(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2002−44922(P2002−44922A)
(43)【公開日】平成14年2月8日(2002.2.8)
(54)【発明の名称】小型発電装置及び水栓装置
(51)【国際特許分類第7版】
   H02K 21/14                 
F03B 3/12
3/16
H02P 9/04
【FI】
   H02K 21/14        G        
F03B 3/12
3/16
H02P 9/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2001−146726(P2001−146726)
(22)【出願日】平成13年5月16日(2001.5.16)
(31)【優先権主張番号】特願2000−144546(P2000−144546)
(32)【優先日】平成12年5月17日(2000.5.17)
(33)【優先権主張国】日本(JP)
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】株式会社三協精機製作所
【住所又は居所】長野県諏訪郡下諏訪町5329番地
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】東陶機器株式会社
【住所又は居所】福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1号
(72)【発明者】
【氏名】弓田 行宣
【住所又は居所】長野県諏訪郡下諏訪町5329番地 株式会社三協精機製作所内
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
【テーマコード(参考)】
3H072
5H590
5H621
【Fターム(参考)】
3H072 AA03 AA27 BB08 CC12 CC42 CC71 
5H590 AA03 CA11 CC02 CC18 CD01 CE05 DD06 FA05 HA14
5H621 GA01 GA15 GB03 HH01 JK02 JK08 JK10 JK13



(57)【要約】
【課題】 少量の水量であっても水車が回転し、十分な電力量の発電をすることが可能な小型発電装置及び水栓装置を提供する。
【解決手段】 流体通路に配設され所定流量の流体通過に伴って回転する水車3を備えると共に、この水車3に連結され水車3と共に回転する回転体4を、複数層6a,6bからなるステータ部6を備えたステッピングモータのステータ部6に対向配置されたロータ部とし、このロータ部を流体の通過に伴ってステータ部6に対して相対回転させることにより電力を発生させる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】 流体通路に配設され所定流量の流体通過に伴って回転する水車を備えると共に、この水車に連結され水車と共に回転する回転体を、複数層からなるステータ部を備えたステッピングモータの上記ステータ部に対向配置されたロータ部とし、このロータ部を上記流体の通過に伴って上記ステータ部に対して相対回転させることにより電力を発生させることを特徴とする小型発電装置。
【請求項2】 前記ステータ部と前記ロータ部との間に発生するディテントトルクを、前記複数層の各層が互いに打ち消すように設定されたことを特徴とする請求項1記載の小型発電装置。
【請求項3】 流体通路に配設され所定流量の流体通過に伴って回転する水車を備えると共に、この水車に連結され水車と共に回転する回転体を、複数のコイル部を有するステータ部を備えたブラシレスモータの上記ステータ部に対向配置されたロータ部とし、このロータ部を上記流体の通過に伴って上記ステータ部に対して相対回転させることにより電力を発生させることを特徴とする小型発電装置。
【請求項4】 前記ロータ部に着磁された極数と前記ステータ部のコイル部数との関係を、2−3、4−3もしくは4−6に設定したことを特徴とする請求項3記載の小型発電装置。
【請求項5】 前記流体通路の一部となると共に通過する流量を絞って前記水車の羽根部分に射出するための射出孔を備えた射出部材を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の小型発電装置。
【請求項6】 バルブの開放程度を制御することにより、流体通路へ流出させる流量を通常より少なくした節水モードと、流量を通常とする通常モードの少なくとも2モードを備えると共に、上記請求項1から5のいずれか1項記載の小型発電装置を上記流体通路へ配設したことを特徴とする水栓装置。
【請求項7】 前記節水モード時における流量を、2.0リットル/分〜3.0リットル/分としたことを特徴とする請求項6記載の水栓装置。

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、蛇口を通過する水の流れによって発生する水力を利用した小型発電装置及びこの小型発電装置が配設された水栓装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、蛇口の下側に手を差し出すことによってこれをセンサーが感知し、このセンサー感知をもとに蛇口から水を流す自動水栓装置が広く知られている。また、近年においては、このような自動水栓装置の流体流路に小型発電装置を配設し、この小型発電装置で得られた電力を蓄電しておき、上述のセンサー等の回路の消費電力を補う装置等も提案されている(実開平2−65775号参照)。
【0003】上述の小型発電装置の構成を簡単に述べると以下のようになる。流水の通路となる流体通路に水車が配設され、流水の水力を受けてこの水車が回転する。水車の回転軸には一体的に固定された回転体が設けられている。この回転体の外周面は、着磁されたロータマグネットとなっており、このロータマグネットが非磁性部材の壁を隔ててステータ極に対向配置されている。また、このステータ極を通過する磁束と鎖交するように1層のステータコイルが設けられている。そして、上述の水車が流水の水力を受けて回転することによりロータマグネットがステータ極に対して相対回転する。このため、ロータとステータ極に流れる磁束の流れに変化が生じる。この結果、上記ステータコイルにはこの磁束の流れの変化を妨げる方向に電流が流れ、この電流は整流された後、蓄電池に蓄えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、発電装置のロータとステータ極との間には磁束が流れている。この磁束は、流水の水力により水車を回転させる際の抵抗となる。すなわち、ロータとステータ極間に発生している磁束がディテントトルクとなり、水車の起動時及び回転時に水車の動作にブレーキをかけることとなる。したがって、水車はある一定以上の流量および水圧を受けなければ回転しない。そのため、流量が少なかったり水車の受ける流水の水圧が低いと、水車は回転せず発電もなされない。なお、ロータマグネットの磁力を低いものとすると、ディテントトルクが低減され水車自体は回転することとなるが、ロータ回転時に発生する誘起電圧も低くなり発電量が非常に低下してしまう。このため、所望の発電量を得るためには、ロータマグネットの磁力はある程度強くし、かつ水車を回転させるための流体の流量及び水圧をある程度確保する必要がある。
【0005】このような事情から、従来より広く使用されている自動水栓装置用の小型発電装置では、具体的には、流量を3.0リットル/分以下とすると、上述のディテントトルクが抵抗となり水車がスムーズに回転できない。水車をスムーズに回転させるには、流量を3リットル/分より大きくする必要がある。
【0006】なお、近年、環境面の整備やその他種々の問題から節水が叫ばれて久しい。このような状況にあるため、上述の自動水栓装置においても1回に流す水量をできるだけ少なく抑えたいという課題を有している。加えて、使用者の節水に対する問題意識が向上した現在の状況下においては、流量と共に吐出される流水の水圧も低く抑えたい。水圧を低くすることにより、見た目上、節水中であるというイメージを与えたいからである。
【0007】本発明の目的は、少量の水量であっても水車が回転し、十分な電力量の発電をすることが可能な小型発電装置及び水栓装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の小型発電装置は、上記のような課題に鑑み、流体通路に配設され所定流量の流体通過に伴って回転する水車を備えると共に、この水車に連結され水車と共に回転する回転体を、複数層からなるステータ部を備えたステッピングモータのステータ部に対向配置されたロータ部とし、このロータ部を流体の通過に伴ってステータ部に対して相対回転させることにより電力を発生させている。このように発電用のステッピングモータのステータ部を複数層で構成したため、各層がステータ部とロータ部間のディテントトルクを打ち消すように作用し、ディテントトルクを低減することが可能となる。その結果、水車を低流量及び低水圧で回転させることが可能となる。
【0009】また、他の発明は、上述の小型発電装置に加えて、ステータ部とロータ部との間に発生するディテントトルクを、複数層の各層が互いに打ち消すように設定されている。例えば、各層をスキュー(周方向へ回転させて意識的に各層の極をずらすこと)したり、各層間に非磁性部材を介在させる等して、積極的にディテントトルクを低減するように設定することにより、上述の作用がさらに効果的なものとなる。
【0010】また、他の発明の小型発電装置は、流体通路に配設され所定流量の流体通過に伴って回転する水車を備えると共に、この水車に連結され水車と共に回転する回転体を、複数のコイル部を有するステータ部を備えたブラシレスモータのステータ部に対向配置されたロータ部とし、このロータ部を流体の通過に伴ってステータ部に対して相対回転させることにより電力を発生させている。このように水車に連結された回転体をブラシレスモータのステータ部に対向配置されたロータ部としたため、従来の1層式のステッピングモータ方式の発電装置に比べ、ディテントトルクを低減することが可能となる。その結果、水車を低流量及び低水圧で回転させることが可能となる。
【0011】また、他の発明は、上述の小型発電装置に加えて、ロータ部に着磁された極数とステータ部のコイル部数との関係を、2−3、4−3もしくは4−6に設定している。そのため、ステータ部とロータ部間のディテントトルクをさらに低減することが可能となる。
【0012】また、他の発明は、上述の各小型発電装置に加えて、流体通路の一部となると共に通過する流量を絞って水車の羽根部分に射出するための射出孔を備えた射出部材を備えている。そのため、少ない流量であっても射出孔によってある程度水圧を高めることができるため、水車をより滑らかに回転させ発電を可能とすることができる。また、上述の各小型発電装置はディテントトルクを低減したことにより低流量及び低水圧で発電が可能となっているため、射出孔の径を大きめとし、これによって水圧をそれ程高めることなく発電することも可能となる。このように設定する場合は、高水圧によって射出部材が損傷する危険性が低減される。
【0013】また、本発明の水栓装置は、バルブの開放程度を制御することにより、流体通路へ流出させる流量を通常より少なくした節水モードと、流量を通常とする通常モードの少なくとも2モードを備えると共に、上記請求項1から5のいずれか1項記載の小型発電装置を流体通路へ配設している。上述したように、流体通路へ配設された上記請求項1から5のいずれか1項記載の小型発電装置はディテントトルクが低減されているため、低流量及び低水圧で発電が可能である。そのため、水車へ供給される流体の水圧を低めに設定すれば、通常モード時において高水圧により部材が損傷する危険性を低減することができ、かつ節水モードにおいても十分に発電ができるようにすることが可能となる。
【0014】また、他の発明は、上述の水栓装置に加えて、節水モード時における流量を、2.0リットル/分〜3.0リットル/分としている。そのため、十分に節水が可能となると共に、この低水量によって発電を可能とすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の小型発電装置及び水栓装置の各実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
【0016】まず、本発明の第1の実施の形態となる2層式のステッピングモータ方式を利用した小型発電装置について、
図1から図4を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態となる2層式のステッピングモータ方式の小型発電装置の縦断面図を示している。また、図2は、図1の小型発電装置を図1の矢示II方向から見た側面図である。また、図3は、図2を矢示III方向から見た底面図である。また、図4は、流体通路を絞って水圧を高めた状態で水車に吹き付けるための部材(ノズルリング)と水車との関係を示した模式図である。
【0017】図1に示すように、第1の実施の形態の2層式のステッピングモータ方式を利用した小型発電装置は、ケーシング1と、ケーシング1内に配設されたノズルリング2と、ノズルリング2の内周側に回転自在に配置された水車3と、水車3と一体的に回転する回転体4と、回転体4の外周側に配置されたステンレス製のカップ状部材5と、このカップ状部材5のさらに外側に配置されたステッピングモータのステータ部6とを備えている。
【0018】図1及び図2に示すように、ケーシング1は、本体部11と、この本体部11の外側に突出している流入路12と流出路13とを備えている。本体部11は、上述の回転体4及びステータ部6とで構成される発電部を取り付けるための発電部取付部11aを備えている。発電部取付部11aは、本体部11の図1における右側に形成された解放端面部分及びその外周部分から構成され、その外周部分には円周状の溝11bが形成されている。そして、溝11b内には、Oリング8が埋め込まれている。
【0019】さらに、このOリング8を溝11b内に封入するように、上述のカップ状部材5の鍔部52が押し当てられ、この鍔部52の外周端部を本体部11に形成された凸部11dに当接させた状態(図1中の拡大図参照)で、上述の発電部取付部11aとで挟み込むように蓋部材9が被せられる。すなわち、発電部取付部11aには、Oリング8を溝11b内で押しつぶしながらカップ状部材5が押し当てられ、さらにその上から蓋部材9が被せられることとなる。なお、このようにカップ状部材5の鍔部52の外周端部を凸部11dの内周部に当接させることにより、カップ状部材5はステータ部6の内周部分に位置決めされる。そして、図2に示すように、蓋部材9の4隅に形成されたネジ孔に4本のネジ10をはめ込んでネジ締めすることにより、蓋部材9はケーシング1の本体部11に固定される。これにより、ケーシング1の解放端面となる発電部取付部11aは、カップ状部材5によって閉じられることとなる。
【0020】カップ状部材5は、非磁性のステンレス製部材で形成されており、絞り加工によって鍔部52と筒状部51と底部53とが形成されたものとなっている。そして、底部53には、水車3及び回転体4を支承する軸7の一端を回転自在に受ける軸受け15が嵌め込まれている。このカップ状部材5は、ケーシング1内を通過する流体からステッピングモータのステータ部6を隔離すると共に、ケーシング1外への流体の流出を防止するためのものとなっている。
【0021】なお、このケーシング1に形成された流入路12、流出路13及びこれらを連結する連結路14は、蛇口やバルブ等から構成される水栓装置(図7および図8参照)の流体通路の一部に配設されるものとなっており、流体源から流入路12へ入り込んできた流体が連結路14を通過して流出路13から吐出されるようになっている。なお、流体は、この通過の際に水車3に回転力を与えるようになっている。この部位における詳細な説明は後述する。連結路14内には、後述する水車3及び回転体4の回転を支承する軸7の他端が回転自在に配置される。この軸7は、一端がケーシング1の連結路14内に形成された軸受け用の穴14aに回転可能にはめ込まれ、他端側が上述の解放端面を通過しその先端がカップ状部材5内に配置された軸受け15内に回転可能にはめ込まれている。これにより、軸7は、ケーシング1とカップ状部材5とにより協働して保持される。
【0022】そして、ケーシング1の連結路14内には、上述の水栓装置の流体通路の一部となると共に通過する流体の流量を絞って水車3の羽根部分31(図4参照)へ射出するための射出部材としてのノズルリング2が圧入によりはめ込まれている。ノズルリング2は、略筒状のリング部21と、このリング部21の一方の解放端を外周方向に折曲することにより形成した鍔部22とを有している。そして、リング部21には、図4に示すように、流入路12に入り込んできた流体の流入通路を絞って、内側に配置される水車3の羽根部分31に射出する射出孔としての2つのノズル23が約180度対称位置に設けられている。
【0023】流体通路の一部となるノズルリング2の内側に配設された水車3は、所定流量の流体通過に伴って回転するものとなっている。水車3は、円筒状のリング部32と、このリング部32の一側端面に外周先端部分が接続されると共にその中心部分が上述の軸7に挿通固定された羽根部分31とからなる。なお、羽根部分31は、ノズル23からの流体の圧力を受けやすいように円弧状に湾曲している。このため、水車3は、流入路12に入り込み2つのノズル23で絞られて圧力を高められた流体が羽根部分31に勢い良くぶつかり、その水力で軸7を回転中心として回転するようになっている。なお、羽根部分31にぶつけられた流体は、水車3の開放部分、リング部32の内周部分を経て、連結路14から流出路13へ移動する。
【0024】回転体4は、水車3と連結軸部35を介して一体的に形成されており、水車3と同軸上に配置されている。すなわち、上述の水車3、連結軸部35及び回転体4は、軸7の伸びる方向に連結された状態で配置されている。このため、回転体4は水車3が水力によって回転すると、水車3と一体的に軸7を回転中心として回転する。なお、連結軸部35及び回転体4には、軸7が伸びる方向に連通された4つの連通孔4aが周方向に等間隔で形成されている。これらの連通孔4aは、回転体4の図1における右側にも流体を流し込むことによって軸7の軸受け15に対する回転をスムーズにさせるためのものとなっている。
【0025】このように水車3に連結され水車3と共に回転する回転体4は、ステッピングモータのロータ部となっており、ロータマグネットMgで構成されその外周面には8極着磁がなされている。そして、この外周面が、カップ状部材5の筒状部51を通してステッピングモータのステータ部6に対向配置されている。このため、回転体4は、水車3と共に回転する場合、ステータ部6に対して相対回転するようになっている。
【0026】ステータ部6は、軸方向に重ねて配置された2つの層6a,6bで構成されている。各層6a,6bは、それぞれ外ヨーク(重ねた状態において外側に配置されている)61と、この外ヨーク61に一体的に形成された外極歯61aと、内ヨーク(重ねた状態において内側に配置されている)62と、この内ヨーク62に一体的に形成された内極歯62aと、コイルボビンに巻回されたコイル63とを備えている。コイル63の巻き始め部分及び巻き終わり部分は、それぞれ端子64に接続されている。
【0027】このように構成されたステータ部6は、カップ状部材5の筒状部51の外側部分にはめ込まれている。このため、このステータ部6の各極歯61a,62aと、回転体4の着磁部との間には磁束が流れている。上述したように水車3と共に回転体4が回転すると、この磁束の流れに変化が生じ、この流れの変化を防止する方向にコイル63に誘起電圧が発生する。この誘起電圧は、端子64から取り出される。このような形で取り出された誘起電圧は、回路により直流に変換され、所定の回路(図示省略)を通して整流され電池に充電される。
【0028】なお、水車3を回転させるための具体的な流量に関して以下に述べる。水車3が受ける回転力は、流体の流量及び水圧によって設定される。すなわち、上述した流入路12に入り込んできた流体をノズル23によってある程度絞り込んで水車3の羽根部分31に勢い良く当てることにより、水車3は流体から回転力を受けることとなる。当然ながら、ノズル23によって流体通路を絞ることにより水圧を高める構成としなくても、流量自体が十分であれば水車3は回転する。しかしながら、このようにノズル23で水圧を高めた状態で水車3の羽根部分31に流体をぶつける方が、より少ない流量で水車3を回転させることが可能となる。
【0029】なお、本実施の形態では、流体通路を絞り水圧を高める構成となっているが、水圧を高めすぎると水車3の羽根部分31やノズルリング2やその他の流体の流路が破損してしまう恐れも生じる。また、逆に水圧が低すぎると流量が不十分となり満足な発電を行えない。そのため、この水圧に関しては水車3やノズルリング2の材質や厚み等との関係で適宜設定する必要がある。
【0030】また、水車3の羽根部分31の形状や水車3の総重量(回転体4の重量も含む)に加えて、回転体4とステータ部6との間に発生するディテントトルクが、上述の回転力に対向する抵抗となるが、本発明の主要な部分はディテントトルク部分を低減することにある。本実施の形態では、ステータ部6を2層構造とし、スキュー(周方向に各層をずらすこと)することにより、例えば周方向において上述の極歯位置をずらして、ロータ部となる回転体4の着磁部分との間に発生するディテントトルクを、互いに打ち消すようにしている。これにより、ディテントトルクが低減される。このため、水車3を回転させる際の回転体4とステータ部6間のディテントトルクが、それ程強力なブレーキとならず、水車3は回転体4と共に少量の流量及び水圧でスムーズに回転可能となる。
【0031】なお、本実施の形態では、このようにステッピングモータのステータ部6を2層構造とし、かつ羽根部分31の形状及び厚みを所定寸法に設定することにより、2.0〜3.0リットル/分で流入路12に流れ込んでくる流体を利用して、水車3を回転させることが可能となる。
【0032】また、本実施の形態では、発電機が回転し始める最小起動電流量は1.2〜1.5リットル/分程度に設定しているが、その発電量はわずかであり、さらに、図示されない蓄電部に蓄えるために必要な電圧は、ACからDCに変換することを考慮すると、少なくとも5V以上は必要となる。本実施の形態では、2.0リットル/分より少し少ない流量で発電は可能であるが、実際に確実に発電させるには、2.0リットル/分以上の流量が必要となる。
【0033】一方、実使用面において、2.0リットル/分という流量は手洗い用として使用する最小流量である。以上のことにより、本実施の形態では、2.0〜3.0リットル/分の流量を節水モードとして、3.0リットル/分を超える流量を通常モードとして設定した。
【0034】なお、ステータ部6を1層構造とし、他の部分の構成を上述の実施の形態と同様とすると、ディテントトルクが上述の実施の形態より強くブレーキとして作用してしまう。具体的には、3リットル/分を超える流量でないと水車3が回転しない。
【0035】次に、本発明の第2の実施の形態となるブラシレスモータ方式を利用した小型発電装置について、図5から図6を用いて説明する。なお、この第2の実施の形態の説明においては、上述の第1の実施の形態と同様の構成については、説明を省略すると共に同一構成部分については上述の第1の実施の形態と同符号を用いるものとする。図5は、本発明の第2の実施の形態の小型発電装置の縦断面図を示している。また、図6は、図5の小型発電装置を図5の矢示VI方向から見た側面図である。
【0036】図5に示すように、第2の実施の形態のブラシレスモータ方式の小型発電装置は、ほぼ第1の実施の形態と同様の構成を有しており、ケーシング1と、ケーシング1内に配設されたノズルリング2と、ノズルリング2の内周側に回転自在に配置された水車3と、水車3と一体的に回転する回転体4と、回転体4の外周側に配置されたステンレス製のカップ状部材105と、このカップ状部材105のさらに外側に配置されたブラシレスモータのステータ部106とを備えている。
【0037】ケーシング1の本体部111は、上述の回転体4及びステータ部106で構成される発電部を取り付けるための発電部取付部111aを備えている。発電部取付部111aは、本体部111の図5における右側に形成された中心部に穴を有する凹部111cとその外周部分から構成され、その外周部分には円周状の溝111bが形成されている。そして、溝111b内には、Oリング8が埋め込まれている。
【0038】さらに、このOリング8を溝111b内に封入するように、上述のカップ状部材105の最外周部分に形成された鍔部152が押し当てられ、この鍔部152の外周端部を本体部111に形成された凸部(図示省略=構造は上述の第1の実施の形態と同様)に当接させた状態で、上述の発電部取付部111aとで挟み込むように皿状部材90が被せられる。すなわち、発電部取付部111aには、Oリング8を溝111b内で押しつぶしながらカップ状部材105が押し当てられ、さらにその上から皿状部材90が被せられることとなる。そして、図6に示すように、皿状部材90の4隅に形成されたネジ孔に4本のネジ10をはめ込んでネジ締めすることにより、皿状部材90はケーシング1の本体部111に固定される。これにより、ケーシング1の解放端面となる発電部取付部111aは、カップ状部材105によって閉じられることとなる。
【0039】カップ状部材105は、非磁性のステンレス製部材で形成されており、絞り加工によって鍔部152と、鍔部152に連続する外側筒状部155と、この外側筒状部155の内側に配置された内側筒状部151と、両筒状部151,155を連結する連結面部156と、底部153とが形成されたものとなっている。そして、このように構成されたカップ状部材105は、上述した発電部取付部111aの凹部111c内にはめ込まれ、上述したようにケーシング1と皿状部材90とに挟まれて固定される。底部153には、水車3及び回転体4を支承する軸7の一端を回転自在に受ける軸受け15が嵌め込まれている。このカップ状部材105は、ケーシング1内を通過する流体からブラシレスモータのステータ部106を隔離すると共に、ケーシング1外への流体の流出を防止するためのものとなっている。
【0040】そして、ケーシング1の連結路14内には、上述の水栓装置の流体通路の一部となると共に通過する流体の流量を絞って水車3の羽根部分31へ射出するための射出部材としてのノズルリング2が圧入によりはめ込まれている。このノズルリング2の構成は、上述した第1の実施の形態と同様である。また、このノズルリング2の内側に配置された水車3及び水車3に一体的に形成された回転体4の構成も、上述した第1の実施の形態と同様である。
【0041】水車3に連結され水車3と共に回転する回転体4は、ブラシレスモータのロータ部となっており、ロータマグネットMgで構成されその外周面には2極着磁がなされている。そして、この外周面が、カップ状部材105の内側筒状部151を通してブラシレスモータのステータ部106に対向配置されている。このため、回転体4は、水車3と共に回転する場合、ステータ部106に対して相対回転するようになっている。
【0042】ステータ部106は、図6に示すように、周方向に等分配置された3つのコイル部106a,106b,106cで構成されている。各コイル部106a,106b,106cは、それぞれステータコア161と、このステータコア161に巻回されたコイル163とを備えている。コイル163の巻き始め部分及び巻き終わり部分は、それぞれ端子164に接続されている。
【0043】このように構成されたステータ部106は、カップ状部材105の内側筒状部151と外側筒状部155との間の部位にはめ込まれている。このため、このステータ部106の極となる各ヨーク部材161の内側対向面161aと、回転体4の着磁部との間には磁束が流れている。上述したように水車3と共に回転体4が回転すると、この磁束の流れに変化が生じ、この流れの変化を防止する方向にコイル163に誘起電圧が発生する。この誘起電圧は、端子164から取り出される。
【0044】このような形で取り出された誘起電圧は、回路により直流に変換される。それは、出力コイルが3相のY結線とされた発電部によって誘起された交流電圧は、6個のダイオードと1個の平滑コンデンサからなる3相ブリッジ回路(図示省略)を通して整流され直流に変換され電池に充電される。
【0045】なお、ステータ部106は、上述したように3つのコイル部106a,106b,106cから構成され3極を有するものとなっている。一方、このステータ部106に対向配置された回転体4は、上述したように2極着磁となっている。すなわち、本実施の形態は、ブラシレスモータ方式となっており、回転体(ロータ部)4に着磁された極数とステータ部106のコイル部数(極数)との関係が、2−3となっている。そのため、従来の1層式のステッピングモータ方式のように、ステータ部106と回転体4との間に発生するディテントトルクが大きくない。このため、水車3を回転させる際の回転体4とステータ部106間のディテントトルクが、それ程強力なブレーキとならず、水車3は回転体4と共に少量の流量及び水圧でスムーズに回転可能となる。
【0046】なお、回転体(ロータ部)4に着磁された極数とステータ部106のコイル部数(極数)との関係は、この実施の形態のように2−3でなく、たとえば4−3や4−6としてもよい。このように発電装置の主要部をブラシレスモータ方式で構成した第2の実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様、2.0〜3.0リットル/分で流入路12に流れ込んでくる流体を利用して、水車3を回転させることが可能となる。
【0047】なお、発電装置の構造を、ステッピングモータ方式とし、かつステータ部を1層構造(先述した第1の実施の形態はステータ部が2層構造)とすると、上述したようにディテントトルクが強くブレーキとして作用してしまう。具体的には、3リットル/分を超える流量でないと水車3がスムーズに回転しない。上述したように、発電装置の主要部の構成を、ブラシレスモータ方式とすることで、少量の水でも発電を可能とすることができる。
【0048】上述した各実施の形態の小型発電装置は、2.0〜3.0リットル/分と少量の流量を利用して発電をすることが可能となる。加えて、3.0リットル/分を超える流量となった場合でも当然ながら発電でき、しかもディテントトルクの影響を受けずにスムーズに回転体4が回転するため、同回転数当たりの発電出力は従来のものに比して高いものとなる。
【0049】このような効果を有しているため、上述した各実施の形態の小型発電装置を取り付けた水栓装置を、バルブの開放程度を制御することにより、流体通路へ流出させる流量を通常より少なくした節水モードと、流量を通常とする通常モードの少なくとも2モード仕様とし、節水モード時の流量を上述の2.0〜3.0リットル/分としても良い。このようにすれば、節水モード時においても発電が可能となり、かつ通常モード時においては効率の良い発電出力を得られることができる。
【0050】また、上述したように各実施の形態では、従来の1層構造のステッピングモータ方式に比べ、ディテントトルクを低減することが可能であるため、これを利用し、例えばノズル23の穴径を広げて水車3への水圧を低減し、ノズルリング2および水車3の水圧による破損の危険性をさらに低減するようにしても良い。その場合、ノズル23の穴径を広げ水圧を低下させた分、水車3が回転可能な最低流量が若干上昇してしまうが、その流量が例えば2.5リットル/分程度であれば、従来のものに比して十分高性能といえる。
【0051】次に、上述した本発明の小型発電装置の使用例の一つとなる水栓装置への使用例について説明する。
【0052】図7および図8は、本発明の小型発電装置を用いた水栓装置の断面図である。図7および図8において、水栓装置1000は、その先端に吐出口と人体センサー1001が設けられている。水栓装置1000内には、流体通路1004の開閉を行う電磁弁1003と、上述した第1もしくは第2の実施の形態として説明した(図1もしくは図5参照)小型発電装置(ここでは、符号1005とする)と、電磁弁1003の開閉を制御し、また、上記小型発電装置1005で発生させた誘起電圧を直流に変換する直流変換回路(図示省略)やこの直流を整流する整流回路(図示省略)および整流された電流を蓄電する蓄電部(図示省略)等を有するコントローラー1002とが備えられている。
【0053】次に水栓装置1000の動作を説明する。
【0054】人体の手を人体検出センサー1001により検出すると、人体検出センサー1001から信号がコントローラー1002に出力される。コントローラー1002は、電磁弁1003に開信号を出力し、これによって電磁弁1003が開いて吐水する。水は、水栓装置1000内の流体通路1004内を流れ、小型発電装置1005に到達する。小型発電装置1005内では、上述した第1および第2の実施の形態で説明したように、流入路に入り込んできた水をノズル等により水圧を高くして水車の羽根部分に当てて、水の力によって回転体に回転力を与え、これによって誘起電圧が発生する。
【0055】この誘起電圧は、直流変換回路(図示省略)により直流に変換され、さらに整流回路(図示省略)を通して整流されて蓄電部(図示省略)に蓄電される。そして、蓄電部(図示省略)に蓄電された電流は、コントローラー1002に通電される。
【0056】一方、人体の手を検出しなくなると、人体検出センサー1001がそれを検知し、その信号をコントローラー1002に出力する。これによって、電磁弁1003が閉じられる。
【0057】なお、水栓装置1000の動作については、上記したものに限定されることなく、例えば、所定時間だけ水を流した後、自動的に水を止めるように構成しても良い。
【0058】
【発明の効果】本発明の小型発電装置は、流体の通過によって回転する水車に連結された回転体を、複数層からなるステータ部を備えたステッピングモータのステータ部に対向配置されたロータ部としている。そのため、各層がステータ部とロータ間のディテントトルクを打ち消すように作用し、ディテントトルクを低減することが可能となる。その結果、水車を低流量及び低水圧で回転させることが可能となる。
【0059】また、他の発明の小型発電装置は、流体の通過によって回転する水車に連結された回転体を、複数のコイル部を有するステータ部を備えたブラシレスモータのステータ部に対向配置されたロータ部としている。そのため、ディテントトルクを低減することが可能となる。その結果、水車を低流量及び低水圧で回転させることが可能となる。
【0060】また、本発明の水栓装置は、バルブの開放程度を制御することにより、節水モードと通常モードの少なくとも2モードを備え、かつ上述の小型発電装置を流体通路へ配設している。このように、本発明の水栓装置は、ディテントトルクが低減された小型発電装置を流体通路へ配設することにより低流量及び低水圧で発電が可能なものとなる。そのため、水車へ供給される流体の水圧を低めに設定すれば、通常モード時において高水圧により部材が損傷する危険性を低減することができ、かつ節水モードにおいても十分に発電ができるようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
図1】本発明の第1の実施の形態の2層式のステッピングモータ方式の小型発電装置の縦断面図を示している。
図2図1の小型発電装置を図1の矢示II方向から見た側面図である。
図3図2を矢示III方向から見た底面図である。
図4】流体通路を絞って水圧を高めた状態で水車に吹き付けるための部材(ノズルリング)と水車との関係を示した模式図である。
図5】本発明の第2の実施の形態のブラシレスモータ方式の小型発電装置の縦断面図を示している。
図6図5の小型発電装置を図5の矢示VI方向から見た側面図である。
図7】本発明の小型発電装置を用いた水栓装置の一例を示した正面断面図である。
図8図7に示した水栓装置を側方から示した側方断面図である。
【符号の説明】
2 ノズルリング(射出部材)
3 水車
4 回転体(ロータ部)
6 ステータ部
6a,6b 層
23 ノズル(射出孔)
31 羽根部分
106 ステータ部
106a,106b,106c コイル部
図1


図2


図3


図4


図5


図6


図7


図8