アメーバによる髄膜脳炎は非常に怖いぞ
CNN.co.jpで見つけた記事(9/24)から。湖のアメーバで脳炎、少年3人死亡 米フロリダ
米フロリダ州オーランド(CNN) 当地周辺でこの夏、湖で泳いだ少年3人が相次いで死亡した。原因とみられているのは、魚でもワニでもなく、肉眼では見えない微生物「アメーバ」だ。アメーバといえば、原生動物として知名度が高いが、直接お目にかかることがあまりないせいか、どこにいるのやら?という印象がある。ウィキペディアによると、アメーバというのは、非常に多くの種があり、結構われわれの身近に存在しているようだ。このアメーバは、フォーラー・ネグレリアと呼ばれる種類。温かい淡水中で増殖し、鼻の粘膜から脳に侵入する。感染すると、最初はインフルエンザに似た症状が現れ、その後1日‐2週間のうちに急激に悪化する。脳組織が破壊されるため、けいれんやこん睡が起き、致死率は非常に高いとされる。
ウィル・セラーズ君(11)は8月のある週末、オーランド市内の湖で水上スポーツのウェイクボードを習った。その後インフルエンザのような症状を訴えたため、病院へ運ばれたが、わずか2日後に亡くなった。フォーラー・ネグレリアによる脳炎だった。同市周辺では6月に14歳の少年、9月に10歳の少年が、同様の症状を示して死亡している。フロリダ州では、アメーバ感染が発生しても州保健当局への届け出義務はない。しかし、一都市の周辺で3人が相次いで死亡したのは、きわめて異例の事態とされる。
オーランドのあるオレンジ郡の保健局長、ケビン・シェリン博士によると、フォーラー・ネグレリアに感染しているかどうかはMRI(磁気共鳴画像装置)で診断でき、初期なら抗生物質で治療することも可能だという。しかし、過去に報告された症例が少ないため、医師が感染の可能性に気付かず、見逃してしまうことも考えられる。米国内で報告があったのは、1989年以来わずか24件だ。
オーランドで今夏、感染が続発した原因については、猛暑で水温が上がっていたことを指摘する説などがある。当局は、市周辺の湖や池に、水温が27℃を超える場合はなるべく水に入らず、泳ぐ場合は鼻をふさぐノーズクリップを使うよう呼び掛ける看板を設置した。また、シェリン博士は「湖で泳いだ後にインフルエンザのような症状が出たら、ただちに医師の診察を受けるべきだ」と警告している。
今回の事故の原因となった、フォーラー・ネグレリアというアメーバによる脳炎は、温泉から感染する病気によると、正式名称は「原発性アメーバ性髄膜脳炎」というもので、温泉や湖沼、プールなどの水が、鼻から人体に入り、嗅覚神経を伝わって脳に入り込み、髄膜脳炎を引き起こすというもののようで、ニュージーランドで比較的多く見られる症状のようだ。
日本でも、このフォーラー・ネグレリア(Naegleria fowleri)というアメーバによる髄膜脳炎による死者は過去に1名だけ(1996年、佐賀県)いるとのこと。これについては、この水を飲むな!!に詳しい。このアメーバは、なんと水温40℃程度で繁殖しやすいという熱さ好きで、しかも水道水でも生存できるというとってもタフな奴らしい。そのため、温泉やプールなどの水から見つかっているようで、結構われわれの身近に危険が潜んでいるということのようだ。
ただし、口から飲んだ場合には問題はないようで、危険なのは鼻腔に入った場合で、頻度は高くはないものの、稀に脳に進入してしまうということらしい。しかし、一度脳内に入り込むと、その致死率は極めて高く、解剖してみると脳が溶けたかのようになっているということで、とても恐ろしい病気と言えそうだ。
それにしても、アメーバのような人体にとってそれなりに大きな異物が、そんなに簡単に脳内に進入できてしまうというのは実に恐ろしいことではなかろうか。鼻腔から脳へと伝わる通路(嗅覚神経?)には特に異物を排除するシステムがないのだとすると、この特殊なアメーバ以外にも、いろんな微生物などが同じルートで脳に侵入してもよさそうなものだが、もしかすると、このアメーバが特別な技を使って、生体防御システムを騙して進入しているのだろうか?
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