CO2排出量を削減するレジ袋
最近なんだかんだと忙しく、久々の更新。nikkei BPnetのニュース(11/26)から。am/pm、新レジ袋でCO2削減、東京ドーム130個相当の森林面積分
コンビニエンスストアのエーエム・ピーエム・ジャパン(am/pm)は、焼却処分時のCO2排出量を従来の半分に抑えたレジ袋とゴミ袋を導入すると発表した。2008年春までに全店舗で採用し、チェーン全体のCO2排出量を年間3000トン削減する。これは東京ドーム130個分の面積を持つ森林が1年間に吸収するCO2の量に相当する。袋の厚みを薄くして、樹脂の量を減らすのはともかくも、「燃焼時に樹脂中の炭素が空気中の酸素と結合しにくくなる性質」とは何だろう? この件に関する、エーエム・ピーエムのニュースリリースによると、この新しいレジ袋は、アイトリックス株式会社が開発したもので、その核となるのはイーベーシック株式会社のナノハイブリッドカプセル2(NHC2)という樹脂添加剤のようだ。ナノテクノロジー開発のアイトリックスがレジ袋メーカーと共同で製品化した。袋の厚みを薄くして原料樹脂の使用量を抑え、CO2排出量を約10―30%削減した。また焼却時に樹脂中の炭素が空気中の酸素と結合しにくくなる性質を加えた。これによりCO2排出量を約35―40%減らす。
コンビニエンスストア各社は容器包装リサイクル法に基づき、2010年度に10年前と比べCO2排出量を35%削減する目標を立てている。am/pmは新たなレジ袋とゴミ袋の採用により、目標を2年前倒しで達成する計画。
イーベーシック社のナノハイブリッドカプセル2を調べてみたら、何とこの技術は2年前にこのブログで燃焼時のCO2発生を削減する添加剤として取り上げたものではないか。。 エーエム・ピーエムのレジ袋の記事を見ても、まさか以前に取り上げたものとは全く思わなかったのだが、記事を見て思い浮かんだ疑問はほぼ同じであった。
この時は、調べてみたけど技術の中身がまるで見えないけど大丈夫か?というニュアンスでブログを書いたのだが、今はイーベーシックのサイトにきちんとした(?)説明が載っている。ナノハイブリッドカプセル2を樹脂に添加すると、強度が向上し、その分だけフィルムを薄くすることが可能となり軽量化できるようだ。また、問題のCO2削減については、
NHC2を添加したプラスチックを燃やした場合、カプセルに内包している金属ポルフィリンが酸素を取り込み、周りに酸素濃度が低い層を作ります。このため気化した可燃性気体と酸素の結合がしにくい(燃えにくい)状態となり二酸化炭素の発生を抑制します。ということで、焼却処理する際に、添加剤が酸素と結合することで、樹脂は完全燃焼せずに灰として残るということらしい。実際に、廃ガスの組成がどうなるのかとか、どんな組成の灰が残るのかに興味があるのだが。。
このため灰は残ります。灰も出ずCO2も出ないことの方が良いですが、それはあり得ません。我々はCO2を大気に放出するよりは灰として残し、埋立やセメントの材料などで処理すべきと考えます。
イーベーシック社が出願している特許を調べてみたら、基本特許の1つと思われる特開2007-77213などが見つかった。請求項1は「少なくとも金属ポルフィリン錯体を含む二酸化炭素減少剤」というもの。実施例もそっけないもので、例えば実施例1は、
上記実施形態において例示した処理対象物に対して、金属ポルフィリン錯体を含む溶媒を加え、燃焼ガス分析試験を行った(JIS K7217に規定される燃焼ガス発生法、ガスクロマトグラフ法(GC-TCD)による二酸化炭素量の分析方法 )。ということで、分析結果の数値も載ってないし、二酸化炭素が減って何が増えたのかも示されていないという代物だった。ということで、結局2年前と比べてみても、あまり情報量が増えていないという結末だったみたいだ。。その結果、金属ポルフィリン錯体を加えて焼却した場合、金属ポルフィリン錯体を加えずに焼却した同種の処理対象物に対して二酸化炭素量を削減させることができた。
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