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2007/11/12

中国製ビーズ玩具に有毒物質

CNN.co.jpの記事(11/10)から。中国が輸出禁止を発表、誤飲で意識不明のビーズ玩具

米国やオーストラリアで毒性の化学物質を含む中国製ビーズ玩具「アクアドッツ」を誤飲し、男児ら複数が意識不明などに陥り入院した事故で、中国の国家品質監督検査検疫総局は同玩具の輸出を禁止した。国営・新華社通信が10日報じた。

同局は玩具の品質の調査も指示、化学物質が混ざった経緯などの解明に乗り出した。玩具の製造メーカー名には触れていない。

誤飲などして米国で2人、豪州で3人が入院している。これを受け米国の消費者製品安全委員会が約420万点の同玩具の回収を発表。違う商品名で売り出されていた豪州でも販売を禁止した。

この玩具はビーズで好きな形状を作り、水を吹きかけると固まる仕掛けとなっている。誤飲した場合、コーティングに使っている化学物質が強い毒性を発し、意識不明や呼吸困難を招くという。

まあ、またかといったニュースなのだが、肝心の毒性の化学物質が何であるのか?が書かれていない。CNNには続報も掲載されており、中国当局、ビーズ玩具の有毒性認めるによると
誤飲した場合に意識不明や呼吸困難を招くとして米国やオーストラリアで回収された中国製ビーズ玩具「アクアドッツ」について、中国国家質量監督検験検疫総局(AQSIQ)はこれまで独自に実施した調査の結果、有害な化学物質が含まれていることを確認した。新華社が伝えた。

AQSIQが10日夜発表したところによると、ビーズ玩具の製造元は、香港に隣接する深センに本社を置く旺奇製品廠。同社を立ち入り調査したところ、有害物質が柔軟材として14.5%も使用されていた。

ということで、含有量まで報じているのに、なぜか物質名が出ていない。他のニュースサイトを探してみると、朝日、毎日、日経のニュースにも物質名は出ていない。読売はこのニュース自体が掲載されていないようだ。一方、MSN産経ニュースの恐怖!中国製毒ビーズ回収には物質名が載っている。
 【ワシントン=渡辺浩生】米消費者製品安全委員会(CPSC)は7日、カナダの玩具メーカーが販売した中国製の人気ビーズ玩具「アクア・ドッツ」約420万個の自主回収を発表した。ビーズに毒性の化学物質が含まれ、誤って飲み込むと意識を失ったり、呼吸が苦しくなったりする恐れがある。2人の幼児が意識をなくして病院に運ばれた被害が報告されており、CPSCは使用中止を呼びかけている。 

 回収を始めたのはスピン・マスター(本社トロント)。商品は今年4月から全米で17~30ドルで販売。水を掛けるとビーズ同士がくっついていろいろな形をつくることができる。小売り最大手ウォルマート・ストアーズでは今年のクリスマス用玩具のトップ12位に挙げられた人気おもちゃだ。

 しかし、表面に「1・4-ブタンジオール」という工業用溶剤が使用されており、体内に摂取すると麻薬のように中枢神経を抑制する毒性がある。同社はカナダでも自主回収する。オーストラリアでも同様のビーズを飲み込んだ3人の子供の被害例があり、100万個の回収が開始された。

ということで、問題の化学物質は 1,4-ブタンジオールだったようだ。実はこいつは会社員時代に多少縁のある物質だったのだが、こんな有害性があったという認識はなかった。。 本家 CNN.com の China confirms toxic toy findingsによると、
Scientists have found the highly popular holiday toy contains a butylene glycol adhesive solvent that, once metabolized, converts into the toxic "date rape" drug GHB (gamma-hydroxy butyrate), U.S. Consumer Product Safety Commission (CPSC) spokesman Scott Wolfson told CNN.
とあり、ブチレングリコール(1,4-ブタンジオールの別名)を飲み込むと、これが体内でGHB(γ-ヒドロキシ酪酸)に変化するとのこと。このGHBは、デートレープドラッグとも呼ばれ、日本では麻薬に指定されている禁止薬物だ。

ただし、1,4-ブタンジオールのMSDSを見ても、今回のような危険性を示唆する記載は見られない。一方、国際化学物質安全性カードを見ると、吸入の欄には「し眠」と書かれており、短期曝露の影響の欄には「中枢神経系に影響を与え、昏迷を生じることがある。」と書かれている。(し眠は「嗜眠」と書き、意識の混濁した眠り続けた状態のことを言うようだ。)ということで、今回の症状は従来から知られている有害性だったようだ。となると、やっぱりそんな物質を子供が直接口にする可能性のあるものに使用したというのは、明らかな落ち度と言えるだろう。

それにしても、何故に日本の多くの新聞記事では具体的な物質名を記載しなかったのだろう。CNNの記事の場合には、元となる英文記事には物質名が出ているわけだし、何が含まれているかを書かずに含有量だけを記載するというのは何とも不思議だ。。 もしかしたら、記者または編集者が専門的な用語(しかも、文字数がやや多めだし)は不要と判断したのかもしれない。でも、新聞社にとってはたいした意味を見出せない名前でも、それを知ることが役に立つ人もいるということを考えて欲しいものだ。

今回の場合には、国内で流通している同等の製品に同じように1,4-ブタンジオールが含まれていないか、とか1,4-ブタンジオールを別の目的で使用している人たちが参考にするとか、いろいろと役に立つはずだが。

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» ビーズ玩具から有毒物質 (中国) [京都日記~独り言~]
中国の国家品質監督検査検疫総局は10日、米国やオーストラリアで誤飲事故が起き回収された中国製ビーズ玩具から、有毒な化学物質が検出されたと発表。製品は広東省深セン市のメーカーが生産。検疫総局は輸出を禁止した。ビーズ玩具は「旺奇製品廠」が生産し、香港の代理店を通じてオーストラリア企業が自社ブランドで販売。製品には毒性化学物質が14・5%含まれていた。中国製は信用がありませんよね。私も中国製の物は極力買わないようにしています。誰も知らない中国のビジネスリスク... [続きを読む]

受信: 2007/11/13 10:08

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