都市全ての空気に含まれていた。このため、いかにこういった嗜好品が広範囲で消費されているかを示すものだ、としている。
ローマの大気中に含まれるコカイン粒子は最も高濃度だった冬期で1立方メートルあたりわずか0.1ナノグラムだったが、公衆衛生への影響が懸念される結果となった。
研究者の一人は「大気中に含まれるわずかな汚染物質が、人間の健康を大きく害する可能性があるのはこれまでの研究で分かっていることだ」と話している。
しかし今回の研究とは別に、北部トリノでは、中心部を流れるポー河の水にコカイン成分が含まれていることも明らかになっている。捨て場を失った購入者が投げ捨てるものとみられている。とあり、今回の大気からのコカイン検出は世界初のことらしい。ところで、タバコの煙に含まれる代表的な成分であるニコチンならともかくも、タバコの粒子などはどういう経路で大気中に暴露されるものなのだろう? 元の記事を探してみたが、ほとんどAP通信の配信記事のようで、たとえばCBS NEWSによると、この国にとって麻薬の蔓延は、各地で大きな問題となっている。大気中にコカインが含まれていることが判明したのは、世界でも初めてのことだ。「イタリアの空気に酔いしれる」といったキャッチフレーズが、洒落でなくなりつつある。
The institute made the discovery during a study of toxic substances in the air of Rome, Taranto, in the heel of boot-shaped Italy, as well as in Algiers. The results found that in Rome, there were traces of cocaine and cannabis ? as well as nicotine, caffeine and benzopirene, which is commonly released in cigarette smoke and auto emissions. (中略)ということで、今回検出されたのは、正確にはタバコの粒子などではなく、ニコチン、カフェイン、ベンツピレンに加えて、コカインと大麻ということらしい。今回の1立方メートル中0.1ナノグラムというコカイン濃度は、大気中の許容濃度の1/5未満とのこと。大気中のコカイン濃度に許容限度が設けられているのだろうか?The report said the maximum concentration of cocaine in Rome - 0.1 nanograms per cubic meter - was five times less than the legal limit for toxic substances in the air. Nevertheless, researchers said even the small amount was reason for concern.
薬物乱用の身体への影響によれば、コカインは直接吸引する使用法が主流らしいので、使用量が多ければそれなりに大気中に拡散していくことは考えられそうだが、マリファナはタバコと同様に喫煙によるようなので、乱用したからといって大麻成分が大気中から見つかるものなのだろうか?
まあ、今回はたまたまイタリアで検出されたとはいえ、他の麻薬に汚染された地域の大気からは、もっと驚くような濃度で検出されるのかもしれない。というか、そんなに高感度で検出が可能なら、建物の外から麻薬乱用の有無を検知するような使い方もできそうだ。
ところで、タバコの煙による大気汚染を考える際、例えば室内環境のタバコによる汚染の寄与を見積もるような場合には、タバコの燃焼によって生じる成分は非常に多種類に渡るため、指標としてETS(環境たばこ煙)というものが使われるようだ。これに関しては、厚生労働省の分煙効果判定基準策定検討会報告書なんて資料が見つかった。ニコチンは100%喫煙起因だが、ベンゼンは35%、一酸化炭素は15%などという数値が並んでおり、通常の大気中で検出されるニコチンは100%タバコの煙によるものと考えて良さそうだ。
一方、カフェインはJETOC(日本化学物質安全・情報センター)の資料によると蒸気圧が4.7×10^-6 Paで、少ないとはいえ多少は大気中に蒸発するようで、ヒドロキシルラジカルとの反応で光分解するため、大気中の半減期は約20時間とされている。(MSDSによると、178℃が昇華点) 今回検出されたカフェイン濃度は不明だが、半減期の短いカフェインが検出されるというのも、エスプレッソ好きのイタリアっぽい話で面白い。日本や他の地域ではどうか? というデータは探してみたが見つからなかった。
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