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2008/01/16

「21世紀、科学技術とどう向き合っていくか」特別シンポジウム

最近ブログの更新が滞っているけれど、元気ですよ、ということで、本日参加してきたシンポジウムの話を少し。

これは、日本学術会議を始めとして、科学技術振興機構、日本学術振興会、日本工学会、日本化学会、日本機械学会、日本物理学会などが共同主催したもので、「21世紀、科学技術とどう向き合っていくか」というとても大きなテーマを議論しようというもの。この特別シンポジウムの趣旨や内容は、こちらのページで見ることができる。

シンポジウムのタイトルが非常に広範囲で漠然としたものではあるが、主たるテーマはニセ科学を巡る問題およびその背景となる社会状況について多方面から議論しようということである。今回のシンポジウムが企画されたきっかけは、昨年日本化学会の会誌で安井先生が「水からの伝言」に対する危機感を表明したことをきっかけとして巻き起こった議論にあったようだ。

とはいえ、テーマがテーマだし、講演者やパネラーはそれぞれ異なる立場の方々なので、現状認識や問題意識もバラバラだし、このシンポジウムに期待するものもそれぞれかなり異なっていたように思う。参加者は100名程度だろうか。平日の昼間に無料で行われたわけだが、参加者の多くは平均年齢がかなり高めのスーツ姿のおじさん達といったところ。それでも、こんなメンバーが集まって、こんな場所で、こんな風にニセ科学が議論されるようになったというのは、大きな進歩のように思える。(進歩といっていいのか?)

面白かったのは、元文部大臣、現日本科学技術振興財団の会長の有馬朗人さんの講演。有馬さん自身の体験に基づいた常温核融合騒動の問題点の話や、BPO(放送倫理・番組向上機構)設立の経緯の話などを交え、実に明快にニセ科学を巡る問題に立ち向かう姿勢について語っていただき、とても元気と勇気をもらえたように思う。有馬さんの提言としては、科学者はニセ科学を批判する勇気を持てということ、考える力や批判する力の重要性を世に訴えること、マスコミは反(非)科学的情報を規制する組織を作ること、など。

パネルディスカッションは、時間も中途半端で議論も拡散しがち。本当はパネルディスカッションよりは、各パネラーにそれぞれ20分ぐらいの持ち時間で講演してもらったほうが得られるものが多かったかもしれない。

最終的に、このシンポジウムからの提言として「21世紀、科学技術とどう向き合っていくか」のステートメントというのが出された。できるだけ多くの人にこの提言を伝えて欲しいということなので、ステートメントそのものをここに掲載しておく。(PDF版テキスト版(OCRしたもの)) 

このステートメント、読んでもらうとわかるけど、「みんながそれぞれの立場でやるべきことをきちんとやりましょう!」というようなもので、まあ驚くようなことは何も書かれていないし、何かこれだけは頑張ってやろう、というような重点目標があるわけでもなく、あれもこれもやりましょう、というありがちなものである。でも、できるところができることをやる、という形で少しずつでも良い方向に向かって動き出せば、全体としては確かに少しずつでも改善されていくのかもしれない、と期待しておこう。

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