2008/01/07

京都議定書の約束期間はもう始まってるの?

年末年始は急な仕事が入ったことに加え、ダイヤルアップでしかネットにつながらない環境にいたので、ご無沙汰してましたが、遅ればせながら本年もよろしくお願いいたします。

久々にダイヤルアップでネットにつないでみたが、その不便なことに驚かされた。昔は特にストレスなく見ることができたニュースサイトなども、広告や多くの画像が貼り付けられているために非常に重くて、到底実用にならないことに辟易とさせられた。それでも毎日の天気予報だけは頑張ってダウンロードしたので、東京地方の過去の天気予報は、何とかデータを欠くことなく継続できた。

さて、今年は京都議定書の約束期間が始まる年ということで、年明けからそれに関するニュースなどを何度か見聞きしたのだけど、1月から約束期間が始まったという趣旨のニュースもあれば、いよいよ今年の4月から約束期間が始まるというニュースもあったりで、何だか混乱してしまった。まあ、1月から始まろうが、4月から始まろうが大勢に影響はないのだろうけど、何だか気になるところ。

調べてみると、例えばMSN産経ニュースでは

 地球温暖化防止に向けて、先進国に二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの削減を義務づけた京都議定書の第1約束期間(2008~12年)が1日から始まる。先進国全体で1990年に比べ、年平均5・2%削減することを目指し、日本も平均6%の削減が義務づけられている。

 温室効果ガスにはCO2のほか、メタン、一酸化二窒素(N2O)、代替フロンなどがある。日本は統計上の問題から年度ベースでの対応となり、実際に約束期間の排出量として算入されるのは4月からとなる。

とあり、世界的には1月からの排出量がカウントされるのに対し、日本は4月からの排出量がカウントされるということらしい。一方、asahi.comによると
 排出量は、各国が石油消費量などの統計から国際ルールに基づいて計算し、国連気候変動枠組み条約事務局に報告する。日本では、温室効果ガスの量の95%を占める二酸化炭素とメタン、一酸化二窒素は年度ごとの統計に基づくため、約束期間の排出分に算入されるのは4月1日からになる。1月から算入されるのは、業務用冷蔵庫の冷媒などに使われる代替フロンなど3種類のガス。
とあり、二酸化炭素やメタンなどは4月から、代替フロンなどは1月からカウントするというとても複雑なルールになっているようだ。それにしても、暦年と年度が一致しないのは日本だけなのだろうか?

環境省のサイトで気候変動枠組条約・京都議定書のページ周辺をざっと見た限り、各国の約束期間が何月から始まるのかなどの具体的な規定が書かれているページは見つからなかった。少なくとも、京都議定書や気候変動枠組条約そのものにはそんな細かなことは記載されていないようなので、別の取り決めで細かなことが規定されているのだろう。環境省のサイトなどを頑張って探してみたのだけれど、結局それらしい情報を見つけることはできなかった。。

安井さんの市民のための環境学ガイドでも京都議定書第一約束期間スタートでも議論されているように、このまま行くと日本は京都議定書の約束を果たすのは相当に大変な状況にあるのは間違いないようだ。3か月だけでも先延ばしできるということは取り組みの遅れている日本にとってはちょっとだけでもありがたいことなのかもしれない。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2007/08/01

レーザープリンタからのトナー放出による健康リスク

ITmedia News(8/1)から。「レーザープリンタに健康リスク」、研究者が指摘

 オフィスや家庭で使われているレーザープリンタに、健康上のリスクをもたらす可能性がある。米国化学会の学会誌で、このような研究結果が発表される。

 この研究は豪クイーンズランド工科大学のリディア・モラウスカ博士が実施したもの。62機種のレーザープリンタについて、トナー粒子の放出を調べた。調査対象には、キヤノン、Hewlett-Packard(HP)、リコー、東芝などのブランドで国際的に販売されている、米国やオーストラリアで人気の高いモデルが含まれる。

 モラウスカ氏は論文の中で、特定のレーザープリンタはトナーの細かな粒子を空中に放出し、人間がそれを肺に吸い込むと健康を害する恐れがあると説明している。同氏らは、62機種のうち17機種を、インクの代わりにトナー粒子を多く放出する「高粒子放出機」と分類している。実験で使ったある機種では、放出される粒子の割合が、たばこから出る粒子状物質の割合と同程度だったという。

 一方、62機種のプリンタのうち37機種は、空気を汚染する粒子の放出がまったくなかった。6機種は低レベルの放出量で、2機種は中程度。

 ほとんどのプリンタが放出する粒子は超微細であり、有害物質が肺の狭い気管にも容易に入り込んで「深刻な健康上の危険」をもたらす恐れがあるとモラウスカ氏は報告している。また、プリンタ使用によって作業中のオフィス内の粒子レベルは5倍に増え、新しいトナーカートリッジを使っているときと、トナーが多く必要な画像を印刷するときに、粒子の放出が多くなることも示された。

原理的に考えても、多少のトナーの大気中への放散は避けられないような気もするが、このような話が今までなかった方が不思議といえば不思議。ただし、この研究では、ある種のレーザープリンタから室内へのトナー粒子の放出を確認したというもので、トナー自身の有害性や、その結果として想定される健康リスクがどの程度のものなのか、などについては何も言及していないようだ。

少し探してみると、CTV.caのニュースで、もう少し詳しい情報や、今回評価したプリンタのリストが載っている。この研究はオーストラリアの大学でのもので、テストしたプリンタはほとんどがHPのプリンタなのだが、東芝のプリンタも1機種だけ高放出機に含まれている。でも、東芝のほとんど同じ型番の機種は無放出機にランクされているし、HPのプリンタも型番とトナー放出の有無の関係が全然読み取れないところから推定すると、今回の結果は、それぞれの機種固有の特性というよりは、各機器の機体差とか、機器の調子の良し悪しのようなものも関係しているような気もする。

さて、ウィキペディアによると、トナーは粒子径が5μm程度で、マウスでは肺がんが観測されたとのことだが、そんなに有害性の疑われるものが、一般製品に多量に使用されているとも思えない。たとえばMSDSを見ると、通常想定される濃度では問題なさそうだし、含有するカーボンブラックのIARC発がん性分類が2B(ヒトに対して恐らく発がん性がある)ということで、日常的に生のトナーを扱うのでなければそれほど怖がる必要はないだろう。

実際のトナーはこちらでも解説されているように、スチレン-アクリル系などの樹脂とカーボンブラックなどの着色剤などを混合し、これを溶融し、さらに粉砕して8μm程度にしている。

今回の研究では、オフィス内の環境を調べようとしたら、意外にも外よりもオフィス内の環境の方が粒子が多いということがわかり、詳しく調べてみたらプリンタが微粒子の放出源であることが明らかとなったため、改めて検討を行ったということらしい。この結果から、プリンタからのトナーの放出レベルを規制すべきだ、と述べているようだが、調べてみると既に環境ラベルの認定では、プリンタやコピー機からのトナーの放出についても考慮されているようだ。

たとえば日本のエコマーク(プリンタトナーカートリッジ)やドイツのブルーエンジェルなどでは、トナー(粉塵)の放出量や、トナーの有害性が認定の基準となっている。

なお、今回の研究はJACS Environmental Science and Technologyに掲載されるらしいが、なぜか今のところこちらでその論文原稿?が読めるようだ。

| | コメント (1) | トラックバック (10)

2007/06/26

虫の侵食で消えてしまいそうな島

MSN毎日インタラクティブの記事(6/26)。無人島:虫が大繁殖、消滅の危機 瀬戸内海

 東広島市安芸津町沖の瀬戸内海にある無人島・ホボロ島が、ナナツバコツブムシという虫の大繁殖で消滅の危機にひんしている。無数の虫が掘った穴に波が打ち寄せることで岩が削られ、二つあった岩山のうち高かった方は完全に崩落した。調査を続けている沖村雄二・広島大名誉教授(地質学)は「島の地形を変えるほど大規模で急速な生物侵食の報告は、世界的にも珍しい」と指摘している。

 ホボロ島は1928(昭和3)年の地形図によると、東西約120メートルの細長い島で、最も高い所で21.9メートルあった。昭和30年代に撮影された写真では二つの岩山があり、高い方には松など植物が生えているのが確認できる。現在は、高い方の岩はほとんどなくなり、岩が散乱する砂州に高さ約6メートルの岩が一つ立つだけで、満潮時には大半が水没してしまう。

 地元住民の間で、「台風のたびに島が小さくなる」と言われており、依頼を受けた沖村名誉教授らが昨年、調査を開始。ダンゴムシと同じ甲殻類で体長1センチほどのナナツバコツブムシが無数に生息し、岩に多数の巣穴を開けているのを確認した。島の地質は、風化しやすい凝灰岩がむき出しの状態で、穴が開いてもろくなった岩が波の力で崩れ、急速に崩壊が進んでいるとする結果をまとめた。

 周囲の島では同じ現象は見られない。ナナツバコツブムシの生態は詳しく分かっていないが、沖村名誉教授は「ホボロ島の地質が巣穴を掘るのに適した軟らかさで、ナナツバコツブムシのえさが豊富にあるなどの条件も重なったのではないか」と推測している。

 調査結果は29日午後6時から、広島大総合博物館(東広島市)である公開講演会で発表される。

ということで、元記事には、以前と現在の島の写真や問題のナナツバコツブムシの写真が掲載されているのだが、ややわかりにくい写真である。探してみると、同じニュースは今年5月のiza:イザ!にも掲載されている。

また、東広島市自然研究会には、よりわかりやすい写真や解説が掲載されている。毎日の記事に出てくる講演会はこれ

広島といえば、厳島神社が最近何度も台風の影響で冠水する事態になったニュースが記憶に新しい。これは「温暖化による海面上昇と、黒潮の蛇行や暖水塊の接近に伴う異常潮位が原因とされる」とのことで、今回のホボロ島もその近くだし、同じ原因が多少は関係あるのかもしれない。しかし、写真を見ると、海面による浸食というよりは、岩の崩壊という感じなので、虫による侵食が主要因なのは間違いなさそうだ。

ところで、このナナツバコツブムシ、あまり知られていない虫とのことだが、水産加工品の異物混入の原因と対策によると、コツブムシ科の一種のようで、近い種としてヨツバコツブムシというのもあるようだ。また、こちらによると、コツブムシというのはキクイムシ類に属するのかな。(ウィキペディアではワラジムシ目コツブムシ亜目(有扇類)となっている)

ヨツハコツブムシは海水中のプランクトンなどをろ過して栄養源として摂取している。木材を消化・吸収する能力はなく、住処や隠れ場所として木材に穿孔する。
とあるが、ナナツバコツブムシの場合には木材の代わりに柔らかい岩石に穿孔して隠れ場所とするようだ。

岩石の質やエサの存在、さらには天敵がいないなど、この島の環境がよっぽどナナツバコツブムシに適しているのだろう。しかし、繁殖し続けているうちはさぞかし快適だったのだろうけど、いまや自分たちの生存に適した環境を自ら崩壊させているわけで、遠からず島の消滅と共に、彼らも死に絶えてしまう可能性が高そうだ。。

その意味でこのニュースは、人類の将来を暗示しているような感じがして、悲しいものがあるのだが、いわゆる自然破壊というのは、必ずしも人間だけが行っているわけではない、という例として考えられる点も、なかなか興味深い。

| | コメント (0) | トラックバック (32)

2007/05/22

イノベーション25とバイオブタノール

化学工業日報 The Chemical Daily News で見つけたニュース(5/22)から。総合科学技術会議、技術革新戦略ロードマップ公表

 総合科学技術会議は、イノベーション25中間とりまとめを受けて、イノベーション創出に向け、社会還元を加速するプロジェクト、分野別の戦略的な研究開発の推進、基礎研究の3層構造で形成した技術革新戦略ロードマップをとりまとめ公表した。このなかで、社会還元を加速するプロジェクトの一環として、「食料・飼料と競合しないバイオマス資源の総合利活用」を推進することによって、リグニンからの高機能樹脂、ナノセルロースファイバー、バイオエタノールを上回る高オクタン価ガソリン添加基材のバイオブタノールなどの技術開発を推進する。また、これらをベースにしたナフサ、エタンガスに代替する汎用樹脂原料のエチレンやプロピレンの供給多様化を視野に入れていく。
イノベーション25というキーワードは最近になって時々ニュースなどで聞く言葉。内閣府のサイトにも、イノベーション25のページがある。安倍政権が打ち出した政策の目玉の一つで、今から18年後の2025年までの技術革新計画といったもののようだ。どんな技術革新をイメージしているのかは、イラストで見る20のイノベーション代表例がわかりやすい。がん・心筋梗塞・脳卒中の克服とか、同時翻訳装置とか、空気をきれいにする自動車だとか、ある程度可能性のありそうなものからロボットによる月旅行なんてテーマまで並んでいる。

さて、今回のニュースはそのイノベーション25の中間とりまとめをベースにより具体的な開発テーマを発表したというものの中から化学系のテーマを抜き出して書いたもののようだ。総合科学技術会議のサイトに、この記事の元となった資料が載っている。総合科学技術会議(第67回)議事次第を見ると、資料1-2の(3)の4ページ目からが「食料・飼料と競合しないバイオマス資源の総合利活用」となっており、バイオマスを原料とした化石燃料代替燃料開発となっている。

これによると、「バイオマス資材の調達」では、未利用バイオマス資源の大量収集、低コスト集荷輸送技術の開発、ゲノム研究の成果等を応用した高バイオマス資源作物の作出・生産、が開発が必要な技術として上げられている。未利用バイオマス資源としては、森林資源、資源作物、有機系廃棄物など、食料・飼料と競合しないバイオマスと書かれているが、具体的な数量などは特に書かれていない。そんなに十分な量があるのだろうか?

「バイオ燃料化技術」では、分解、糖化、発酵システムの効率化により、バイオマス燃料の高効率量産技術を開発するとある。具体的には新規発酵菌や酵素の作出によりC5、C6糖の同時発酵技術、糖化-発酵の一段処理技術、セルロース系資源の分解・糖化・発酵技術の開発や、エタノールの高吸湿性等の欠点を解消するための、より燃焼効率が高いブタノール等の生産技術の開発を含むとある。

また、「材料製造技術」では、バイオアルコールからの汎用化成品の製造、リグニンを利用した高機能ポリマーの生産、セルロースを利用したセルロースナノファイバの調製およびこれを活用したバイオナノファイバコンポジット(BNFC)、高性能フィルム等の生産技術の開発があげられている。

ロードマップとしては、5年以内に要素技術を開発し、5年目に燃料生産の実証プラントの構築といった計画が書かれている。2025年には例えばバイオナノファイバコンポジットで補強されたバイオマス由来の材料でできたボディーで構成され、バイオ燃料で走行する自動車の開発を目指すとある。

うーむ、2025年にはまだバイオ燃料で走る通常の内燃エンジンを想定しているんだ。。 なんとなく他のテーマ(燃料電池自動車など)と整合性が取れていないような気もするけど、こちらの方が現実的な線かもしれない。 ただ何というか、無理やり何にでもバイオマスを導入しようとしているような印象もあるのだが、結局のところ、現在未利用のバイオマスがどれだけあって、そこからどれだけ効率的に樹脂や燃料を合成できるか? という部分に掛かっていると言って良いだろう。

ところで、ここに出てくるバイオブタノールだが、ウィキペディアにも出ているように、昨年BPとデュポンが発酵によるバイオブタノール生産技術の開発について発表を行っている。

 早期の市場への導入のため、初期のバイオブタノールの生産は、既存の技術で行います。第二段階では、新しいバイオテクノロジー・プロセスを使ってより高収率な生産の研究開発に着手しています。この生産には色々な種類の原料、例えば、サトウキビやビート、トウモロコシ、小麦、キャッサバなどを使用するつもりですが、将来的には、成長の早いイネ科作物や、麦わら、トウモロコシの茎といった「農作物副産物」のセルロース系原料の使用も視野に入れています。バイオブタノールの製造工程はエタノールと類似しており、使用する原料も同様であることから、既存のエタノール生産設備を改造すればバイオブタノールを生産することができます。
とあるが、何となく糖やセルロースはC5とかC6の化合物であり、これを原料にC4化合物を生産するのって、効率悪そうに思うのはバイオを知らない人の思い込みなのだろうか? 調べてみると、アセトン・ブタノール発酵というのはかなり古くから知られた発酵技術で、こういうのをベースに遺伝子組換えなどにより効率を高めるということかもしれない。

ところで、ブタノールといえば、1-ブタノール2-ブタノールなど、結構強烈な臭いがするし、それなりに有害性があるようだけど大丈夫だろうか? まあ、発がん性はないようだし、有機溶剤としての使用上の注意という点ではガソリンと同等ということで良いのかな。

一方、高濃度アルコール燃料のエンジン等への影響は、国土交通省の報告書によると、アルミニウムやゴムへの腐食が懸念されるものとなっており、どうやら既存のエンジンでは残念ながらブタノール100%燃料は使用できないようだ。まあ、ブラジル等でエタノール対応の車が走っているから、これについてはそれほど難しい話ではないだろうとは思うけど。

さて、将来の本命のバイオ燃料はブタノールになるのだろうか?

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2007/04/19

エタノールはかえって大気汚染を悪化させる?

最近、バイオエタノールがらみのニュースを多く目にするようになったのだが、アメリカでは、自動車燃料用のトウモロコシ生産が急増するとか、価格が上昇していろんな影響が出始めているとか、何だか大変な状況。そんなタイミングで、アメリカでちょっと話題になっているのが、エタノールエンジンからの排ガスはガソリンより有害ではないか? というニュース。代表して、ScienceDailyのニュース(4/18)から。Ethanol Vehicles Pose Significant Risk To Health, New Study Finds

Ethanol is widely touted as an eco-friendly, clean-burning fuel. But if every vehicle in the United States ran on fuel made primarily from ethanol instead of pure gasoline, the number of respiratory-related deaths and hospitalizations likely would increase, according to a new study by Stanford University atmospheric scientist Mark Z. Jacobson. His findings are published in the April 18 online edition of the journal Environmental Science & Technology (ES&T).
スタンフォード大学の研究によると、エタノールを主体とした燃料と純粋なガソリン燃料で、自動車排ガスによる大気汚染をシミュレーションした結果、どうやらエタノールの方が人的な被害が多くなるという結果が出たようだ。この学会のニュースはこちらで、論文はこちらで読めるようだ(論文閲覧は有料)。
Jacobson programmed the computer to run air quality simulations comparing two future scenarios:

A vehicle fleet (that is, all cars, trucks, motorcycles, etc., in the United States) fueled by gasoline, versus

A fleet powered by E85, a popular blend of 85 percent ethanol and 15 percent gasoline.

"We found that E85 vehicles reduce atmospheric levels of two carcinogens, benzene and butadiene, but increase two others - formaldehyde and acetaldehyde," Jacobson said. "As a result, cancer rates for E85 are likely to be similar to those for gasoline. However, in some parts of the country, E85 significantly increased ozone, a prime ingredient of smog."

この研究は2020年のアメリカ、特にロサンゼルスの大気汚染をコンピュータでシミュレーションするもので、全ての車(乗用車、トラック、バイクなど)が通常のガソリンで走る場合と、エタノールを85%含むE85燃料で走る場合を比較したようだ。E85の場合、発がん物質であるベンゼンとブタジエンの大気濃度は減少するものの、逆にホルムアルデヒドとアセトアルデヒドが増えるため、がんの発生には大きな違いはないという結果。むしろオゾンが大幅に増えることによる被害が大きくなるという計算のようだ。どんな計算をしたのか興味あるのだが、
"The chemicals that come out of a tailpipe are affected by a variety of factors, including chemical reactions, temperatures, sunlight, clouds, wind and precipitation," he explained. "In addition, overall health effects depend on exposure to these airborne chemicals, which varies from region to region. Ours is the first ethanol study that takes into account population distribution and the complex environmental interactions."
とあり、地形条件や気象条件なども考慮した光化学反応を組み込んで、大気中の有害物質濃度およびヒトへの暴露の程度を推定したシミュレーションのようだ。このニュースからは、ベースとなる自動車からのアルデヒドやオゾン、あるいはNOxなどの排出量をどのように推定しているのかは不明だ。

日本でも、ETBE含有のガソリンの発売が始まるようだけど、二酸化炭素の話ばかりで、排ガス中の有害物質の話がほとんど出てこないのはどうしてだろう? JARI(日本自動車研究所)の資料によると、自動車エンジンにアルコール燃料を使用した場合、空燃比が希薄側になり、NOxとアルデヒドが増加し、CO、HCが減少すると書かれている。一方、アルコール専用エンジンの場合には、CO、NOxおよびオゾンが減少するがアルデヒドは増加するとのこと。燃料が変化するのであれば、当然エンジンや触媒もそれに合わせる必要があるし、現状のエンジンで燃料だけを大幅に変えるケースを検討してもあまり意味はないのかもしれない。

この研究も、現在の技術のままで将来を予測しているような部分がありそうで、自動車側の技術の進歩で結果は大きく変わってしまうと思われる。とは言うものの、自動車燃料のバイオ化は、食料や飼料と燃料との資源の争奪戦の問題もあるし、量も量だから影響は非常に大きいわけで、過熱気味?の地球温暖化防止ブームに乗って、闇雲にエタノールに群がる動きに対し、「ちょっと待て!」と、少し冷静に考えさせる意味ではこういう発表も悪くないかもしれない。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2007/03/12

豪州に続き、EUも白熱電球を禁止の方向

アジア・欧州経済情報/NNAのニュース(3/12)から。首脳会議、白熱電球の禁止で合意

欧州連合(EU)は9日、ブリュッセルで開いていた首脳会議(サミット)で、エネルギー効率改善に向け、2010年までに従来型の白熱電球の使用を禁止する方針を固めた。地球温暖化対策のための行動計画に盛り込まれた。

フィラメントを使った白熱電球は蛍光灯などと比べて同じ光量での消費電力が大きいため、節電型電球への切り替えを促進する。本決まりになれば、街灯や公共施設、オフィスだけでなく、一般家庭でも節電型電球の使用が義務付けられる。

このほかサミットでは、1月に欧州委員会が公表した新たなエネルギー政策が承認された。二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出量を2020年までに1990年比で20%削減するほか、エネルギー消費全体に占める再生可能エネルギーの割合を2020年までに20%に引き上げる内容だ。

うーむ、1/31のエントリでカリフォルニア州が白熱電球を禁止?という話題を取り上げた時には、法案名称も奇抜だったし、まさかこんな規制が世界に広まるとは思いもしなかったのだが、わずか1か月半の間に、ニュージャージー州オーストラリア、そして今回のEUと、立て続けに白熱電球を禁止する方向に走り出したようだ。

今回のEUサミットでは、2020年までに温室効果ガスの排出量を1990年に対して20%削減するというのをポスト京都議定書の数値目標としたようだが、今後具体的な対策の部分ではいろいろと議論が出てきそうだ。一方で、この白熱電球禁止というのはある意味でとてもやりやすいし、わかりやすいという点がキーポイントとなっているような気がする。

白熱電球を地球温暖化対策のスケープゴートのように扱うことは、比較的反対意見が出にくいという点でも、温暖化キャンペーンを進めるのに役立ちそうだ。しかも、実際に省エネルギー効果は明確だし、長期的にはコスト的にもメリットがあるはずだから、まあ、電力会社以外は、電機メーカーも一般消費者も誰も困らないという点で、推進しやすいのは確かだろう。

ということで、環境対策で先進的というイメージがあるEUが踏み切ることで、世界全体がそろって白熱電球禁止の方向に向かうということになりそうな気配も出てきた。。 まあ、それはそれでいいのだけど、「それ自体は特に有害でも危険でもないけれど、他と比べてエネルギー効率が悪いからという理由だけで、その販売が禁止される製品」というのには、他にどんなものがあるのだろう? という素朴な疑問も。。 

一方で、法律による白熱電球の禁止が容認されるのであれば、他にも禁止されてもいい製品というのもありそうな気もするし、例えば燃費の悪い車だとか、効率の悪い家電製品などは禁止しなくていいのか? なんて意見も出てきそうだ。。 

とはいえ、日本も遠からず同じ方向に向かうのだろうな。。

| | コメント (4) | トラックバック (3)

2007/02/27

塩ビサッシ内窓の効果

化学工業日報の記事(2/26)から。環境省、塩ビサッシ内窓の採用拡大

 環境省が塩ビサッシ内窓の採用を拡大する。大臣室などの個室を中心に、今年度内に実施する予定。同省では京都議定書の温室効果ガス削減目標達成に向けた省エネ対策として塩ビサッシに注目し、昨年10月にモデル工事として初めて省内に設置した。その効果が実感できたことから採用を増やすことにした。塩ビサッシは高断熱で結露を防ぐなどの特徴を持つ。アルミ製など既存サッシに比べ冷暖房効率が飛躍的に向上し省エネ、温暖化ガス削減に寄与し遮音性にも優れる。京都議定書の温室効果ガス削減目標達成には、民生部門での対策も求められており、環境省では塩ビサッシ(内窓)による断熱リフォームの普及に期待を寄せている。
小池さんが大臣の時には、クールビズ、ウォームビズ、もったいない風呂敷など、なかなか積極的なプロモーションが目立った環境省だが、最近はすっかり目立たなくなってしまった。恐らく、今の環境大臣の名前と顔を知っている人はかなり少ないのではないだろうか? この塩ビサッシ内窓の採用による省エネについても、小池さんの時代に導入されたものらしい。

どんなものか探してみると、PVCニュースに昨年10月に導入した際の記事が載っている。これによると、合同庁舎5号館の環境省の23階と26階の既設の窓の内側に、複層ガラス+塩ビサッシのうち窓を施工したとのこと。低熱伝導率の塩ビサッシと複層ガラスにより、かなり断熱性能が向上するらしい。関連ニュースが掲載されている、塩ビ工業・環境協会のトピックスによると、樹脂サッシ普及促進委員会というのがあるようだ。

この、樹脂サッシ普及促進委員会のサイでには、樹脂サッシの効果について具体的なデータを示して、わかりやすく説明してくれている。普通の単層ガラス+アルミサッシに比べると、これに複層ガラス+塩ビサッシの内窓を施工することによって、サッシから逃げる熱量が36%程度に削減されるということで、かなりの省エネ効果が期待できるようだ。この中央合同庁舎第5号館霞ヶ関の歴史によると昭和58年の完成とのことであり、この時期であれば気の利いたビルなら最初から複層ガラスとか2重サッシになっていても不思議はないような気もするが、そうではないのかな。。

今回環境省の工事を担当したらしい、大信工業の情報を見ると、今なら既設住宅にこの塩ビサッシ内窓を取り付ける断熱リフォーム工事を行うと、NEDOから補助金が出るケースもあるようだ。

そういえば、環境省はこの冬、庁舎内の暖房を原則として停止するというニュースがあったが、実態はどんな様子なのだろう? 冒頭のニュース記事では、「効果が実感できた」とあるけれど、何と言っても今年は記録的な暖冬だったわけで、塩ビサッシ工事の有無で比較可能とはいえ、本当の実力はまだ評価できていないというところだろう。。 

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2007/02/26

バラスト水の処理技術

NIKKEI NETの記事(2/26)から。船に積む海水中の微生物を破壊、外来種問題防止へ新技術

 空荷の船体を安定させるために積む海水「バラスト水」中に含まれ、外来種問題を引き起こす微生物などを、バラバラにして高確率で殺す新技術を日本海難防止協会(東京)や三井造船などの研究グループが26日までに開発した。

 簡単かつ低価格な装置で、船に搭載して国際的な「バラスト水管理条約」の基準をクリアできる世界初の技術となる可能性があり、実現すれば日本など各国の条約批准にも弾みがつきそうだ。

 バラスト水をめぐっては、その中に含まれるプランクトンや貝、海藻などが本来の生息地から他国に運ばれ、外来種として生態系を壊すことが問題化。オーストラリアなどではアジアのワカメが繁殖、米国の5大湖では東欧原産の貝が発電所の吸水口を詰まらせるといった被害も出ている。

 国際海事機関(IMO)が2004年、国際船舶のバラスト水に厳しい生物濃度基準を定めた条約をまとめ、この基準を満たす処理技術の開発が課題になっている。

この記事では、バラスト水中の微生物の写真が掲載されている一方で、この技術の内容については何も触れられていない。日本経済新聞の2/26の夕刊には、
 グループは、日本財団の助成を受け、バラスト水の取水パイプ内に幅1ミリ以下のすき間を何本も入れた仕切り板2枚をはめる手法を開発した。2枚の板は、すき間が互い違いになるように配置。ポンプで吸い上げた海水がすき間に勢いよく流れ込んだときに、流水中で速度の速い部分と遅い部分ができるようにして微生物の体がちぎれるようにした。また、水が細いすき間を通る際に生じた泡が砕けるときに発生する圧力でも微生物を破壊する。

 殺菌力のあるオゾン発生装置を併用して体の小さい細菌も殺し、陸上実験では微生物がほぼ100%死滅した。

と書かれている。今ひとつ具体的にイメージしにくい説明だが、ある程度大きな生物は機械的に破壊し、微生物はオゾン殺菌で殺すという二段構えのようだ。

バラスト水については、ウィキペディアに説明がある。日経の夕刊の記事によると、このバラスト水中の生物の量を一定以下にすることを定めた国際条約は2004年に採択されたものの、実用レベルの処理技術が未開発であることを理由として日本を含む多くの国が批准していないため、まだ発効していないようだ。現時点で批准しているのはスペインなどの6カ国。発効するためには、30カ国以上が批准し、かつ合計商船船腹量が世界の35%以上となる必要があるとのこと。

今回の技術については、日本財団 六分儀 海・船によると、スペシャル・パイプ・ハイブリッド処理装置と名付けられている。このページには、実際の装置の模式図や写真が掲載されており、構造や原理がよくわかる。スリットのすき間と死滅する微生物のサイズの関係が不明だが、スリットサイズのほうがかなり大きそうに見える。このようなスリットを高速で通過させるだけで、海水中に含まれている生物の大半が死滅するってのも、考えてみるとちょっと面白い技術である。

より一般的なバラスト水の処理方法については、こちらに詳しい。物理的除去、機械的殺滅、熱処理、化学的処理などがあるものの、大きな生物と微生物を共に処理する必要性から、これらを複合させた技術が本命となっているとのことで、今回のスペシャル・パイプ・ハイブリッド処理技術も、その方向に沿ったものと言える。日経の記事では、今回の技術が基準をクリアする世界初の技術となる「可能性がある」と書かれているが、他の技術も実用化に向けてテスト中のようであり、今回の技術が特に飛びぬけているわけではなさそうに見える。

説明を読む範囲では、船舶への取水時に完全に殺してしまうというもののようだが、その後の航海期間中に、再びいろんな生物が繁殖してしまうことはないのだろうか? それなりに栄養分を豊富に含んでいそうな水だし、一旦完全に殺菌したとしても、航海中に大気などから微生物が混入するのを完全に防ぐのも非現実的だろう。とすると、廃水時にも再び同じ装置を通して微生物の破壊と殺菌を行うのだろうか。。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007/02/07

第二世代バイオディーゼル燃料とは?

asahi.comの記事(2/6)から。都バス、廃油・脂身でも走行実験へ 有害物質減目指す

 二酸化炭素や排ガス中の有害物質を減らすため、東京都は6日、トヨタ自動車や新日本石油などと手を組み、次世代バイオディーゼル燃料で都バスの走行実験を07年度に実施すると発表した。ラードなど動物性の廃油や、食肉処理の過程で不要になる牛や豚の脂身も使う。早ければ3~5年後の実用化を目指す。

 次世代バイオ燃料の精製法は、新日本石油とトヨタ自動車がすでに開発。トヨタと日野自動車も、大型ディーゼルエンジンに与える影響を調べている。都は07年度中に路線バス2台を使い、営業運転中の走行試験を行う計画だ。

 バイオ燃料は軽油と違い、燃やしても二酸化炭素の増加にはつながらないという。ただ、従来のバイオ燃料は菜種や大豆などの植物油が原料。時間がたつと劣化し、エンジンの故障などにつながることがある。

 次世代バイオ燃料は軽油と同じ成分のため、「理論上は軽油を一切使わずに車を走らせることも可能」(都環境局)だ。燃焼効率が上がるため、燃えかすとして大気中に排出される粒子状物質(PM)も大幅に減るという。

何となくピントのはずれた記事のような印象が。。 特にタイトルの「有害物質減目指す」とか、最後の「大気中に排出される粒子状物質も大幅に減る」とか、どうやら次世代バイオディーゼル燃料を使うと、現在使われている軽油よりも排気ガスがクリーンになると言いたいように読める。でも、二酸化炭素が増えないというカーボンニュートラルの観点はともかくも、バイオ燃料は本当に石油系燃料よりもクリーンに燃えるのだろうか??

東京都の報道発表は、比較的詳しく書かれている。これによると、現在日本でバイオディーゼル燃料と呼ばれているのは、主として第一世代のFAMEというもので、都営バスでは軽油にFAMEを5%添加混合した混合燃料をこの春から使い始めるらしい。

調べてみると、FAMEは、Fatty Acid Methyl Ester(脂肪酸メチルエステル)の略で、主として廃食油(天ぷら油など)を回収し、これにメタノールを加えてエステル化し、精製したもののようだ。実際のFAME製造の様子については、実際にFAMEを製造しているフェニックスのBDFプラント精製の流れに詳しい。

また、FAMEのディーゼル燃料としての特性などは、自動車工業会のプレゼン資料がわかりやすく、しかも詳しい。この資料によると、FAMEの添加によって、ディーゼルエンジン排ガスはNOxがやや増加するものの、CO、HCおよびPMは減少するようだ。芳香族を一切含んでいないということが影響しているのだろうか? 一方で、酸化安定性や重合安定性の問題や、不純物(アルカリやメタノールなど)の問題があるようだ。

これに対して、今回の目玉とも言える、第二世代のバイオディーゼル燃料は、BHD:バイオ原料油の水素化処理油(Bio Hydrofined Diesel)と呼ばれるもので、新日本石油とトヨタ自動車が開発してきたものらしく、2007年度中に都営バスによるデモ走行を実施する予定のようだ。この説明図によると、BHDは、植物油、廃食用油および獣脂などを原料とし、これを大型の石油精製プラントで水素化精製して作るものらしい。

環境省のバイオ燃料に関する調査資料の最終ページに、新日本石油とトヨタによるエコ軽油に関する取組みが掲載されているが、これが今回の第二世代バイオディーゼル燃料BHDのことだと思われる。ここでは、植物由来の原料と石油由来の原料を混合して水素化分解し、各種留分を得ているようだ。

FAMEとは異なり基本的に既存の軽油とほぼ同等の成分・組成となりそうだから、安定した原料供給体制ができれば、比較的実用化のハードルは小さそうだ。もっとも、冒頭の東京都の資料にもあるように、その原料調達の仕組みをどう作り上げるかが最大の課題となるようだ。

朝日新聞が強調している排ガスのクリーン化については、第一世代のFAMEの場合、多少のPMの減少は期待できるようだが、第二世代のBHDの場合には既存の軽油と同等レベルと考えた方が良さそうに思える。バイオ燃料の意義は二酸化炭素の排出削減とか枯渇性資源の使用量削減といった点にある筈で、有害物質が減るというのはちょっとミスリーディングじゃなかろうか? 少なくとも、「燃焼効率が上がるため、燃えかすとして大気中に排出される粒子状物質(PM)も大幅に減る」ってのは、もしも既存の軽油と比べているのだとしたら、違うんじゃないの?と思うけど。。

考えてみると、ついこの前までは次世代エネルギーの主役として、水素や燃料電池が脚光を浴びていたのに、最近はすっかりバイオ燃料が主役の座に躍り出た感があり、ニュースで取り上げられることが多くなったようだ。ブッシュさんがバイオ燃料に言及したのも大きいのかもしれないが、マスコミもまた節操も無くあっさりと乗り換えた感もあって何だかなあ、というところだ。おまけに、この記事のようにポイントがずれているとなると。。。

| | コメント (0) | トラックバック (3)

2007/02/02

「フタル酸ビス」って何? 環境ホルモン??

YOMIURI ONLINEの記事(2/1)から。「トイザらス」おもちゃから環境ホルモン検出、回収へ

 おもちゃ販売大手「日本トイザらス」(川崎市)が販売した塩化ビニール製のおもちゃから、食品衛生法で使用が禁じられている「フタル酸ビス」が検出されたことが、1日わかった。

 フタル酸ビスは環境ホルモンの一種とされ、なめたりすると、将来的に生殖機能などに影響が出る可能性もあり、同社は川崎市の指示で回収を決めた。

 問題のおもちゃは「JUST LIKE HOME フルーツセット」。中国から2万520個を輸入し、1月30日までに全国で1万6768個を販売した。

 フタル酸ビスはプラスチックなどを柔らかくするために使われるが、おもちゃへの使用は2003年8月から禁止された。大阪府堺市が、抜き取り検査でフタル酸ビスを検出、川崎市に連絡していた。

「フタル酸ビス」って化合物の名前は寡聞にして聞いたことがない。。 おまけに、「環境ホルモンの一種」と書いてあるけど、いわゆる「環境ホルモン」という用語は少なくとも環境省などは既に撤回していたはずだけど、新聞社はまだ使っていたのか? 他紙を調べてみると asahi.comのトイザらスで販売の玩具から禁止成分 川崎市が回収指示では、
フタル酸ビスは、合成樹脂をつくる際に広く使われている。ホルモンに悪影響を及ぼす可能性が指摘されており、国内では玩具などへの使用が禁止されている。
MSN毎日インタラクティブの日本トイザらス:おもちゃから禁止柔軟剤では
中国から輸入したポリ塩化ビニール製のおもちゃから食品衛生法で使用が禁止されている柔軟剤「フタル酸ビス」が検出されたため、販売した計2万520個を回収すると発表した。通常の使用では人体に影響はないという。
と、共に環境ホルモンという言葉は使っていないが、物質名は「フタル酸ビス」になっている。一方、Sankeiwebのおもちゃから「フタル酸」検出 トイザらスが回収へでは、
 玩具販売大手「日本トイザらス」(川崎市)が販売しているおもちゃから、内臓への毒性や内分泌撹乱(かくらん)化学物質(環境ホルモン)の疑いが指摘されている化学物質フタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)が検出されていたことが1日、分かった。
とあり、産経だけが化合物の名称を「フタル酸ジエチルヘキシル」と記載している。(もっとも、タイトルに「フタル酸検出」とあるのはいただけない。フタル酸と2-エチルヘキサノールとのエステルであるフタル酸ジエチルヘキシルはフタル酸とは全く別の物質である。) 

物質名については産経が一番まとものようだが、一方で環境ホルモンについては毎日だけがホルモンという言葉を全く使っていない点でもっともまともと言えそうだ。

さて、フタル酸ジエチルヘキシルの正式名称はフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(化学物質ファクトシート)である。ここで、「ビス」は後に続くカッコ内の基が2個あるよということを示す倍数接頭辞であり、ビスの後の単語を省略してしまうと意味不明となってしまう。

ということで、恐らく公式発表では「フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)」と正しく表記されていたものを、記者がカッコ内の「2-エチルヘキシル」はフタル酸ビスの別名か何かだろうと勘違いして、文字数を節約する目的で省略してしまったのではなかろうか? 念のために、「フタル酸ビス」がフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)を省略する用語として定着しているのかどうか調べてみたが、「フタル酸ビス」だけで使われている例は他には見当たらなかった。。 それにしても、朝日、読売、毎日と3社そろって同じ過ちを犯すなんてこともあるのかねぇ。。 ちょっと調べてみればすぐわかることなのに。

実は、この新聞記事は問題が他にも問題が多い。このDEHPが環境ホルモンと呼ぶのが適当かどうかという部分もさることながら、そもそも問題となるおもちゃでどの程度の濃度のDEHPが検出されたのか、それを子どもが口にした際にどの程度の危険が存在すると考えられるのか、といった定量的な情報が一切出てこないことだ。これでは、いたずらに不安を煽るだけになるだけだ。試しに、「フタル酸ビス」でブログ検索してみると、案の定ほとんどが「生殖機能に異常が出るかも」という点に反応して、怖い、危険だ、という論調である。

DEHPについては、今までいろいろと調査したけど、生殖機能への異常も含めて、ヒトに対する内分泌かく乱作用は見当たりませんでしたという結論が出ているはず。(参考:環境省の化学物質の内分泌かく乱作用についてや、市民のための環境学ガイドの環境ホルモン終焉) なお、市民のための環境学ガイドの記述によると、おもちゃへのフタル酸エステルの使用禁止は、

これらの化合物が環境ホルモン性があるという理由で禁止になったのではなくて、通常毒性がたまたまセルトリ細胞という精子のお母さんみたいな細胞に対して出るために禁止になった
ということのようだ。

先にあげた化学物質ファクトシートや、製品評価技術基盤機構の初期リスク評価書に非常に詳しくまとまっているが、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)には内分泌かく乱作用がないとしても、全く無害ということではなく、ヒトや環境に対して何らかの有害性を持っているのは確かである。今回のトイザらスのおもちゃについては、明確な法律違反であり、きちんと対処する必要があることは言うまでもない。

今回の記事は科学面ではなく社会面の記事のようなので、担当記者の不得意分野だったのかもしれないけど、いろんな面であまりに不勉強と言えるし、こうして不正確な情報が世の中に蔓延していってしまうのだと思うと、いろいろと考えさせられる。。

| | コメント (23) | トラックバック (1)

2007/01/31

カリフォルニア州が白熱電球を禁止?

REUTERSのニュース(1/30)から。California may ban conventional lightbulbs by 2012

A California lawmaker wants to make his state the first to ban incandescent lightbulbs as part of California's groundbreaking initiatives to reduce energy use and greenhouse gases blamed for global warming.

The "How Many Legislators Does it Take to Change a Lightbulb Act" would ban incandescent lightbulbs by 2012 in favor of energy-saving compact fluorescent lightbulbs.

まだ、これから法案を提出するという段階で、この記事を読んでも法案の詳細は不明だが、どうやら白熱電球を禁止して、蛍光灯に替えてしまおうということらしい。(それにしてもこの法案の名前が何か変だな。。「電球を変えるのに何人の議員が必要か法案」とでもいうのだろうか?) 最近は、アメリカでも地球温暖化に積極的に対処するべきであるという主張が目立ってきているが、これもその1つということらしい。
"Incandescent lightbulbs were first developed almost 125 years ago, and since that time they have undergone no major modifications," California Assemblyman Lloyd Levine said on Tuesday.

"Meanwhile, they remain incredibly inefficient, converting only about 5 percent of the energy they receive into light."

Levine is expected to introduce the legislation this week, his office said.

If passed, it would be another pioneering environmental effort in California, the most populous U.S. state. It became the first state to mandate cuts in greenhouse gas emissions, targeting a 25 percent reduction in emissions by 2020.

Compact fluorescent lightbulbs (CFLs) use about 25 percent of the energy of conventional lightbulbs.

白熱電球は開発されてから約125年にもなるのに、いまだに効率が非常に低いままだが、蛍光灯にすると白熱電球の25%程度の消費エネルギーで済むとある。最近は日本でも電球型蛍光灯が普及してきた感があるが、アメリカの現状については、
Many CFLs have a spiral shape, which was introduced in 1980. By 2005, about 100 million CFLs were sold in the United States, or about 5 percent of the 2-billion-lightbulb market, according to the U.S. Environmental Protection Agency.

That number could more than double this year. Wal-Mart Stores Inc. alone wants to sell 100 million CFLs at its stores by the end of 2007, the world's biggest retailer said in November.

2005年の売り上げが1億個(電球市場全体の約5%)で、今年はその2倍に達するだろうと予想している。この電球型蛍光灯は、安井先生もエコプレミアム商品に認定しているように、エネルギー消費量だけでなく、コスト面や環境面でも、白熱電球よりも大幅に優れている商品とみて良さそうだ。もっとも、ウチは 3年前にトイレの照明を電球型蛍光灯に替えたのだけど、最近切れてしまったので、寿命については結構バラツキが大きいのかもしれない。。 それと、だいぶ改善されたとはいえ、まだ点灯直後はやや暗いという傾向もあるようだし。。

それにしても、カリフォルニアの法案が対象とするのはどの範囲なのだろう? 白熱電球といっても、屋内の照明用だけでなく、色々と使われていそうなものだし、禁止するのは販売なのか、使用なのか? KansasCity.comの記事によると、禁止しようとしているのは販売のようだが、この記事には、そう簡単にこの法案が通るとは思えないというニュアンスのコメントも掲載されている。

カリフォルニア州は自動車からの温室効果ガスの排出を規制する法案を出したり、自動車メーカーを温室効果ガスの排出を理由に提訴したり、さらには2020年までに温室効果ガスの排出量を25%削減する法案を成立させたりと、次々と面白い環境政策を打ち出すところだから、まあ何でもあり状態かもしれないけど、それにしても白熱電球の販売禁止なんてことができるんだろうか? できることから手を付けるってのは悪くはないけど、もっと優先順位が上のエネルギーの無駄使いだって色々ありそうだし、そもそも法律で禁止するような性格のものでもなさそうだが。。

ところで、早くも次世代型ともいえる電球型LEDなんてのも出てきたようだ。

| | コメント (13) | トラックバック (3)

2006/12/13

二酸化炭素は地球大気を薄くする?

日本ではニュースになっていないけど、欧米では話題になっているみたいなReutersの記事(12/11)から。Global warming prolongs life of space debris

Human increases in carbon dioxide emissions are thinning the Earth's outer atmosphere, making it easier to keep the space station aloft but prolonging the life of dangerous space debris, scientists said on Monday.

"It's a bit of a two-edge sword," said Stanley Solomon, a scientist at the National Center for Atmospheric Research in Boulder, Colorado. "In the future, it will be a little bit easier to keep the space station, for instance, in orbit. It will need a little bit less fuel."

"On the other hand, it will give space junk a much longer lifetime," he told the fall meeting of the American Geophysical Union in San Francisco.

大気中の二酸化炭素濃度が地球温暖化の原因だと騒がれているけれど、実は二酸化炭素は宇宙ステーションにも影響が出るという話のようだ。そんな話は全然聞いたことがなかったけれど、記事によると、二酸化炭素濃度の増加は地球の大気層を薄くする効果があり、これにより宇宙ステーションが飛んでいる辺りの空気密度が低下するようだ。結果として宇宙ステーションが高度を維持するのが容易になる一方で、宇宙のごみ(デブリ)の寿命も長くなるので危険性も増すってことらしい。ところで、英語でも諸刃の剣のことは "two-edge sword" って言うんだね。。
Solomon is the co-author of a study presented on Monday that found man's burning of fossil fuels and increase of carbon dioxide emissions will make the Earth's outer atmosphere above 62 miles (100 kms) 3 percent less dense by 2017. The study found a decrease of about 5 percent between 1970 and 2000.

Although scientists say that carbon dioxide contributes to global warming closer to Earth's surface, in the thinner outer atmosphere where space craft orbit, a cooling effect takes place. Solar activity also impacts the outer atmosphere.

1970年から2000年までの30年間で高度100km以上の大気層が約5%減っており、2017年までにさらに 3%程度薄くなると見積もられるとのこと。二酸化炭素濃度の上昇と大気層が薄くなる現象の関係がよくわからないけど、二酸化炭素は地表付近では温暖化に寄与する一方で、上層では冷却効果が起こると書いてある。

The National Center for Atmospheric Research のリリースはClimate Change Affecting Earth's Outermost Atmosphereのようだ。これによると、密度の低下が見出されたのは地上60~400マイルの熱圏。ここの温度が低下し、密度が低下していることは従来から衛星軌道の追跡などによってわかっていたことらしい。CO2濃度の増加が熱圏を冷却するメカニズムについては

This paradox occurs because the atmosphere thins with height. Near the Earth's surface, carbon dioxide absorbs radiation escaping Earth, but before the gas molecules can radiate the energy to space, frequent collisions with other molecules in the dense lower atmosphere force the carbon dioxide to release energy as heat, thus warming the air. In the much thinner thermosphere, a carbon dioxide molecule absorbs energy when it collides with an oxygen molecule, but there is ample time for it to radiate energy to space before another collision occurs. The result is a cooling effect. As it cools, the thermosphere settles, so that the density at a given height is reduced.
どうやら、熱圏では分子の密度が地表と比べて著しく小さいため、エネルギーを吸収したCO2分子が他の分子と衝突する際に熱を放出することで大気を加熱するよりも、宇宙空間に放射熱として放出する方が多くなってしまい、地表付近とは逆に冷却サイドになってしまうということらしい。この辺については、このページの動画でアニメーション入りのSolomon氏の解説が見られる。調べてみると、この効果は超高層大気の冷却 ("greenhouse cooling")として知られているようだ。

これに加えて太陽活動周期の影響も大きく、この時期は太陽活動が弱いためにより冷却効果が強調されるとのこと。今後、太陽活動周期の影響と大気中の二酸化炭素濃度の影響を加味した熱圏大気密度の予測をすることで、より精密な軌道予測や燃料需要予測が可能となり、これがロケット打ち上げの経済性に与えるインパクトも大きいらしい。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2006/09/21

氷の消失で北極点まで船で到達可能に

livedoor ニュースの記事(9/21)から。北極海で氷が大量消失=8月撮影の衛星写真で判明

 北極海で8月、ブリテン諸島(英国とアイルランドおよびその周辺の島々)に相当する面積の万年氷が消失し、欧州北方の島から北極点まで船で容易に行き着けるほどになっていたらしいことが衛星写真で分かり、欧州の科学者たちは驚きの声を上げている。欧州宇宙機関(ESA)が20日までに明らかにした。

 ESAが運用する2つの衛星から8月23日―25日に撮影された写真で判明した。それによると、一年中あるはずの万年氷が広範囲で消失、ノルウェーと北極点の中間にあるスピッツベルゲン諸島の北からロシア北極圏にかけて万年氷のない海が広がり、北極点にまでつながっていた。

 地球温暖化の進展で北極海の万年氷が減り、かつ薄くなってきていることは過去25年間の観測で分かっていたが、今回の消失は前例のないほどだという。既に薄くなっていた氷が今夏の嵐によって砕かれ、散乱させられたのが原因かもしれないと科学者たちはみている。

 ESA関係者は、氷の消失により「スピッツベルゲン島や北シベリアから北極点まで、船で問題なく行けたのではないかと考えられる」と述べている。

北極の氷が減少していることは今までも何度か報道されてきているし、当然のことながら北半球の夏に一番氷が減るわけで、この時期にこれがニュースになりやすいようだ。1年前にも温暖化の海への影響というエントリで北極の氷の減少について書いているのだが、今年は何と、北極点まで船で到達可能なルートができてしまったということで、なかなかインパクトが大きい。

ESAのニュースには、ASARとAMSR-Eという2つの観測装置による昨年と今年の北極の氷の観測画像が掲載されている。モノクロ画像がアクティブなマイクロ波カメラであるASARによるもの、カラー画像がパッシブなマイクロ波カメラのAMSR-Eによるもの。AMSR-Eの写真では赤から青までの色の変化が氷の濃度(100%~0%)を表しているとのこと。

2005年の画像では北極点の周りに均一に氷が広がっているのに対し、今年の画像では北極点の周りの氷の分布が明らかに非対称で不規則となっていることがわかる。両者を比較すると実は赤い部分の面積自身はあまり大きな差はないようにも見える。。 今回のような不規則な氷の割れ方は初めて観測された現象とのことで、原因はまだ明確ではないものの、8月の大きな嵐(低気圧)によって割れたのではないかと考えられているらしい。

まあ、たとえ嵐の影響があったとは言え、ある程度氷の層が薄く弱くなってなければ、そう簡単に北極点までの氷が割れて船のルートができるとは思えないので、温暖化の影響を示す一例としてとらえるべきだろう。

ESAのニュースにはESAの科学者のコメントとして

"If this anomaly trend continues, the North-East Passage or ‘Northern Sea Route’ between Europe and Asia will be open over longer intervals of time, and it is conceivable we might see attempts at sailing around the world directly across the summer Arctic Ocean within the next 10-20 years."
とあり、10~20年後には夏季の北極海横断航海が可能になるだろうとのこと。去年の「ホッキョクグマに絶滅の危機!」なんていうセンセーショナルな記事と比べると、今年は何だかのんびりムードだな。。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2006/08/31

東京高裁が化学物質過敏症を認定?

YAHOO!ニュース経由の時事通信の記事(8/31)。ヨーカ堂に550万円賠償命令=商品ストーブから化学物質-東京高裁

 電気ストーブから発生した化学物質で化学物質過敏症になったとして、東京都内の男子学生(22)と両親が、ストーブを販売したイトーヨーカ堂(東京都)を相手に1億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は31日、請求を棄却した1審東京地裁判決を取り消し、約550万円の支払いを命じた。

 原告代理人の弁護士によると、家電製品から発生した化学物質をめぐる損害賠償命令は異例。メーカーでなく、販売店に賠償を命じた判決も珍しいという。

 横山匡輝裁判長は、ストーブ前面の網目カバーの塗装が高温で熱せられ、有害な化学物質「ホルムアルデヒド」などが発生したとして、学生の慢性的な過敏症状との因果関係を認定した。3月の1審判決は症状との関係を否定していた。

まだ、速報レベルで情報が不十分なので、メモだけに留めるが、何とも問題のありそうな判決が出てしまったような気がする。

化学物質過敏症という名前の病気が存在するのかどうか自体がかなり怪しい状況であることについては、以前「化学物質過敏症」最新情報室内空気質健康影響研究会などで書いた。ちまたの報道などではシックハウス症候群と化学物質過敏症を混同しているケースが多いようだが、比較的因果関係が特定できていると思われるシックハウス症候群とは異なり、化学物質過敏症というのはかなり正体不明で、曖昧模糊としており、例えばNATROMの日記で紹介されているような例もあるのだ。

さて、今回の訴訟だが、現時点ではNHKニュースが詳しい。

裁判になっていたのは、台湾のメーカーが製造して平成12年9月から全国で輸入・販売された「ユーパTSKー5302」という電気ストーブです。裁判は、このストーブを平成13年1月に購入した東京都内の男子高校生が起こしていました。男子高校生は、ストーブを使っていたら手足のしびれや呼吸困難などの症状が出たうえ、使うのをやめたあとも、身の回りにあるごく少ない化学物質で体調を崩す「化学物質過敏症」になったと主張して、ストーブを販売したイトーヨーカ堂に損害賠償を求めていました。

このため、裁判の中で専門の調査機関が調べたところ、塗料が塗ってあるストーブのカバーが高温になってホルムアルデヒドなどの化学物質が発生することがわかったということです。これを受けて東京高等裁判所は31日の判決で、「加熱したストーブから発生した化学物質には、有害なものが多く含まれている。このストーブが化学物質に過敏に反応する男子高校生の症状を引き起こしたのはまちがいない」と指摘しました。そのうえで、イトーヨーカ堂に対して、「平成12年の末には異臭がするなどといった消費者からの問い合わせを受けていたのだから、販売を中止するなどの措置を取るべきだった」と指摘して、550万円余りの損害賠償を命じました。

同じ型の電気ストーブは平成12年9月から平成15年3月までに全国で29万台余りが販売されました。このうちイトーヨーカ堂では、平成13年の4月ごろまでに5341台を販売したということで、イトーヨーカ堂は「判決内容を確認したうえで、上告する方向で検討します」というコメントを出しました。イトーヨーカ堂では「販売したストーブから化学物質が発生したとは考えていない」として、これまでに販売したストーブの回収などは考えていないということです。

「化学物質過敏症」という病気そのものの存在や定義について議論が多くあるのにも関わらず、「加熱したストーブから発生した化学物質には、有害なものが多く含まれている。このストーブが化学物質に過敏に反応する男子高校生の症状を引き起こしたのはまちがいない」と断定できるところがすごい。手足のしびれや呼吸困難などの激しい症状が出るほどのホルムアルデヒドってどの程度の濃度なのだろう? 

この判決が確定すると「化学物質過敏症」という病気の存在や、その原因を公式に認めたってことになるのだろうか? 単に、出来の悪い電気ストーブから使用中に高濃度のホルムアルデヒドが発生し、それによって有機溶剤中毒になったという判断なら良かったのだろうけど。。 判決を見ないとわからないが、もしかすると、原告は「化学物質過敏症」になったと訴えているが、判決はストーブが原因で健康被害が発生したという因果関係を認めているだけで「化学物質過敏症」と認定したわけではないかもしれない。。

そういえば、化学物質過敏症の対策として燃焼ガスやススが出ないので電気ストーブを勧めているケースが多いのだが、その意味では今回の結果は皮肉というか、実際にホルムアルデヒドが出ていたとすると、そういう理由で電気ストーブを選ぶ人にとっては大問題である。もっとも、電気ストーブからは電磁波が出るので危ないと言っているところもあるようだが。。

この訴訟については、3月に東京地裁で請求棄却となっているようだが、それに関する情報などは化学物質問題市民研究会のサイトを調べてみたが見つからなかった。 今後、周辺情報に注目しておこう。

| | コメント (1) | トラックバック (1)

2006/08/29

ハイブリッド式クレーン

日経BPのニュース(8/28)から。日本郵船、国内初のハイブリッド式トランスファーファークレーン実用実験

日本郵船は、産業機械メーカーのTCMが開発した国内初のハイブリッド式トランスファークレーンの実用実験を同社の東京コンテナターミナルで実施すると発表した。

ハイブリッド式トランスファークレーンは、つり上げたコンテナを下ろす際に発生するエネルギーを蓄電装置に蓄積して再利用するもの。燃料消費量や二酸化炭素排出量を約40%低減できる。また、エンジンと発電機が小型化されており、騒音も低減できる。

実験では、操縦性能や走行性能などを検証。今年9月中旬から12カ月間行う予定。(日経エコロジー)

というもの。トランスファークレーンとはどんなものかというと日本郵船のニュースリリースに写真と解説が載っているが、コンテナターミナルのヤード内でコンテナの積み降ろしをする機械で、ディーゼルエンジンで発電した電力を使用して移動と積み降ろしを行うらしい。

考えてみると、クレーンなどによる荷物の積み降ろし作業というのは、荷物を低い所から高い所へ持上げる場合でも、必ず最高地点から目的場所へ降ろす工程を含むわけで、その際の位置エネルギーを回収しようというアイデアは実に合理的な考え方だ。まして、荷物を高い所に持上げる作業があれば、逆に低い所に降ろす作業もあるわけで、それを考えると今まで誰も実用化していなかったのが不思議という感じもする。

この機器を開発したTCMという会社は知らなかったが、ニュースリリースによると、クレーンの巻き下げ時のエネルギーを電気二重層コンデンサに蓄電し、これをクレーンの巻き上げ時に利用するという方式とのこと。

もしも、トータルの巻き上げ仕事量と巻き下げ仕事量が同じだと仮定して、ロスがなければ、エネルギー使用量はゼロになってしまうわけだけど、実際に40%も省エネルギーとなるとは中々の高性能と言えそうだ。

トランスファークレーンの場合には、どうやら元々電気モーターでクレーンを駆動し、その電気をディーゼルエンジンで発電するという方式のようなので、比較的容易にエネルギー回収が可能だったのかもしれない。一方、一般のクレーン車などでは巻き上げ作業も直接エンジンで行っているような気がするので、ハイブリッド化のハードルは高そうだ。その場合、エンジンとモーターをどのように組合せるか、というシステム設計がキーになりそうだが、いずれにしても今後は様々な重機分野にもハイブリッドシステムが導入されていくのではなかろうか。

ちなみに、ハイブリッドエンジンの応用としては、米海兵隊のハイブリッドエンジン車なんてのも見つかる。これは、危険地域では熱と音を発生するエンジンを使用しないで走れるとか、ハイブリッドエンジンを発電機として利用できるというような理由で採用されたようだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/08/17

ビスフェノールAの脳への影響

YOMIURI ONLINE(関西発)で見つけた記事(8/17)。環境ホルモン「ビスフェノールA」 大脳発達に影響

マウスで実験、京都府立医大

 妊娠中のマウスに環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)の一種「ビスフェノールA」を摂取させ続けると、脳の大脳皮質の形成に影響が出ることを、京都府立医科大の伏木信次教授らの研究グループが突き止め、16日、発表した。大脳の発達に触れた報告例は世界で初めてといい、米国の神経科学専門誌の電子版に掲載された。

 伏木教授は「マウスの子供の脳の発達や行動の解析を続け、人の発達障害との関連も明らかにしたい」としている。

 実験では妊娠したマウスに、摂取しても影響がないとされる微量の「ビスフェノールA」を連日投与し、10~18日後に胎児を調べた結果、大脳皮質の神経細胞の分化などの速度に異常が確認された。さらに神経細胞をつくる8種類の遺伝子のうち、甲状腺ホルモンにかかわる3種類の働きに変化が目立っていた。甲状腺ホルモンに異常が出ると、発達障害につながる恐れがあるという。

 ビスフェノールAはプラスチック製品の原料で、これまでも専門家からは生殖器系への影響が指摘されている。ほ乳ビンや学校給食用の容器にも使われ、利用中止が相次いだ。

京都府立医大の研究成果ということで、関西版には掲載されているものの、東京版には載っていない。しかし、ビスフェノールAの人体への影響(いわゆる環境ホルモン作用)については既に白という結論が出てたと思うのだが、それを覆す研究ということだろうか? この記事では投与量や投与の方法が具体的に書かれていないし、脳の形成に影響が出たというものの、具体的にはどの程度深刻な影響なのかがよくわからない。調べてみると、京都新聞電子版が詳しい記事を載せている。これによると
 伏木教授らは、マウスに体重1キログラム換算で20マイクログラムのビスフェノールAを妊娠初期から毎日、皮下注射した。すると、注射していないマウスに比べ、思考や記憶をつかさどる大脳皮質をつくるのに重要な時期である妊娠10日から17日目にかけ、胎児の神経細胞が早く分化、移動した。「分化のタイミングが外れると神経ネットワークがうまくできなくなる」という。(中略)

 ビスフェノールAの1日許容摂取量はヒトの場合、体重1キログラムあたり50マイクログラムとされる。また、業界団体のホームページによると、実際に食事などで1日に摂取する最大量は体重1キログラムあたり0・076マイクログラムという。

 伏木教授は「今回はあくまでマウスの実験だが、近年増えつつあるヒトのADHD(注意欠陥多動性障害)など発達障害の原因の一つが、ビスフェノールAである可能性が示唆される」と話す。研究成果は米科学誌ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス・リサーチ(電子版)に掲載した。

ウーム。。 この研究ではビスフェノールAを直接皮下注射している。許容摂取量の40%とはいえ、経口摂取ではなく、直接皮下注射しているというところがポイントとなりそうな気がするな。。 それにしても、この実験結果から、ビスフェノールAがADHDなどの原因の可能性が示唆されるというコメントはどうだろう? 「可能性」とさえ言っとけば許されると思っているんだろうけど、ちょっと軽率じゃなかろうか? なお、ビスフェノールAがADHDの原因かも知れないという仮説については、こんな研究こんな研究があるけれど、日常生活で人が摂取する量が本当にこれらの原因となりうることを検証するのは相当に大変そうだ。

一方、asahi.com 関西でも取り上げられているが、こちらは

 ビスフェノールAについて、環境省の検討会は04年、ラットの実験から人体には悪影響は認められないと結論づけている。

 今回の研究結果について、同省環境安全課は「検討会の実験は、いずれも経口投与によるもので、実際の環境に近い。連日の皮下投与が自然にあり得る状態なのか、検討される必要がある」としている。

という具合に、かなり慎重に取り扱っており、珍しく(?)朝日新聞が一番まともな記事となっているようだ。

なお、昨日はスチレントリマーの環境ホルモン作用についての記事も報道されていたが、

 スチレントリマーについて旧通産省の審議会が2000年に「内分泌かく乱作用がある証拠は見いだせず、特別な対応を取る必要はない」と結論。旧環境庁も「作用を否定する報告がほとんど」としてリスク評価の対象から外しており、今後、これらの見直しを求める声も出る可能性がある。

 グループは妊娠中のラットにスチレントリマーを7日間投与。生まれた雄ラットを調べたところ、1日体重キロ当たり10マイクログラム(1マイクロは100万分の1)で、生後約100日後の脳や精巣の重量が、投与しない場合に比べて目立って減少していた。

とあり、こちらも記事からは投与方法が不明だし、投与量が通常の摂取量とどういう関係にあるかにも触れられていない点で、中途半端であり、昔ながらの煽り記事と何ら変わるところがない。

この記事では、旧通産省とか旧環境庁というのも気になったのだが、省庁再編は2001年1月で、スチレントリマーがSPEED'98のリストからはずれたのが2000年7月ということで、この記述は正しいようだ。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2006/06/28

環境ホルモン最新情報 by ためしてガッテン

今日6/28の午後8時からのNHK「ためしてガッテン」は「?にお答えします 環境ホルモン」というものであった。何とか事前に情報をつかんだので、録画して見てみた。この番組の概要は、現時点ではこちらに載っていて、既に過去の放送に詳しい情報が掲載されている。また、再放送予定は7/5(水)16:05~となっていて、通常行われている火曜深夜の再放送はウィンブルドン中継のために行われない可能性が高いようだ。

で、とりあえず内容をまとめておくと
 1.過去の環境ホルモン報道の内容の復習、環境ホルモンの作用機構の説明
 2.環境省のSPEED98の調査結果の結論
 3.最近の新たな研究成果
  (1) 生まれたばかりのネズミの場合、環境ホルモンを投与する時期で結果が異なる
  (2) 従来よりも長期に調べたら、ネズミの閉経の時期が早まる結果が得られた
  (3) 農薬を投与した母ネズミから産まれたオスの精子形成能力が4世代に渡り低下した
  (4) 環境ホルモンとなる可能性のある物質は2000種類以上ある
  (5) ネズミに少量の環境ホルモン物質を7種類複合投与した結果、単独では問題ないのに複合影響が出た
  (6) 人間の精子数の調査を改めて行った結果、日本人の精子数が少なかった
 4.予防原則が重要だろうという結論めいたものを提示

2では環境省の上家和子課長のインタビューがあり、調べた範囲では人への影響のある物質は見つからなかったと述べていた。しかし、番組全体の中ではむしろ国の調査は一面的で不十分であるにも関わらず、人への影響はないと結論したのは適切ではないという印象を持たせるための導入部として使われている印象である。本当はこの項目はもっと丁寧に説明する必要があるのに、例えば女性の尿由来の女性ホルモンが環境に与えている影響が大きい事実などは全く触れられなかった。
 
3(1)は岡崎総合バイオサイエンスセンターの井口泰泉教授の研究で環境ホルモンを投与するタイミングが生後3日目と4日目で大人になってからガンの発生に差が見られたという結果。3(2)はアメリカのタフツ大学アナ・ソト教授の研究。3(3)はワシントン州立大学マイケル・スキナー教授の研究で、最初の母親に投与した物質は農薬で、かなり高濃度とのこと。しかし、最初の子どもへの影響はともかく、父親から子どもにどうやって異常が伝わるんだろう? 3(4)はコンピュータによる分子形状計算の研究。3(5)はアメリカEPAのアール・グレイ博士の研究で、あの環境ホルモン学会の森田昌敏会長がコメントしている。また、ここで井口泰泉教授がスタジオに来て、「要するにわからないことがわかったのだ」と強調していた。

3(6)については、聖マリアンナ医科大学の岩本晃明教授のインタビューがあり、今回の結果から精子が減ったかどうかは不明であり、環境ホルモンの影響があるのかどうかも不明なので、今後この関係を明らかにするために研究を続ける必要がある、と述べていた。
4では、北里大学の坂部貢教授のインタビューがあり、予防原則で危険性のあるものは排除するという考え方が重要と述べていた。


「決して不安を煽ることを意図しているわけではない」という主旨のコメントを何度かしていたが、番組全体のニュアンスとしては、依然として環境ホルモンの人間への影響が疑われており注意が必要というものであった。

最近の研究結果の1つ1つについては、詳しく見てみないと何とも言えないが、この番組の取り上げ方は結局以前と何も変わっていないように思えた。与えた物質、その量、影響の程度などの具体的で定量的な話には全く触れておらず、これでは「影響があった」という結果だけが一人歩きしてしまう。ある意味、すべての物質に何らかの影響があるのは当然で、その影響がどの程度の大きさであるかということが問題なのだが。。 「わからないことがわかった」という言葉は何となく意味ありげだけど、所詮レトリックであり、何の意味もない言葉であることは、専門家なら誰でも同意するのではないだろうか?

また、環境ホルモンに関する多くの研究の中から、影響のあったというものだけを数点選んで紹介するのも公平なやり方とは思えない。そもそも環境ホルモンという言葉はNHKが広めたようなものだが、いまだに環境ホルモンという言葉を使い続けているのを見ても、NHKが勉強不足なのか、それともこの問題をどうしても従来の延長線上に置いておきたいという狙いがあるのじゃないか、と疑いたくなる。。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/05/31

「かんたん化学物質ガイド」e-ラーニング

環境省の報道発表資料(5/31)から。「かんたん化学物質(かがくぶっしつ)ガイド」e-ラーニング版の作成・公表について

環境省では、家庭や自動車等の身近なところから排出される化学物質について、市民が自らの生活と関連付けて考え、一人一人ができる環境リスクの低減のための取組について考えるきっかけとなるよう、子どもにも親しみやすい小冊子「かんたん化学物質(かがくぶっしつ)ガイド」を作成しています。今回、本ガイドの内容を音声・動画付きでパソコン上で学べるようにe-ラーニング版を作成し、環境省ホームページに掲載しましたので、公表いたします。

 環境省では、家庭や自動車等の身近なところから排出される化学物質について、市民が自らの生活と関連付けて考え、化学物質の正しい利用や廃棄など、市民一人一人ができる環境リスクの低減のための取組について考えるきっかけとなるよう、子どもにも親しみやすい小冊子「かんたん化学物質(かがくぶっしつ)ガイド」の作成に取り組んでいます。平成17年8月には第一弾「わたしたちの生活と化学物質」編を、平成18年4月には第二弾「乗り物と化学物質」編を、それぞれ作成・公表しています。
 今般、これらの小冊子の内容についてインターネット上で楽しみながら効果的に学習するコンテンツとして、「かんたん化学物質ガイド」e-ラーニング版を作成し、環境省ホームページ上に掲載しました。

ということで、その内容は
○「わたしたちの生活と化学物質」編
Q1 化学物質ってなに?
Q2 どんな性質があるの?
Q3 ヒトや動植物にどんな影響をあたえるの?
Q4 上手につきあうにはどうしたらいいの?

○「乗り物と化学物質」編
Q1 乗り物は化学物質で作られているって、ホント?
Q2 乗り物を動かすときには、どんな化学物質が使われているの? 環境に出てしまうものがあるの?
Q3 乗り物を上手に利用するにはどうしたらいいの?
Q4 使わなくなった乗り物を処分するとき、どんな化学物質が環境に出てくるの?

となっている。実際のサイトはこちら。せっかくなので、一通り内容を見てみたのだが、思ったよりも力を入れて作っている印象である。音の出ない環境で使用しても全く支障はないような作りになっている。しかし、先に進むためには登場人物のセリフの吹き出しをクリックする必要があるのだが、吹き出しの位置があっちこっちに移動するので、操作性はやや煩雑である。

まあ、さすがに子ども向けだし、それなりにアバウトな内容で、あまり突っ込むのもどうかと思うので、詳細には触れない。でも逆に、これを作る側としては、どの程度専門的な部分まで突っ込むべきなのか、中々悩ましかったのだろうと思われる点が多々見られる。

そもそも化学物質とは何?とか、あらゆるものは元素からできていて、みたいなところから始まってるくせして、すぐに周期表が出てきて、元素は全部で111種類なんて説明が出てくるし、かなり複雑な化学式やあまり聞いたことのないような化学物質名もポンポン出てくる。恐らく小学校や中学校の教科書がカバーしていない内容も多いだろうし、この教材を教育に利用しようとすると先生の方も対応が結構大変かもしれない。

「へえっ」と思ったのは、これだけ初心者向けの内容なのに、「化学物質の環境リスク」という項目があって、リスクの定義がきちんと説明され、物質の有害性だけでなく暴露量も重要だということをかなり強調していたりするところや、PRTR制度の説明などもしっかりされているところなど。

ところで、「わたしたちの生活と化学物質」編のクイズで「1個の原子の大きさはどれくらいでしょう? 1.約0.1cm(10分の1cm)、2.約0.0001cm(1万分の1cm)、3.約0.00000001cm(1億分の1cm)」という問題が出ることがあるのだが、もちろん正解は3番なのだが、何故かこのクイズでは正解は2と表示される。。 環境省に連絡しておいてあげるかな。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/05/29

山火事世界地図

Yahoo!ニュース経由の時事通信ニュース(5/26)から。世界山火事地図をネット公開=気候変動研究で活用期待-ESA

 欧州宇宙機関(ESA)はこのほど、世界のどこで山火事が起きているか、継続的に把握できる「地図」をネット上で公開し始めた。気候変動の研究などで活用が期待されている。
 ESAによると、この「地図」は、人工衛星を使って地表のどこで火事が起きているかを把握し、地図上に赤い点で表示していく。衛星が情報をキャッチしてから、ほぼ6時間後にネット上に表示できるという。
 地球上では毎年、5000万ヘクタール以上の森が山火事で焼失しており、地球温暖化との関連が指摘されている。地図は、ESAのホームページから「ATSRファイア・アトラス」の項目をクリックして誰でも見ることができる。
日本でもたまに山火事があるが、アメリカやロシアなどでは時々とんでもない山火事が起こることがる。地球上では毎年5000万ヘクタール以上の森が焼失しているとのことだが、この焼失面積は、5000万ヘクタール=50万平方キロメートルだから、なんと日本の国土面積37.8万平方キロメートルより大きく、スペインの面積に相当するものだ(参考:国の面積順リスト)。

ESAのニュースWorld fire maps now available online in near-real timeによると、この山火事地図のデータは

The WFA data are based on results from the Along Track Scanning Radiometer (ATSR) on ESA’s ERS-2 satellite, launched in 1995, and the Advanced Along Track Scanning Radiometer (AATSR) on ESA’s Envisat satellite, launched in 2002.

These twin radiometer sensors work like thermometers in the sky, measuring thermal infrared radiation to take the temperature of Earth's land surfaces. Fires are detected best during local night, when the surrounding land is cooler.

Temperatures exceeding 312K (38.85℃) are classed as burning fires by ATSR/AATSR, which are capable of detecting fires as small as gas flares from industrial sites because of their high temperature.

ということで、ESAの2機の人工衛星に積まれたセンサーで地上温度を観測し、312Kを越えた地点をホットスポットとして表示するもののようだ。(火事以外の人為的な高温も検出される) こちらには2005年中に検出されたホットスポットのマップ、および過去10年間の地域別の火事件数推移のグラフがあるが、アフリカや南米が多く、また東南アジアやオーストラリア、あるいはスペイン、中米やロシアなども結構多いようだ。

日本の山火事、世界の山火事によると意外にも地中海沿岸国が山火事発生件数、焼失面積が大きいとのこと。原因はそれぞれの地域によって千差万別だろうが、スペイン、ポルトガル、フランスなどの山火事は放火が原因のものが多いらしいし、オーストラリアでは自然発火が大部分らしい。一方で、地球温暖化との関係や、山火事で放出される温室効果ガスがさらに温暖化を促進するなんて話もある。

ほぼリアルタイムの山火事マップはATSR Fire Atlasで見られる。このページでは常に数時間前の最新状況が掲載されており、これは誰でも見ることができる。また、登録メンバーになると過去のデータもダウンロードすることができるようだ。なお、アルゴリズム1と2の2種類のマップがあるが、ホットスポットと判定するしきい値となる温度がアルゴリズム1では312K、アルゴリズム2は308Kとなっているようだ。 最新のマップを2005年トータルのマップと比べると、ロシアの内陸地方でホットスポットが目立つようだが、今現在も派手に燃えているものと思われる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/04/28

スマートアイドリングストップシステム

日経ビジネスオンラインで見つけた記事(4/26)から。エンジンでエンジンをかける、マツダの“脱アイドル”宣言

おめでとうございます---と、こちらから言うのも妙なものだが、日経BP技術賞の「機械システム部門賞」をマツダさんにお贈りした。昨年のモーターショーに出展した「スマート アイドリング ストップ システム」のスマートさを評価したからだ。

 止まってる間はアイドルをやめ、走り出す時にエンジンをかけ直すアイドリングストップは、燃費を良くする基本ワザとして定着した。「10・15モード」(新燃費測定モード)で使う燃料のうち14%は停車中に燃やしているというから大きい。ハイブリッド車には多くの利点があるのだが、燃費が良いのは実はアイドリングストップのおかげだった…というケースもあるようだ。

 マツダが考えたのは、ハイブリッドのような大げさな機構を使わずに、サラッとアイドリングストップを達成しようというもの。セルモーターすら使わず、エンジン自身の力でエンジンをかける。

というもので、昨年のモーターショーで発表された技術のようだが、何故かその当時にはこの技術に関するニュースを見た記憶がないので、今さらではあるけれどフォローしておこう。「エンジン自身の力でエンジンをかける」というのはどういうことかというと、この記事の後半でも説明されているが、【東京モーターショー】マツダ、モータを使わない「スマート アイドリング ストップ システム」を展示にわかりやすい解説が載っている。
 動作の原理は次の通り。まず圧縮行程にあるシリンダと膨張行程にあるシリンダを、ちょうど空気量が同じくらいの位置でエンジンを止める。止めるためにはオルタネータをブレーキとして使うため、特別なハードウエアを追加する必要はない。ただし、クランク位置を精密に制御するため、クランク位置センサは精度の高い物に変更している。

 次に、再始動の際は圧縮行程にあるシリンダに燃料を噴射する。噴射した燃料に点火することで、クランクは逆回転を始める。ただ、静止した時点でシリンダ内は大気圧に戻っているため、あまり強い爆発力は得られない。しかし、逆回転により膨張行程のシリンダが今度は圧縮を始める。

 そこで新たに圧縮しつつあるシリンダに燃料を噴射し、爆発させることでピストンは再び下降する。クランクは正回転に戻るため、エンジンを再始動できる。

エンジン停止後の再始動時には、最初の爆発で逆方向に軽く動かして、続く2回目の爆発で正方向に回転を始めるというもので、言ってみれば最初の逆方向の動きで反動を付けてから、本格回転を始めるらしい。

エンジン技術者ではないからよくわからないけど、セルモーターを使わずにエンジンを始動するという発想はかなり常識を超えているんじゃなかろうか? まあ、今のエンジンはコンピュータ制御されていて、各ピストンの現在位置が正確にわかっているし、特定の気筒だけに燃料を噴射して点火するなんて芸当ができるから可能になった技術ではあるけれど、歴史がある技術だけによけい普通の発想では出てこないアイデアのように思える。

セルモーターを使うよりも始動時間が短いし、バッテリーの電気は無駄使いしないし、始動時の排ガスもきれいだと思われるので、いいことばかりみたいで、かなり期待が持てる技術に見える、というかだからこそ賞を貰ったんだろうけど。。 さすがにエンジンが冷えてしまうとセルモーターを使わないと始動しないようだが、これは低温ではガソリンの気化が抑えられて、着火しにくくなるためだろうか。

従来のアイドリングストップというと、路線バスが古くから採用していて、恐らく現時点ではかなりの普及率だと思うのだが、一般の車で交差点などでアイドリングストップしている車は少ないだろう。何といってもいちいちエンジン切ってまた始動するのは面倒だし、動き出しが遅れることへの恐れもある。それに、少なくとも心理的にはバッテリーやセルモーターへの負担も気になるところだ。

現在のアイドリングストップ技術は、Driving Futureにまとまっている。省エネルギーセンターのアイドリングストップ宣言によると、アイドリングストップが省エネルギー効果を発揮するエンジン停止時間はわずか約5秒間とのこと。

自動アイドリングストップ機構を装備した車として、例えばトヨタヴィッツのInterigent Packageを見ると、シフトがDレンジでもブレーキを踏んで車が止まるとエンジンも停止し、ブレーキを離すとエンジンが再始動するようだ。停止中もエアコンなどは普通に使えるらしい。ここまで配慮してくれているなら、アイドリングストップもかなりの人に受け入れられるのではないだろうか? もっと自動車メーカーが積極的に搭載しても良いと思うのだが、現状は何故かかなり消極的のようだ。。

| | コメント (0) | トラックバック (3)

2006/03/06

環境家計簿

nikkeibp.jpの記事(3/6)。東京ガス、家庭でのCO2排出状況をインターネットで確認できるサービス

東京ガスは、家庭で使用するエネルギーの二酸化炭素(CO2)排出状況をインターネットで確認できるサービス「my環境家計簿」を開始した。

my環境家計簿は、毎月のガス料金、ガス使用量などを専用ページで閲覧できるインターネットサービス「myTokyoGas」に会員登録すると利用できる。会員登録、サービスの利用は無料。

ガス・電気・水道・灯油の使用を入力することで、毎月のCO2排出量をチェックできる。さらに、住居形態・家族人数といった属性情報を登録すると、1990年時点での同じ属性の家庭におけるCO2排出量平均値と比較することも可能。京都議定書が定めた日本のCO2削減目標である「90年比マイナス6%」を達成しているか確認できる趣向だ。

また、定期的に使用量を入力したり、毎月出題する環境クイズに答えることで、ポイントが貯められる。ポイントで「my環境図鑑(温暖化により絶滅が危惧されている動物の図鑑)」を集めることができるなど、楽しみながらCO2削減に取り組む工夫も施されている。

ということで、東京ガスのサイトでプレスリリースを見ると、残念ながらこのサービスは東京ガスの顧客に限定されるようだ。最近「環境家計簿」という言葉はよく見聞きするので、あちこちで似たようなサービスを展開しているようだが、ここの特徴は、京都議定書を意識して1990年の平均的な家庭との比較ができることにありそうだ。

ちょっと探してみると、東京電力のCO2家計簿、社団法人環境情報科学センターの環境家計簿、NPO CASAのインターネット環境家計簿、NPO ローハスクラブの全国地域別環境家計簿などが見つかったが、他にも地方自治体などで同様のサイトを持っているところも多いようだ。また、環境省は我が家の環境大臣 ecofamilyというサイトを運営している。

さて、これらの環境家計簿は、電気、ガス、水道、およびその他の燃料などの環境負荷を二酸化炭素の排出量に換算し、その経年変化を調べたり、他の家庭と比較したりするということで、ほぼどれも同様のコンセプトのようだ。それぞれのサイトによって、対象となる物が変わったり、CO2への換算係数が異なっていたりするので、いくつかのサイトを眺めて比較してみるのも良さそうだ。

東京ガスや東京電力などがこれらのサービスを展開しているのは、顧客のエネルギー消費データを集積して、今後のビジネスに利用しようという狙いがありそうで、そのためにも多くの人にデータを入力してもらうための工夫を凝らしているというところだろう。本当は、エコ意識のある人が自発的に入力するようなシステムよりも、毎月の各家庭の各種消費量が自動的に集積されるようなシステムがあっても良さそうなものだが、プライバシーの問題もあって、それは困難だろうな。

電気、ガス、水道、ガソリン、ゴミなど、カテゴリーの異なる環境負荷を統一する尺度としてCO2を採用することはわかりやすいし、とても便利だと思う。特に、環境情報科学センターのCO2排出量の計算項目は、食品・日用品までCO2換算するという点でなかなか面白い。とはいえ、これらの品物のCO2排出量を購入金額当たりで計算するというのもかなり強引だし、何故自動車などの大型消費財は含まれないんだ? なんて疑問も出てくる。。

そもそも、何でもCO2に換算してしまうと、地球温暖化だけが環境問題であるかのような単純な理解を促すようでそれはそれで気になる。。 やっぱり、排出量ばかりに着目せずに、資源の消費量とCO2などの排出量の両面から評価するのが良いのじゃないのかなあ。。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/02/24

平成16年度のPRTRデータ概要

今日はあまりネタがなかったので環境省の報道発表(2/24)からPRTRの最新データについてのメモのみ。平成16年度PRTRデータの概要等について-化学物質の排出量・移動量の集計結果等-によると

今般、平成16年度の1年間に届出対象事業者が把握し、平成17年4月1日から6月30日までに届け出られた事業所からの排出量・移動量について全国・全物質で集計しました。

届出事業所数 平成16年度は40,341事業所で、前年度41,075と比べて約700減少。
届出排出量  平成16年度は270千トンで、前年度291千トンと比べて減少。
届出移動量  平成16年度は230千トンで、前年度235千トンと比べて微減。
 今回は、法施行後4回目の届出分を集計したものであり、届出事業所数、届出排出量、届出移動量は前年度と比較していずれも減少傾向にあります。中でも届出排出量については相対的に減少割合が大きいことから、事業者による化学物質管理の改善が進んでいるものと考えられます。

とのこと。PRTR制度については、PRTRインフォメーション広場の説明がわかりやすい。このブログでも2004/3/31のエントリーで2年前の同様のPRTRデータについて触れている。

もう少し詳しいデータは、平成16年度PRTRデータの概要で見られるし、前年度までのデータとの比較も掲載されている。

今年の特徴として、届出事業所数、排出量、移動量共に前年よりも減少したということがあるようだが、環境省のコメント通りに「事業者による化学物質管理の改善が進んでいる」ことの表れなのかどうか? 平成13年度以降で比較してみると

         13年    14年   15年    16年
事業所数   34,820  34,497  41,075  40,341
排出量   312,794  289,873 290,756  269,558
移動量   216,388  210,117 232,267  229,946

となっており、実は何故か、事業所数、排出量、移動量共に1年毎に増減を繰り返しており、今年のデータを見て、減少傾向にあると判断するのはちょっと無理がありそうだ。

*2/24追記
五月兎さんからご指摘をいただきましたが、平成15年度データから対象事業所の基準が変更になったため、上記のように直接比較してはいけないようです。詳しくは下のコメント欄を参照ください。

ちなみに、平成16年度の排出物質のベスト10がどんなものか予想が付くだろうか? ベスト5を的中させられたら相当なものだろう。参考までにそれぞれ化学物質ファクトシートにリンクしておく。

 1位 トルエン
 2位 キシレン
 3位 マンガン及びその化合物
 4位 塩化メチレン
 5位 エチルベンゼン
 6位 鉛及びその化合物
 7位 N,N-ジメチルホルムアミド
 8位 エチレングリコール
 9位 クロム及び3価クロム化合物
10位 ふっ化水素及びその水溶性塩

トルエン、キシレンあたりはともかくも、3位のマンガンは結構意外だし、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、あるいはふっ化水素がこんなに排出されているというのもかなり意外である。それぞれがどこからどんな形で排出されているのか興味のあるところだと思うが、さすがに化学物質ファクトシートには主な用途や排出源についても解説が載っているので、それぞれのリンク先を参照願う。

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2006/01/25

去年の地球は暑かった

YOMIURI ONLINE(1/25)の記事。地球の平均気温、昨年は観測史上最高…NASAが分析

 米航空宇宙局(NASA)は24日、昨年1年の地球の平均気温が19世紀末以来、最高だったとする観測値の分析結果を発表した。

 この分析結果は、世界の全観測地点の平均値や陸と海の平均値などの計算に基づくもので、それによると、これまで最高だった1998年を0・02~0・04度上回った。平年値との比較では0・58~0・75度高く、約14・5度になる。

 98年の暑さは、強力なエル・ニーニョ現象が気温の押し上げに作用したが、昨年はエル・ニーニョの影響がないにもかかわらず、気温が高かったことが特徴的だという。また、平均気温の高い上位5位までに、02年から昨年までが連続して入り、温暖化傾向が進んでいることを改めて示した。

ということで、気温上昇のニュースは今さら特に驚くものでもないのだが、この冬は日本だけでなく、ロシアやヨーロッパでも大寒波が襲っているということで、平均気温の変化とは別に、年間の気温変動とか地域差などについての情報が載っていないか見てみることに。

その前に他紙を見てみると、NIKKEI NETには地球の05年平均地表温度、観測史上最高に・米NASAというニュースが載っているのだが、タイトルや本文で「地表温度」という言葉が使われている。「地表温度」は陸地の表面温度のことをさすのかと思ったが、この場合には海の温度も計算に組み込まれているので、どうやら日経新聞は「地球表面温度」の意味で使っているようだ。。

NASAの発表したリポートは、GISS Surface Temperature Analysis - Global Temperature Trends: 2005 Summation -というもの。ここにはこの100年の平均温度のトレンドのグラフや、地球上のどの地点の温度が高かったのかを示す地図、さらには季節別、地域別の温度変化を示す地図が掲載されており、英語の本文を読まなくても楽しめる。

読売の記事にあることも含めて改めてまとめると

・2005年は過去120年で年間全地球平均温度が最も高かった。
・従来最高だった1998年はエルニーニョの影響が0.2℃程度含まれていた。
・1975年頃まで平均温度は上下しながら徐々に上昇していたが、それ以降は0.2℃/10年の速度で急激に上昇している。
・この温度上昇は低緯度地域よりも北半球の高緯度地域、特に北極圏で顕著である。
・エルニーニョの年は低緯度地域の温度が高くなるので、1998年と2005年は傾向が大きく異なる。
・エルニーニョは約4年周期で起きており、次は2006年か2007年に起き、かなり暑くなるのではないか。
・過去50年間の温度変化を季節・地域別に見ると、アラスカやシベリアの冬季の温度上昇が顕著である。
・この結果からも、都市部の局地的な温度上昇とは無関係に地球温暖化が起こっていると考えられる。

といったところか。これらのデータからは平均気温の上昇傾向は極めて顕著だけど、期待していたような、夏は益々暑く、冬は益々寒くなっているという傾向は見えないようだ。むしろアラスカ、シベリア、および南極で冬季の気温が上昇している傾向が見えており、今年の北半球の寒波はまた別の現象と考えた方がよいかもしれない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/01/17

ロハス的環境ホルモン学?

環境省の報道発表(1/13)で見つけた資料。「チビコト:ロハス的環境ホルモン学」ホームページ掲載について

 環境省は、月刊エコマガジン「ソトコト」(発行部数:約10万部)と協力し、2006年1月号別冊付録として「チビコト:ロハス的環境ホルモン学」を作成しました。チビコトの内容を「化学物質の内分泌かく乱作用に関するホームページ」(http://endocrine.eic.or.jp/)に掲載しましたのでお知らせします。ロハスという観点から、いわゆる環境ホルモンの問題を捉え直し、日々のライフスタイルに関する提言を行っています。

* ロハス(LOHAS:Lifestyles Of Health And Sustainability)とは、健康で持続可能なライフスタイルのことです。

○  ホームページの「チビコト:ロハス的環境ホルモン学」の主な内容は下記のとおりです。

英国における20年にわたる調査研究に関するレポート
自然現象としての「魚の性転換」についての専門家による解説
環境ホルモン問題とのロハスなつきあい方(提言)
ロハス的環境ホルモン行動学
専門家による対談
年表
用語解説

というもの。実はこの冊子については、中西準子さんの雑感327-2005.12.19「環境省も変わりましたね」でも、かなり好意的に取り上げられている。で、今回その冊子「チビコト」がインターネットから全文入手可能になったということ。

ソトコトはLOHASをキーワードとした雑誌。「ソトコト」とはアフリカ、バンツー語圏の人々の言葉で「木の下」のことで、「木の下には叡智が宿る」という意味をこめて誌名としたということだが、「チビコト」の意味や由来は不明。。

この雑誌は読んだことがないのだが、ウエブサイトを見た感じでは、安井先生がロハスの誤解とエコプレミアムでも指摘しているように、何だかイメージ先行で、本来の意味をちょっと勘違いしているような印象がある。そう言えば、これとは関係ないと思うが、この前 TVで、「LOHASのS(持続可能性)は、長持ちする商品を選んで使用することである」 と説明している解説者がいて、思いっきり脱力させられた。それはやっぱりちょっと違うだろうに。。

で、この冊子、チビコト:ロハス的環境ホルモン学を見てみると、ソトコトのロハスに批判的なコメントを述べている安井先生と、読売新聞の小出さんの対談「環境ホルモン問題からなにを学ぶのか?」(ここは前半だけだが、チビコトには全文掲載)が載っている。環境ホルモン騒動の発端から終息までの経緯、その間のマスコミおよび科学者の対応やその問題点などを率直に語り合っていて、結果論的な面もあるのだが読み応えがある。(実は昨年、とある市民講座で、小出さんのリスクコミュニケーションに関する講義を受けたのだが、考え方が論理的で、かつマスコミのあり方についても冷静で、とても面白く、参考になった。)

また、環境ホルモンで一時問題になった魚の性転換について、結局は下水処理場から出る微量の女性ホルモンが原因と判明し、それは結局人間の尿が排出源だったということや、魚の性は非常にフレキシブルに変わるということなどを結構詳細に紹介している。

ということで、ややイメージ先行で、環境系市民団体などに好まれそうな傾向のありそうな雑誌「ソトコト」の付録に、このように環境ホルモン騒動を冷静に見直す特集が載ったことに意味がありそうだ。

ただ、それ以外の部分にはやや疑問もある。そもそも「ロハス的環境ホルモン学」というタイトルが良くわからないのだが、

 環境ホルモン問題とのロハス的なつきあい方
  1.慌てず、騒がず、冷静に「情報を探る」
  2.自分のなかに「判断基準」をもつ
  3.「行動する」ことで積極的に関わる
  4.ほんとうの「心地よさ」にこだわる

というのも、パッと見は好印象だけど良く考えてみると、3や4は環境ホルモン問題の付き合い方としてはちょっと違う感じもする。。

また、「ロハス的環境ホルモン行動学」として、洗面所、台所、お風呂場で使用する洗剤や容器の選び方や使い方などの注意事項が具体的に書かれている。ところが、例えば良く落ちる洗剤は環境にも強い影響があるとか、消臭するなら備長炭、芳香剤なら天然のハーブだとか、これは環境ホルモンとは関係ないんじゃないの? というものもチラホラと含まれていて、ちょっと混乱を招きかねない。何というか、無理やり環境ホルモンにこじつけたような印象もあるし。。

もちろん、環境に負荷を与えないライフスタイルを心掛けよう、という趣旨には賛同したいのだが、それを「環境ホルモン行動学」と名付けてしまうセンスはどうだろう? 環境への影響や持続可能性を考えるのであれば、環境ホルモンという特定の成分をさす用語(しかも科学的には既に意味不明の用語だろうし)を使うのは何か変だし。。

まあ、「環境ホルモン学」だとか「環境ホルモン行動学」なんて変な用語が市民権を得て広く使われたりしないことを祈ろう。。(でも、そもそもこの冊子の制作には環境省が関わっているんだよな・・・)

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006/01/12

植物はメタンの発生源?

オーストラリアのABC NEWS ONLINEの記事。Scientists question trees' role in global warming

Until now, the mainstream belief is that atmospheric methane chiefly comes from bugs: from bacteria working in wet, oxygen-less conditions, such as swamps and rice paddies.

But in a study published in the journal Nature, a team led by Frank Keppler of the Max Planck Institute in Germany has found living plants, dried leaves and grass emit methane in the presence of air.

Nor is this gas just a piffling amount.

The researchers roughly estimate the world's living vegetation emits between 62 and 236 million tonnes of methane per year, and plant litter adds one to seven million tonnes.

This would be equivalent to between 10 and 30 per cent of all annual global emissions of methane.

内容はなかなかセンセーショナルで、植物(森林)は、二酸化炭素を吸収してくれることから地球温暖化対策の切り札の一つと考えられていたが、実はかなり多量のメタンの発生源となっているのではないか、というもの。

これが本当であれば、森林を吸収源として認めている京都議定書の枠組自体が揺らいでしまう、というとんでもない結果を招く可能性もあり、かなり重要な話である。しかも、このニュースソースは、ドイツの Max Planck研究所のチームが Natureに載せた論文(最近はこの手の雑誌に載った論文も無条件に信用できないらしいけど)であり、それなりに真剣に考慮する必要がありそうだ。

このニュース、他にもBBC NEWSなど、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどでは取り上げられているのだが、何故か日本やアメリカのマスコミには今のところほとんど取り上げられていないようだ。。

Natureの論文は、購読権があればこちらから読めると思うが、ネイチャージャパンのサイトを見たら、日本語のアブストラクト、植物 : 植物はメタンをまき散らして地球温暖化に加担しているが掲載されていた。(無料登録すると読める) 一部引用すると、

大気中の温室効果ガスのかなりの部分は植物が原因だとわかった。植物が放出するメタンは、年間発生量全体の実に10~30%に相当するらしい。

 この発見は意外なものだ。それは、植物がメタンを生成するのは酸素がない条件下のみであると考えられてきたからである。今回F Kepplerたちは、酸素の存在する普通の条件下でも、さまざまな植物がメタンを放出していることを見いだした。また、メタンは枯死した植物体からも出ているという。(中略)

 今回の発見は、熱帯雨林上空に見られる大規模なメタン上昇流を説明できるかもしれない。Kepplerたちはまた、地球上の急速な森林破壊が大気中のメタン蓄積速度低下と関連しているのではないかとも考えている。「新たな森林は、CO2の吸収源として地球温暖化を抑止するのではなく、メタン放出によってかえって温暖化を促進するのではないかという不安を我々は抱えることとなった」とLoweは述べている。

というものだ。今回の研究は、実験室での実験によって植物からのメタンの放出量を測定したもので、冒頭のABC Newsによると
The evidence comes from a series of carefully controlled experiments in the lab and in the field, in which gas chromatography and sensors to monitor carbon-13 isotopes detected and measured methane flows from the vegetation. (中略)

Levels of methane were "very temperature sensitive," with concentrations approximately doubling with every 10 degrees Celsius rise in temperature in a range between 30 degrees and 70 degrees, a phenomenon that suggests that breakdown by enzymes is not the cause.

とあり、植物のメタン放出は非常に温度に敏感だし、測定が非常に難しく、地球全体での寄与は極めて大きいものの、個々の植物が放出するメタンは非常に少ないということで、この現象は今まで見つかっていなかったらしい。

このニュースなどを見る限り、メタンがどういう過程で放出されるのかといったメカニズム面が全く書かれていないことや、いろんな理由があるにしても、そもそもこんな重要なことが今まで見過ごされていたなんてことがありうるのだろうか? という疑問もある。

また、過去の地球の大気組成の変化などの地球の歴史についても、最近は随分と明らかとなってきており、二酸化炭素やメタンの大気中の濃度変化も従来の説でそれなりに説明されているはずである。もしも植物が多量のメタンを放出するのが本当だとすれば、根本的な見直しが必要となってしまうだろう。。

まあ、どちらにしても人為起源のCO2の排出量が大幅に増えていることや、大気中のCO2濃度が実際に増大していることは事実なのだが、この話の真偽次第では

  「温暖化防止のためには森林を伐採するべきだ!」

と主張する新しいグループが出現して、地球温暖化対策の議論は今後ますます混迷を深めそうな予感もしないではない。。。

今後、この研究がどのように扱われるのか注目する必要があるだろう。重要度からみて、沢山の追試が出てくるだろうとは思うのだが。。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2005/12/15

将来の風力発電は海や空で

nikkeibp.jpの記事(12/14)。東京電力と東京大、フロート式洋上風力発電の共同研究

東京電力と東京大学は2005年12月13日、海上風力発電設備の建設技術について共同研究を開始すると発表した。従来、建設が困難だった沖合10km以上への設置を可能にする「フロート式洋上風力発電」に関するもので、期間は2007年3月までの1年3カ月あまりを予定している。

フロート式洋上風力発電は、洋上に浮かぶフロート(浮体)上に風車を設置する発電設備。海底から基礎を立ち上げる従来の設備に比べ、水深が深い海域でも利用できる可能性があるという。

共同研究では、風の実測調査を行い、数値シミュレーションで風力発電に適した関東沖合の地点の評価を実施する。また、波や風に対する安全性と安定性の高いフロートの構造・材料・メンテナンス方法を模型実験で研究し、あわせて経済性も検討する。研究費は6000万円。

風力発電の導入は、風が安定して吹く場所に限られるほか、周波数変動が大きいことから接続規模が制限されるなどの課題があった。関東沖で評価を行うのは、電力系統の規模が大きい地域であり、多量の風力エネルギーが得られるため。また両者は、周波数変動を蓄電池で抑えるための研究に9月から着手している。

最近どんどん増えている風力発電だが、騒音、景観、鳥への影響などの問題の他、そもそも安定した高出力が得られないという欠点があり、今のところはあくまでも補助的なエネルギー源という位置付けだろうか。一方、日本は海に囲まれた国だし、風を遮る障害物のない海洋での風力発電というのは確かに魅力のある分野だろう。

東京電力のプレスリリースからリンクされている研究概要を見ると、関東の沖合い 10km程度の洋上に風力発電機を浮かべる計画だが、まだ研究段階で具体的な実用化計画があるわけでもないようだが、面白い取組みだと思う。

フロート式ではない固定式の洋上風力発電の場合には、設置場所は沿岸になるようだが、すでにデンマークなど海外では実用化されている。この辺の事情については、ガイアの夜明け インタビューが詳しい。

一方、安定した強風が得られるという点では、高空も風力発電の候補箇所となりうる。既に1996年の日本総研のレポートにも、安定した風資源としてジェット気流を利用することができないかの提案がされている。実際に、風力発電を高空で行うアイデアとしては、飛行船で高空に浮かす方法や、凧のように風を受けて高空に係留する方法、エンジンを使って高空にホバリングする方法などなどが提案されているようだが。。

調べてみたら、今年の4月の Hot Wired News に高高度の安定した強風を利用する「飛行発電機」(上)高高度の安定した強風を利用する「飛行発電機」(下)という記事が載っている。スカイ・ウィンドパワーというアメリカの会社が、高度 4600mでの風力発電を計画しているというもの。Sky WindPower Corporation のサイトで調べると、この発電装置はFlying Electric Generatorというもので、ヘリコプターのような方式で、高空の風を受けプロペラで発電しながら、同時に浮力も得る方式のようだ。地上にはケーブルで発電した電気を送るとのこと。

とりあえず、アメリカの砂漠地帯で実験を計画しているようだが、地上と高空の発電機をケーブルでつなぐというのはどうなのだろう? ケーブルに航空機がぶつかったりしたら大事故になりそうだ。スカイ・ウィンドパワー社は、この方式を大々的に採用しても、実際に制限される空域は非常に狭いので問題にならないだろうと考えているようだが、日本のような過密な地域では無理そうだ。。

まあ、現実性から見ると海上での風力発電に軍配が上がりそうだが、高空での風力発電も、宇宙での太陽光発電などと同様に夢のある技術ということで注目していたい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005/12/08

COP/MOP1、ポスト京都の行方

ポスト京都議定書を議論する国際会議、COP11、COP/MOP1がカナダで開かれている。閣僚級会議が開かれたということで、関連ニュースをいくつか拾っておく。河北新報経由の共同通信ニュースがコンパクトにまとまっている。

米の拒否姿勢変わらず ポスト京都、打開困難に

カナダ・モントリオールでの気候変動枠組み条約・京都議定書締約国会議は7日、閣僚級会合で、議定書から脱退した米国に欧州などから「京都議定書以降の将来枠組みをめぐる議論に加わってほしい」と呼び掛けが相次いだ。

 しかし米国は「効果があるのは米国のやり方だ」と拒否の姿勢をあらためて明確にした。交渉打開は難しくなってきた。

 議長国カナダのマーティン首相は会見で「これ以上行動を遅らせることに弁解の余地は全くない」と厳しい調子で指摘。「米国など(消極的な国々)に言いたい。『地球的良心』とも言うべきものに耳を傾ける時だ」と名指しで米国を批判した。

ということで、まあ予想通りの展開である。確かに、二酸化炭素の排出を少々削減することで、どれだけ将来の人類社会に貢献するのか疑問もあるけど、だからといって何もしなくて良いというわけではないだろう。そもそも今のアメリカ型の社会では、温暖化以外の点でもいろいろな限界が見えているのも確かだろうに。。 案の定、米のCO2排出、04年は最大 エネルギー関連の速報値によると
石油や石炭などエネルギー利用に伴う2004年の米国の二酸化炭素(CO2)排出量が、1990年以降最大の約59億トンに達したことが米エネルギー省がまとめた速報値で8日までに分かった。

 こうした化石燃料の燃焼に伴うCO2排出は、米国が排出する温室効果ガスの80%超を占めており、専門家は他のガスを含めた04年の排出総量も最大となる可能性が大きいとみている。

 カナダ・モントリオールで開催中の温暖化条約会議で米政府代表団は、2000から03年の間だけについて温室効果ガスの排出が「減った」と演説などで表明している。

ということだから、アメリカが「米国のやり方」の効果を主張しても説得力がないのは明確のようだ。

一方、日本はどうかというと、環境省のサイトに小池大臣のプレゼン資料が掲載されている。モントリオールの会議で小池大臣がこの資料でプレゼンしたようだが、見てみると「志」がないというか、これまた何とも迫力がない。ハイブリッドカーや燃料電池などの紹介で、トヨタ、東京ガス、旭化成といった固有名詞が前面に出ているのにも驚かされるが、チームマイナス6%や、クールビズ、ウォームビズの宣伝がやや鼻に付く。 これについては、共同通信は日本製品の魅力アピール 小池環境相

気候変動枠組み条約・京都議定書締約国会議が開会中のカナダ・モントリオールで7日、日本政府主催の公式行事が開かれ、小池百合子環境相が、トヨタ自動車のハイブリッド車や住宅向け燃料電池など、日本企業の環境型製品の魅力をアピールした。

 流行語大賞のトップテンに選ばれた「クールビズ」など環境政策の成功事例も紹介。「2台あった公用車を1台に減らした」と身近な取り組みも披露した。ただ、聴衆の多くは日本の政府や企業関係者が占めた。

と何とも寂しい状況をかなり正直に伝えている。まあ、環境省としてはもっとカッコ良く決めたかったのだろうけど、日本も産業界を中心とした抵抗勢力が頑張っており、本音ではアメリカと似たり寄ったりといったところだろうから、これでも頑張った方だろうか。。

この国際会議を巡っては、excite ニュースに京都議定書と「今日の化石」賞のゆくえという記事が掲載されている。ここで紹介されているFossil of the Day AWARDSはアニメーションなども楽しめるので、是非 左上の"> INTRO" から入ってみることをお勧めする。ちなみに日本の順位は少し下がってただいま第4位のようだ。

なお、この会議の公式サイトは、こちら。ちなみに、COP/MOPは、"the Conference of the Parties serving as the Meeting of the Parties to the Kyoto Protocol" の略号である。

この会議は12/9までということで、今回は各国ジャブの応酬をしたところで終わりだろうし、実質的な大きな進展は望めないだろう。それでも、今の時代、こういった公式の場以外でもいろいろなレベルで声を上げ続けることで、アメリカ包囲網を強めていけば、いずれは国際的な流れを変えられるかもしれない、という期待を持って見守っていきたい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005/11/25

地球のために、180円。

「地球のために、180円。」とは何のことだかわかるだろうか? これは、環境省が提案している環境税のキャッチフレーズのようだ。現時点での計画では、総額3700億円のうち、家庭部門の負担が約1000億円で、1世帯あたりの平均負担額を求めると、月額約180円となるらしい。

今年になって、チームマイナス6%とか、クールビズやウォームビズという言葉も広く定着しているようだし、環境省の最近の広報戦略はなかなか見るべきものがあるように思える。このキャッチフレーズもわかりやすくていいんじゃないだろうか?

環境省のトップページを訪れてみたら、「環境税の4つの批判にお答えし、2つの提案をします。/地球のために、180円。」 というリンクが掲載されていた。このサイトを見てみると、小池環境大臣の名前で、環境税に関する主張がかなりストレートに述べられている。

今まで、大臣のフルネームをこれだけ前面に出したアピールというのはあまり見た記憶がないのだが、環境税が産業界などからの強い反対(経団連日本鉄鋼連盟石油化学工業協会など。)に遭い、劣勢に立たされている状況で、孤軍奮闘、なかなか頑張っているんじゃなかろうか? 

主張している内容は置いておいても、少なくとも姿勢は高く評価したい。まあ、裏を読むと、京都議定書の約束を守るための崖っぷちに立たされた環境省としては、小池大臣の個人的なパワーにすがるしかない所まで追い詰められたのかもしれないのだが。。

それでも、環境税を巡る論議は、最後には国民全体の意向が大きく影響するだろうから、パフォーマンスと批判されようとも、環境省の立場と主張をアピールすることに意義はあると思う。今のところ、つぶされてしまいそうな状況だけど、これをきっかけにして、もしかしたらもしかするかもしれない。

で、肝心の4つの批判に対する答えと2つの提案なのだが、

  批判1:日本の産業界に厳しい対策は必要ない。
  批判2:温暖化対策に今以上の資金は必要ない。
  批判3:環境税により日本の企業の国際競争力が失われる。
  批判4:アメリカ、中国が参加しない京都議定書を守っても効果は乏しい。

  提案1:石炭火力発電に使われる石炭の増加は見逃せません。
       これを相殺する自然エネルギーの利用拡大が必要です。
  提案2:論争ばかりしていて、森林整備を先延ばししてはいけません。

というもの。この資料では、それぞれの項目についての考え方が説明されている。総論としては確かに反対しにくい主張なんだけど、何故この金額なのか、実際に期待されるCO2削減量はどの程度なのか、などの定量的な部分がちょっと甘いという印象を受ける。

例えば、批判1に対しては、企業の努力を認めつつも、事務部門を中心により一層のCO2削減努力が必要だ、と指摘しているのだが、批判3に対しては、今回の環境税は微々たる金額であり、企業にとっては負担増とはならない、と言っている。これでは、今回の環境税は十分な効果は期待できない中途半端なものです、と言っているように聞こえなくもない。。

自然エネルギーを増やすとか、森林整備を進めるという提案も、それぞれもっともなものだけど、どうも具体性に欠けるように思える。残念ながら、環境省ひとりが孤立している状況では、説得力や実現性のあるプランになりづらいのかもしれない。

そんなこんなで、今回の環境税が十分な効果を生むものかどうかは疑問だし、規模や使い道についてもまだまだ議論の余地がありそうだ。でも、いつまでも議論ばかりしてないで、一歩踏み出してみるという選択をしてもいい時期に来ているように思える。

ということで、小池大臣を先頭にした「地球のために、180円。」キャンペーン。なかなかのグッジョブだと思うし、総論には賛意を示し、応援していこうと思う。

このキャンペーン、マスコミはきちんと取り上げてくれるのだろうか? そして、環境税反対派は、この小池大臣の回答と提案に対して、さらに反論をするのだろうか? これも注目だ。。

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2005/11/14

冬でもクールビズとは。。

日本経済新聞の11/14の朝刊39面(社会面)に面白いコラムが載っていた。「ウォームビズ 掛け声倒れ? 最新オフィスは寒くない」というもの。

 暖房を控えて重ね着することで省エネに貢献しようという「ウォームビズ」が、都会のオフィス街では掛け声倒れになりかねない状況だ。最新の高層ビルは断熱効果が高いうえ、パソコンやプリンターが発熱し、冬でも冷房する日が多いため。専門家は単純なウォームビズ推進は“温暖化”した現代オフィスにはそぐわないとする。

 「真冬でも、冷房をかけなければ室温は28度。窓は開かないし」。東京都心の高層ビルに入居する大手企業は昨冬、空調を20-25度の範囲で設定した。だが冷房のコストが暖房を大きく上回ったため、今冬は上限を27度にし、冷房を弱める方向で検討。「冬でもクールビズ」の日が多くなりそうだ。
 (中略)
 東京の六本木ヒルズを管理し、ここに本社を置く森ビルは「社内は真冬の早朝でも約23度。年間を通じて冷房が欠かせない」(広報部)。
 「3年前に新装開業した丸ビル以降のビルは冬でも冷房が常識」というのは三菱地所(東京・千代田)。ビル管理部門は「20度と上限を決めるウォームビズの温度設定は、最新オフィスでは意味がない」と漏らす。

というもの。いかにもありそうな話ではあるけれど、「へぇー、そんなもんなんだ、、」と感心している場合ではない。この状況はやっぱり変だ。

第1に、環境省のWARM BIZというサイトによると、「環境省では地球温暖化防止のため、暖房時のオフィスの室温を20℃にすることを呼びかけています。」ということで、暖房するときは室温は20℃にしてね、とは言っていても、冷房してまで室温を20℃にしろなんて言っていない。

クールビズでもそうだったけど、手段がいつのまにか目的に転化してしまうから、こんなおかしな話が出てくるわけで、それぞれの環境に応じて最適な運用方法を考えるのが常識ってものだろう。大体、冬に冷房を効かせる状況を疑問に思わないようじゃ、管理者失格だろうし、ウォームビズだからといって、冷房を強化してまで20℃を保とうとするところなんてあるんだろうか?

そして2点目として、「最新」のオフィスビルでは、冬にも冷房を入れないと快適さを保てないってのが情けない。これからの時期、さすがに外気温が20℃を超えることは滅多にないだろうから、適宜外気を導入するなり、外気と熱交換すれば済むのじゃないだろうか? また、ビルの低層階では暖房が必要だが、高層階では冷房が必要ということもあるようだが、それぞれ冷暖房するよりは効率的に熱交換することなどできないのだろうか? 「最新」のビルであれば、導入するのが難しい技術だとは思えないのだが。。 地球環境面からもランニングコスト面からも、冬場の省エネ温度制御は重要で有望な技術だと思うけど、如何でしょう?

探してみるとダイキン工業が業界初 低外気温冷房というのがあるけど、これはちょっと趣旨が違いそうだ。。

ちなみに、香港は冬でも冷房が普通らしいけど、日本も他人事として笑っていられない状況のようだ。。

省エネルギーセンターの省エネ対策アンケートを見ると、地方別および業種別の冷暖房設定温度などのグラフが載っていて興味深いのだが、暖房温度を20℃以下に設定しているのはかなりの少数派であることがわかる。

念のために、環境省が監修したWARM BIZ のポイント集を見てみると、暖房温度の設定だとか着るものの工夫の他にも、デスクでできる血行促進運動だとか、体温上昇を促す食品だとか、予想以上に広範囲な対策が載っている。

この中で、知らなかったのは「湿度を15%上げれば室温を1℃下げても体感温度は変わらない」という話。カラダからの水分の蒸発に伴う蒸発熱のせいだろうか。探してみると、ミスナールの体感温度というのがあり、気温が10℃以下では湿度が上がるほど寒く感じるらしい。試しに計算してみると、気温20℃で湿度40%と55%だと、体感温度はそれぞれ18.3℃と18.9℃となり、その差は0.6℃だった。。 この式によると10℃以上の範囲では、湿度が80%未満だと体感温度は実際の気温よりも低くなる。乾燥した冬場の部屋で暖房設定が20℃だと、体感温度は結構低くなるんだな。。。

| | コメント (5) | トラックバック (0)

2005/11/08

再生可能エネルギーの近況

Yahoo!ニュース経由の共同(11/6)再生エネルギー発電4%に 成長裏付けと米研究所

 太陽光や風力など「再生可能エネルギー」による発電容量が2004年に計1億6000万キロワットとなり、世界の発電容量の約4%に達したとする報告書を米環境シンクタンクのワールドウオッチ研究所が6日発表した。同研究所は「再生可能エネルギーの力強い成長を裏付けるものだ」としている。

 これに最も貢献した国は、小規模水力発電が盛んな中国。太陽光発電に力を入れている日本は、ドイツ、米国、スペインに続き5位に入った。

 発電容量で上位を占めたのは小規模水力(38%)、風力(30%)、バイオマス(24%)など。小規模水力やバイオマスは発展途上国で普及しており、発電容量の44%は途上国が占めた。

ということだが、再生可能エネルギーの貢献度で中国が1位、アメリカが3位、日本は5位とのこと。本当かな? 「再生可能エネルギー」の定義がどうなっているかによるだろうから、少し調べてみる必要がありそうだ。

この元データは、Worldwatch Instituteのニュースで読める。さらに詳細は、RENEWABLES 2005 GLOBAL STATUS REPORTを見ないといけないようだ。このレポートはPDFファイルで、もちろん英語で117ページもあるので、パラパラ見るだけでも大変だが、グラフや表が多いので目を通す価値はありそうだ。

そもそも、160GW(1億6000万kW)の再生可能エネルギー電力というのは、大規模水力発電(容量10MW以上)720GWを除いたもので、new renewable energy と呼ばれているもの。これらの電力以外に、バイオマス熱、太陽熱、地熱や、バイオ燃料(エタノール、バイオディーゼル)なども再生可能エネルギーの範疇に入る。

発電量が1~10MWの小規模水力発電では、中国が世界の半分近くを占めるようだ。これよりもさらに小さいものは、ミニ水力発電(100~100kW)、マイクロ水力(1~100kW)、ピコ水力発電(0.1~1kW)と呼ばれているらしい。

p11のグラフとp45の表によると、各国の全電力量に対する再生可能エネルギーの比率(カッコ内は大規模水力発電を含む数値)は、中国が8.4%(24.3%)、EUが25カ国合計で9.8%(25.3%)、アメリカが2.3%(12.8%)、日本が2.3%(19.6%)となっている。 (冒頭記事の、中国がトップで日本が5位というのは、大規模水力を除く再生可能発電の電力量の順位のようだ。) 発電以外の、太陽熱温水・暖房だとか、バイオ燃料(バイオエタノール、バイオディーゼル)などを加えると、日本の再生可能エネルギー利用比率はさらに下の順位に落ちてしまいそうだ。

おりしも、中国で国際再生可能エネルギー会議が行われており、中国は風力、太陽光、バイオマスの活用で、2020年までに再生可能エネルギーを15%まで引上げるという目標を出しているようだ。

一方、市民のための環境学ガイドのこのあたりを読むと、日本では「新エネルギー」と呼ばれ、定義も異なり国際的な比較は簡単ではないのだが、やっぱり目標レベル(2010年で1.3%?)が低すぎるように感じる。まあ、経済産業省が主導する将来構想は、どうしても実現可能性と日本経済への影響を考慮するから、積み上げ方式で計算するとこんなものになってしまうんだろう。しかし、現状ではエネルギー源の多くを輸入に頼っているわけだし、最初に国が描く理想の将来像というものがあって、それに向かって開発を進めるという姿勢がもっとあっても良いと思うのだが。

それに、日本では、水素エネルギーだとか、燃料電池などが次世代エネルギーのエースかのように喧伝される傾向があるけど、今のところ水素や燃料電池は再生可能エネルギーとは呼べないし、確かにエネルギー効率は高くなるだろうけど、それでいいのか? という定量的な議論がもっと必要だろう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005/11/04

アフリカの湖の縮小問題

YOMIURI ONLINE(11/3)の記事。水量激減!アフリカ大陸の湖に黄信号…国連環境計画

 国連環境計画(UNEP)はこのほど、アフリカ大陸の湖が砂漠化で深刻な危機にさらされているとの報告を発表した。

 UNEPが1980年代、90年代と近年の衛星写真を比較したところ、<1>アフリカ最大の淡水湖ビクトリア湖の水面が、90年代初めと比べ約1メートル低い<2>中央アフリカのチャド湖が過去数十年で10分の1に縮小した――などが鮮明になった。

 主なものだけで677あるとされるアフリカ大陸の湖の多くで、水量激減や湖の縮小が見られ、ニジェールでは過去20年で淡水の湿地の80%以上が消滅した。

 報告は水源枯渇が続けば、「この地域が不安定化する恐れがある」とし、水を巡って深刻な国家間の対立や衝突が起こる可能性を指摘している。

というもの。UNEPのサイトには、このニュースに関連するプレスリリースおよび、衛星写真集がある。読売新聞の記事には、この水量の減少が何故起きたのかが書かれていないので、何となく地球温暖化などの気候変動が原因なのかな? と思ってしまうのだが、UNEPのニュースによるとこれらの原因として降水量の減少もあるのだが、主要因は塩の採取、ダム建設、灌漑など人為的なものが大きいようだ。

チャド湖の面積が1/10に減少したというのもすごいが、1972年2001年を比べると、確かに一目瞭然だ。Wikipediaにも、流れ込む川の水が灌漑用に汲み上げられたことが原因として書かれている。

砂漠化という現象については、JICAの世界の砂漠化や、鳥取大学乾燥地研究センターの砂漠化とその原因などに詳しく書かれているが、8割以上が人為的な要因とのこと。人口増加への対応や生活水準向上のための開発が、ただでさえ少ない水を使い尽くす方向に進めてしまっているようだ。

アフリカは、貧困、内戦、感染症などで苦しんでいるわけだが、この水を巡る問題がこれらとリンクして、さらなる悪循環が進行する可能性が高い。もう、何が原因で何が結果なのか、複雑に絡み合った状態になっている。一体、何から手を付けていったら良いのやら? という感じだ。(参考) アフリカは人類発祥の地でありながら、今や人類の生存には最も不適な土地となっていることも、中々考えさせられる問題だ。

なお、このUNEPのの記事で紹介されているのは、Lake ChadLake SongorLake VictoriaLake Djoudjなど。Google Mapは、日本やアメリカの地図検索の場合には、地名と衛星写真が切り替え可能で、とても便利なのだが、アフリカに関しては地図上に国名以外の地名がほとんど記載されていないため、地名での検索は困難で、これらの湖を探すのにも苦労した。。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2005/09/29

温暖化の海への影響

昨日に引き続き、今日も地球温暖化関連ニュースが報道されている。お彼岸も過ぎて急に涼しくなったけど、温暖化のことも忘れないでね、というメッセージを込めて2件のニュースを無理やり1つのエントリにしてしまおう。。

asahi.com(9/29)のCO2増加で海水酸性化、サンゴ溶解も 研究チーム予測では、

 大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が現在のペースで増すと、海水の酸性度が上がって、50年後にはプランクトンやサンゴが溶け出し、生息海域が減り始めることを日米欧など8カ国の研究チームが予測した。29日発行の英科学誌ネイチャーに発表した。海の生態系全体に深刻な影響を与える恐れがあるという。
  (中略)
 現在の海水はpH(水素イオン濃度)が8程度の弱アルカリ性だが、水温が低くてもともとCO2が多く溶けている南極付近からアルカリ性の度合いが弱まり、50年後にはプランクトンの翼足類や、冷水サンゴの殻が溶ける海域が現れることがわかった。翼足類は世界中に分布する一般的な動物プランクトンで多くの魚種がエサにする。冷水サンゴは多くの魚種がすみかとする。これらが生息できない海域が100年後には南極海全体と北太平洋の一部に広がることがわかった。
というもので、このニュースは温暖化そのものの影響ではなく、大気中の二酸化炭素濃度の上昇の影響の話だ。以前、大気中の二酸化炭素を減らすために、二酸化炭素を回収して深海に捨てちまおう、というアイデアもあったようだけど、そう簡単にはいかないということか。海洋研究開発機構(JAMSTEC)のリリースには、Natureに載せたグラフが転載されており、なかなか興味深い。海水の酸性化が進むといっても、地球全体の海水が平均的に酸性化するわけではなく、ほとんど南極海にだけ顕著に現れるようだ。朝日の記事にあるように、水温が低いことが影響しているらしい。

この数値は過去数百万年なかったレベルとのことだが、過去のCO2濃度や海水のpHについては、岐阜大学のデジタル地球博物館の全地球史ナビゲータが参考になる。確かに、数千万年前には相当CO2濃度が高かったようだが、それ以降は海水のpHも比較的高い数値で安定している。この先わずか100年間で急激にpHが低下したら、さすがに適応できない生物も出てくるだろう。

もっとも、大気中のCO2濃度が増加した時の海水への溶解量は計算できそうだけど、実際には海底からのアルカリ分の溶出とか、温暖化による海水温度の変化とか、それに伴う海流の変化や氷の溶解に伴う塩濃度の変化だとか、いろいろと複雑な要素を考える必要がありそうだ。どこまでモデルに組み込んでいるんだろう? リンク先を探してみたら、Natureの論文の全文がこちらに転載されているので読めるようだ。

もう1件はYOMIURI ONLINEの今世紀末、北極海から氷消滅?ホッキョクグマ絶滅危機

米国立雪氷データセンター(コロラド州)と米航空宇宙局は28日、衛星観測の結果、今月の北極海の海氷面積が観測史上最低を記録したと発表した。急速に融解が進んでいるという。

 9月期の海氷は、これまで、年ごとに増減を繰り返しながら、10年あたり約6~7%のペースで減少してきた。今年は昨年に続いて面積が大幅に減り、過去最低を記録した2002年をさらに下回る約530万平方キロにまで落ち込んだ。10年間の減少率は約8%にまで上昇した。

 地球温暖化の影響に加え、太陽光の反射率が高い雪氷が減少することで熱の吸収量が増え、融解に拍車をかけていると考えられている。この状態が続けば、今世紀末までに夏季の北極海から氷が完全に消失する可能性があり、氷上を狩りの場とするホッキョクグマなどの絶滅が危惧(きぐ)されている。

というもので、こちらは地球温暖化の直接の影響というか証拠となるのだろうか。

これについては、米国立雪氷データセンターのリリースが出ていて、ここ数年の北極の氷の量の変化のグラフも掲載されている。一方、NASA のNewsでは、衛星写真での氷面積の比較やアニメーションが見られるのでわかりやすい。

もっとも、21世紀末の時点で、地球温暖化の影響の中でホッキョクグマの絶滅がどの程度重要な問題となっているのかは疑問だろう。(他にもっと深刻な問題があるだろうに。。) この問題は何といっても地球のアルベドが低下することによる温暖化への正のフィードバック効果が重要だろうと思われる。

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2005/09/28

AGGIという新たな地球温暖化ガス指標

YOMIURI ONLINEの記事(9/28)から。温室効果ガスの温暖化への熱効果、90年の1・2倍

 二酸化炭素などの温室効果ガスが地球全体の温暖化に与える熱効果が1990年の水準の1・2倍に増加していることが米海洋大気局の最新分析でわかった。

 データは、二酸化炭素やメタンなど15種類の温室効果ガスを米国本土やハワイ、南極などで過去25年間にわたって観測した結果について、各温室効果ガスが気温を上昇させるエネルギー(ワット)に換算し、一つの指標としてまとめた。

 各年の傾向で見ると、2・8~0・8%ほどのペースで増加しており、鈍化することはあっても、減少に転じたことはない。温暖化防止のための京都議定書から離脱した米国では、今夏、カトリーナ、リタの超大型ハリケーンが襲い、インフラや経済などに深刻な打撃を与えたことから、今回の分析結果は、温暖化による異常気象と関連付けて報じられ、関心を集めている。

「温室効果ガスが地球全体の温暖化に与える熱効果」って何だろう? 「各温室効果ガスが気温を上昇させるエネルギー(ワット)に換算し、一つの指標としてまとめた」と言われても、やっぱり何だかわからないぞ。。 単に温室効果ガスの濃度が増加したのとは別に、何か新たな知見でもあったのだろうか? NIKKEI NETの温暖化ガス効果、90年以降で20%強まる・米海洋大気局によると
 新たに開発した「温暖化ガス指標(1990年=1)」によれば2004年の温暖化効果は1.2。工場や発電所、自動車などから排出されるCO2の増加が上昇の主因で、フロンガスなど他の温暖化ガスの影響はあまり変わりがない。NOAAは新指標が「温暖化ガスの排出抑制に向けた取り組みの成否を測る目安になる」として毎年4月に公表する方針だ。
ということで、米海洋大気局(NOAA)が新たな指標を開発したということのようだ。NOAAのサイトに、NEW INDEX PROVIDES BENCHMARK FOR ATMOSPHERIC GREENHOUSE GASES というニュースが載っている。これによると、この指標は "AGGI" (Annual Greenhouse Gas Index)という名称で、
The index relates the total radiative forcing since pre-industrial times (defined as the year 1750) from all the gases sampled in a given year to the corresponding measurements taken in 1990. The 1990 baseline was chosen because greenhouse gas emissions targeted by the international Kyoto Protocol also are indexed to 1990.

Radiative forcing is the change in the balance between solar radiation coming into the atmosphere and Earth's radiation going out. Radiative forcing, as measured by the index, is calculated from the atmospheric concentration of each contributing gas and the per-molecule climate forcing of each gas.

各ガス成分の大気中濃度と温室効果への寄与から計算して求める「放射強制力」(radiative forcing)の1990年の数値を1.0とし、それに対する各年の比率を AGGI と定義しているようだ。各ガスの温室効果への寄与については、ここの説明文によると IPCC の radiative efficiency を使用しているらしい。

それにしても、放射強制力は従来から使われている指標であり、決して今回NOAAが開発した指標とは言えないだろう(グラフに載っている単位(W/m2)や数値を見ても、従来からの放射強制力そのものと思われる)。 強いて言えば、1990年の放射強制力を1として、各年の数値を指標化したことだけが新しいところだ。。 でも、NOAAのリリースでは、過去・現在・将来の大気の温室効果を総合的に比較するための優れた指標を開発した、と自画自賛しているみたいだ。。

そもそも京都議定書の温室効果ガスの排出削減目標値は、メタン、亜酸化窒素、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、6フッ化硫黄のそれぞれを、地球温暖化係数を用いて二酸化炭素に換算した数値を使用しているのだから、CO2以外のガスの寄与もきちんとカウントされているのにね。(目標数値の算定方法について参照)

まあ、アメリカは政府としては京都議定書から離脱してしまったものだから、アンチ京都議定書の立場から地球温暖化防止に取り組むためにも、京都議定書とは異なる新たな指標が欲しかったということだろうか? もっとも結局のところ、この指標の増加の主因は CO2の増加によるもののようだから、どういじってみても一緒のような気もするのだが。。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2005/09/13

燃料電池バイクの実力は?

FujiSankei Business i(9/13)の記事。二輪車も燃料電池に ヤマハ発リース、ホンダは開発中

 ヤマハ発動機(静岡県磐田市)は十二日、メタノールを燃料にして発電し、モーター走行する燃料電池二輪車「FC-me(エフシー・ミー)」を開発、十六日から一台を静岡県にリース販売すると発表した。リース料金は月十万五千円。燃料電池を搭載した二輪車を実用化するのはヤマハ発動機が世界で初めて。

 一方、ライバルのホンダ(東京都港区)は、高圧水素を燃料にして発電する燃料電池二輪車を開発中で、二〇〇九年のリース販売開始を目指している。四輪車に続いて二輪車も環境にやさしい燃料電池搭載車の開発競争が激化してきた。

(中略)

 一方、環境負荷の面でみると、ホンダの燃料電池二輪車は酸素と水素を化学反応させて電気を起こすので、水しか排出しない。ヤマハ発動機のシステムは、メタノール水溶液を直接燃料として使用するので、ガソリン車より少ないものの二酸化炭素(CO2)も排出する。ガソリンの原付きバイクと比べると二酸化炭素排出量は約45%少ない。

 ホンダは排気量一二五ccのスクーターをベースに開発しており、ある程度の遠距離ツーリングが可能なように航続距離は二百キロメートルを目指している。一方、ヤマハ発動機は電動バイクと同様の地域コミューターとしての利用を目指して開発したもので、ガソリンを使用する五〇cc原付きバイクの代替需要を主体に考えており、満タン時の航続距離は百キロメートルだ。

ところで、同じニュースを扱うNIKKEI NETの記事には、
 名称は「FC―me」。道路交通法では第一種原動機付き自転車に属する扱いで、エタノール溶液を燃料に使う。
とあるけど、メタノール水溶液の間違いですね。nikkeibp.jpには、
同社の開発した「ヤマハ ダイレクトメタノール燃料電池(DMFC)システム」を搭載する。液体であるメタノール水溶液を燃料とし、改質器などを必要としないため、水素ガスを使う燃料電池システムと比べコンパクトなサイズという。
とあり、水素ガスを原料とする燃料電池は元々改質器は不要なので、この表現はおかしいぞ。 日経の記者さん、大丈夫かな? さて、ヤマハ発動機のニュースリリースに主要スペックが載っている。これによると、

  定格出力 0.58kW
  燃料 54質量%メタノール水溶液
  燃料タンク 3.2リットル
  車両重量 69kg

とあり、小型のバイクにしては重量が重いような気もするけど、重量や航続距離と出力の関係は、通常のバイクや最近の電動バイクと比べてどうなんだろう? 燃料タンクが3.2Lで、航続距離が100kmとのことだから、燃費は約30km/Lとなる。ガソリンと54%のメタノール水溶液では、同じ体積でも炭素含有量が大きく異なるので、結果としてCO2排出量は45%程度削減されるようだ。

同じヤマハが最近発売した、電動スクーター EC-02の場合には、 

  定格出力 0.58kW
  最高出力 1.2kW
  最大トルク 7.5N・m/rpm
  リチウムイオン電池 25V-24Ah
  100%充電に6時間、1充電走行距離 43km
  車両重量 47kg

とあり、使用しているモーターは同じものかもしれない。この電動スクーターはかなり小型で車両重量も軽いから、燃料電池バイクの方は車両重量に対してモーター出力がやや不足気味かもしれない。それでも、リチウムイオン電池だと1回で32kmしか走れないのと比べると、燃料電池バイクの100kmの航続距離はアドバンテージではある。もっとも、電池を室内に持ち込んで充電するために電池重量を6kgに抑えているのも影響していそうだが。。

なお、電動スクーターについてはLCAの結果が掲載されている。

一方、通常の50ccクラスのガソリンバイクの場合、例えばヤマハのBJでは、

  最高出力 4.6kW(6.3PS)
  最大トルク 6.6N・m/rpm
  車両重量 75kg
  燃費 58km/L
  燃料タンク 4.6L(航続距離は 267km)

となっており、意外なことに車両重量は75kgもあるのだが、さすがに動力性能は優れており、トルクはモーターには劣るもののパワーは相当大きいし、航続距離も圧倒的だ。

ということで、定格出力0.58kWというのがどの程度の走りになるのかにもよるが、現状ではコスト以外にも課題が多いという印象だ。果たして燃料電池バイクの存在意義があるのだろうか? 燃料電池自動車が普及して燃料供給インフラが整備されれば、確かにありそうだけど、メタノール水溶液の燃料電池車なんか実現しそうもないような。。 むしろ電気自動車が普及して充電インフラが整備されれば電動バイクもかなり有望になりそうだけど。

ところで、燃料の54%のメタノール水溶液だが、わざわざ水溶液にする理由は DMFCの課題の1つであるメタノールクロスオーバーに対する対策だろうか。(参考)法的にはガソリンにしてもメタノールにしても消防法の規制を受けるだろうし(注)、メタノールの毒性もこの程度の希釈では解決策とはならないだろうし。。

注:ここには17Mメタノール水溶液は危険物に該当しないとある。17Mだと、32×17=544g/Lとなり、54wt%近辺の濃度になりそうだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005/09/08

土壌中の炭素が減少

共同通信(9/8)のニュース。代表して、中国新聞から。土壌中の炭素、減少続く 温暖化が原因と英研究者

 過去25年間に、土の中にある炭素の量が減少を続けており、これまで考えられていたより広い範囲の土地から二酸化炭素(CO2)が大気中に出ている可能性が高いとの分析結果を、英国立土壌研究所などの研究者が8日付の英科学誌ネイチャーに発表した。

 地球温暖化で土壌中の炭素を分解する微生物の活動が活発になったことなどが原因とみられ、放出されたCO2が温暖化をさらに加速する悪循環につながる可能性がある。

 グループは「調査をしたのは英国の土だけだが、同様のことが温帯の広い範囲で起こっているのではないか」と指摘しており、今後、詳しい調査が必要になりそうだ。

というのだが、土壌中の平均的な炭素含有量を求めるのも難しそうだし、地球全体の炭素循環の中でどの程度の割合を占めるものなのかが不明である。Google Newsで検索して見つけたBBC NEWS、Warmer soils add to climate worryによると、
They base their assessment on a huge analysis of soil samples gathered from across England and Wales over 25 years.

The team says its findings, if extended to the whole of the UK, suggest some 13 million tonnes of carbon are being lost from British soils each year.

The Cranfield University group reports its work in the journal Nature.

The scientists say computer models used to forecast future climate trends will now have to be revised because the calculations on which they are based will be wide of the mark.

"Our findings suggest the soil part of the equation is scarier than we had thought," Professor Guy Kirk, of Cranfield University, told journalists at the British Association's Festival of Science in Dublin, Ireland.

"The consequence is that there is more urgency about doing something - global warming will accelerate."

Indeed, as an illustration of how big a problem this is, it is likely the carbon lost from British soils since 1990 will have completely wiped out any reductions the country might have made through technological gains over the same period.

イングランドとウェールズから採取した過去25年間の多量の土壌サンプルを分析した結果、イギリス全土に換算して1300万トン-C/年が土壌から大気に放出されている計算になるということで、この量は、イギリスがこの間に技術的に削減してきた二酸化炭素の排出削減をそっくり帳消しにする程度らしい。さらに
At its beginnings in 1978, almost 6,000 soil locations were sampled at various depths down to 15cm. Over the intervening years something like 40% of these sites have been re-sampled and their chemistry analysed in detail.

Professor Kirk and his colleagues have been able to show that the two countries' soils have given up around 0.6% of their carbon content per annum - or just over four million tonnes in the 25 years to 2003.

ということで、6000箇所以上から土壌をサンプリングして、平均で炭素含有量が年間0.6%減少しているという結果を得たようだ。原因については、土地の利用方法の変化も考えられるが、その影響はほとんどなく、大部分は平均気温がこの間に約0.5℃上昇したことによる微生物の活発化によるもの、という結論のようだ。そうだとすると、地球温暖化が土壌からの炭素の放出を加速するという悪循環(正のフィードバック)が起こってしまうので、地球温暖化予測モデルの修正が必要ではなかろうか、という話になっている。

ちなみに、イギリスからの二酸化炭素の放出量は全国地球温暖化防止活動推進センター資料によると、2000年で5億6900万トン-CO2/年であり、今回見積もられた土壌からの放出分はCO2換算で約4800万トン-CO2/年となり、全体の8.4%に相当する。確かに影響の大きそうな数字だ。もっとも、BBC Newsにも書いてあるが、土壌から失われた炭素が全て大気に出たかどうかは疑わしく、水や地下深くに移動したものもありそうだ。NewScientist.comのニュースによると

Soils are a vitally important sink for carbon dioxide - twice as much carbon is wrapped up in soils as in Earth's vegetation or atmosphere. It is estimated that they store 300 times the amount of carbon dioxide now released annually by burning fossil fuels.
とあり、土壌中に存在する炭素は化石燃料を燃やすことで1年間に放出される量の300倍に相当するとある。とすると、その0.6%が毎年失われるということは化石燃料での放出分の1.8年分もが土壌から放出されることになるぞ??

地球全体での炭素循環やその中での土壌中の炭素の位置づけについては、環境省の地球温暖化解説の炭素循環のメカニズム<炭素の短期循環>や、炭素循環のメカニズム<地球の物質循環>あたりに比較的わかりやすくまとまっている。これによると気温上昇による土壌からの炭素放出は今のモデルに既に折り込み済みのようだけど、その影響の大きさが従来の予想以上だったということだろうか。

少し詳しく調べ始めてみると、このあたりはまだまだ不明な点が多い領域のようで、気温の変化による炭素バランスの変化については諸説ふんぷん(紛紛と書くらしい)だ。土壌中の炭素と温度の関係も、緯度や土地の利用形態によって異なるようで、今回の結果をそのまま地球全体に外挿するわけにはいかないようだ。まあ、このような事実を少しずつ積み重ねていくしかないってことだろう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005/09/05

二酸化炭素排出量表示機能付き駅すぱあと

Yahoo!ニュース経由で見つけた、Web BCN(Business Computer News)のニュース(9/5)。ヴァル研究所、CO2排出量順で経路選び、「駅すぱあと」に新検索条件

 ヴァル研究所(鈴木和夫代表取締役)は、10月から発売する「駅すぱあと」各製品に、新たに二酸化炭素総排出量順(CO2排出量順)の探索ができる機能を搭載すると発表した。「Yahoo! 路線情報」での経路探索サービスにも12月以降に実装する予定。

 同社では、温室効果ガス削減策の一つとして、自動車の利用を控え鉄道などの公共交通機関の利用促進する活動を支援するため、従来の「時間順」「運賃順」「定期順」に続く経路探索条件として「CO2排出量順」の機能を追加。探索結果には、当該経路の二酸化炭素総排出量のほか、同じ距離について乗用車を利用した場合の二酸化炭素総排出量も併記されるため、環境を考慮した経路探索ができる。

(中略)

 二酸化炭素総排出量は、距離(km)×二酸化炭素排出原単位(g-co2/人km)の計算式で算出する。なお、二酸化炭素排出原単位は、交通エコロジー・モビリティ財団発行の「運輸・交通と環境 2005年版」のデータを利用している。

「駅すぱあと」といえば、この手の経路探索ソフトの元祖的な存在だが、最近は携帯やPCでオンラインで時刻表を含めて探索できるサイトが多いので、販売という点ではかなり苦戦しているのではないだろうか。それでも「駅すぱあと」は企業内のシステムと連携させて出張管理などに使用するケースも多いようなので、二酸化炭素の排出量表示機能を付けることで、直接移動手段の選択が変わるとは思えないけど、企業の環境マインドを刺激したり、という効果は多少期待できるかもしれない。

ヴァル研究所のニュースリリースには、探索結果画面の例が掲載されている。今回使用した二酸化炭素排出原単位は、運輸・交通と環境(2005年版)から申し込むことで無料で入手できるようだが、残念ながらオンラインではデータが公開されていないようだ。

ただし、同じ交通エコロジー・モビリティ財団の、交通部門における地球温暖化問題の現状のページで2000年度の二酸化炭素排出原単位のデータが見られる。念のために「駅すぱあと」のサイトに載っていた例(品川→大阪で、新幹線が9.8kg、飛行機が59.4kg、乗用車が95.0kg)と比較してみよう。

距離は新幹線が約550km、飛行機が約450km、自動車が530kmとして、このサイトの原単位(単位がg-C/人・kmなので換算が必要)で計算すると、新幹線が550×6×44÷12÷1000=12.1kg-CO2/人、飛行機が450×30×44÷12÷1000=49.5kg-CO2/人、乗用車が530×45×44÷12÷1000=87.5kg-CO2/人となり、やや差が大きいのが気にならないでもない。いずれYahoo!路線情報でも提供されるそうなので、いろいろな条件で探索してみると、使用している原単位が逆算できそうだけど。。

調べてみると、金沢市のエコチャレンジでは、各自の交通関係の二酸化炭素排出量を計算してくれる。ここでは単位時間当たりの二酸化炭素排出原単位が使用されているので比較するには換算が必要。でもこの表ではタクシーの原単位が自動車の10%しかなかったり、やや疑問がないでもない。(どちらのデータでもバスは自動車の40%程度なのだが、乗車人員を考えると、一人当たりの排出量はもっと少ないような気もする。。)

実際には、乗用車といっても、車種や条件(高速/一般道/都会/郊外)、乗車人員や搭載貨物量で大きく変わりそうだし、飛行機だってジャンボなのか737なのかで違うだろう。最初は大雑把な比較から始めるにしても、いずれ、色々な条件を細かく指定できるようなオプションがあると面白いようにも思える。さらに言えば、単なる移動時の二酸化炭素排出量だけでなく、LCA的な視点を加えてみるのも面白そうだけど。

ちなみに、LCAで使用するための各種排出原単位は、産業連関表による環境負荷原単位データブックで入手できるようだが、専門的すぎて一般には使いにくそうだ。

一般家庭でできる温暖化対策については、全国地球温暖化防止活動推進センターあたりが参考になるけど簡単すぎるような。極端に専門的な資料や極端に簡単な資料はあるのだけど、一般の人が少し専門的なことも調べてみようと思ったときには結構困る。レベルに応じて階層的に専門的な資料に到達できるような使いやすいデータベースがあるといいのだが。。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005/08/30

化学物質と環境に関する環境省のサイト

EICネットニュース(8/30)。化学物質と環境に関する学習関連資料データベースを更新

 環境省は化学物質と環境に関する既存の教材を紹介するための「化学物質と環境に関する学習関連資料データベース」の情報を2005年8月29日までに更新した。

 このデータベースは03年6月に、公募により収集した情報をもとに開設されていたもので、今回の更新にあたっては幅広く情報を収集した上で、「化学物質やその環境リスクに対する正確な理解を促すことに役立つ」、「小・中・高校生、一般市民を対象としている」、「誰もが入手可能」など16の掲載基準に合致する資料を掲載した。

 なおデータベースは環境省のリスクコミュニケーションのウエッブページ内から利用が可能で、情報を用途、対象学年・対象層、資料の形態ごとに検索できるほか、任意のことばでも検索することができる。

ということで、環境省のリスクコミュニケーション活動の一環らしい。環境省のサイトで情報を探してみると、トップページから直接リンクしている「新着・更新情報」にはこの情報は見つからない。よくよく見ると、こことは別に「報道発表資料」というページがあることに気付いた。。こちらには、新着情報にはない情報が沢山載っているではないか。 最近、環境省の新着情報がやけに少ないとは思っていたのだが、変なの。。 (報道発表資料へもトップページから直接飛べるのだが、そのリンクがページ右下にあって見つけにくい。)

で、今回のニュースに関連して以下の3つの報道発表資料が出ている。
  化学物質と環境に関する学習関連資料データベース」の更新について
  「化学物質ファクトシート―2004年度版―」の作成・公表について
  「かんたん化学物質ガイド」の作成・公表について

これらは、いずれも、化学物質などの環境リスクについて学び、調べ、参加するというサイトが入口となっている。(随分ユニークなサイトタイトルである) うかつにも、こんなサイトがあったことに今まで気付かなかったが、市民向け、子ども向け、専門家向けに分かれており、それぞれになかなか役に立つ情報が提供されており、かなり使いやすい構成になっているようだ。

ちなみに、8/23のエントリーで紹介した、内分泌かく乱作用のオフィシャルサイト、Official ED Websiteは、専門家向けのページで“「環境ホルモンHP(仮称)」作成中”となっているようだ。。

環境省は最近、このような形で積極的に情報発信をしているようで、内容的にも随分充実してきているようだし、これはこれでなかなか結構なことだと評価したい。しかしその一方で、例えば、ここからリンクしている化学物質に関するリスクコミュニケーションという、内容的にかなり重複したサイトがあったりする。(ちなみにこのサイトもタイトルは「化学物質などの環境リスクについて学び、調べ、参加する」になっている。。)

このように環境省の化学物質関連サイトには、どうも似たようなサイトが乱立しているような印象がある。環境省のトップページから飛べるようなポータルサイトを1つ作って、スッキリとさせて欲しい所だ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005/08/23

内分泌かく乱作用のオフィシャルサイト?

8/9に内分泌かく乱作用の情報発信サイト?で書いた、環境省が開設したという、化学物質の内分泌かく乱作用に関するホームページなのだが、どうしてもそれらしいのが見当たらなかったので、情報元の化学工業日報社にメールで問い合わせてみた。

その結果、多少時間がかかったけれど、ありがたいことに担当者からお返事が来た。そこで教えていただいたのが、Official ED (Endocrine Disruption) Website。確かに、

このHPは、EIC(財団法人環境情報普及センター)が、様々な意見の紹介を含め、ED(Endocrine Disruption)=内分泌かく乱作用について総合的な情報発信を行うもので、環境省の協力を得て作成しています。
と書かれている。まだ、準備中のコンテンツも多いようだが、今のところ唯一掲載されているコラムが、あの渡辺正先生の書かれた不思議なコトバ:「化学物質」だったりするので、このサイトの方針も何となく見えるような気がする。ということで、今後に期待してみよう。

もっとも、「国内での取組」の中の「学界の取組」で紹介されているのが、あの、中西準子さんの訴訟の話で出てくる、環境ホルモン学会(正式名称、日本内分泌攪乱化学物質学会)なのが、ちょっと気になったりもするけど。。

改めて環境省や環境情報普及センターのページを見てみたが、やっぱりこの新たなサイトのことはどこにも出ていないようだ。本当に、「総合的な情報を発信することで、リスクコミュニケーションを推進することがねらい。」なのであれば、もっと積極的にこのサイトの存在を宣伝する必要があると思うのだが。。

ちなみに、検索キーワードチェックツールで、このサイトについて「環境ホルモン」や「内分泌かく乱作用」でチェックしてみたが、グーグルもヤフーも500位以内にはランクインしていない。ということは、一般の人々にとって、このサイトは存在していないも同然だろう。。 このブログがリンクしたことで、ランクインするかな?

それにしても、"Official ED Website" というタイトルだと、別のEDをイメージする人の方が(圧倒的に)多いだろうに、大丈夫かな?? (参考:「EDとは」define:ED

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005/08/18

電気軽自動車の実用化は近いか

NIKKEI NETの記事(8/18)。富士重、軽の電気自動車を初公開

 富士重工業は18日、高性能のリチウムイオン電池を活用した軽の電気自動車の試作車「スバル R1e」を初公開するなど環境技術への取り組みについて発表した。

 自動車各社は低公害車の開発にしのぎを削っているが、竹中恭二社長は「家庭で一晩で充電できるようになれば、電気自動車は一定の地位を得るだろう」と述べ、ハイブリッド車や燃料電池車などの技術で先行するトヨタ自動車などに、独自の電池技術を駆使して対抗する姿勢を見せた。

 リチウムイオン電池は、富士重とNECとの合弁会社「NECラミリオンエナジー」が開発。5分間で90%の充電ができ、電池は交換せずに15万キロ以上の走行が可能という。

 また富士重は、リチウムイオン電池などを用いた独自のハイブリッド車を2007年度に試験的に市場に導入する方針も明らかにした。

ということだが、この記事では自動車の性能がよくわからない。調べてみると、1週間前(8/11)のNIKKEI NETに、富士重、次世代型電気自動車を09年メド商品化という記事が載っている。
 富士重工業は高性能のリチウムイオン電池を搭載した次世代型の電気自動車を開発した。軽乗用車ベースで走行コストをガソリン車の8分の一にまで抑えることができる。年内にも公道で実用試験を開始、2009年をメドに商品化する。富士重はエンジンとモーターを併用するハイブリッド車や燃料電池車の開発で後れをとっているが電気自動車で巻き返しを図る。

 富士重が開発したのは軽乗用車「R1」に、NECとの共同出資会社「NECラミリオンエナジー」で開発した高性能リチウムイオン電池と駆動用モーターを搭載した電気自動車。ガソリンを使わないため二酸化炭素排出量はガソリン車の半分以下となる。走行コストも低価格の夜間電力を使えばガソリン車の8分の1、ハイブリッド車の5分の1で済むという。

ということで、ランニングコストもCO2排出量もなかなか頑張っているし、自動車本体の値段次第では結構魅力的なのではないだろうか。一方、YOMIURI-ONLINE(8/18)には、家庭で充電できる電気自動車、2008年発売へという記事が載っている。こちらは三菱自動車の話で、
 三菱自動車と東京電力が、家庭のコンセントで充電して走る次世代電気自動車の開発と普及に向けて提携することが18日、明らかになった。

東電は電気自動車への充電や蓄電池の技術などを提供し、三菱が開発中の小型電気自動車「MIEV(ミーブ)」の商品化を後押しする。三菱はこれにより開発期間を短縮し、ミーブの発売時期を当初予定の2010年から08年に前倒しする。3年後には1回4時間程度の充電で250キロ・メートル走れる軽自動車クラスの電気自動車が、200万円以下で市販されることになりそうだ。
(中略)
 三菱は提携で充電関連技術の開発費負担も少なくできる。電気自動車の充電は夜間が主流になると見られるため、東電も余り気味の夜間電力の需要先を確保し、原子力発電所で発電した電力を有効活用できる。夜間の電力で充電した場合、電気代はガソリン代の10分の1程度で済むという。東電以外の複数の電力会社も次世代電気自動車に関心を示しており、今後、他の電力会社が提携に合流する可能性もある。

 三菱は次世代電気自動車を、年末にも発売予定の軽自動車「i(アイ)」をベースに開発する考えで、街中など近距離の利用が多い主婦などの女性層を主なターゲットとし、新市場の開拓を狙う。東電は家庭用コンセントを簡単に改造する技術なども研究する。

ということで、こちらは電気代が1/10とスバルよりも更に安く済みそうだ。この前、電気八輪車エリーカのことを書いたが、あんなモンスターマシンは別として、むしろこの手の軽電気自動車の展開が面白そうだ。燃料電池自動車の実用化にはまだまだ課題が多いのに対して、比較的短距離の市街地走行を主とする用途には電気自動車が向いているように思える。何といっても、インフラ整備にそれ程大きな投資が不要のようだし、技術的な実現可能性やコスト面のハードルも低そうだ。

ランニングコストがガソリン車の1/10だとすると、どれだけ走るとペイするのだろう? 現行の軽自動車の価格を90万円、燃費が20km/L、ガソリン価格を120円/Lとし、電気自動車の価格を200万円、燃料コストをガソリン車の1/10と仮定すると、
 (2000000-900000)÷(120÷20×0.9)= 203704 km
ということで、20万km走ると元が取れることになる。しかし、冒頭の記事によると電池の寿命は15万kmということらしいので、ペイするのはもっと長距離の走行が必要のようだ。もう少し頑張ってコストダウンするか、ガソリン価格の高騰が必要ということになる。

もっとも、現在のガソリンにはたっぷりと税金が掛かっているわけだから、もしも電気自動車がそれなりに普及したら、電気自動車用の電気には特別な課税をするなんてことも考えられなくもないが。。


ところで、SUBARUのニュースリリースを見ると、この電気自動車のニュースは何故か掲載されていないのだが、代わりに「ターボパラレルハイブリッド」と「リチウムイオンキャパシタ」についてのリリースが載っている。このリチウムイオンキャパシタというのが気になる。

リチウムイオンキャパシタは、従来のキャパシタの特長である大容量の電気を瞬間的に充放電できることや耐久性の高いことを生かしながら、課題であるエネルギー密度を飛躍的に増大させたものである。このリチウムイオンキャパシタは、負極にリチウムイオンを吸蔵する新開発の炭素材料を、電解質にリチウムイオンを、それぞれ使用し、あらかじめ負極にたくさんのリチウムイオンを吸蔵させる“プレドーピング”とよぶ手法により、負極の容量を増大させるとともに電位差を高め、正極の性能劣化を起こさずに高電圧を取り出すことを可能としている。

さらに、リチウムイオンキャパシタの原理は、最近のキャパシタの研究による大容量化のための新材料を正極に使用し、リチウムイオンキャパシタと組み合わせることで、理論上想定の容量のさらに倍の性能を引き出すことができる汎用性の高さも有している。

現在、試作セルによる性能確認を進めているが、将来、小型の自動車用リチウムイオンキャパシタを実用化すれば、バスやトラックなどの大型車のみならず乗用車などのハイブリッド車の需要や、一般的な鉛電池の代替需要にも応える可能性をもち、環境技術のひとつとして社会貢献が期待できる。

ということだが、調べてみても今年の電気化学会のシンポジウムぐらいしか情報が見当たらない。今後の注目アイテムかもしれない。

| | コメント (1) | トラックバック (1)

2005/08/09

内分泌かく乱作用の情報発信サイト?

化学工業日報の記事(8/9)から。環境省、内分泌かく乱作用の情報発信でHP開設

 環境省は、化学物質の内分泌かく乱作用に関するホームページを開設した。総合的な情報を発信することで、リスクコミュニケーションを推進することがねらい。環境情報普及センターが運営主体となり、環境省が監修する。内分泌かく乱作用は、現段階では科学的に不明確な点が多く、立場によって意見が大きく異なる。同省は、適切なリスク管理を進めるため、信頼性の高い最新情報を継続的に提供し、意見交換を活発にする。
ということなのだが、環境省の新着情報を見ても、それらしいニュースは出ていない。環境省のサイト内検索で探すと、そのものずばり化学物質の内分泌かく乱作用に関するホームページが見つかった。だけど、このページは何度か見に来たことがあるから、結構前からあったと思われる。それに、このページのコンテンツでは、「総合的な情報発信」や「リスクコミュニケーション」が進むようには思えないし、見に来た人が意見を書き込むような場所もないから、「意見交換を活発にする」とも思えないんだが。。

記事に出てくる、環境情報普及センターは、環境省のホームページやEICネットの設計・構築・運用を行っているようだから、今回ニュースになったのが、環境省のサイト内に作られたページのことであっても不思議はないのだけど。。

うーむ、なんか釈然としないな。これからできるのだろうか? 化学工業日報に確認してみようかな?

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2005/08/03

国内最大の木質バイオマス発電

nikkeibp.jp(8/3)の記事。三菱商事と中国木材、国内最大規模の木質系バイオマス発電事業開始へ

三菱商事と中国木材は、茨城県鹿島郡神栖町に建設している中国木材の関東工場において、木材の樹皮やおがくずなどの木質系バイオマスをボイラーで燃焼して電力と蒸気を取り出す発電事業を共同で実施すると発表した。両社は、それぞれが50%ずつ出資した事業会社「神之池(ごうのいけ)バイオエネルギー」を2005年7月に設立しており、2008年7月から2万3000kW級の発電事業を開始する予定。
三菱商事のニュースリリースによると、この事業の特長は、
1.従来の大型バイオマス発電とは異なり、木質系バイオマスの発生場所で消費する事で、木質系バイオマス収集時に使用するトラック等車両のCO2 が一切発生しない事。

2.「カーボンニュートラル」という性質を有する木質系バイオマスの専焼プラントである事から、中国木材関東工場の必要とする電力・蒸気及び電気事業者に販売する余剰電力は、CO2 を全く発生しない木質系バイオマス起源のエネルギーである事。

今回の発電事業により、温室効果ガスである二酸化炭素の排出量削減効果は、化石燃料の効果として、工場内の電力需要と蒸気需要分として原油換算で20,000 キロリットル/年相当、余剰電力分として原油換算で18,000 キロリットル/年相当、合計で38,000 キロリットル/年相当の一次エネルギー使用量の削減が達成される見込みです。

とある。中国木材は、製材を作っている会社のようで、この会社のホームページのバイオマス発電のページには、
 製品製造時に副産物として発生する木材チップは製紙用原料に、オガ粉は活性炭に、また樹皮などはバイオマス燃料として大型自家発電ボイラーに供給し、木材乾燥に必要な蒸気と工場稼動に必要な電気エネルギーに変換するなど、原木は副産物を含め余すことなく活用されます。
と書かれており、既存の工場で従来からバイオマス発電を行っているようだ。製材工場から出る樹皮やおがくずなどを発電に利用するということは、広く行われているようで、つい最近も asahi.com にバイオマス発電に愛・地球賞/真庭の会社なんて記事が載っている。同じようなバイオマス発電をしている会社が他にもあるとすると、この会社が愛・地球賞を受けた理由は何なのだろう? (愛・地球賞

バイオマス発電については、調べてみるとサイエンスゼロでも特集されていたようだし、おうみ木質バイオマス利用研究会のように、地球温暖化対策として国際的に注目されている技術と言えそうだ。現時点では廃材などは、それなりにしっかりと有効活用されているのかと思いきや、まだまだ無駄に燃やされたりしているのだろうか?

とは言え、生の木材をそのまま燃焼させて発電させるのも、あまり効率が高いとは思えない。木材をガス化させる方法も有望視されて開発されているようだが、単に燃焼させる場合については、環境gooの資料によると、ポイントは、
  ・コージェネレーションとして、熱も有効に使用する
  ・発電設備の規模を大きくして、効率を向上させる
  ・原料木材の長距離輸送は避ける
なんてところらしいが、今回の国内発電設備はこれらの条件をクリアする方向にあるようだ。

ところで、従来の国内最大規模のバイオマス発電はどれくらいだろうと思って、調べてみたらnikkeibp.jp(2005/7/23)に、

ファーストエスコは、大分県日田市に建設する木質バイオマス発電所の起工式を行い、建設に着工した。製材産業が集積している日田市で木質バイオマス発電所を建設することにより、周辺で排出される木質資源の活用を図る。運転開始は2006年11月の予定。発電出力は1万2000kW。
という記事が見つかった。なんと、つい先週のニュースだった。。 ん? こちらには、
住友商事(本社東京)と明星セメント(同)は、(2002年)10月31日までに合弁で設立した新会社が、糸魚川市の明星セメント糸魚川工場内で、国内最大のバイオマス(生物資源)発電施設を建設し、発電事業を行うと発表した。発電施設は、産業廃棄物である建築廃材や間伐材を明星セメントで再資源化した木くずチップを主燃料にする。出力は5万キロワットで、同種の発電施設では国内最大。総工費は約70億円。
というのがある。これは2004年稼動予定になっているけど、どうなっているんだろう?

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2005/07/27

「ミニ地球」実験9月から開始

NIKKEI NET(7/25)の記事。密閉施設で居住実験へ、環境科技研が「ミニ地球」公開

完全に密閉された施設内で人が暮らし、水や空気を繰り返し利用、作物も自給自足する――こんな実験を財団法人・環境科学技術研究所(青森県六ケ所村)が9月から始める。そのための施設「ミニ地球」の内部を25日、報道陣に公開した。宇宙で生活する技術の研究などに役立てる。

 実験施設の密閉部分は面積500平方メートル。研究員用の1LDKの居住区、食料のコメや大豆を育てる植物栽培区、同居するヤギを育てる動物飼育区を備える。併設した設備で酸素や水、排せつ物を処理して再利用する。

 9月の実験では2人の研究者とヤギ2頭が1週間住み込み、体調の変化などを調べる。2009年には4カ月間の居住実験も予定している。

 実験に参加する篠原正典研究員は「電話やインターネットで外部と連絡は取れる。4年間準備してきたので、実験が楽しみだ。」と話した。

前にも同じような実験をしていたような気もするが、どうなのだろう? 調べてみると、関連記事としては、北海道新聞には、
 環境科学技術研究所(環境研)が十年間かけ、六ケ所村で準備を進めてきた閉鎖型生態系実験施設「ミニ地球」の居住実験がいよいよ、九月六日から始まる。「エコ・ノート」と呼ばれる研究員が昨年から、予備実験や植物栽培訓練などを重ねており、本実験となる今回は一週間、研究員二人とヤギが外気を遮断した閉鎖空間内で生活する。
とあり、何と 10年も前から準備していたものがようやく本格的な実験段階に入るということのようだ。

そもそも、密閉系施設での居住実験はアメリカでバイオスフィア2という施設での実験が有名だろう。これについてはWikipediaがよくまとまっている。結論としては失敗という位置づけになるだろう。今さら日本で後を追うような実験をする意味があるのだろうか? EICネットのコラムによると、今回の日本版バイオスフィアは、バイオスフィア2の結果を受けて

 実験施設を計画した財団法人環境科学研究所では、「自然の物質循環は地球という広大な面積で行われるから全体でつじつまが合っている。狭い施設で自然に任せるだけでは循環が追い付かないことを、バイオスフィア2が示した」と指摘し、「閉鎖系環境条件の中で物質循環を空調装置および、物質処理装置により厳密に維持制御」することとしています。
ということで、物質循環を自然に任せるのではなく、人為的にコントロールする点が異なるようだ。この環境科学技術研究所閉鎖型生態系実験施設の説明を見ると、外部のユーティリティシステムとやり取りするようだし、完全な閉鎖系というわけでもないようだ。

日本科学未来館で昨年行われた シンポジウムの特集記事が掲載されている。とても読み応えがあるのだが、あれこれ盛り沢山に書かれている割に、バイオスフィア2との根本的な違いが今一わからない。 電気を外部から供給するのは許せるとしても、結局この実験で何を明らかとしたいのかが、スッキリしていないような気がする。まあ、実験が始まるともう少し具体的な紹介記事も出てくるだろうから、楽しみに待っていようか。

関連する読み物としては、三菱電機のDSPACEに日本の「ミニ地球」実験って?と、ヒトとヤギが暮らす「ミニ地球」というコラムが載っている。何故ヤギなの?というと、ヒトが消化できない植物繊維を消化してくれるというのが主な理由らしい。決してミルクや肉に化けたりはしないようだ。。

それにしても、たった2名が生活するための生態系としてこの程度の広さが必要というのも、結構考えさせられる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005/07/13

グリーン電力証書Tシャツ

asahi.comの記事(7/13)から。Tシャツ着てCO2削減 東電系企業などがプロジェクト

 Tシャツを着て二酸化炭素(CO2)削減に参加しませんか。そんな目的の「地球温暖化対策Tシャツ」を、東京電力などが出資する日本自然エネルギー(本社・東京)などのプロジェクトが13日、発売した。Tシャツ代金の一部は、CO2排出が少ないバイオマスによる自然エネルギー発電に使われる仕組みだ。

 このTシャツは1着3900円(税込み)で、バイオマス発電の設備を備えた北海道江別市と東京都大田区にある下水処理場に7月から9月にかけて、国民1人がひと夏に使う冷房用消費電力量(250キロワット時)の発電を依頼する代金が含まれる。

 処理場は発電した電力を内部で消費するため、CO2排出が多い石炭や石油火力などの電力購入を減らすことができる。結果的にはCO2排出が減ることになる。

タイトルを見たときには、東電の社員がクールビズを通り越して、Tシャツ姿で仕事をすることにしたのか、と思ったけど、Tシャツを買ってもらい、その売り上げの一部でバイオ発電の費用を負担してもらい、結果としてCO2排出を少しでも減らそうということらしい。どの程度の効果が見込めるものなのだろう? 

日本自然エネルギー(株)のサイトに、プレスリリースが掲載されている。これを見ると、このTシャツを購入すると、250kWh相当のグリーン電力証書を購入したことになり、実際に後日グリーン電力証書を受け取ることができるようだ。250kWhというのは、日本の民生部門冷房用電力消費量のトータルである年間320億kWhを国民一人当たりに換算した数値のようだ。

結果として、自分の使用した電気のうち250kWhはバイオマス由来のカーボンニュートラルな電気と考えても良いということで、これは家庭の年間平均電力使用量(2100kWh)の12%に相当するので、京都議定書対応としても、なかなかの貢献度合いとなりそうだ。(チームマイナス6%のおかげで、6%という数字が一人歩きを始めたきらいもあるのだが、昨年を基準にすると13~14%削減する必要があるはず。)

CO2free.jpというサイトで、このTシャツの購入ができる。ここのトップページには、グリーン電力証書について、

バイオマス発電は、クリーンなエネルギーですが、石炭や石油による発電よりも、コストが割高です。この割高な部分が「環境価値」です。グリーン電力証書とは、この環境価値を、第三者の認証機関が認証し、証書として発行したものです。

このTシャツでは、2005年7月から9月のあなたの250kWhの電気分、バイオマスを発電し、その環境価値をあなたに帰することをお約束するものです。

と説明されている。支払われた金額の使われ方が具体的に見えるような工夫がなされていると良いのだが。。 3,900円のTシャツの値段のうち、電力購入分が2500円だと仮定すると、1kWh当たり10円を環境価値として負担することになり、まあ、リーズナブルな値段なのかもしれない。炭素税でも導入されたら、こういうグリーン消費分を控除するなどのインセンティブも考えられるけど、今の段階では純粋なボランティアにしかならないわけだ。

まあその意味では、電力会社がやっているグリーン電力基金なんてのと余り変わらないとも言える。ちなみに、2年前から東京電力のグリーン電力基金(一口 500円/月)に参加しているのだが、先日送付されてきた事業報告書によると、平成16年度末で基金参加者は、たったの18,394人だそうだ。東京電力のカバーしている人口を思い浮かべると、全く悲しくなる数字だ。。

ところでこのTシャツ、胸に "This summer, my air is CO2 Free!" と書かれているようだが、何となくこのせりふとデザインが気に入らない。一方、日本自然エネルギーのリリースの最後に載っていたが、7/24からは「大人のグリーン電力証書Tシャツ」というのも売り出すらしいし、こちらはデザインもシンプルで品質も良さそうだけど、値段も4,900円と高い。うーむ。。チームマイナス6%の参加者としては、1枚ぐらい購入してみるかなぁ。。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2005/07/05

電気八輪車エリーカ

NIKKEI NET(7/5)の記事。最速370キロの電気八輪車、公道に・慶大と30社が開発

 慶応義塾大学とエネサーブ、大和ハウス工業など約30社が共同開発した八輪の電気自動車がナンバープレートを取得し、5日、初めて公道を走った。ガソリン車に比べてエネルギー消費が約4分の1で済み、高級スポーツカーを上回る加速性能を持つ。2008年にも約200台を受注生産する計画だ。

 「エリーカ」と名づけられた電気自動車は5日午前、慶大の安西祐一郎塾長らが見守る中、三田キャンパス近くの公道を初めて走行した。

 全長約5メートル、幅約2メートルの銀色の車体にはカーブでの走行安定性を高めるため、前方に4つ、後方に4つのタイヤがついている。5人乗りで、ナンバープレートの370は最高時速370キロメートルを意味する。時速160キロメートルまで加速するのにかかる時間は約7秒で最高級スポーツカーの9.2秒をしのぐ。

この車、何ともすごい性能を誇っているのだが、スタイルもすごい。大学が主体で開発しながら、ここまで来るというのはちょっと信じられないものがある。以前NHKで特集番組を見た記憶があるのだが、印象としては燃料電池車が本命視されているときに、今さら電気自動車?というものだった。でも、エネルギー消費がガソリン車の4分の1となると、燃料電池車よりも良さそうだ。本当かな? それにしても、電気八輪車ねぇ。すごい呼び名だけど、七輪だとか大八車だとかを連想しちゃうぞ。。。

この車は、やはりインパクトが大きいようだし、プロジェクトの性格上もメディアへの露出も多いようで、色んなところで情報が得られる。
  片山右京氏のコラム
  World Explorerの特集
  Responseの特集
  信越化学工業のインタビュー
  環境gooのインタビュー

などなど。開発ストーリーを始めとして、いろんな話が載っているし、読み物としてはなかなか面白いんだけど、ガソリン車に比べてどれだけ環境負荷が小さいのかを、きちんと数字を出して議論しているわけではなさそうだ。どうやら、一晩家で充電して300km走行が可能であり、その際の電気代が約300円となるので、1kmを約1円で走行できることになるらしい。ガソリン車の場合には、ガソリンが100円/Lとして燃費を20km/Lとしても1kmが約5円となってしまう。ガソリンは税金が半分としても、まだ電気自動車の方が少なくともランニングコストに関しては格段に優秀そうだ。

本家、eliica.comは、凝った構成のサイトだが、大学からの情報発信の割には何故か細かなデータが何も載っていない。一般向けの宣伝としてわかりやすい数値も必要だろうけど、詳細な環境性能の検討結果も公開して欲しいところだ。。(電気自動車のLCAや電気自動車が普及した時のエネルギーバランスなど)

探してみると、日本自動車工業会の記事の中に各種自動車のエネルギー効率の比較図が載っている。これを見ると電気自動車は既存のガソリン車の50~60%程度の効率で、燃料電池車よりも良さそうだ。一方、倉敷芸術科学大学の山本健治研究室のページでは、ガソリン車の約3倍の効率としている。

また、安井先生の市民のための環境学ガイドでも、電気自動車の環境性能を比較的高く評価しているようだ。また、大学生の報告書だが、電気自動車のLCA調査研究は、よくまとまっている。ただし、このレポートは自動車の製造段階だけの比較であり、走行時の比較はこれからというのが残念なのだが。

燃料電池車の場合には派手に宣伝されているのだが、水素源をどうするのか、その水素源をどのように車に搭載するのか、さらには燃料電池が必要とする貴金属が足りるのか、などの問題があり、実用化まではまだまだ遠い印象がある。一方電気自動車は、電気をどうやって作るのか、充電はどこでどうやって行うのか、電池は技術的・経済的に問題はないのか、などの課題もありそうだが、意外と実用化が近い状態に来ているようにも見える。となると、三菱自動車が電気自動車を開発というのも、意外といい線行っているのかも知れない。。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2005/06/13

One Planet, Many People

MSN-Mainichi INTERACTIVE(6/12)の記事。環境破壊:人工衛星がとらえた破壊の様子--国連環境計画、写真集を公表

 国連環境計画(UNEP、本部・ナイロビ)は6月5日の世界環境デーに合わせ、各地で進む環境破壊の様子を人工衛星でとらえた写真集「一つの惑星、多くの人々」を公表した。クラウス・テプファー事務局長は「環境破壊は、国境を越えて他の国々に影響する。地球は一つなのです」と訴えている。

 写真集の作成には、米国地質調査所や米航空宇宙局(NASA)などの機関が協力した。イスラエル・ヨルダン国境にある塩湖の死海では、流れ込むヨルダン川からの過剰取水や塩類などを生産する蒸発池の設置で、湖の南部が干上がってしまった様子がとらえられた。砂漠に建設された米・ラスベガスの都市開発や南米で進む熱帯雨林の伐採なども紹介している。

ということで、写真集を探してみた。One Planet, Many Peopleは、US$150プラス送料で入手可能な写真付き地図(Atlas)らしい。これに含まれるいくつかのサンプル写真をこちらで見ることができる。なるほど、同一地域の過去と現在の衛星写真を並べて比較してある。古いものだと30年ぐらい前のものもある。30年前だと既に人工衛星から今と同じような写真が撮れていたわけだ。それにしても、高々数十年で随分と変化するものだ。

この写真集は、どうやらこのページのFTPサイトへのリンク先から、全頁のダウンロードができるようだが、さすがにファイルサイズが巨大だ。それでも試しに一部を見てみると、写真集以外にも、地球温暖化、オゾン層破壊などの地球環境変化についての、絵やグラフをふんだんに使った解説記事も豊富のようで、地球環境問題を扱ったグラフィカルなハンドブックのような内容に見える。とてもカラフルで充実していそうだし、是非とも日本語版を出版して欲しいと思わせるものだ。

一方、同じUNEPのサイトのUNEP Global Changeによると、過去30年の変化が激しいホットスポット50か所の衛星写真を比較して、解説した写真集のpdf版(全141ページ、約13MB) "Selected Satellite Images of Our Changing Environment" が入手できる。これは、2003年に出版されたもので、純粋に各地の衛星写真を比較したものだ。この写真の少なくとも一部が、今度のOne Planet, Many People にも使われているようだ。

この写真集もとてもきれいである。地球全体や各地の過去と現在の衛星写真が沢山掲載されており、それを眺めているだけでも十分に楽しめる。なお、日本からは諫早湾の干拓事業の写真が掲載されている。

地球環境変化を多くの人に考えてもらうきっかけとしては、こうやってビジュアルから入るのがやっぱりインパクトが大きいと思うし、こういうものを日本でも色々と活用できると良いのだが。。

参考:これに関連したGISの環境問題への応用に関するリンク集

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2005/05/12

セイヨウオオマルハナバチとはどんな奴?

YOMIURI ON-LINE(5/12)の記事。輸入ハチから高山植物守れ、北海道大雪山で監視強化へ

 野生化した欧州産のハチが、北海道最大の原生自然を残す大雪山国立公園の直近まで分布域を広げてきた。

 環境省は「公園内の高山植物が生育できなくなる恐れが高い」として、異例の監視活動を始めることになったが、面積約22万7000ヘクタールもある同国立公園のレンジャー(環境省職員)は5人だけ。このためボランティアにも監視活動の協力を求める。

 このハチは、トマトの受粉用に輸入されているセイヨウオオマルハナバチ。花の上から入り込むトマト以外の植物では、花の横に穴を開けて蜜(みつ)を採る「盗蜜」行動をするため、逆に受粉が阻害される。

 ところが、このハチが栽培ハウスから逃げ出す例が各地で急増。特に北海道内では野外の目撃情報が多く、同国立公園まで十数キロ・メートルしか離れていない東川町でも昨年、野生化したセイヨウオオマルハナバチが見つかり、専門家らが「公園内の高山植物は受粉を妨げられ、種子を作れなくなる」と指摘していた。 (後略)

タイトルを見たときは、どうしてハチが高山植物に有害なのか疑問だったが、花に穴を開けてしまうとは、変わったハチだ。そもそも、トマトの栽培のためにわざわざハチを輸入しているものなのか? 世の中には知らないことが色々とあるもんだ。

セイヨウオオマルハナバチで検索してみると、東京大学の保全生態学研究室のセイヨウオオマルハナバチの目撃情報を集めていますというページが見つかった。正に上に引用したニュースで懸念されている事態に対応することを目的としたページで、わかりやすく、詳しい情報が得られる。

セイヨウオオマルハナバチは、ヨーロッパに生息する舌の短いマルハナバチです。日本には温室トマトの授粉に利用するため、原産地のオランダやノルウエーから大量にコロニー(女王を中心とする家族)が輸入されています。マルハナバチを使えば手間のかかる植物ホルモン剤処理をしなくてもトマトを結実させることができるため、農家には大いに歓迎され、本格的な輸入が1992年に始まってからその使用量は急激に増加し続けています。現在、年間3~4万コロニー(推定)が輸入されています。
ということだが、非常に競争力の強い種のようで、植物への影響についても、盗蜜による直接的な影響よりも、在来種を駆逐してしまうことによる間接的な影響が懸念されているようだ。情報提供のお願いを見ると、黄色と黒と白の3色でかなり特徴のあるハチのようだ。読売新聞も、どうせならハチの写真や絵を載せてあげれば良かったのに。。

で、寄せられた目撃情報をまとめたのがこちらで、日本全国にかなり広まっているようだし、環境への影響も、読売新聞で紹介されている高山植物への被害だけでなく、もっと多方面に及ぶものと考えるべき問題のようだ。

ポプラビーチでは、農水省と環境省の対立構造を視点としてこの問題を取り上げている。一方、松永和紀のアグリ話のセイヨウマルハナバチ規制先送りの意味によると、ブラックバスの場合とは異なり、規制に向けた関係者の合意が既にできていて、現在は調整期間中ということのようだ。セイヨウオオマルハナバチは悪いのか?には、このハチが農家にもたらすメリットや、ハチを販売する企業側の努力などについての取材結果が書かれている。

なるほど、この問題は単純な外来生物問題ではないわけだ。最終的にはトマトなどの作物の価格に影響する話であり、環境を守るためのコストを消費者が納得して負担できるようにしなくてはならないようだ。そのためには、もっと積極的な広報・宣伝活動が欠かせないのではないだろうか? なお、最初に紹介したページでは、農業利用には在来種をと呼びかけているが、まだ在来種のマルハナバチを改良中の段階で実用化まではあと一歩というところらしい。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2005/04/28

チーム・マイナス6%

昨日、COOL BIZ の発表資料の中にあった、「チーム・マイナス6%」というロゴは何だ?と書いたら、今日になって環境省からそれについての発表がでている。その資料、「チーム・マイナス6%」のキックオフについてによると、地球温暖化防止「国民運動」の愛称が「チーム・マイナス6%」ということらしい。このロゴマーク
チーム・マイナス6%
をいろいろな場面で使っていくらしい。

チーム・マイナス6%のホームページができている。ここでは地球温暖化防止のための活動に賛同する人に、チームへの参加登録を呼びかけている。ものは試しなので参加申込みをしてみると、会員No.とニックネームが記入されたデジタル会員証を作ってくれた。一応、このブログにも右側にバナーを置いてみた。早々に申し込んだので、会員No.は 863 だった。

国を挙げて地球温暖化防止に取り組もう、という趣旨にはもちろん賛同するのだけど、今回の「国民運動」で実際に呼びかけている具体的な行動は

  ● 冷房は28度に設定しよう(温度調節で減らそう)
  ● 蛇口はこまめにしめよう(水道の使い方で減らそう)
  ● アイドリングをなくそう(自動車の使い方で減らそう)
  ● エコ製品を選んで買おう(商品の選び方で減らそう)
  ● 過剰包装を断ろう(買い物とゴミで減らそう)
  ● コンセントをこまめに抜こう(電気の使い方で減らそう)

の6項目で、それぞれ効果があることは論を待たないだろうが、いかにも貧乏臭いというか、節約精神ばっかりだ。地球温暖化を防止するための行動なのか、それとも京都議定書の-6%という目標を達成するための行動なのか、という視点の違いなのかもしれないが、これだけでは、経済や生活が縮小するばかりという気がする。無駄をなくすのは正解だろうけど、もっと新たな行動指針があっても良いのではないか?

一方で、例えば自動車の使い方を見ても、何故かアイドリングストップについてしか言及していない。「自動車に乗るのは必要最小限に抑え、公共交通機関を利用しよう」なんていうことは全く主張していないところが、何とも中途半端というか、妙に志が低い感じがする。

そう言えば、以前安井先生は、エコプレミアムクラブを立ち上げていた。これは、環境負荷を下げることに価値を見出し、そこにお金をつぎ込めるような社会を目指そうという運動と認識していたのだが、何故か最近は全く更新されていない。

市民のための環境学ガイドの中で最近の地球温暖化関連記事としては、京都議定書いよいよ発効や、個人的二酸化炭素削減策などがあるが、従来のエコプレミアムという旗を降ろしちゃったんだろうか?

確かに、目の前に安い製品が溢れている状況で、多少地球環境に良い影響があるからと言って、わざわざ高い製品を買い続けるというのは相当に困難だろうと思うけど、経済と環境を両立させながらの軟着陸を目指すなら、基本的な方向としては間違っていないと思うけどなあ。でも、具体的にどうすればそういう社会を作り出せるのか、というのはとても難しい問題なのも確かだ。

京都議定書のマイナス6%を達成しても、それだけで地球温暖化が防止できるわけでもないが、地球温暖化のためというよりも、持続可能な社会を目指すためにも、一人一人の意識を変えていくことが大事なことは間違いない。持続可能性については、単なる節約運動で済む話ではないし、科学技術の進歩によって全ての問題がすっきりと解決するというような楽観論も有効な解決策とはならないだろう。この辺については、ESDさんの持続可能なチャンネルがじっくりと考え続けていて、とても勉強になる。

| | コメント (2) | トラックバック (7)

2005/04/27

新省エネルックは COOL BIZ

NIKKEI NETのニュース(4/27)から。夏のビジネス軽装、愛称は「クール・ビズ」に

 電力消費を抑え地球温暖化防止につなげようと、環境省が公募したノーネクタイなど「夏のビジネス軽装」の愛称について、小池百合子環境相は27日、「COOL BIZ(クール・ビズ)」を選んだと発表した。

 涼しい、格好がいいという意味の「クール」にビジネスの「ビズ」を組み合わせた。小池環境相が、審査委員の漫画家弘兼憲史さんの人気作品「取締役 島耕作」の主人公にも「クール・ビズ」を着せるよう打診、弘兼さんも前向きという。

 この愛称は、半袖スーツのイメージが強い「省エネルック」に替わるもので、3200件の応募があり、選ばれたのは東京都立川市の田形秀明さんの作品。審査委員会では「エコ」のついた名称や「涼装」なども候補に残ったという。

 愛知万博(愛・地球博)で6月5日にファッションショーを開き、奥田碩・日本経団連会長や前阪神監督の星野仙一さんにモデルとして参加してもらう予定。小池環境相は「ただの省エネではなく、ビジネスに着られる安心感のあるものにしたい。言いにくい時は『クール』でいい」と話した。

ということで、少し前に募集しているのは知っていたが、改めて探してみたら環境省報道発表が見つかった。ふーん、著作権まで環境省に召し上げられ、国のキャンペーンで使われるのに、賞品は愛・地球博のイベントへの招待だけなのかな? それでも2週間で3200件も集まったのか。。

それにしても、実体のないスタイルに名前だけをつけてもなあ、という気がしないでもないが、COOL BIZ についての環境省報道発表によると、6/5に愛・地球博で開くファッションショーでお披露目するらしく、

夏のオフィスで「涼しく効率的に格好良く働くことができる」ことを普及させるため、コシノヒロコさん、菊池武夫さんの御協力を得て、クールスタイルコレクションを四方義朗さんの演出で開催いたします。また、海外からも有名ブランドが応援にかけつける予定です。モデルには、財界トップの方々をお迎えするとともに、それらの方の企業で活躍される若手社員が登場します。
ということらしい。Yahoo!ニュースには「クール ビズ」のイメージ図がいくつか載っているのだが、これって単なる長袖のスーツにノーネクタイというように見えるのだが、こんなんで涼しいのか??

よくよく環境省の発表を見ると「COOL BIZ(呼称:クール ビズ)」と書かれているから、新聞の「クール・ビズ」という表記は間違いじゃないのか? それと、ここに載っているロゴに書かれている「みんなで止めよう温暖化 チーム・マイナス6%」というのは何だろう? この標語も知らないぞ??

ちなみに以前の省エネルックの写真はこちら。羽田さんの印象が強いが、大平さんが首相の時だったのか。。(Wikipediaによると、大平さんは1978/12/7~1980/6/12、羽田さんは1994/4/28~1994/6/30の間に首相だったので、在任時期が15年程ずれている。実は、大平内閣時代に提唱されたのだが全然浸透しなかったらしい。それを羽田さんが掘り返して、トレードマークとして着ていたということらしい。)

省エネルギーセンターのホームページには、Smart Fashion Style Bookという特集があり、まじめに省エネファッションの検討をしているが、ネクタイをはずすだけで体感温度が2℃下がるらしい。最新のハイテク素材を使うことでも、大分違いそうだから、同じスーツスタイルでも工夫の余地はあるようだ。

| | コメント (0) | トラックバック (3)

2005/03/31

ミレニアム・エコシステム・アセスメント

MSN-Mainichi INTERACTIVEの(3/31)の記事。生態系評価報告書:生物種の絶滅速度「自然状態の1000倍」--国連が公表

 国連は30日、世界初となる地球規模の生態系評価報告書(ミレニアム生態系評価)を公表した。地球上の生命を支える多くの生態系の機能が急激な開発の影響で著しく低下していると指摘、「このままでは持続可能な開発は不可能で、貧困や飢餓の撲滅といった人類の目標は達成できない」と警告している。

 報告書は、日本など95カ国、約1300人の科学者が約4年間かけてまとめた。過去20年で世界のマングローブの35%が失われ、サンゴ礁の20%が破壊されるなど人間の活動で生態系の大幅な劣化が続いていると分析。生物種が絶滅する速度は自然な状態の1000倍の速さに達し、今世紀中に鳥類の12%、ほ乳類の25%が絶滅する恐れがあるとした。

今さら、驚くことは特にないのだが、改めて広範囲にわたる調査結果をまとめたということだろうか。生物種が絶滅する速度が自然な状態の1000倍の速さだというのはどうやって求めたのだろうか? 同じニュースを扱った NIKKEI NETの記事には
 報告書は95カ国の1300人の専門家らがまとめた。「過去半世紀の間に人類史上、例を見ないほど急速かつ広範に生態系破壊が進んだ」と指摘、化学肥料の使用により、土壌中で生態系に影響している窒素成分は1960年に比べ2倍、リンは3倍に増えたという。

 種の絶滅ペースも加速し、1000年以上前までは1000年に1000種あたり0.1―1種が絶滅していたが、現在は100種前後。ほ乳類、鳥類、両生類の10―30%は絶滅の危機にある。

とあり、1000倍の根拠は1000年間に絶滅した種の数で見積もっているようだ。1000年前や2000年前の生物種の数がほぼ推定できているということなのかな? それにしても、現在は毎年 約10%が絶滅する速度ということだろうか?  0.9の50乗が 0.005なので、この比率で絶滅が続くとすると 50年で 0.5%まで減ってしまうことになるな?? これだと、逆に過去に遡るとすごい数の種がいたことになってしまうけど。(大ボケなので訂正:1000年で10%が絶滅、定速だと1万年で全滅。定率でも5万年で0.5%まで減少することになる。生物の歴史時間スケールで見ると、いずれにしてもすごい速度で全滅に向かって急降下していることには違いがないだろう。)

種の数が何十億年の歴史の中でどのように増減したかについては、専門家の間にも議論があるようだが、生物多様性関連の情報については、この資料を始めとして、千葉大学の群集生態学講座資料が勉強になりそうだ。

生物の絶滅に関するデータは、環境省の生物多様性センターの生物多様性情報システムがまとまっている。ここの数字だと、この30年の生物絶滅速度は 40000種/年となっており、現在未知のものを加えて全部で3000万種いるとして、この数字を使って単純に計算すると750年で全生物が絶滅することになる。まあ、生物種の数の推移を予測するのは、相当に大変そうだけど。。

今回の発表に先立って2月に国連が案を発表していたようで、Sankei ECONETにも関連記事が載っている。

今回の発表についての国連のニュースはUN-backed ecological report warns of potential new diseases and ‘dead zones’で読めるが、少し探してみた範囲では Millennium Project 関連だと思われるのだが、肝心の報告書が見当たらない。国連のニュースによると、

Although evidence remains incomplete, the report finds enough to warn that ongoing degradation of 15 of the 24 ecosystem services examined - including fresh water, capture fisheries, air and water regulation, and regulation of regional climate, natural hazards and pests - increases the likelihood of potentially abrupt changes that will seriously affect human well-being.
とあり、調査した24の生態系のうち15において現在進行中の悪化が見られるということで、それらは、水や空気の汚染や気候変動などの他に、自然災害やペスト害虫なども含まれているようだ。

また、この国連のニュースではいわゆる自然破壊が進んでいるという警告よりも、生態系との共存を図らないと、結果として自分たちの将来だけでなく現在を生きる人々にも悪影響があるというニュアンスが強い。具体的には、森林の消滅がマラリアやコレラを始めとする感染症の蔓延に影響する懸念や、生態系の急激な変化は、結局最も貧しい人々の生活を直撃することを指摘している。生物多様性に関する危機感も、地域や分野によって随分異なっていることを知っておく必要がありそうだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005/03/28

風力発電する自動車

NIKKEI NETの地域経済ニュース(3/26)。エコロ21、タクシーの屋根の風力発電機で携帯電話充電サービス

タクシー会社、エコロ21(京都市、五十嵐道和社長)は4月1日から車載の風力発電機で起こした電気で携帯電話を充電するサービスを始める。環境対策を通じて知名度を上げ、乗車率向上にもつなげる。まず1台で試験し、評判が良ければ全車に採用する。

 タクシーの屋根に付ける車屋灯を特注し、プロペラ式風力発電機を組み込んだ。1基30万円前後という。乗客は無料で充電できる。

 同社はタクシーの参入・撤退や運賃設定が自由化された2002年2月の設立。全車(16台)にアイドリングストップ機能付きの車を採用し、自転車搬送用の機具を取り付けるなどの環境対策を講じてきた。自転車搬送(無料)は月に300回程度利用されている。

環境をキーワードとしたビジネスの一種なのだろう。アイドリングストップ機能付きの車を採用しているというのは、間違いなくエコだろうと思うのだが、この風力発電機はどうだろう? わざわざ30万円もする発電機を特注で作ったようだが。

このエコロ21という会社、ホームページを見ると、今回の風力発電の話はまだ掲載されていないけれど、精一杯工夫を凝らして頑張っている雰囲気があって応援したくなる。

しかし、どう考えてみても、車に取り付けた風車が発電する分だけ抵抗が増大するはずで、エネルギー効率だけを考えたら、風車で発電するよりは素直に車のバッテリーから電気を持ってきた方が良いと思うんだが。。 もっとも、携帯充電程度の電力なんて微々たる物で、ほとんど大勢に影響はないだろうから、その辺を全部了解した上でなら、確かに屋根の上で回るプロペラはインパクトがあるだろうし、宣伝効果として悪くはないかもしれない。(30万円は高すぎるけど)

これなら、他にも自動車に風力発電機を搭載するというアイデアを思いつく人はいるだろうな、と思い特許を検索してみた。特許電子図書館の公報テキスト検索で、公開特許公報について「要約」が「自動車 AND 風力発電」を検索すると33件ヒットした。

ほとんどが、個人が出願しているもので、車載風力発電機で走行時に発電し、その電気を使ったり充電したりして効率を向上させた電気自動車に関わる発明で、中には風力以外のエネルギーが不用だと書いてあるものもある。皆さん、空気抵抗を少なくしつつ発電効率を高くするために色々と知恵を絞っているので、図面がとてもユニークで楽しい。減速時のみに発電するというエネルギー回収のアイデアもあり、これは可能性があるかもしれない。

さすがに自動車会社からは1件も出願されていないのだが、東芝(特開2003-269319)や日立製作所(特開平05-201261)のような大会社や、電波学園(特開平11-155203)のような学校が、こんな特許を出願しているのはどうかと思うぞ。。

風力発電と電気自動車としては、電気自動車で南極点を目指す ZEVEX という冒険プロジェクトが進行中のようだ。これは南極の強い風を利用した風力発電と太陽電池で発電した電気を充電して走行するもので、もちろん走行時に発電するのではなく、停止時に風車を組み立てて据え付けて発電するらしい。

| | コメント (4) | トラックバック (1)

2005/03/22

ペコロジーボトルと3R

日刊工業新聞社ビジネスライン(3/22)でみつけた記事。

キリンビバレッジ、ペットボトル容器の環境対策を加速

 キリンビバレッジはペットボトル商品に対する需要の高まりを受け、以前から同ボトル容器の環境負荷低減を推進してきた。ペコロジーボトルはペットボトル容器としての使用時の強度を維持しつつ、軽量化を図った。2リットル容器で42グラムと国内最軽量を実現している。

 このため原料となるPET樹脂の使用量や製造時の二酸化炭素(CO2)排出量は従来に比べ1本当たり3分の1に削減できる特徴を持つ。また、手で簡単につぶせ、ラベルも簡単にはがせて分別回収を容易とした。

というもの。キリンビバレッジのサイトを探してみると、1/19のニュースリリースが見つかった。
 ペコロジーボトルは、使用時の強度は損なわずに、使用後にはラクにつぶせる、クラッシャブルボトルです。容器のつぶしやすさは、空容器を分別排出する際のお客様の負荷を軽減し、リサイクルの促進にもつながります。

 また、ボトルの重量は、当社で使用している2Lの現行容器に比べて、約2/3まで軽量化されており、日本に現存する2Lのペットボトルでは最も軽いものとなっています。容器の軽量化は、大幅な資源の節約を実現します。こうした観点から、新ボトルは、お客様の利便性だけでなく環境問題への貢献度も高く評価できるものです。

とある。内容積が同じままに同一素材で軽量化したんだから、ほぼ肉厚を2/3程度に薄くしたということか。昔、ヨーロッパの飲料用のアルミ缶を見た時に、その薄さと軽さに驚いた覚えがある。ペットボトルも確かに今の重さである必然性はないわけだ。しかも、これだけ量が増えると軽量化の寄与も相当に大きいだろう。ボトル自体の強度は弱くなっても、中に液体が入っていれば、そう簡単につぶれることはないのだから、確かに設計を見直す余地はあるのだろう。使用後に素手で簡単につぶせる様子は、こちらに載っている。実際に従来のものとどの程度違うのか、機会があったら是非一度体験してみよう。

他のボトルはどの程度の重量なのかを調べてみると、e-問屋で見つけたボトルは、確かに2Lボトルで62gであり、42gだと普通の1.5Lボトルよりも軽いわけだ。経産省の3Rの資料には、ガラス容器も含めて容器の軽量化の実例が載っている。

この手の軽量化の取り組みは3Rの中でも Reduce に該当し、下手なリサイクルを推進するよりもよっぽど効果的だろうから、どんどん進めて欲しいものだ。本当は、少々重くても丈夫なボトルを何度かリユースする方がもっと効果的だろうとは思うけど、それには社会システムの変化が求められる。リユースをしないのであれば、一回の使用に耐えられる最低限の強度を目指して軽量化する方向というのは一つの答えなのだろう。問題は最低限の強度の基準なのかもしれない。

ちなみに、冒頭の記事でCO2の排出量が従来の1/3に削減できるというのは、削減される量が1/3の間違いだろうと思われる。。

ところで、タイミングよく環境省の報道発表に3R推進キャンペーンの記事が載っているのだが、3Rを「さんあーる」ではなくて「スリーアール」と読むとは知らなかった。。 環境省だけでなく、経済産業省の3R政策でも「スリーアール」と書かれている。

ところが、EICネットの環境用語集は「サンアール」になっているし、東京都港区の今日から実践!「3R」でも「さんあーる」だし、科学技術振興機構のWebラーニングプラザの資料(環境-環境概論-持続可能型社会の実現)でも「さんあーる」と発音している。。。

「さん」と読むのは3K、3P、3S、3LDKなどに対して、「スリー」と読むのは3D、3M程度。どちらかというと「スリー」と読む方が少数派のような気がする。。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2005/03/15

エクステンド2005

河北新報ニュース(3/14)が、環境ホルモン研究で新戦略 すべての化学物質を対象に

 環境省は14日、ノニルフェノールなど65物質を対象として行ってきた従来の内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)の研究戦略「スピード98」を見直し、すべての化学物質を対象として人間や動物、自然界への影響を広く調べる新たな研究戦略「エクステンド2005」をまとめ、発表した。

 生殖機能を狂わせるなどの作用があるとしてリストアップされた65物質のうち、これまで26物質の動物試験を終了。うちノニルフェノール、オクチルフェノール、ビスフェノールAの3物質で、メダカの精巣に卵ができるなど作用が認められたものの、ラットでは作用が認められず、3物質が「人に作用する恐れは少ない」と結論づけた。

という記事を載せているが、何だかニュアンスが少し違っているような気がする。 それはともかく、少なくともネット上では朝日、読売、毎日等の大手新聞社はこのニュースを全く扱っていない。うちに配達されてくる日経新聞については、昨日の夕刊と今日の朝刊について探してみたけど、一言も触れられていないようだ。。 

結局、当時環境ホルモン問題に大騒ぎして作った、疑わしい物質のリストは意味がなくなったので廃止することになったわけだが、突然容疑者とされた多くの物質にとっては、ようやく正式に無罪放免となったのに、誰もそのことを報道してくれないというのは、何とも淋しいことだ。

大騒ぎしていた当時は、やれ子どもがキレル原因だとか、何でもかんでも全て環境ホルモンのせいにされかねない状態だったし、ひどいのになると人類が滅亡するなどと大騒ぎしていたのだから、その一翼を担っていたマスコミ各社や評論家の方たちから、反省も含めて何らかの反応があってもいいように思うのだが、無視かよ。。。

環境省の報道発表資料によると、今後の方針が「化学物質の内分泌かく乱作用に関する環境省の今後の対応方針について-ExTEND 2005-」としてまとまったので公表したとのこと。SPEED'98の SPEED は、Strategic Programs on Environmental Endocrine Disrupors の略で、日本語では環境ホルモン環境戦略と呼んでいた。今回の ExTEND は、Enhanced Tack on Endocrine Disruption の頭文字だそうで(ん? x はどこにも使われていないぞ)、tack というのは方針というような意味の単語として使われているようだ。どちらかというと、今回の EXTEND という単語には、突然はしごをはずすわけにもいかないので何気に期間延長するよ、みたいな印象があるけどなあ。

今回の方針は、前半が SPEED'98 のまとめ、後半が今後の取り組みとなっており、前半部分では、色々と多面的に調査と評価を実施したけど、ヒトへの影響は認められなかったことを淡々と述べている。後半の今後の取り組みは具体的な内容がよく見えてこないのだが、EICネットニュースが、内分泌かく乱物質についての新取組方針「ExTEND 2005」公表という記事で、非常に簡潔にまとめてくれている。

今後の取組みの柱として(1)実験によって検証することが困難な生態系への影響を調べるための野生生物の観察の推進、(2)生態系やヒトの健康への影響を捉えるための環境中濃度の実態把握や暴露状況の把握、(3)内分泌かく乱作用のメカニズムを解明するための個体レベルと細胞・分子レベルの変化の把握と、両者の関連性の調査、(4)生態系への影響を中心とした評価手法の確立と試験の実施、(5)総合的なリスク評価の実施、(6)将来的なリスク管理検討が可能な体制づくり、(7)正確な情報提供とリスクコミュニケーションの推進--などを示している。
SPEED'98 の物質のリストを廃止し、結局すべての化学物質を対象として、監視、調査、研究を継続するということのようで、要するに(特に目新しくはないけれど)日常的な活動を粛々と進めます、と言っているようにしか読めないのだが。。

少なくとも今回の方針の文章からは、環境ホルモンという言葉は姿を消して、かろうじて内分泌かく乱物質という用語が残ったものの、実態としては内分泌かく乱作用にこだわらずに、化学物質の様々な環境への影響を今後とも注意深く管理して行きます、ということになったようだ。 ということで、冒頭の記事のニュアンスとは異なり、正式に「環境ホルモン」という看板を降ろしましたよ、という宣言だと読むべきなのだと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005/03/11

ガソリンへのETBE添加?

日本化学会の雑誌「化学と工業」の3月号(Vol. 58, p.268 (2005))にガソリンのオクタン価向上の話題が載っている。

石油業界と自動車業界がレギュラーガソリンのオクタン価を95まで高める方向で調整を開始した。京都議定書発効に伴い二酸化炭素の排出削減が焦眉の課題となっており、特に温暖化対策が”待ったなし”の自動車排ガスについてはガソリンのオクタン価向上が最も効果的と考えられているからだ。ただ方法については不透明。環境省はバイオエタノールをガソリンに直接混合する方法を推しているが、ここにきてETBE(エチル・ターシャリー・ブチル・エーテル)による方法が急浮上している。石油業界や複数の担当官庁の思惑も絡み、今後、オクタン価対策決定まで紆余曲折が予想される。

石油産業活性化センター(PEC)のJCAP II(大気改善のための自動車・燃料等技術開発)の専門WGは近く、「CO2と最適オクタン価」に関する調査研究成果をまとめる。ガソリンのオクタン価を向上させると熱効率が大幅に改善、燃費効率が向上することによってガソリンの使用の減少、CO2削減につながる。
 (中略)
オクタン価を向上させる方法にはリフォメートやアルキレートの石油系原料を基材とする技術、脂肪酸エステル、ETBE、バイオエタノールなど新燃料成分を添加する方法が考えられ、実施に向けたケーススタディ、経済効果などが具体的に検討されている。(後略)

ガソリンにバイオエタノールを混合した「E3」とか「E10」というのは聞いたことがあるのだが、これについては環境省が推進している反面で、石油業界から品質等を理由に強い反対がある他、ガソリン以上にNOx発生が増えるという懸念もあるらしい。

で、最近注目を浴び始めているのがETBEらしい。これを7%程度添加すると、E3と同等のCO2削減効果が期待され、石油業界も導入には前向きらしい。

そもそも、ガソリンへのオクタン価向上剤としては一時期は MTBE(メチル・ターシャリー・ブチル・エーテル)が脚光を浴びていたのだが、有害性が指摘されてアメリカで使用禁止となり日本でも今は使われていないはず。調べてみると、MTBEがアメリカで使用禁止になった背景や問題点については、インチキ化学者の戯言市民のための環境学ガイドにまとめられている。結局、アメリカではガソリンが地下タンクから土壌中に漏れ出し、発がん性が疑われる水溶性のMTBEが地下水に混入したことが問題となって、使用禁止となったということだ。

MTBEの有害性については、環境省が昨年9月に発表した「化学物質の環境リスク評価 第3巻」に取り上げられている。これによると、実は発がん性は評価されていないということになっている。

では、今回候補に上っている ETBEについてはどうなのか? これについても、環境省の資料がよくまとまっている。これによると、フランス、スペイン、およびアメリカの一部では現在実際にETBEがガソリンに添加されて使用されているようだが、オーストラリアやカリフォルニア州等では毒性への知見が不十分として使用を禁止しているとのこと。

問題の毒性については、MTBEと比べてもさらにデータが少ないようだが、アメリカの作業環境基準であるTLVでは MTBEが50ppmに対して ETBEは 5ppmとなっており、MTBEに対して10倍厳しい基準としている。人体への影響としては、刺激作用、呼吸機能への影響、生殖機能への影響が挙げられていて、発がん性については十分なデータがないとしているようだが、いずれにしても、MTBEと比べてむしろ有害で、しかもデータが少なく不明点も多いという状況のようだ。

一方、ChemFinder.Comで水への溶解度を調べてみると、MTBE(CAS:1634-04-4)が 5.1g/100ml、ETBE(CAS:637-92-3)が 0.1g以下/100ml となっているので、ETBEは水への溶解性はMTBEよりも相当に小さい。恐らくETBEを使用するという根拠の一つはここにあるのだろう。

本来、添加剤の有害性を考える上では暴露ルートを想定する必要があるが、エンジンの排ガス中にはこれらの物質がそのまま含まれるわけもなく、日本の場合には、主要なルートは製造時、輸送時、およびガソリンスタンド等での使用時に気化したガソリンが直接大気に拡散するルートだろうか。まあ、日本では元々、地下への浸透や井戸水の汚染はほとんど考慮の必要はないのだから、MTBEが駄目で ETBEが OKという論理は考えにくいのだが。。

わざわざ有害性が疑われる代替物を使用するのもどうかと思うのだが、ガソリンの添加物というのは量が量だから、いろんな利害関係者の論理の綱引きがこれからも行われそうだ。それ以前に、これらのオクタン価向上剤で、どれだけ燃費が向上するのか? それは全ての車がその恩恵を受けるのか? NOxはどうなのか? 等々、データに基づいた話があっても良さそうなものだが、見つからなかった。。

| | コメント (2) | トラックバック (2)

2005/02/15

シックカー

MSN-Mainichi INTERACTIVE(2/15)の記事。自工会:「シック・カー」ストップへ統一基準 揮発性有機化合物、車内の濃度低減へ

 ◇07年度新車から

 日本自動車工業会は14日、頭痛やめまいが起きる化学物質過敏症「シックハウス症候群」の一因とされるホルムアルデヒドやトルエンなどの揮発性有機化合物(VOC)について、自動車内の濃度を低減する取り組みを始めると発表した。VOCの車内濃度などに一定の基準を設け、07年度から国内で生産、販売する新型乗用車に適用。08年度以降はトラックなど商用車にも取り組みを広げる。自動車業界が一体となってVOC低減に取り組む「シック・カー」対策は世界初という。

 VOCは、新築や改装直後の住宅、ビルなどで鼻やのどに刺激を感じる体調不良を引き起こすシックハウス症候群の原因物質。厚生労働省が13物質について室内濃度の指針を定めて、低減活動を進めている。

 自動車でもシートやダッシュボード、内張りなどに使用される接着剤などが原因で「不快に感じた」というユーザーの声が自工会に寄せられている。このため、自工会は接着剤や塗料に含まれる溶剤の水性化などを推進して、車内のVOC濃度が厚労省の指針を下回る濃度になるよう業界全体で目指すことにした。

 具体的には、「車室内VOC試験方法」を策定。ドア、窓を密閉した車内でホルムアルデヒドの濃度を測定するほか、トルエンはエアコンを作動させた状態での濃度を測定するなど統一の指針を設けた。トラックについては、商用車用の基準を今年度中にまとめて08年度以降からの適用を目指す。

 日産自動車はすでに、昨年発売したミニバン「ラフェスタ」で、VOCが発生しにくい吸音材を活用するなど独自の対応に乗り出しているが、「自工会の指針に基づき、車内のVOC低減をほかの車種にも広げていきたい」と話している。また、マツダも車内での「シックハウス症候群」が指摘されたことを受けて、99年から一部車種にホルムアルデヒド除去装置付きフィルターをオプションで販売している。

シックハウス、シックスクールに続いて、ついにシックカーという用語が出てきたのか。。 それにしても、「化学物質過敏症」と「シックハウス症候群」をイコールとしたような冒頭の表現は如何なものか? このブログでは関連した内容として
 2004/02/15 「化学物質過敏症」最新情報
 2004/02/28 室内空気質健康影響研究会
 2004/10/21 「シックハウス」
という記事を書いているが、両者は区別するべきだと考えている。

同じニュースを扱っているFujiSankei Business iの記事にもシックカーという言葉が出てくるので、これは自動車工業会がそういう用語を使っているのかと思いきや、自動車工業会のニュースリリースにはシックカーという用語は出てこない。しかし、調べてみるとここのようにシックカーという用語は以前から使われているようだ。

シックハウス、シックスクール、シックカー、の他にどんなのがあるかと思って探すと、シックビルディング、シックオフィスなんてのが見つかる。さらには、シックホスピタルなんてのもあるが、シックハウスのことを知らないと何だかわからない単語だな。。

「シックハウス」(中井里史著)によると、シックハウス症候群は和製英語だが、1970年代に欧米でシックビルディング症候群(Sick Building Syndrome, SBS)が問題になったことが語源となっているそうだ。 ためしに Google で "sick car syndrome" を検索してみると、数は少ないが欧米のサイトもヒットするので、一応通じるようだ。さすがに "sick hospital syndrome" で検索してみると、こちらは相当違うニュアンスで使われているようだ。。

今後、他に出て来そうな用語を予想すると、シックトレイン、シックバス、シックエアプレーンなんてのが思い浮かぶが、シックトレインや、シックバス、あるいはシックシティなんて具合に、既に違う意味で使われてるようだ。。

ちなみに、世の中には新車の香りを好ましいと思う人もいるようで、新車の香り芳香剤なんてのもあるし、セルシオの香りなどのように車種限定の芳香剤もあるようだ。

もちろん、ここに書かれているように、個々の成分は決して身体に良いわけでもなし、気になる人は換気を十分にするのが一番だろう。最近だと光触媒による脱臭を唄った商品も多いようだ。(光触媒といいながら怪しいものもありそうだけど、ここのように効果がこれで十分かどうかはともかくも、一応脱臭されることが実証されているものもある。)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005/02/02

ヴィッツの環境性能

nikkeibp.jpの環境ニュース(2/2)。トヨタ、独自の環境評価システムを活用し「ヴィッツ」改良

トヨタ自動車は、「ヴィッツ」をフルモデルチェンジし、1日、全国のネッツ店を通じて販売を開始した。

2代目となる「新型ヴィッツ」は、走行・安全性能といった基本性能に加え、居住性・機能性・品質などあらゆる面で徹底的に向上を図ったという。

開発に当たっては、トヨタ独自の総合環境評価システム「Eco-VAS(エコバス)」を初めて活用。開発初期段階からリサイクルまでのあらゆる面で環境負荷物質の低減目標を設定し、各段階での環境影響をバランスよく減少させた。また、ライフサイクルアセスメント(LCA)を実施し、走行段階だけでなく、生産から廃棄するまでの全段階で排出する二酸化炭素(CO2)や大気汚染物質の総量を低減した。

新型ヴィッツは2WD全車で国土交通省の低排出ガス車認定制度における「2005年基準排出ガス75%低減レベル」「2010年度燃費基準+5%」を達成するなど、クラストップレベルの環境性能を実現しているという(日経エコロジー編集/EMF)。

というものだが、トヨタの最新の「総合環境評価システム」とはどんなものか? トヨタのサイトの、新型車技術広報資料によると、この Eco-VAS システムは、トヨタ社内での新型車開発プロセスのマネジメントシステムのことらしい。

ヴィッツはトヨタ車の中でも最も排気量の小さなクラスだから、燃費も排ガスのクリーン度も相当に優れているのだろうと思いきや、ここに載っているLCAのグラフを見る限り、4年前の同クラス車と比べての改善は意外と小さい。(とは言え、ざっと見てCO2排出量は10%程度削減されているようだけど。。)

ビッツの紹介ページの環境仕様というところを見ると、LCAの内訳が、素材製造から廃棄までの各段階に分けて表示されている。これを見ると、各排出物共に走行時の排出量は減少しているのだが、製造時の排出量が増えているようだ。水銀、鉛、カドミウムや塩ビの使用量を相当に削減しているので、その影響が出たのだろうか? ちょっと気になる。(それにしても、塩ビの削減は本当に必要だったのか?)

今回は平成22年度の燃費基準を5%上回る性能とのことだが、国土交通省の燃費基準を見ると、基準値は車両重量別に決められており、ビッツの場合は、基準値が16.0km/l、実際の燃費が最高24.5km/lであり、実は50%以上も基準値を上回っている。ただ、自動車の燃費性能に関する公表のように、基準を5%クリアするとその表示が可能となるということらしい。実は結構多数の車種が既にクリアしており、これだけならそれほど自慢できるものでもないようだ。

F1ドライバーの佐藤琢磨選手がCMで「燃費こそ環境性能だ」と言っているホンダの場合は、環境レポートによると、2005年中に全ての車がクリアするようだ。 この調子だと、もっと高レベルの目標を設定したり、本当に高性能の車をきちんと評価するシステムが必要のように思われる。

低燃費カーといえばハイブリッド車が注目の的で、世界的な潮流となりそうだ。実際、プリウスなどはヴィッツよりもクラスが数段上のはずなのに、カタログ燃費は35.5km/lと圧倒的だ。ヴィッツの最高燃費24.5km/lはアイドリングストップ機能がついている1.0Lエンジン車のものであり、プリウスのエンジンは1.5Lなので、これだけ違うということは、減速時のエネルギー回収と、加速時等のモーターでの適切なアシストの効果ということか。。

プリウスのLCAについては、環境仕様で見ることができるが、これをヴィッツと比較しようとすると、絶対値が書かれていないのですぐには比べられない。しかし、両車の燃費やNOx等の排出量は公表されているので、換算しようと思えば比べられそうだ。トヨタさんも、こんな中途半端なことをせずに絶対値を公表すればよさそうなものだが、儲けの大きい大型車の環境性能が見劣りすることを恐れているのだろうか?? そういうこともあってか、トヨタもこれだけ環境への取り組みをアピールしていながら、各車の環境性能を一覧できるような表やグラフは全く存在しないようだ。

プリウスの環境性能やLCAについては、安井先生のサイトのエコプレミアムラボで、プリウス環境負荷はどのぐらい低いで考察されている。自身がプリウスのオーナーということもあり、さすがに非常に充実している。しかし、いつの間にかこのページはトップページからのリンクがなくなってしまっているようだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005/01/17

花粉観測システム「はなこさん」

YOMIURI ON-LINE(1/14)の記事。環境省HP、花粉観測システムの情報提供を開始

 環境省は14日、花粉観測システム「はなこさん」の情報提供をホームページで始めた。

 関東、関西に続いて、今年から中部地方も対象地区に加わった。23都府県の55地点で観測した花粉の飛散量が、各地の風向、風速とともに一目で分かる。データは1時間ごとに更新される。

 今春は、昨夏の猛暑の影響で、花粉の飛散量が昨春の10―20倍に達して、全国的に観測史上1、2位の多さになると予想されている。同省のホームページアドレスは、http://kafun.nies.go.jp/

ということで、環境省のプレスリリースによると、関東地方では一昨年、関西地方では昨年から始めた観測システムで、今年から中部地方も加わったということらしい。個人的には幸いにも花粉に悩まされることがない(らしい)のだが、逆に花粉の飛散については全く注意を払ってこなかったので、ちょっと調べてみることに。

はなこさんを見てみると、各地方の観測点での現在の測定値や過去の測定値を比較的簡単に見ることができる。どういう観測システムなのかは、システム概要に書かれているのだが、この測定値をどう評価して、どう利用したら良いのかについてなど、少なくとも素人さんが必要としそうな情報は何も書かれていないのが、如何にも不親切だ。。。

これを見ると、観測地点は各都道府県に1~5か所しかないようだけど、これで正しい観測が行えていると言えるのだろうか? 試しに見てみると、関東地方の日光測光所では 1/12に最高70000個/m3を記録していたりして、ほぼ万のオーダーで飛んでいるようだ。でも、群馬県材木育種場では、ピーク時で2600個/m3で、他の日はほとんど飛んでいない。東京の八王子の森林公園ではほとんどのデータが100個未満となっている。2桁以上も飛散量が異なるのか?? そもそも、真冬の今の時期に、しかも日光で、そんなに花粉が飛ぶものだろうか?

まず、問題となる花粉の数の目安や飛散の時期については、例えば東京都福祉保健局の花粉症 Q&Aあたりが情報が充実しているようだ。これによると、

・少ない    1cm2あたりの花粉数が10個未満
・やや多い   同10個~30個未満
・多い      同30個~50個未満
・非常に多い  同50個以上
となっているのだが、単位が全然異なっているので比較ができないではないか。。 測定方法については、東邦大学の花粉症 Learningによると、従来からのダーラム型という自然落下した花粉数を顕微鏡でカウントする方法(単位:個/cm2)に対して、環境省のシステムは大気を吸引して花粉をカウントする全自動花粉モニター(単位:個/m3)を採用しているために、単位が異なるということのようだ。

(なお、ここの花粉事典は、色々な植物の花粉の顕微鏡写真も載っていて面白い。欲を言えば、写真にスケールが入っていて欲しかった。)

色々見てみると、どうやら大和製作所のKH-3000という装置がこの世界では広く使われているらしい。この装置は神奈川新聞によると、先の東邦大学の佐橋先生との共同開発ということで、原理としてはレーザー散乱式のパーティクルカウンターなのだが、花粉にターゲットを絞るために、粒径範囲が28~35μmの球形粒子のみをカウントするように設計されているらしい。それでも中日新聞の記事によると、

 計測器は、採取した大気にレーザーを照射し、光の散乱光量から花粉量を調べるシステムを採用。顕微鏡で花粉数を調べる従来の手法に比べ、リアルタイムで花粉量を調べられるほか、労力も大幅に削減できる。一方で、レーザーは雪や黄砂など花粉以外の一部の物質にも反応するため、特に降雪日には実際の飛散状況と一致しない場合があるという。
ということのようだ。ということは、日光の花粉データが飛びぬけて高い数値を示しているのは雪の影響かもしれない。よく見ると、「はなこさん」のトップページにも、「現在、システムの試験運転中のため、現況と異なるデータが表示される場合もありますのでご留意下さい。(たとえば、雪等を計測して高い値を示すことがあります。) 」と書かれている。。

それにしても、ダーラム型の測定値と花粉モニターの測定値はどういう関係にあるのだろう? 理論的な換算は不可能だと思えるので、実測値をベースに換算するしかなさそうだが、慈恵医大のデータや、和歌山県のデータを見ると、それなりに良好な相関関係は得られるようだが、花粉モニターの測定値の単位があいまいで、結局、換算係数はよくわからない。。そもそも、環境省がこれだけ大々的に採用するなら、従来の測定値との換算の方法ぐらい書いておいてくれても良さそうなものだが。。

花粉症対策は各都道府県が結構力を入れているようで、それぞれ独自の観測網を敷いてモニターしているようだし、花粉症いんふぉのようにボランティアやNPOの測定値をネットワーク化しているところもあるようだ。環境省がそれとは別にモニターするのは構わないけど、せっかくだから、それらを統合するとかして、協力する形で進められないものかなあ? 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005/01/13

トヨタがバイオプラスティックに本格参入?

1月1日の中日新聞のニュースで、トヨタ バイオ本格参入 07年にも豪に工場というのがあった。

 トヨタ自動車は、環境に優しいサトウキビからできるバイオプラスチック(BP)原料の大量生産工場を2007年にも豪州に建設する方針を固めた。BPはプラスチック製の家電製品だけでなく、鉄や樹脂、アルミなど自動車部品の代替材としても注目され、トヨタは市販車部品に既に一部採用している。今後はBPを車体などに採用し地球環境に配慮した「エコ・カー」づくりとともに、バイオ化学業界への本格参入を目指す。

 トヨタは1998年、インドネシアでサツマイモを原料にBPの生産技術開発に着手したが、安定収量が見込めるサトウキビの方が原料に適していると判断し、広瀬工場(愛知県豊田市)内にサトウキビからBP原料を抽出する施設(年間生産量1000トン)をこのほど建設。今春から量産化へ向けた実証試験に入る。

 豪州の工場はこれを商業ベースにのせるのが目的。計画によると、建設場所は北東部のクイーンズランド州で、年産は当初5万トンを想定している。

 BPの世界市場は現在、年産2万トン強だが、プラスチック消費量の5分の1がBPに置き換わるとされる2020年にトヨタは3000万トンに急拡大すると推測。そのうちトヨタは2000万トンを生産し、5兆円を売り上げる計画だ。

 <バイオプラスチック(BP)>  微生物によって分解するプラスチックで、生分解性プラスチックとも呼ばれる。サトウキビやサツマイモから抽出したでんぷんや糖質を基に精製したポリ乳酸に、他の天然素材などを混ぜるなどして製品化する。従来のプラスチックは燃やすと猛毒のダイオキシンを出すが、BPは燃やしてもダイオキシンは発生せず、捨てても水と二酸化炭素(CO2)に分解されるだけ。

植物原料由来のポリ乳酸を始めとするバイオプラスチック(生分解性プラスチック)については、このブログでも何度か取り上げて議論している。(難燃性バイオプラPCソニーの植物原料樹脂旭化成の生分解性ラップポリ乳酸は処理が簡単?

正月のニュースだから、景気良くアドバルーンを上げただけかと思いきや、トヨタ自動車のサイトの、バイオ・緑化事業というページや、Special Story という資料にも、トヨタだけで数量 2000万トン、売上 5兆円と書かれているから、必ずしも夢物語ではなく、結構本気のようだ。

それにしても、この数量は途方もない数字だ。何しろ、日本のトップクラスの総合化学企業グループは、それぞれとんでもなく多くの製品を作っているけど、それでも各グループの連結売上高は 2兆円にも届かない。Fortune のランキングを紹介している、ここ によると世界最大の化学会社、BASFでさえ売上は300億ドル(約3.2兆円)に過ぎないのだ。

あるいは日本の主要プラスチックで見てみると、ポリエチレンポリプロピレンポリ塩化ビニルの出荷量は、それぞれ200~300万トンに過ぎないのだ。(日本のエチレンおよびプロピレン生産量はそれぞれ約750万トンと約500万トンだから、そんなものだろう。先のトヨタの資料の中では、日本のプラスチックの総需要量を1400万トンとしている。)

2020年にプラスチックの5分の1がバイオプラスチックに置き換わり、その量が3000万トンということは、その時点でのプラスチックの全量は1億5000万トンということになる。現時点では世界のエチレン生産量が1億トン程度だが、今後どの程度伸びるのだろうか。。経済産業省の資料は、現在の世界のエチレン・プロピレン系の生産量を見るのには役立つが、2008年までの短期予想なので、その先については不明だ。

ちなみにこちらの予測では、バイオプラスチックの世界全体の潜在的需要として1000万トン程度と予測している。数千万トンという量は、プラスチックの世界では非常に大きな影響力を持つ数値だが、農業生産全体からみると微々たる量ということのようだ。

それにしても、1社が 1種類のプラスチックを 2000万トン、5兆円も売るというのは、やっぱりとんでもないことなのである。もし、そんな事態になれば、世界の既存の樹脂原料産業の構造はガラリと変わってしまうだろう。その原料であるエチレン・プロピレンは当然、大量に余ってしまうだろうし、いわゆる石化コンビナートは多くの品目のバランスの上で資源・エネルギー効率を最適化してきたので、そのバランスが大きく崩れてしまう恐れもある。。 もちろん、それが地球環境のためになるならば、そういう流れがあっても良いのだけれど。

今のところ、特にこのニュースに対して大きな反響が見当たらない所を見ると、関係者は本気とは捉えていないのかもしれないし、あるいは違うストーリーを思い描いているのかもしれない。

それにしても、そんなにバイオプラスチックばかりにしてどうする?? もしもトヨタ自動車が、産業構造に大転換を起こすようなそんな大掛かりな構想を本気で考えているのであれば、何故バイオプラスチックなのかをきちんと説明する必要があるだろう。トータルの環境への影響や、産業構造への影響などを定量的に説明するべきだと思う。少なくとも

バイオプラスチックは、従来のプラスチックと同じ機能を持ち、使用後は土壌中の微生物によって分解される材料です。分解が進みにくい従来のプラスチックからの置き換えが可能なことから、今後の飛躍的な成長が見込まれています。また、二酸化炭素を吸収して成長する植物を原料にしているため、ライフサイクル全体でみても製造に要するエネルギー消費を除けば二酸化炭素を発生することがありません。
という説明ではまるで説得力がないだろう。(製造に要するエネルギー消費はどれだけなの??) 

様々な樹脂の一つとしてバイオプラスチックが適した用途もあるだろうとは思うし、全面的に否定するつもりはないのだが、これだけ大々的に展開するというのであれば、せめてここのブログの旭化成の生分解性ラップでも議論した「バイオプラスチックは本当に環境へのインパクトが小さいのか?」という疑問には答えて欲しいものだ。

これに関連して、立花証券の月報にトヨタ自動車が"化学会社"になる?という記事が掲載されており、他社のバイオプラスチック関連の動きも簡単にまとめられている。

*それにしても、冒頭の中日新聞だが

従来のプラスチックは燃やすと猛毒のダイオキシンを出すが、BPは燃やしてもダイオキシンは発生せず、捨てても水と二酸化炭素(CO2)に分解されるだけ。
なんてことをいまだに書く記者がいるのには驚かされる。何だかなあ。。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004/12/14

温室効果ガス12%増加?

NIKKEI NET(12/14)の記事。先進国の温暖化ガス排出量、02年は2番目の高水準

 日本など先進国27カ国が2002年に排出した温暖化ガスの総量が約138億3100万トンだったことが13日、地球温暖化防止条約事務局の集計で明らかになった。アルゼンチンで開かれている温暖化防止の第10回締約国会議に報告された。京都議定書の基準年である1990年に比べると全体では6.3%減ったが、同年以降では2番目に多い排出量。来年の同議定書の発効を目前に控え、削減の実効性が問われる形となった。

 報告では旧ソ連などを除いた先進国全体の2002年の排出量は90年比8.4%増。国別の増加率ではスペインやポルトガルが約40%増とトップ。日本は約12.1%増だった。ロシアやウクライナなどは経済活動が低迷し、約40%の減少となった。ドイツ・英国などが大幅に削減している欧州連合(EU)全体では2.5%減だった。議定書はこれらの国を含めた先進国に90年比5.2%減の削減義務を課しており、全体ではすでに目標を達成したことになる。ただ、国別では未達成国があり、日本などは一層の取り組み強化が求められそうだ。

12/6のブログで紹介した COP10が始まり、具体的な話し合いが始まっているようだ。最新の各国の温室効果ガスの排出量のトータルでは、意外なことに京都議定書の目標をクリアしているようだ。(京都議定書から離脱しているアメリカやオーストラリアの分も含めての数字。)

詳細データは、UNFCCCに載っており、細かなデータも全部見ることができる。各国の温室効果ガスの1990年比の増減は、増減比較グラフで見られる。スペインやポルトガルが +40%というのもすごいが、ラトビアやリトアニアの-60%というのもすごい。-20%以上の国は全て旧ソ連や東欧諸国だ。全体として削減目標を達成しているのは、これらの国々のおかげということになる。

ところで、日本はこのデータでは1990年比で+12.1%となっている。10/1のブログでは、2002年度の排出量が1990年の基準年比で +7.6%であった、というニュースを紹介したのだが、この違いは何だろう?

ということで、環境省のデータUNFCCCのデータを詳細に比べてみると、1990年の数値も2002年の数値も両者全く同一だということがわかる。で、この数値(1990:1187.2、2002:1330.8 Mton-CO2)を用いて、2002年の増減率を計算すれば、+12.1%となる。

じゃあ、環境省が発表した +7.6%という数値は何か? 実は、京都議定書の基準年は、CO2、CH4、N2Oについては1990年だが、HFCs、PFCs、SF6については1995年となっているのである。(京都議定書第3条第8項の規定により、HFCs等3種類の温室効果ガスに係る基準年は1995年とすることができる。)従って、京都議定書の基準年の温室効果ガス排出量は、1187.2ではなく 1236.9となり、これと比べると2002年の排出量は +7.6%となるわけだ。

京都議定書の定義がややこしいのが原因なのだろうが、新聞記事などで必ずしも厳密ではない表現を使うと、このような混乱が起こってしまうことになりそうだ。

国によっては、HFCs等についても1990年を基準年としているところもあるようなので、COP10で今回使われている増減の数値は、必ずしも公正な比較になっていないとも言える。そのHFCs等の排出量を見ると、日本は順調に削減されているのだが、国際的にはそれほど減っていないようで、アメリカはやや増えているし、デンマークなどは何故か15倍に増加している。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004/12/13

省エネ自販機

NIKKEI NET(12/13)の記事。自販機、消費電力35%減・松下電器が開発

 松下電器産業は世界で最も消費電力が少ない飲料用の自動販売機を開発した。空気中の熱を取り込む特殊な小型ポンプなどを活用し、既存自販機に比べて消費電力を35%抑えた。国内では飲料自販機が290万台稼働し、約130万世帯分に相当する電力を使っている。環境対応型の自販機として、来春にも製品化する。

 これまでの飲料自販機はヒーターで加温していた。松下は「ヒートポンプ」と呼ばれる小型圧縮機を使い、常温の空気が持つ熱エネルギーを活用して加温する仕組みを開発。冷却には従来と同様に専用の圧縮機を使うが、機構を改良して冷却効率を13%高めた。内部が三室に分かれた標準的な自販機の場合、年間の消費電力量は既存機種より35%少ない約900キロワット時となり、電力料金を年1万円程度減らせるという。7年間使用した場合の二酸化炭素(CO2)排出量も3076キログラムと同55%削減できる。また、圧縮機を小型化することで騒音の大きさを従来機種に比べて3割低下させ、室内でも設置しやすくした。2006年度に2万台の販売を目指す。

という記事。自動販売機では、持続可能なチャンネルで 自動販売機不買運動について書かれている。まあ、自動販売機を作るメーカーとしては、やっぱりこういう方向に精一杯頑張るしかないんだろうなあ、とつくづく思う。でも、それはそれとして、どんな理屈を付けようが、消費電力という観点からは、自販機および飲料を減らす方向がベストな選択であることは揺るがないだろう。何といっても、どうしてここに自販機があるんだ?というケースや、何もこんなに沢山自販機を並べなくてもいいだろうに、というケースが多すぎる。

とは言え、少し現状を調べてみると、日本自動販売機工業会や、全国清涼飲料工業会のサイトで関連情報が公開されている。ざっと、まとめてみると国内の自動販売機は全部で約550万台、その内飲料用が約260万台。1台当たりの年間消費電力は約2600kWh、全部で約74億kWh。国内総電力消費量に対する割合は、0.7%程度で大したことはない、という主張のようだ。

もちろん、自販機の省エネの取り組みはいろいろなされているようで、富士電機リテイルシステムズによると、10年間で何と60%以上の省エネが達成されているようだ。中でも、知らなかったのがエコベンダー。一番暑くなる夏場の昼間に電気を止めちゃうというのだから、確かに逆転の発想だ。

一方、全国清涼飲料工業会の自販機の省エネルギー対策によると、この10年の消費電力の削減は約30%ということで、先の富士電機の数値とは随分違うようだが、今後も全体としての消費電力は順調に減っていくと予想しているようだ。

ところで、松下が自動販売機を作っているとは全く知らなかったのだが、松下のサイトで探しても、何故か自動販売機関係の情報は見つからない。日経の夕刊には、前述の記事の末尾に

国内の自販機市場(2003年)は富士電機ホールディングスが45%でトップ、松下は23%で二位。
とある。トップの富士電機の富士時報 2004/01によると、まだまだ自販機の対環境性能の改良は続くようだけど、
2003年4月からは自動販売機が冷蔵庫やエアコンと同様に「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(省エネルギー法)の特定機器に指定され、省エネルギーの達成目標値が規定される(省エネルギートップランナー方式)。2005年度には2000年度に比べて加重平均で約30%の電力消費量削減を達成するという目標値が設定された。
ということが背景にあるようだ。他にも、グローバルクーリング・ジャパンという会社が、エコバルブなんて商品を展開していたりで、今後も省エネ競争が続きそうだ。もっとも、例えば 3割省エネを達成するのと、3割自販機の台数を減らすのは、どちらが簡単なのか、どちらがより社会に影響を与えるのか? は良く考える必要があるだろう。

それにしても、冒頭の日経の記事に出てくる数字がよくわからないものばかり。

・年間消費電力を35%削減して900kWh
  削減前が1385kWhということは、何故か平均的な機種の約半分程度にすぎない??
・CO2排出量が7年で3076kg CO2原単位を0.38kg-CO2/kWhとすると
  7年で3076kg-CO2ということは、1年平均で 1156kWhとなるけど、この数字は何だろう?
・CO2発生量を55%削減 
  で、どうして55%も減るんだろう??

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004/12/06

COP10:ポスト京都議定書の議論開始

NIKKEI NET(12/6)の記事。温暖化防止締約国会議開幕、「京都議定書」後を協議

 約190の国・地域が参加する温暖化防止条約の第10回締約国会議が6日、アルゼンチンのブエノスアイレスで始まる。先進国に温暖化ガス削減を義務づける京都議定書が来年2月に発効することを踏まえ、削減の枠組みに入っていない米国や途上国をどう加えて世界全体の体制をつくるか、「ポスト議定書」の議論が実質スタートする。

 会議は15日から閣僚級会合に移り、17日に閉幕する。日本は小池百合子環境相が出席する。現在、最大の温暖化ガス排出国である米国は同条約を締結しているものの、削減義務を伴う議定書からは離脱。また、議定書では中国など途上国に削減義務がない。会議では議定書の約束期限が切れる2013年以降の削減体制が焦点となり、欧州と米国・途上国が対立するのは必至だ。

京都議定書が来年2/16に発効することが決まったばかりだが、もうポスト京都議定書の議論がスタートするわけだ。京都議定書の約束期間は2008~2012年であり、これから議論されるのはその後の第二約束期間、2013~2018年をどうするのかということだ。今回は準備段階で、本格的に枠組を決めるのは来年以降になるようだ。

ところでこの会議、正式には、気候変動枠組条約第10回締約国会議(The 10th sesion of the Conference Of the Parties to the United Nations Framework Convention on Climate Change : 通称 COP10)と呼ばれ、第1回会議から丁度10年、節目となるわけだが、議論される内容も、ポスト京都ということで、新たな一歩ということになるのだろうか。

京都議定書が採択されたのは、COP3(第3回:1997年)であり、UNFCCCのホームページに行ってみると、京都議定書が発効するまでのカウントダウンが表示されている。京都議定書は約束期間の開始まで丸10年の猶予があったのに、発効するまでに7年も経過してしまったわけで、スタートまで丸3年となってしまった。そして、これから議論を始めるポスト京都議定書については、約束期間の開始までもう8年しか残ってない。残り時間の少なさと、より切迫する状況(途上国の経済発展、温暖化の現実化、先進国にも決め手がない現状等々)を考えると、極めて厳しい議論になることと思われる。

日本の場合には、ポスト京都議定書の議論より前に、京都議定書への約束をどう果たすのかさえ全然まともな議論になっていない状況なので、当然のことだけど、この会議はニュースとしての扱いも極めて小さい。一方、アメリカでは USA TODAY を読むと、アメリカが新たな枠組にどう取り組むべきか、という話はほとんど書かれておらず、自分たちの排出量が世界一であることを棚に上げて、中国やインド等が参加しなくては意味がないという論調のように読める。

また、アメリカの影であまり目立たないが、京都議定書を批准していない大きな国の一つがオーストラリアであり、ABC (Australian Broadcasting Corporation) Onlineによると、アメリカよりは柔軟な姿勢というか、この枠組に参加するかしないか、まだ悩んでいるみたいだ。(もっとも、京都議定書ではオーストラリアの削減目標は+8%であり、1990年よりも増えても良いのだが、現実にはかなり排出量が増えているようだ。(参考:安井先生のサイト

いずれにしても COP会議は、当初の姿勢はともかく、今では科学的な議論というよりも、純粋に政治的な駆け引きの場という印象が強い。飢えで苦しんでいる国もあれば、戦争や紛争の真っ只中の国もある。一方で、温暖化により直接国家の存続が脅かされる可能性の高い島国などもある。このまま物質的に豊かになることを求め続けて良いのだろうか? なんていう疑問が議論されるだけでも日本はまだましなのだろうと思う。

このように、各国の抱える問題の優先順位があまりにも違いすぎて、同じテーブルで地球環境の将来を議論することの難しさは想像に難くないけど、このポスト京都議定書の議論がどういう方向に進むのか、人類の将来を見据える意味でも成り行きに注目したい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004/11/25

低公害車ガイドブック2004

少し前に、環境省が低公害車ガイドブック2004を発行したというニュース(EICネットニュース(11/8)など)が載っていた。

全低公害車157車種の情報を掲載 『低公害車ガイドブック2004』刊行

 日本国内で入手可能な全ての低公害車の情報を網羅した『低公害車ガイドブック2004』が2004年11月中旬に刊行されることになった。

 このガイドブックは環境省、経済産業省、国土交通省の3省が、国内の自動車メーカーの協力により、1996年度から毎年作成しているもの。

 電気自動車、燃料電気自動車、天然ガス自動車、ハイブリッド自動車などさまざまなタイプの低公害車について、排出ガス性能、価格、メンテナンス体制などの最新情報を整理して掲載しているほか、低公害車導入のための各種支援措置に関する情報も掲載されている。

 04年版は、電気自動車24車種、燃料電気自動車9車種、天然ガス自動車63車種、ハイブリッド自動車13車種、低PM認定車などその他48車種--計157車種の情報を掲載している。

 なおこのガイドブックは、各省庁や地方公共団体等に頒布するほか、一般にも有償(予定価格:2,100円)で頒布する予定。頒布問合せ先は(財)環境情報普及センター

ということで、定価2100円の書籍なのだが、このほど環境省のサイトに掲載された。低公害車ガイドブック2004がそれ。ブロードバンドの普及が進んだ現在、この本を2100円出して購入する意味があるかどうか。

さて、このガイドブックでは現時点の低公害車が乗用車から商用車まで網羅されているし(燃料電池車等まだ試験段階のものも載っている)、関連するインフラや支援措置についての情報も掲載されており、かなり便利な情報源として使えそうだ。例えば新たな低公害車が登場した時に、ここに掲載されている車のスペック表と比較したりできる。

ところで、ここに掲載されている車を眺めていると「低公害車」って何? という疑問が生じてくる。いわゆるHC、CO、NOx、PMといった大気汚染物質の排出が少ない車と、燃費の良い車が混在しているように見えるのだが。(燃費が良いということは、単位輸送量当たりの大気汚染物質の排出量は当然少なくなるんだろうけど。)

ということで、その定義に触れている箇所を見ると、「低公害車(電気自動車、天然ガス自動車、メタノール自動車、ハイブリッド自動車及び低燃費かつ低排出ガス認定車)」とか、「低公害車は、窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)等の大気汚染物質の排出が少ない、または全く排出しない、燃費性能が優れているなどの環境にやさしい自動車です。」と書かれており、具体的には以下の6区分を対象としているらしい。
 ・燃料電池車
 ・電気自動車
 ・天然ガス自動車
 ・メタノール自動車
 ・ハイブリッド自動車
 ・低燃費かつ低排出ガス認定車
これは、グリーン購入法で定める「低公害車」の定義とほぼ同じみたいだ。

「低公害」という言葉の定着度からみて、今さら変えられないのかもしれないが、今後はますます低公害よりも省資源や低排出等、低環境インパクトであることが望まれる筈だ。単なる低排出や低燃費ではなく、全ライフサイクルでの環境へのインパクトのような新たな指標の導入と定着を、環境省が率先して目指して欲しいものだ。

個別に眺めてみると、意外と知らなかったのが、ハイブリッドバスとか、ハイブリッドトラックといったディーゼルハイブリッド。ちょっと探してみると、FujiSankei Business(11/15)に、商用車も環境配慮、ハイブリッド車需要拡大という記事もあり、ハイブリッドが商用車にも流行の兆しを見せている。

なお、この日産ディーゼルのハイブリッドトラックは、電池ではなくキャパシタを蓄電に使っている点も特徴のようだ。

ところで、注目はどうしても燃料電池車に集中する傾向があるし、以前は将来の花形として語られていた感のある電気自動車も、今や大手メーカーからは既に見放されてしまったみたいだ。でも、それ故なのか、光岡自動車チョロキューモーターズゼロスポーツなど、個性的な車やバイクなんかが並んでいて、ちょっと楽しい。意外と特定の用途には(燃料電池車までのつなぎかもしれないが)生き残りそうな気がする。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004/11/12

水系暴露解析モデル(SHANEL)

産総研のプレス・リリースに11/11に掲載された記事。河川流域における化学物質の濃度を詳細に推定できるシステムを開発

 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という) 化学物質リスク管理研究センター【センター長 中西 準子】は、水系における化学物質のリスク評価とリスク削減対策を評価できる「産総研-水系暴露解析モデル(AIST-SHANEL*)Ver.0.8」を開発した。

* National Institute of Advanced Industrial Science and Technology - Standardized Hydrology-based AssessmeNt tool for chemical Exposure Loadの略
   (中略)
 産総研 化学物質リスク管理研究センターでは、PRTRの排出量データと、流域に関する気象や地理、下水道や工業統計に関する情報を入力することにより、水系暴露濃度を1日ごとに1kmメッシュ単位で推定できる一連のモデルを開発した。このモデルを用いることにより、流域内のどのあたりで排出量が高いのか、暴露濃度は排出量の高い地域と対応しているのか、あるいは河川の流量が多くなるとどの程度濃度が低下するのかなどの情報を簡単に把握することができる。

 さらに、水生生物に影響が出る濃度を超える確率を求めることによって、生態系に与える影響を評価すること、すなわち生態リスク評価を行うことができる。生態リスクの削減が必要な場合、誰でも簡単なモデル入力を行うことにより、工場からの化学物質排出量削減や下水処理場での除去率向上が、化学物質濃度の低減にどのような効果を持つかの推定が可能となる。

 この成果は、化学物質の排出事業者や河川流域を管理する地方自治体のみならず、一般ユーザーが河川流域の化学物質のリスクについて検討するときに、実際にどのような対策を取るべきかという課題に対して、解決への道を拓いたものといえる。

 今後は、日本の主要な広域水系や二級河川のような局所的な排出源の影響を受けやすい流域でも適用できるように機能を拡張して、AIST-SHANEL Ver.1.0として公開する予定である。

ということで、詳しい説明がされているのだが、残念ながら現時点ではまだバージョン0.8βということで、Web上では公開されていない。化学物質リスク管理研究センターでは、大気拡散モデル(AIST-ADMER)等が既に開発されており、環境濃度予測モデルで公開されている。今回の水系の拡散解析モデル、AIST-SHANELについても、専用のサイトができている。他には、探してみるとCRMニュースレターで紹介されているが、既に9月に公開されていたようだ。しかし、これらのサイトを見て回ったが、このモデルの中身について、相当に複雑なモデルとなっていそうだが、具体的に、どういう前提で何についての計算を行っているのかが、今ひとつ判然としない。

一番詳しいのが冒頭に紹介したプレス・リリースの解説のようだが、これを読む限りは、化学物質の水系での分解や吸着、沈降、巻き上げなども考慮されているようだ。考えてみると、河川水の上流域ではきれいだった水が、下流にいくに従って、様々な汚染源によって汚染され、一方では合流によって水量が増えて希釈されていくわけだ。ここに載っている例では、ノニルフェノールエトキシレート濃度が下流域で高い様子が示されているが、通常、測定点はそれこそ点々としか存在しないので、このように面で示してくれるといろいろと見えてくるものがありそうだ。

普通の人がこのツールを使うことはほとんどなさそうだけど、10/8のブログで紹介した、PRTR 大気中濃度マップのように、水中の濃度マップが示されると面白そうだ。

*ところで、SHANELという名前はともかく、そのホームページに「著作権登録管理番号 H16PRO272」というのが載っている。こんな表記はあまり目にしないけど、この場合の著作権とはたぶん SHANEL というプログラムの著作物についてなのだろう。(名前を保護するとしたら商標登録だろうし。) もともと、著作権は申請したり登録したりするものではないのだが、ややこしいことに著作権登録制度というのがあるようだ。

文化庁のサイトに 著作権登録制度 という説明があるが、本件に関連するのは、「プログラムの著作物の著作者が,当該プログラムの著作物が創作された年月日の登録を受ける。」という部分。 実務については、SOFTICという財団法人がプログラム著作物登録を行っている。なるほどと思って、ここで検索してみたら、登録番号の書式が全然異なっている。ということは、まさか、一時話題になって、今も日本弁理士会が警告を発している、民間業者の「知的所有権(著作権)登録」ではないだろうな?(参考:知的所有権協会

同じ化学物質管理センターが開発したソフトウェアである、Risk Learning も、東京湾簡易リスク評価モデル も同様の著作権登録管理番号を表示しているな。気になる。。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004/11/09

「e-買い替えドットコム」を見てみた

EICネットニュース(11/9)の記事。家電製品のC02排出量情報提供WEB「e-買い替えドットコム」を開設

環境省は家電製品のC02排出量に関する情報を提供するホームページ「e-買い替えドットコム」を開設した。
 家電製品購入時に省エネ型製品を選択することは、家庭でできる地球温暖化防止策として効果が高い。
 「e-買い替えドットコム」は家庭の中で電力消費量の割合が大きい冷蔵庫、エアコン、テレビ、洗濯機、食器洗い乾燥機--の5品目について、製品の種類(容量、冷暖房機能、画面の大きさ)ごとにCO2排出量が少ない上位10製品程度のランキングを掲載するとともに、参考値として使用時のCO2排出量、電気代、水道代、ガス代、価格比較サイトの最安価格情報も掲載し毎日更新している。
 なお、ホームページの管理・運営は全国地球温暖化防止活動推進センターが担当している。
来年には京都議定書が発効することも決まり、環境税もいよいよ導入されそうな雲行きだが、できるだけ省エネ製品を使用することもかなり実効的な対策と思われる。特に、省エネ製品を使うということは、CO2の排出量が少なくなると同時に、ランニングコストが下がるわけで、環境への貢献がどうのこうのと言わなくても、初期コスト次第では実質的なメリットが出るはずだ。

環境省の報道発表資料を読むと、このページの運用は、環境省ではなく、財団法人日本環境協会の全国地球温暖化防止活動推進センターが行っているようだ。

早速、e-買い替えドットコムに行って、中を見てみた。それぞれの製品の価格は何と 価格.com の最新の最安値を表示している。これだと、価格と消費電力の関係は全くランダムとなっていて、高いからといって消費電力が少ないわけではない。エアコンや冷蔵庫のランキングを眺めると結構おもしろくて、それぞれ、飛びぬけて消費電力の少ない製品があったり、意外と製品間の差が大きいのに驚かされる。

それにしても、標準的な家庭のCO2排出量内訳で見ると、エアコンと冷蔵庫で3/4程度を占めていて、これを最新の省エネ機器にすると半分程度まで減らせるようだから、結構影響は大きい。(ここでの比較は、現在販売されている製品のうち、消費電力が最大のものと最小のものの比較だが。)

このサイトは新規に購入を考えている人が、候補製品の比較をするのには便利なのだが、今使っている製品が古くなったので、そろそろ買い換えようか? と思っている人の背中を押すにはインパクトが小さい。

例えば、現在使用している製品のスペックを入力して比較計算したり、環境税が導入されたらどのくらい差が出るのかを計算したり、或いは、ランニングコスト差が初期コスト差を上回る期間の算出をする等、今少しの工夫が欲しいところだ。

似たような試みとして、環のくらしの中で、「ふたりで始める『環のくらし』」というパンフレットを新婚さん向けに発行しており、電化製品や車等の選び方や使い方が紹介されているが、極めて一般的な内容だ。むしろ、All About Japan [節約・やりくり]の方が実用的かな。

やっぱり、今回のサイトの特徴は、環境省の傘下で活動しているけど、具体的な商品名を出して比較しており、しかも商用サイトとも連携しているというところだろうか。今後、新製品が出たときに、どういうタイミングでここに出てくるのだろう? 各社のカタログの数値をベースにしているようだが、電気メーカーとしては、自社製品が正しく評価されているか要チェックかもしれない。

*家電製品に限らず、何でも比較をするなら、比較三原則に一度目を通しても損はないと思われる。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2004/11/05

最新の地球温暖化シミュレーション

京都議定書の発効が正式に本決まりとなったようだが、そんな記念すべき日に、同じ環境省のサイトに、数値気候モデルによる20世紀の気候再現実験についてという記事が掲載された。

 国立大学法人東京大学気候システム研究センター(CCSR)、独立行政法人国立環境研究所(NIES)、独立行政法人海洋研究開発機構地球環境フロンティア研究センター(FRCGC)の合同研究チームは、地球全体の大気・海洋を計算する数値モデルを用いて、20世紀において観測された地球の平均地上気温の変化を再現することに成功した。この計算では、従来の計算では考慮されてこなかった様々な気候変動要因を最大限考慮している。様々な要因を切り分けて計算を行った結果、近年(20世紀最後の30年程度)の昇温傾向は人間活動に伴うものであることが強く示唆された。一方、20世紀前半(1910~45年ころ)の昇温傾向は自然起源の気候変動要因に因ることが示唆された。今後の解析により、気温以外の量についてもさらなる知見が得られることが期待される。
なお、本研究は環境省の地球環境研究総合推進費及び文部科学省の人・自然・地球共生プロジェクト等の研究費により実施された。
ということで、従来の地球温暖化シミュレーションよりも精度の高いモデルを使って計算したら、20世紀の気温変化をかなりうまく表現できた、ということらしい。この手の予測はいろんな研究機関で行われてきたと思われるが、やっぱりIPCCによるものがスタンダードだろう。せっかくだから比較してみたい。今回のシミュレーション結果は、先のサイトにPDFで掲載されているが、比較のためにここに転載する。
env_go_jp_globalwarming_sim.jpg
赤が実測値、黒が計算値を示している。要するに、人為影響と自然影響を重ね合わせるとうまく一致するというわけだ。特に1950年付近の温度上昇は人為影響のみでは説明が困難のようだ。自然影響のみで 1950年頃までの温度上昇はほとんど説明できるというのも面白い。この期間でも大気中のCO2は増加している(約295ppmから310ppm程度まで)のに、このモデルでは温度上昇にはほとんど寄与しないみたいだ。右側の図では、自然影響をさらに太陽変動とエアロゾルの影響に分けて解析したもののようだが、意外と太陽エネルギーよりもエアロゾルの影響が大きそうだ。一方、IPCCの計算結果等のデータは、こちらで入手できるが、その中に同様のモデル計算の結果を示す図があるので、下に示す。

ipccsim_01s.jpg

こちらは、左上が自然影響のみ、右上が人為影響のみ、下が両方の影響を考慮した計算結果だ。こうやって比べてみると、何だ、ほとんど一緒じゃないの? という気がしないでもない。 IPCCのモデルとの相違については、

IPCC第3次評価報告書(2001年)においても、数値気候モデルを用いて、20世紀後半の昇温傾向は人間活動に因ること、20世紀前半の昇温傾向は自然起源の気候変動に起因する可能性のあること、が指摘されていたが、当時の計算では、いくつかの重要なプロセスや気候変動要因を考慮していなかった。今回の計算では、それらの問題点を改善し、現状で考えられるほぼすべての気候変動要因を考慮しているため、従来の知見の信頼性をより高めることができた、と言える。
とある。今回のモデルに組み込んだ要因は、

 (1)太陽エネルギーの変動
 (2)大規模火山噴火に伴い成層圏にまで到達したエアロゾルの変化
 (3)温室効果気体(二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、ハロカーボン)濃度の増加
 (4)1970年代半ば以降の成層圏オゾン濃度の減少
 (5)人間活動に伴う対流圏オゾン濃度の増加
 (6)工業活動に伴う二酸化硫黄(硫酸エアロゾルの元物質)排出量の増加
 (7)人間活動に伴う煤などの炭素性エアロゾル排出量の増加
 (8)土地利用変化

の8項目とのことだが、新たに組み込んだのはどれなんだろう? まあ、CO2を始めとする温室効果ガスが近年の地球温暖化の重要な要因の一つであろうという結論は特に変わらないようだが、逆にその確度が特に高まったわけでもなさそうだ。(むしろ、この20~30年の人為影響のみの温度上昇速度は、IPCCの計算よりも今回の方が緩やかになっているように見える。)

*実はモデルに導入する要素が増えるということは、それだけ任意に調整できるパラメータが増えるということであり、実測値と計算値の一致の程度が向上するのは、当然といえば当然で、それがモデルの精度や信頼性の高さを保証しているわけではないはずなのだが。。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004/11/04

ナンキョクオキアミが大幅減少

Yahoo!ニュース経由の共同ニュース(11/4)の記事。南極のオキアミ8割減少 温暖化に関連、鯨に影響も

 南極の食物連鎖を支えるナンキョクオキアミの量が1970年代から80%近くも減少したという解析結果を英国南極調査所やカナダ、南アフリカなどの共同研究チームが4日付の英科学誌ネイチャーに発表した。
 鯨など捕食者からオキアミを守るとされる海氷が、温暖化に伴う海水温上昇で縮小したことと関連しているという。研究チームは「オキアミを食べる鯨やペンギンなどに悪影響の出る可能性がある」としている。
 研究チームは日本など9カ国の調査結果をまとめたデータベースを構築。1926―2003年にかけ、オキアミの生息密度の変化を調べたところ、76年以降、約80%も減ったことが分かった。逆に暖かい水を好むクラゲの一種は同期間に80%以上増えていた。
という記事。アミというと佃煮を思い浮かべてしまうが、佃煮で食べるアミはイサザアミという種類で霞ヶ浦あたりで取れるらしい(参考)。 ちなみに、アミは英語で krill、漢字では 醤蝦 と書くらしい。海老を醤油で漬けた料理を連想してしまうけど。。

さて、日本ではあっさりとしか報道されないが、欧米では結構きちんと報じられている。中でも、地図や写真入りでわかりやすいのが、BBC NEWSだ。

"Krill feed on the algae found under the surface of the sea ice, which acts as a kind of 'nursery'," Dr Atkinson said.

"The Antarctic Peninsula, a key breeding ground for the krill, has warmed by 2.5C in the last 50 years, with a striking decrease in sea ice. We don't fully understand how the loss of sea-ice here is connected to the warming, but we believe that it could be behind the decline in krill."

南極半島付近は世界でも最も温暖化が顕著な地域で、海洋を漂う海氷の寿命が30日以上短くなったらしい。それにしても、この50年で2.5℃というのは半端じゃない。何しろ今話題の地球温暖化現象は、20世紀の100年間で約 0.6℃温暖化したと考えられている程度なのだから。何故この地域の気温上昇がこんなに激しいのかはよくわかっていないらしい。

オキアミは海氷の下に豊富に存在する植物性プランクトンを食べて育つので、温暖化がオキアミの生存環境に影響しているのだろうという推定らしい。もちろん、因果関係はそんなに単純とは限らないのだが。

それにしてもこのBBCの記事に載っている写真を見ると、ナンキョクオキアミという奴はいやに大きいみたいだ。調べてみたら、水産庁のサイトでよくまとまった資料が見つかった。なんと体長6cmにも達するんだ。しかし、この資料を読む限り、2000年頃の調査でも特にオキアミ資源量の激減なんて兆候は見られない。今回の研究で見積もられた具体的な数字が見当たらないので比較できないのが残念だ。

Natureの記事のAbstractは、こちらで読める(要登録)。

オキアミが減少している反面、共同の記事では「暖かい水を好むクラゲの一種」と書かれているが、salpa という種が増えている。日本語でもサルパというらしく、こちらに写真入りで載っているが、透明なゼラチン質の大型プランクトンらしい。こんなに大きくてもプランクトンなのか? 何か気味悪い奴だが、当然オキアミを食べる種とサルパを食べる種は異なっているので、オキアミ減少分をサルパが増えて補うというわけにはいかないようだ。何となくオキアミは鯨の食べ物と思っていたけど、実はペンギン、アホウドリ、あるいはアザラシなどなど多くの動物の貴重なエサとなっているようなので、影響は大きい。

何せ南極近くの海の話だから、何十年も前のデータの信頼性もよくわからないけど、もしも本当にこんなに大幅に生物の分布が、それも食物連鎖のかなり始めの方にいる奴が変わってしまうと、相当に大規模な影響が出てきそうな心配もある。クジラつながりで日本には影響の大きなニュースと思うんだけど、ほとんど報じられていないのが不思議だ。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2004/11/02

自動車交通騒音マップ

EICネットのニュースで見つけた記事。WEBページ「全国自動車交通騒音マップ」を公開へ

  環境省は、全国の自動車交通騒音情報を地図と共に表示する「全国自動車交通騒音マップ」を、平成16年11月1日からインターネット上で公開することにした。
 この騒音マップは、都道府県と騒音規制法上の政令市で実施されている自動車騒音の常時監視(注1)結果を環境省がまとめている「自動車交通騒音実態調査報告」の内容を、(独)国立環境研究所環境情報センターが運営するインターネット・サイト「環境GIS(注2)」を通じて情報提供するもの。
 全国各地域の地図画像をクリックしていくことにより、めざす地域の情報を容易に探すことができるほか、各地域の道路に面した評価対象住居の「昼間」、「夜間」、「1日」の3つの時間帯の環境基準達成状況の評価結果を読むことができる。また全国2,832地点の騒音レベルの測定結果の表示・閲覧、「自動車交通騒音実態調査報告」本文の閲覧、ダウンロードも可能だ。
 なお今回は直近の「自動車交通騒音実態調査報告」の内容に基づき、14年度のデータを情報提供するが、環境省では今後も毎年の結果を随時提供していく予定。

(注1)騒音規制法に基づく常時監視は面的評価(道路に面する代表的な地域内で、住居の騒音レベルが基準値を超過している戸数や超過割合を算定し評価すること)の実施を基本としている。
(注2)大気汚染や公共用水域水質など、全国や地域の環境の状況について、地理情報システム(GIS)を使って提供しているサイト。

ということで、従来から測定していた道路騒音のデータを公開するようだ。11/1からということで既に始まっている。環境省からも報道発表が出ている。このように生のデータをできるだけわかりやすい形で公表していこうという姿勢は高く評価できる。

早速、全国自動車交通騒音マップに行って、ちょっと中を覗いてみた。地図の表示や操作は、多くの地図ソフトとそれほど変わらないので違和感はない。25000分の一まで拡大すると、騒音マップの下地となっている地図が見えてくる。これがいわゆる国土地理院の25000分の一の地図そのものみたいでちょっと面白い。

試しにあちこち覗いてみると、このマップに載っている測定点というのが、非常に少なく、地図の大部分は真っ白であることがわかる。東京都のような都会でも、色のついている部分はほんのわずかだ。全国で2832地点というと、そんなものかもしれない。

ところで、自分の家の近くや、興味のある地点の騒音を見てみようと思って、地図上の測定点をクリックしても何も表示が出てこない。いろいろ触ってみたけど、これはソフトがまだうまく働いていないのだろうか、と諦めかけた。ところが測定点をクリックする時に何か音が出るのでよく見てみたら、なんと、新たに開くはずの騒音情報のウインドウを、ブラウザがポップアップ広告だと思って排除していたのだった。(Windows XP SP2で導入されたIE6用のものと、Googleツールバーのものがダブルで機能していた。)

この機能を解除してようやく数値結果を見ることができたのだが、ソフトの作り手はそこまで考えていなかったのかな? 新しいウインドウを開くにしても、ポップアップ広告と判断されない方法があるだろうと思うのだが。

実は全然知らなかったが、この騒音情報マップに先立って、環境GISというサイトが既にあり、ここでは大気、水質の測定結果が公開されていた。こちらは、操作方法が若干異なり、なかなか直感的に欲しい情報にたどり着けなかった。操作方法は一緒にしておいて欲しいものだ。

なお、ここで何度も出てくる GIS とは、Geographic Information System のことで、国土地理院に地理情報システム(GIS)という専用のサイトがある。いろんな可能性がありそうで、これからも多くの応用が出てくると思われる。

しかし、縦割り行政の弊害なのか、大元の地図は一つだろうけど、それぞれのマップ(今回の騒音マップや以前紹介したPRTRマップなど)が全部独立しているのが残念だ。ある地域の環境に興味を持った人は、当然様々な関連情報にも興味あると思われるのだが。全部を統合したDBとするのは無理としても、うまくリンクすることはできないものだろうか? 今回の騒音マップについては、せめて同じ環境省所管の大気汚染や水質汚染のマップとは、お互いに行き来できるようにするとか、統合するとかできないものだろうか?

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004/10/22

WWFの地球環境報告書

MSN-Mainichi INTERACTIVE(10/21)の記事。環境報告書:エネルギー過剰消費に警告 WWF発表

 【ジュネーブ大木俊治】世界自然保護基金(WWF)は21日、人類の食糧や燃料の消費量と地球の生産能力を比較した環境報告書「生きている惑星の報告」04年版を発表した。前回報告(02年版)より化石燃料などエネルギーの消費量がさらに増え、全体で生産能力を20%上回る「過剰消費」状態が続いていると警告している。

 報告書は01年のデータを基に、資源を生み出す陸地や海の総面積を地球の4分の1に当たる113億ヘクタール、人口1人当たり1.8ヘクタールと計算。これに対し、01年に人類が消費した食糧や燃料(主要149カ国)は、生産に必要な面積に換算すると計134・7億ヘクタール分、人口1人当たりでは2.2ヘクタール分だった。

 特に化石燃料などエネルギーの消費量は、99年のデータに基づいた前回報告に比べ、約4億ヘクタール分増えて72.8億ヘクタール分。過去40年間で7倍以上になり、環境破壊の大きな要因と指摘している。

 1人当たりの消費量面積を国別にみると、“ワーストワン”がアラブ首長国連邦(9.9ヘクタール)で、2位米国(9.5ヘクタール)、3位クウェート(9.5ヘクタール)。日本は28位(4.3ヘクタール)だった。

 報告書はまた、過去30年間に淡水生物の総数が約50%、陸上および海洋生物の総数がそれぞれ約30%減少したとも指摘。資源の浪費を見直し、環境破壊を阻止するための早急な取り組みを各国に求めている。

いわゆる持続可能性に関する報告書のようだ。WWFのサイトで、このニュースと、報告書LIVING PLANET REPORT 2004が読める。

報告書はPDFで44ページ。最初に、生物多様性を示す "Living Planet Index"の推移、および陸地・海・淡水のそれぞれでの生物種数の地域別の推移が載っている。

続いて、"Ecological Footprint" について国ごとに計算された値が示されている。ここで、footprint とは、我々が使用可能な(再生可能な)自然の量がどれだけあって、それを実際にどれだけ使用し、どれだけダメージを与えているかといった概念を、土地の面積に換算して示したもののようだ。

具体的にどうやって個々の負荷をカウントして、土地面積に換算するかについては、報告書の末尾にデータの出典と共に書かれているようだが、まだ読みこなせていない。ざっと見たところでは、"Eclogycal Footprint" は "Energy Footprint" と "Food, Fibre, and Timber Footprint" を合計したもののようで、個々の計算方法については、いろいろと異論もあるのかもしれないが、様々な人間活動が地球に与える負荷の大きさを統一した物差しで示そうという試みとしては、直感的にわかりやすいという点で評価できるように思う。

Energy Footprintは、化石燃料、燃料木材、核燃料を使ってエネルギーを発生させた際の負荷をCO2換算し、これを吸収するために必要な土地面積などで定義されているが、妥当な計算方法かどうか、この数値の意味はどう捉えるべきか、という疑問もある。また、Food, Fibre, and Timber Footprint は、農業、畜産業、漁業、林業等で人間が使用する面積をカウントしていて、こっちはかなり実質的なのでわかりやすい。

それにしても、世界全体の約1/4が資源を生み出すと仮定すると、人口一人当たり1.8ヘクタールにもなるんだ。いやに広いという印象もあるが、日本人は平均して4.3ヘクタールも使っていると言われると、いかに今の生活が非持続的かを象徴しているとも言える。

この報告書の後半には、将来見通しやWWFとしての提言も載っており、最後には国ごとの細かなデータが表で示されている。 読みこなすのはかなり大変そうだが、なかなか役立ちそうな資料となっている。

*地表の面積は、陸地:149、海洋:361、合計:510(×106km2
 1ヘクタールは、10000m2 = 0.01km2

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2004/10/14

日本LCA学会設立

環境gooで見つけたニュース。

2004年10月14日(木)
ライフサイクルアセスメントの普及へ――日本LCA学会が26日に発足

 「日本LCA学会」(仮称)が10月26日に設立されます。製品やサービスなどの環境影響について、資源採取から製造、販売、使用、廃棄までライフサイクル全体を通じて定量評価するライフサイクルアセスメント(LCA)に関する研究・普及を進めるのが目的。関連の学会の設立は国内で初めてのことです。同学会では、政府や企業、市民など幅広い参加を呼びかけ、関連の知見の蓄積や、応用ツールの開発、その普及などを図る方針。また、企業における活用方法などを研究するLCA日本フォーラムとも連携。情報交流や共同研究などを実施するとともに、産業界への普及促進を後押しします。

ということで探してみたら、未踏科学技術協会のサイトで「日本LCA学会(仮称)」の設立についてというのを見つけた。LCAの考え方は、環境問題を考え、何らかの判断を下すのに欠かせないものだと思う。LCA学という学問領域が確立されているのかどうか不明だが、LCAという手法そのものを研究してより有用なものにすることと、様々な事例が蓄積されていくことを期待したい。

ふと、国際的にはどうなんだろうと思って検索したら、こんなページを見つけたけど、このLCA Society of Japanというのは何だろう? 検索してみると、こんなページがヒットするので、以前はきちんと活動していたようだが、公式サイトのようなものは見つからない。

「日本LCA協会」で検索すると、第4回 エコバランス国際会議の主管団体として名前が出てくるが、他にはそれらしいサイトにはヒットしない。また、この分野では信頼できそうな、LCAお役立ち情報 CRESTのページにも出ていない。先の英文雑誌の執筆者に今回の学会設立関係者の名前が出てくるところを見ると、発展的に解消したのかもしれない。 何か不思議だな。。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2004/10/08

化学物質の大気中濃度マップ公開