「あわすとでーる」とはどんな技術?
FujiSankei Business iのニュース(8/28)から。 凸版印刷は、証券の印刷などに使う偽造防止技術を応用し、絵柄の中に文字や画像を隠した印刷物に特殊なシートを重ねると、隠れた文字や画像が現れる特殊な印刷商品「ステルス(隠匿)型あわすとでーる」を開発、9月1日から販売を開始する。こうしたステルス型商品の販売は国内印刷会社で初めて。同社は、特殊なシートを使わないと隠れた文字や画像が分からないという特徴を生かし、児童向けの雑誌・書籍、問題集、集客・販促ツールなどに売り込む考えで、2009年度までに4億円の売り上げを見込む。
印刷物は、規則正しく並んだ点や線が重なり合ったときに「モアレ現状」と呼ぶ縞(しま)状の斑紋が発生する。この現象を利用し、特殊なシートを重ねると隠れた文字や画像が浮かび上がる仕組みで、偽造防止などに利用されている。
凸版印刷は、この技術を応用し、隠したい場所を砂目模様にした商品「あわすとでーる」を01年4月に発売した。その後、隠れた画像をより見やすくした「あわすとでーるネオ」などを開発。食品・飲料業界や流通業界を中心に、ネオだけで20社以上に納入している。
今回のステルス型は、「モアレ現象」の模様の構成を改良することで、砂目模様を使わずに、印刷物の絵柄のどこにでも文字や画像を隠せるようにした。このため、デザインの自由度が大幅に向上し、出版物をはじめ、くじ、ポスター、チラシ、ダイレクトメールなどさまざまな分野で利用しやすくなったという。モアレ現象といえば、レースのカーテンが重なった部分に干渉により縞模様が現れるようなものという程度の理解なのだが、ウィキペディアの説明にも、「モアレを有用なものとして利用する分野もある」と書かれており、今回の技術はその有効利用の例なのだろう。凸版印刷のニュースリリースには、ステルス型の「あわすとでーる」の見本の写真が掲載されているのだが、文字が隠れた状態の写真や、文字を浮かび上がらせるための特殊シートの写真が載っていないので、いまいちよくわからない。
この技術は、確かに偽造防止などで実用化されているようだが、なかなか実際の技術の中身が見えてこない。そこで、凸版印刷の特許を探してみたところ、特開2004-174880や特開2004-230572あたりがこの技術に関連した特許のようだ。
この明細書によると、従来から「万線モアレ方式」と呼ばれる偽造防止技術があり、凸版印刷の「あわすとでーる」はそれを改良したものとのこと。元々の万線モアレ方式は、一定のピッチで並べた多数の線の一部を任意の形状になるように1/2ピッチずらして印刷することで潜像を作成し、これに同じピッチの多数の線を印刷した透明シートを重ねあわせることで、1/2ピッチずれた潜像部分だけを浮かび上がらせるという原理のようだ。うーむ、これってモアレ現象なのだろうか?
一方、特開2004-174880の技術は、ピッチ、幅、形状が均一ではない変形万線パターンをベースに、1/2ピッチずらして潜像を作成したものがベースとなっているようだ。図面を使って具体的に説明されているのだが、ちょっと変えただけのようでいてかなり複雑で、何だかよくわからない。この特許の図面を実際に透明フィルムにコピーして重ねてみると実感できるかもしれない。
特開2004-230572の技術は、恐らく今回のステルス型のものと関連するもので、カラー印刷の中に潜像が隠れていることが一見してわからなくすることができるようだが、かなり印刷業界の知識がないと難しくて理解できそうもない。。
ということで、面白そうな技術なのだけど、結局よくわからないままという消化不良状態。。 とりあえず、モアレ現象を積極的に活用することで、直接視認できないけれど、隠れた文字や図を浮かび上がらせることが可能で、これが偽造防止にも使われるってことだけは何となく理解できたかも。。
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