レーザープリンタからのトナー放出による健康リスク
ITmedia News(8/1)から。「レーザープリンタに健康リスク」、研究者が指摘
オフィスや家庭で使われているレーザープリンタに、健康上のリスクをもたらす可能性がある。米国化学会の学会誌で、このような研究結果が発表される。原理的に考えても、多少のトナーの大気中への放散は避けられないような気もするが、このような話が今までなかった方が不思議といえば不思議。ただし、この研究では、ある種のレーザープリンタから室内へのトナー粒子の放出を確認したというもので、トナー自身の有害性や、その結果として想定される健康リスクがどの程度のものなのか、などについては何も言及していないようだ。この研究は豪クイーンズランド工科大学のリディア・モラウスカ博士が実施したもの。62機種のレーザープリンタについて、トナー粒子の放出を調べた。調査対象には、キヤノン、Hewlett-Packard(HP)、リコー、東芝などのブランドで国際的に販売されている、米国やオーストラリアで人気の高いモデルが含まれる。
モラウスカ氏は論文の中で、特定のレーザープリンタはトナーの細かな粒子を空中に放出し、人間がそれを肺に吸い込むと健康を害する恐れがあると説明している。同氏らは、62機種のうち17機種を、インクの代わりにトナー粒子を多く放出する「高粒子放出機」と分類している。実験で使ったある機種では、放出される粒子の割合が、たばこから出る粒子状物質の割合と同程度だったという。
一方、62機種のプリンタのうち37機種は、空気を汚染する粒子の放出がまったくなかった。6機種は低レベルの放出量で、2機種は中程度。
ほとんどのプリンタが放出する粒子は超微細であり、有害物質が肺の狭い気管にも容易に入り込んで「深刻な健康上の危険」をもたらす恐れがあるとモラウスカ氏は報告している。また、プリンタ使用によって作業中のオフィス内の粒子レベルは5倍に増え、新しいトナーカートリッジを使っているときと、トナーが多く必要な画像を印刷するときに、粒子の放出が多くなることも示された。
少し探してみると、CTV.caのニュースで、もう少し詳しい情報や、今回評価したプリンタのリストが載っている。この研究はオーストラリアの大学でのもので、テストしたプリンタはほとんどがHPのプリンタなのだが、東芝のプリンタも1機種だけ高放出機に含まれている。でも、東芝のほとんど同じ型番の機種は無放出機にランクされているし、HPのプリンタも型番とトナー放出の有無の関係が全然読み取れないところから推定すると、今回の結果は、それぞれの機種固有の特性というよりは、各機器の機体差とか、機器の調子の良し悪しのようなものも関係しているような気もする。
さて、ウィキペディアによると、トナーは粒子径が5μm程度で、マウスでは肺がんが観測されたとのことだが、そんなに有害性の疑われるものが、一般製品に多量に使用されているとも思えない。たとえばMSDSを見ると、通常想定される濃度では問題なさそうだし、含有するカーボンブラックのIARC発がん性分類が2B(ヒトに対して恐らく発がん性がある)ということで、日常的に生のトナーを扱うのでなければそれほど怖がる必要はないだろう。
実際のトナーはこちらでも解説されているように、スチレン-アクリル系などの樹脂とカーボンブラックなどの着色剤などを混合し、これを溶融し、さらに粉砕して8μm程度にしている。
今回の研究では、オフィス内の環境を調べようとしたら、意外にも外よりもオフィス内の環境の方が粒子が多いということがわかり、詳しく調べてみたらプリンタが微粒子の放出源であることが明らかとなったため、改めて検討を行ったということらしい。この結果から、プリンタからのトナーの放出レベルを規制すべきだ、と述べているようだが、調べてみると既に環境ラベルの認定では、プリンタやコピー機からのトナーの放出についても考慮されているようだ。
たとえば日本のエコマーク(プリンタ、トナーカートリッジ)やドイツのブルーエンジェルなどでは、トナー(粉塵)の放出量や、トナーの有害性が認定の基準となっている。
なお、今回の研究はJACS Environmental Science and Technologyに掲載されるらしいが、なぜか今のところこちらでその論文原稿?が読めるようだ。
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コメント
そういや2chでこの件のスレでこんな被害にあった
でも誰も相手にしてくれない!
と愚痴ってたレスがありました。
かなりなまなましく、多分本当のことなんろだろうな
とは思ったんですが
よければスレ探してみますが2chが嫌いなら無視してください。
しかし、最近健康被害級の欠陥を持ちながら、なぜか誰も
(2chですら)話をしない機器って増えてますね。
投稿: まああ | 2007/08/12 03:38