落雷の危険があるときはイヤホンをはずせ
ITmedia Newsの記事(7/11)から。「音楽聞きながらジョギング」に注意、ヘッドフォンに落雷の可能性
ジョガーの皆さんにお役立ち情報だ。雷雨に巻き込まれそうだと思ったら、音楽プレーヤーを家に置いていったほうがいい。落雷の危険があるようなとき(恐らくは激しい雨の中)にも、そのままジョギングをするってのは、まあiPodを聞くかどうかに係わらず十分に危険だろう、と思わないでもないが、少なくともこのジョガーの場合、もしもiPodのイヤホンをはずしていれば、こんなにひどい被害は受けずに済んでいたということらしい。カナダのVancouver General Hospitalの医師らによると、2005年に、iPodを身につけていた37歳のジョガーが近くにあった木ともども雷に撃たれ、胸と首、顔にやけどを負った。その原因がヘッドフォンにあったと特定されたという。
この患者の鼓膜は破裂し、中耳の小さな骨が幾つか脱臼していたと、医師らはNew England Journal of Medicineへの書簡に記している。
また顎骨の4カ所が折れ、両方の顎関節が脱臼していた。おそらくは、電流であごの筋肉が激しく収縮したためだろうとエリック・ヘファーナン氏、ピーター・マンク博士、ラック・ルイス博士は書簡で述べている。
イヤフォンの金属部分が電流を伝える手助けをし、この損傷を引き起こしたという。
「iPodなどのデバイスを使うことで落雷の可能性は高まるということはないかもしれないが、このケースでは、汗と金属イヤフォンの組み合わせが電流を患者の頭部に通した」と医師らは説明する。
ヘファーナン氏は、危険があるのはiPodのヘッドフォンだけではないとしている。「どんな種類のヘッドフォンにもこうしたことが起きる可能性があると思う」
この記事では落雷を受けた状況がやや不明確なのだが、New Scientistによると、
Most people who are struck by lightning are not hit directly, but get a "side flash" when the electric discharge jumps from the object that was hit.ということで、走っている時に、近くの木に落雷があり、そこから「サイドフラッシュ」(側撃雷:参考)と呼ばれる現象により、この木から被害者に電気がジャンプしてきたということのようだ。
In 2006, the 37-year-old Vancouver man was out jogging when he received just such a side flash from a tree that had been struck. He was thrown over 2 metres, as a result of the electricity making his muscles contract.
However, people are surprisingly resistant to the electricity itself, because the skin has a high resistance. Normally the current passes over our bodies in a "flashover" - unless a conductor, such as excess sweat or metal, directs the flow of electricity into our bodies.通常は、人体表面は電気抵抗が大きく、雷の電流は「フラッシュオーバー」と呼ばれる現象により、皮膚の表面を流れてくれるため、内臓には大きな損傷を与えないようだ。しかし、今回の場合にはiPod、イヤホンケーブル、およびイヤホンが電気の通り道となり、最終的には大電流を耳の中に導くことになってしまった結果、耳の内部が高温・高圧になり鼓膜が破れたようだ。幸運にも脳にはさして影響がなかったようだが、よくもその程度の被害で済んだとも言えそうだ。。Two long, thin burn marks extended up his chest and the sides of his face, and there were "“substantial" burns inside his ears. The sudden expansion of gases in his ears due to the hot earphones ruptured his eardrums, and he was deafened.
なかなか怖い現象だが、調べてみるとここの記事によると、丁度1年前にも同じようなニュースがあったようで、iPodだけでなく、携帯電話で会話中に落雷を受けて深刻な障害を受けた例も紹介されている。
ウィキペディアの記事では、
人体の電気が通るのは主に人体内部であり、表面に少量の金属があっても通りやすさに影響は無い。そもそも、物体の伝導性の違いは被雷する確率にまったく影響を与えない。前述の通り、高さのほうが重要である(ただし背の高低程度では大きな差異にはならない)。そのため、体から金属類をはずすことに気を払うのではなく、一刻も早く安全な場所に避難することが重要である。また、金属製品を身につけている場合は、落雷時に人体より電気の流れやすい金属周辺の皮膚に軽度のやけどは負うが、雷の電流の多くが金属に流れる分、人体を流れる電流が減り、むしろ生存確率は上がることもある。とあるが、少なくとも、「イヤホンやヘッドホンは頭部に電流を導くことになるため、被害を大きくする可能性が高く、速やかにはずすことが望ましい。」と追加すべきだろう。そのうち、これらの機器の取説にも同様の注意事項が記載されることになるのではないだろうか。
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